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スタートアップ!!
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自分の声が、掻き消される程の声援の渦へ…
俺は1歩、足を出すと、そのまま一気に階段を駆け上がり、舞台へと飛び出す。
「ウワァーーー!!キャーーーー!」
「リヒトーー!」「るいーーーー!」
「ミナミーーーー!」「とおるーー!」
薄暗闇に4色のペンライトが輝く会場を見渡すと…
4人の名を叫ぶように呼び、カラフルな団扇を懸命に振ったり、掌を祈るように握り締め、涙を零す子が、方々で目に入る…
俺は、自分の名前の団扇を見つけると、嬉しくなって、そちらへあちらへと、大きく手を振る。
自分の目指していたアイドルという立場に立って、今この場所に居られる事を誇りに思っている。
ファンのみんな、一人一人が俺達を応援してくれている、その熱い渦を全身に感じると、じっとしていられない高揚感で、大きく手足を動かすとステージの端から端へ、汗を振り切り駆け回る。
本当は、ステージを降りて、客席中を駆け巡ってしまいたい焦燥に駆られたが、そこは、グッと気持ちを抑えた。
俺達のアイドルグループ名は、『スタドリ』。
スタードリーム…夢の共演みたいな意味で。4人で話し合って…知恵を出し合ったが…結構安直に決まった名前だ。でもファンの子達が呼んでくれると、特別な名前に思えてくるのが不思議だ。
そして、アイドルらしく、担当の色がそれぞれ決まっている俺達。
赤色が俺、リヒト。
緑色は、るい。
青色が、ミナミ。
白色が、とおる。
それぞれのカラーペンライトは、だいたい同じ位の数が見える。人気は4等分されてる感じだ。
俺は…顔立ちが女顔で、背も小さいから、女の子と間違われる事が多くて、それが昔からのコンプレックスでもあった。
最初の頃は、可愛いだの、中性的だの…と、言われる度に、敏感に傷付いたりしていたけど…
「綺麗で可愛くて更にカッコイイ!リヒトが好き、他の誰でもなく、リヒトが推し」と、ファンの子達がSNSで呟いてくれているのを目にしてからは、堂々とした立ち振る舞いが出来るようになってきたと思う。
時々、弱音を吐きたくなるような気持ちを奮い立たせて、ステージへと上がらせてくれるのは、そのファンのみんなからの愛溢れる言葉の数々だ。
いつも元気に飛び回り、パワー溢れる笑顔で、とにかくファンを大事にしてくれる…なんて言われるのは、くすぐったくもあるけれど、それが凄く励みになっている。
有難く、そして良いプレッシャーにもなる。
俺が俺として居られる、そしてこのステージに立って居られるのは、求めてくれるファンが居るからこそ…だと、事務所の社長から、再三言われる言葉。
俺と、黄色担当のるいは、同じ歳なのもあって、コンビみたいな扱いをされる事が多く…
るいは、背が高くてイケメンなのに、お茶目…でも、時々見せるあざとさと、ドS感が、ギャップ萌えとか言われてるみたいだ。
実はファンの間では、非公式カプとして、『るいリヒ』なんて呼ばれてるらしい。SNSでその言葉を見る度に照れるし…スゴイ恥ずかしい。
それでも……どんなに照れても、ちゃんとファンの声をチェックするのも、アイドルの仕事だと思っているので、覚悟して見る。
曲間に、るいが俺の方を見た。
目が合うと、それが合図のようにバッと両手を広げる。
俺は、そこへ猛ダッシュする。
腕に飛び込むと、軽々と俺を持ち上げて、グルグルと回される。
振りと落とされまいと、グッと抱きつく。
歓声が倍増した。
「るいリヒ~!」
泣き叫ぶような声も聴こえてくる。
ファンが喜んでくれるかも?…って、るいから提案され、なんとなく始めた、このファンサ。
今ではライブのちょっとした名物となっているらしい。
俺へのスキンシップが、ステージを追う毎に増えているような感じがしている。
実は…、それを1番喜んでるのは…
ファンでは無くて、俺なんだけどな…と、それだけは気付かれてはイケナイと…心の奥底に留まらせている。
俺は…るいの事が好きだから…
友愛では無く…恋愛の好き…だと認識したのは、いつの頃だろうか…
気付いたら…もう、るいの顔を追い、俺に向ける反応を噛み締めている自分を恥じるようになっていた。
クライマックスを迎えるラストの曲で、踊りの最後、俺がファンに投げキッスを投下していると、急に、るいが俺の後ろから手を回し抱きしめてきた。
一瞬ビクッとなるが、そこはステージに立つアイドルとして、スマイルで答え、片手をそっと、るいの腕に添えると、歓声が更に1段階高く上がる。もう片方の手を大きく振り、ファンに向ける。
ドキドキを抑える俺の気持ちを他所に、満足気な顔が、横から覗いて来た。
「今日も可愛かったな…リヒトは」
なんてセリフを…今日の最後に俺の耳に残すんだよ…
その場に崩れそうになるのを必死で両足にチカラを入れてステージを踏む。
暗転と共に、ステージから降りる。
アンコールが聞こえる…
応えるように、再度みんなで手を繋いで登場すると、もう1曲、イントロが流れ始める。
ステージを見渡す…俺は、心を込めて…歌声を届ける。
「またな!みんな!絶対、また会おう!それまで元気でね!」
お別れの言葉と共に、ステージを後にした。
俺は1歩、足を出すと、そのまま一気に階段を駆け上がり、舞台へと飛び出す。
「ウワァーーー!!キャーーーー!」
「リヒトーー!」「るいーーーー!」
「ミナミーーーー!」「とおるーー!」
薄暗闇に4色のペンライトが輝く会場を見渡すと…
4人の名を叫ぶように呼び、カラフルな団扇を懸命に振ったり、掌を祈るように握り締め、涙を零す子が、方々で目に入る…
俺は、自分の名前の団扇を見つけると、嬉しくなって、そちらへあちらへと、大きく手を振る。
自分の目指していたアイドルという立場に立って、今この場所に居られる事を誇りに思っている。
ファンのみんな、一人一人が俺達を応援してくれている、その熱い渦を全身に感じると、じっとしていられない高揚感で、大きく手足を動かすとステージの端から端へ、汗を振り切り駆け回る。
本当は、ステージを降りて、客席中を駆け巡ってしまいたい焦燥に駆られたが、そこは、グッと気持ちを抑えた。
俺達のアイドルグループ名は、『スタドリ』。
スタードリーム…夢の共演みたいな意味で。4人で話し合って…知恵を出し合ったが…結構安直に決まった名前だ。でもファンの子達が呼んでくれると、特別な名前に思えてくるのが不思議だ。
そして、アイドルらしく、担当の色がそれぞれ決まっている俺達。
赤色が俺、リヒト。
緑色は、るい。
青色が、ミナミ。
白色が、とおる。
それぞれのカラーペンライトは、だいたい同じ位の数が見える。人気は4等分されてる感じだ。
俺は…顔立ちが女顔で、背も小さいから、女の子と間違われる事が多くて、それが昔からのコンプレックスでもあった。
最初の頃は、可愛いだの、中性的だの…と、言われる度に、敏感に傷付いたりしていたけど…
「綺麗で可愛くて更にカッコイイ!リヒトが好き、他の誰でもなく、リヒトが推し」と、ファンの子達がSNSで呟いてくれているのを目にしてからは、堂々とした立ち振る舞いが出来るようになってきたと思う。
時々、弱音を吐きたくなるような気持ちを奮い立たせて、ステージへと上がらせてくれるのは、そのファンのみんなからの愛溢れる言葉の数々だ。
いつも元気に飛び回り、パワー溢れる笑顔で、とにかくファンを大事にしてくれる…なんて言われるのは、くすぐったくもあるけれど、それが凄く励みになっている。
有難く、そして良いプレッシャーにもなる。
俺が俺として居られる、そしてこのステージに立って居られるのは、求めてくれるファンが居るからこそ…だと、事務所の社長から、再三言われる言葉。
俺と、黄色担当のるいは、同じ歳なのもあって、コンビみたいな扱いをされる事が多く…
るいは、背が高くてイケメンなのに、お茶目…でも、時々見せるあざとさと、ドS感が、ギャップ萌えとか言われてるみたいだ。
実はファンの間では、非公式カプとして、『るいリヒ』なんて呼ばれてるらしい。SNSでその言葉を見る度に照れるし…スゴイ恥ずかしい。
それでも……どんなに照れても、ちゃんとファンの声をチェックするのも、アイドルの仕事だと思っているので、覚悟して見る。
曲間に、るいが俺の方を見た。
目が合うと、それが合図のようにバッと両手を広げる。
俺は、そこへ猛ダッシュする。
腕に飛び込むと、軽々と俺を持ち上げて、グルグルと回される。
振りと落とされまいと、グッと抱きつく。
歓声が倍増した。
「るいリヒ~!」
泣き叫ぶような声も聴こえてくる。
ファンが喜んでくれるかも?…って、るいから提案され、なんとなく始めた、このファンサ。
今ではライブのちょっとした名物となっているらしい。
俺へのスキンシップが、ステージを追う毎に増えているような感じがしている。
実は…、それを1番喜んでるのは…
ファンでは無くて、俺なんだけどな…と、それだけは気付かれてはイケナイと…心の奥底に留まらせている。
俺は…るいの事が好きだから…
友愛では無く…恋愛の好き…だと認識したのは、いつの頃だろうか…
気付いたら…もう、るいの顔を追い、俺に向ける反応を噛み締めている自分を恥じるようになっていた。
クライマックスを迎えるラストの曲で、踊りの最後、俺がファンに投げキッスを投下していると、急に、るいが俺の後ろから手を回し抱きしめてきた。
一瞬ビクッとなるが、そこはステージに立つアイドルとして、スマイルで答え、片手をそっと、るいの腕に添えると、歓声が更に1段階高く上がる。もう片方の手を大きく振り、ファンに向ける。
ドキドキを抑える俺の気持ちを他所に、満足気な顔が、横から覗いて来た。
「今日も可愛かったな…リヒトは」
なんてセリフを…今日の最後に俺の耳に残すんだよ…
その場に崩れそうになるのを必死で両足にチカラを入れてステージを踏む。
暗転と共に、ステージから降りる。
アンコールが聞こえる…
応えるように、再度みんなで手を繋いで登場すると、もう1曲、イントロが流れ始める。
ステージを見渡す…俺は、心を込めて…歌声を届ける。
「またな!みんな!絶対、また会おう!それまで元気でね!」
お別れの言葉と共に、ステージを後にした。
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