国外追放されたくないので第二王子の胃袋を掴んだら溺愛されました!

和栗かのこ

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悪役令嬢、動揺する

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「あ、あの、殿下…」

険悪な空気に堪えかねた私が口を開いた
その時、叫ぶ声がした。

「カイン殿下!」

声の主は、全力疾走でこちらへやって
来ると、息も絶え絶えに言った。

「で、殿下!ハァハァ…やっと…ハァハァ
見つけましたぞ…ゴホゴホ」

あ、この人、知ってる。
カイン殿下の留学に付いていった侍従の
人だ。

「セセリア様のお顔を見たらすぐ王宮へ
行くとおっしゃったではありませんか!
陛下と王妃様がお待ちですぞ!」

侍従の人は、額の汗を拭きながらチラリと
私の顔を見た。

え?もしかして私を疑ってるの!?
殿下がここで長話してたのは私のせいじゃ
ないですよ!!

「ほら、殿下!だから早く王宮へ行かな
きゃダメだって言ったじゃないですか!」

私は侍従の人の疑いを晴らすべく、引きつ
った笑顔で言った。

「しょうがないな。名残惜しいけど時間
切れのようだ。」

そう言うと、殿下は私の顔を両手で包み
額にそっと口づけをした。

「!?」

不意をつかれたことよりも、間近で見た
殿下の美しい顔に心臓が止まりそうにな
った。

「じゃぁ、またね!」

少し照れくさそうに笑うと、殿下は侍従と
共に去って行った。

ひぇぇぇぇ。

顔が熱い!

多分今、私は真っ赤な顔をしている。

アイリスの前で、どんな表情をしていい
のかもわからない。

そんな私の心情を察したのか、アイリス
が言った。

「よかったですね。」

「え?」

「1年たっても殿下はセセリア様のこと
大好きじゃないですか。」

「そ、そう…なのかな…」

「そうですよ。ご丁寧にセセリア様の
額にマーキングまでして。」

アイリスが憎々しげに言ったのを、私は
聞き逃さなかった。

「マ、マーキング?」

「あれはあきらかに私に対する威嚇です。
セセリア様は自分の婚約者だから、これ
以上近づくな、というアピールです。」

確かに私も、人目のあるところであんな
ことするのはどうなのよ!?、と思った
けど。

「セセリア様、カイン殿下は想像以上に
独占欲の強い方のようですから、どうぞ
お気をつけください。」

「そんな大袈裟な。久しぶりに会ったから
ちょっとテンションあがっちゃっただけ
じゃない?」

「いいえ!セセリア様の作ったお菓子を
アンセル殿下にさえ食べさせなかった
なんて、独占欲としか思えません!」

「それは食い意地がはっていただけなの
では…?」

と言いかけて、私は思い出した。

そうだ、自分以外の者に私の作ったお菓子
を食べさせてはいけない、と言われていた
のに、アンセル殿下とアイリスに食べさせ
てしまったのだ。

そのことを知ったら、カイン殿下は怒るだ
ろうか。

不安になった私の顔色は、見る間に青く
なっていった。

「セセリア様、そんな不安そうな顔なさら
ないで。なにがあっても私がお守りすると
言ったではありませんか。」

アイリスは私の手をとり、優しく握って
言った。

「たとえ相手が第二王子だとしても、負け
ませんわ。だって私は聖女なのだから。」

彼女は微笑んでいたが、その瞳はメラメラ
と音をたてて燃えているように見えた。
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