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魔王討伐編
その1 三人の勇者
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ある日、町を歩いている青年がいた。彼の名はフーリ。
今日はめっちゃ大事な仕事が来たと勇者友達のマルセルから聞いていたので、仕事場である勇者団本部に向かっているところだ。
内容まではわからないが、本部に呼び出されるということは相当大事なんだろうと容易に想像がつく。フーリは相当面倒くさがっている。
フーリが勇者になって早一年。勇者になったきっかけは、排水溝に詰まっていた神の武器を交番に届けたら持ち主が現れずに自分の物になり、そのノリで勇者の試験にストレート合格。最初の方はそこそこ頑張っていたが、今やクソニートみたいな生活をしている。
そして五分後。あれ、十分後だっけ?とにかく勇者団本部に着いた。が、ここは相変わらずだだっ広く、正直自分が今どこにいるのか見当がつかない。要は迷っているのだ。
フーリは自身が方向音痴でないと信じたいので、ここが迷路みたいなのが悪いと決めつけることにした。なんだこいつ。
そして、予定時間ギリギリになってようやく遠目にマルセルの姿が確認できた。これも迷うと読んで少し早く家を出たおかげだ。フーリ流石!
マルセルは普段通り黒いローブに赤いインナーを着ていて、白くて短い髪の毛をしており、猫と戯れている。しかし、フーリが近づくと猫は猛ダッシュで逃げていった。
「よ、マルセル、おはよ」
「フ、フーリ、おはよ~」
実は指先に連続猫パンチを食らって動揺している男の子。夏なのにずっと長袖ローブを着ているで(一部地域で)有名な男の子。御歳二十三歳の男の子。彼こそマルセルだ。
彼は商人の家系にもかかわらず、わずか生後二週間で魔法における世界記録を全て塗り替えた、とにかく魔法においては世界一の人間である。
あと可愛い。
「あれ?そう言えば今日の仕事三人って言ってたよな?もう一人は?」
「うーん、そろそろ来るはずなんだけど。あ、もしかしてあれじゃない?」
マルセルが指さした方向には、灰色の髪の毛で、いつもの様に紺色のワイシャツを着ている男、クライブがいた。
髪の毛が白髪っぽいのはジジイだからとかではなく、一族の遺伝だという話も(一部地域で)有名だ。
「クライブ、遅かったね」
「すまない。道に……何でもない」
あ、こいつも道に迷ってたな。
「そんなことよりマルセル。今日は三人だと聞いてはいたが……まさかフーリも三人の中の一人なのか?」
「うん。そうだよ」
「なんだよクライブ。僕と一緒がそんなに嫌か?」
「当たり前だ。なんで誇り高き勇者の末裔と、落し物でのし上がったやつが一緒にされなきゃならないんだ。それにお前仕事しねぇし」
誇り高きとは、クライブの先祖が魔王を倒した伝説の勇者カールだからだ。
誰しもが知る英雄の末裔であり鍛錬を怠らないクライブと、たまたま神の武器を拾って楽しているフーリが同じ土俵にいるのはやはり納得いかないのだろうか。まぁ気に入らないだろうね。
「まぁまぁ、落ち着いてよ!」
険悪ムードで焦りまくっているマルセルを見て、クライブも落ち着いた様だ。
ちなみに、実際この二人はめちゃくちゃ仲がいい。この時は道で迷ったせいでちょっとイラついてたらしい。八つ当たりってひどいね。
「もし次プライベートで会ったら、お前を氷漬けにしてやる」
「こっわ……。ろくに町中あるけねぇじゃねえか」
「戯言はいい、さっさと中に入るぞ」
「戯言って、お前が先に言い始めたんだろ!脳バグってんのか?」
「バグってんのはお前の方だろ!さっさとこの前貸した金返せや!」
「なんだと!それはごめん!」
「喧嘩はやめて!止めないと殺すよ!」
こっわこいつ。
マルセルは結構有言実行が早いので、二人は適当に和解を済ませて中に入る。仕事だということをすっかり忘れていたが、一体こんな三人にどんな用があるのだろうか。
今日はめっちゃ大事な仕事が来たと勇者友達のマルセルから聞いていたので、仕事場である勇者団本部に向かっているところだ。
内容まではわからないが、本部に呼び出されるということは相当大事なんだろうと容易に想像がつく。フーリは相当面倒くさがっている。
フーリが勇者になって早一年。勇者になったきっかけは、排水溝に詰まっていた神の武器を交番に届けたら持ち主が現れずに自分の物になり、そのノリで勇者の試験にストレート合格。最初の方はそこそこ頑張っていたが、今やクソニートみたいな生活をしている。
そして五分後。あれ、十分後だっけ?とにかく勇者団本部に着いた。が、ここは相変わらずだだっ広く、正直自分が今どこにいるのか見当がつかない。要は迷っているのだ。
フーリは自身が方向音痴でないと信じたいので、ここが迷路みたいなのが悪いと決めつけることにした。なんだこいつ。
そして、予定時間ギリギリになってようやく遠目にマルセルの姿が確認できた。これも迷うと読んで少し早く家を出たおかげだ。フーリ流石!
マルセルは普段通り黒いローブに赤いインナーを着ていて、白くて短い髪の毛をしており、猫と戯れている。しかし、フーリが近づくと猫は猛ダッシュで逃げていった。
「よ、マルセル、おはよ」
「フ、フーリ、おはよ~」
実は指先に連続猫パンチを食らって動揺している男の子。夏なのにずっと長袖ローブを着ているで(一部地域で)有名な男の子。御歳二十三歳の男の子。彼こそマルセルだ。
彼は商人の家系にもかかわらず、わずか生後二週間で魔法における世界記録を全て塗り替えた、とにかく魔法においては世界一の人間である。
あと可愛い。
「あれ?そう言えば今日の仕事三人って言ってたよな?もう一人は?」
「うーん、そろそろ来るはずなんだけど。あ、もしかしてあれじゃない?」
マルセルが指さした方向には、灰色の髪の毛で、いつもの様に紺色のワイシャツを着ている男、クライブがいた。
髪の毛が白髪っぽいのはジジイだからとかではなく、一族の遺伝だという話も(一部地域で)有名だ。
「クライブ、遅かったね」
「すまない。道に……何でもない」
あ、こいつも道に迷ってたな。
「そんなことよりマルセル。今日は三人だと聞いてはいたが……まさかフーリも三人の中の一人なのか?」
「うん。そうだよ」
「なんだよクライブ。僕と一緒がそんなに嫌か?」
「当たり前だ。なんで誇り高き勇者の末裔と、落し物でのし上がったやつが一緒にされなきゃならないんだ。それにお前仕事しねぇし」
誇り高きとは、クライブの先祖が魔王を倒した伝説の勇者カールだからだ。
誰しもが知る英雄の末裔であり鍛錬を怠らないクライブと、たまたま神の武器を拾って楽しているフーリが同じ土俵にいるのはやはり納得いかないのだろうか。まぁ気に入らないだろうね。
「まぁまぁ、落ち着いてよ!」
険悪ムードで焦りまくっているマルセルを見て、クライブも落ち着いた様だ。
ちなみに、実際この二人はめちゃくちゃ仲がいい。この時は道で迷ったせいでちょっとイラついてたらしい。八つ当たりってひどいね。
「もし次プライベートで会ったら、お前を氷漬けにしてやる」
「こっわ……。ろくに町中あるけねぇじゃねえか」
「戯言はいい、さっさと中に入るぞ」
「戯言って、お前が先に言い始めたんだろ!脳バグってんのか?」
「バグってんのはお前の方だろ!さっさとこの前貸した金返せや!」
「なんだと!それはごめん!」
「喧嘩はやめて!止めないと殺すよ!」
こっわこいつ。
マルセルは結構有言実行が早いので、二人は適当に和解を済ませて中に入る。仕事だということをすっかり忘れていたが、一体こんな三人にどんな用があるのだろうか。
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