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魔王討伐編
その2 魔王復活してもうてるやん
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『リーダー室』と書かれたプレートの貼ってあるドアを開け部屋に入ると、そこにはこの国のトップである勇者、リーダーがいた。ちなみに、このリーダーとは役職名であり彼の本名でもある。マジややこしい。
「よぉ!久しぶりだなお前ら。まぁ座れよ」
フーリは高そうな皮のソファーに深く腰掛ける。マルセルは完全に寝転がり、唯一姿勢よく座っているのはクライブだけだ。
「それで、仕事っていったいなんなの?」
テーブルの上にあるクッキーを鷲掴みにするマルセルを横目にクライブが言う。
「なんかさ、魔王が復活したんだって。だから倒してきてくんない?どうせ暇でしょ?」
一瞬、マルセル以外の時が止まった。部屋にクッキーを頬張る音だけが響く。
「えっと……今なんて?」
「だから、カールのおっさんが倒した魔王ムアウィアが復活したの。で、なんかこのままじゃヤバくね?ってなってさ。お前ら三人ならいつも暇そうだし倒せるだけの実力もあるかなって」
これを聞いてフーリは立ち上がった。
「は?なんでそんな面倒なこと僕らがしなきゃなんだよ!お前が行けばいいだろ最強勇者のリーダーよぉ」
「おおおやめろやめろ、俺は仕事あるから無理なの!ってか首を絞めるな。まて、リアルに苦しいからやめよ?脳に血液行かなくなっちゃうよ?」
クライブは唖然としていて、半開きになった口から紅茶がポタポタ垂れており、それをマルセルがせわしなく拭いている。
「なぁマルセル。クライブのやつ心ここに在らずみたいだからビンタして生き返らせてやって」
「うん!わかった。いくぞ、ファイヤー……」
「え?ファイヤー?」
この掛け声の後、マルセルの右手は炎に包まれ、普通に痛そうな勢いでビンタした。
「はっ!す、すまん。ぼうっとしてしまった」
火炎アレルギーのクライブにはよく効いたようだ。
「よし、フーリ、マルセル。こうなったら早く行くぞ。魔王を野放しにしてたまるか」
「じゃあ明日出発?」
「本当は今すぐにでも行きたいところだが……突然呼ばれたせいで準備も出来てないからな。明日の朝には出発だ。それまでに各々準備しとけよ」
「おお、流石クライブやる気だな」
クライブは早速魔王の位置をリーダーの秘書、通称秘書さんから聞き出している。
「うん。この距離ならこれくらいで足りるな……。おい二人とも、なにか持っていきたいものはあるか?大体は俺の家に揃ってるけど、無いなら買ってくるぞ」
「流石名門勇者の家だな」
「えーと、じゃあお菓子!チョコとか、クッキーとか」
「じゃあ僕はお弁当持って行くか。材料は家にあるからいいや。でもベーコンあったっけな……無いかもだから一応買ってきてくれる?」
「俺はビールで!」
「あのなぁお前ら……遠足じゃないだからな。ってかリーダーは関係ねぇだろ。とにかく、俺はもう帰って準備する」
そう言うと、クライブは直ぐに部屋を出ていった。
「しょうがない、僕らも帰るか」
「うん!あ、待って」
マルセルは懐からビニール袋を取り出してテーブルにあるお菓子を流し込んだ。金持ちなのに卑しいやつだ。
「それじゃあ僕らも帰るよ。リーダーも何かは知らないけど仕事頑張れよ」
「おう!頑張って全国ラーメンスタンプラリー制覇してやるぜ!」
「ふーん。帰ってきたら殺す」
その後、フーリは特に家に帰っても何もしなかった。ちなみに、マルセルは妹のマルセラと盗んだお菓子を食べて夜更かしした。
「よぉ!久しぶりだなお前ら。まぁ座れよ」
フーリは高そうな皮のソファーに深く腰掛ける。マルセルは完全に寝転がり、唯一姿勢よく座っているのはクライブだけだ。
「それで、仕事っていったいなんなの?」
テーブルの上にあるクッキーを鷲掴みにするマルセルを横目にクライブが言う。
「なんかさ、魔王が復活したんだって。だから倒してきてくんない?どうせ暇でしょ?」
一瞬、マルセル以外の時が止まった。部屋にクッキーを頬張る音だけが響く。
「えっと……今なんて?」
「だから、カールのおっさんが倒した魔王ムアウィアが復活したの。で、なんかこのままじゃヤバくね?ってなってさ。お前ら三人ならいつも暇そうだし倒せるだけの実力もあるかなって」
これを聞いてフーリは立ち上がった。
「は?なんでそんな面倒なこと僕らがしなきゃなんだよ!お前が行けばいいだろ最強勇者のリーダーよぉ」
「おおおやめろやめろ、俺は仕事あるから無理なの!ってか首を絞めるな。まて、リアルに苦しいからやめよ?脳に血液行かなくなっちゃうよ?」
クライブは唖然としていて、半開きになった口から紅茶がポタポタ垂れており、それをマルセルがせわしなく拭いている。
「なぁマルセル。クライブのやつ心ここに在らずみたいだからビンタして生き返らせてやって」
「うん!わかった。いくぞ、ファイヤー……」
「え?ファイヤー?」
この掛け声の後、マルセルの右手は炎に包まれ、普通に痛そうな勢いでビンタした。
「はっ!す、すまん。ぼうっとしてしまった」
火炎アレルギーのクライブにはよく効いたようだ。
「よし、フーリ、マルセル。こうなったら早く行くぞ。魔王を野放しにしてたまるか」
「じゃあ明日出発?」
「本当は今すぐにでも行きたいところだが……突然呼ばれたせいで準備も出来てないからな。明日の朝には出発だ。それまでに各々準備しとけよ」
「おお、流石クライブやる気だな」
クライブは早速魔王の位置をリーダーの秘書、通称秘書さんから聞き出している。
「うん。この距離ならこれくらいで足りるな……。おい二人とも、なにか持っていきたいものはあるか?大体は俺の家に揃ってるけど、無いなら買ってくるぞ」
「流石名門勇者の家だな」
「えーと、じゃあお菓子!チョコとか、クッキーとか」
「じゃあ僕はお弁当持って行くか。材料は家にあるからいいや。でもベーコンあったっけな……無いかもだから一応買ってきてくれる?」
「俺はビールで!」
「あのなぁお前ら……遠足じゃないだからな。ってかリーダーは関係ねぇだろ。とにかく、俺はもう帰って準備する」
そう言うと、クライブは直ぐに部屋を出ていった。
「しょうがない、僕らも帰るか」
「うん!あ、待って」
マルセルは懐からビニール袋を取り出してテーブルにあるお菓子を流し込んだ。金持ちなのに卑しいやつだ。
「それじゃあ僕らも帰るよ。リーダーも何かは知らないけど仕事頑張れよ」
「おう!頑張って全国ラーメンスタンプラリー制覇してやるぜ!」
「ふーん。帰ってきたら殺す」
その後、フーリは特に家に帰っても何もしなかった。ちなみに、マルセルは妹のマルセラと盗んだお菓子を食べて夜更かしした。
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