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魔王討伐編
その3 交通手段
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ここは魔王城。最上階には椅子に座る魔王と、彼を復活させた魔術師二人がいる。
「魔王様、これを見てください」
魔術師がパネルを出す。そこには、魔王討伐について話している勇者たちの姿があった。
「彼らが、貴方様を倒しに来るそうです」
「私の手に入れた情報によると、この銀髪の少年はあのカールの子孫だとか」
それを聞くと、魔王ムアウィアはゆっくりと顔を上げた。
「勇者か、嫌な響きだ」
「大丈夫です。私達があの者達を始末して参ります」
「ふふふ……奴らはきっとに恐怖に震えているはずであります」
朝。デープ国南門前が集合場所だ。早朝ということもあり非常に静まり返っている。
「うぃーす。おはよ、クライブ……」
「おはよう。あれ?どうしたフーリ。気分が悪いのか?まさか、今更魔王討伐に怖気付いて眠れなかったとかか?」
「いや、勇者団出てからゲーセン行って、家帰ってからずっと音ゲーしてた」
「え、まさかオールした?」
「うん。因みに朝飯も抜いた」
「ヤベェなお前」
「でも安心して。ちゃんとエナドリ飲んだから」
「お前な、ここから魔王城までどんだけあると思ってんだ?一週間はかかるぞ」
「歩きで行った場合でしょ?」
「歩き以外何で行くんだよ。そんな事よりマルセルは?まだ来ないのか?」
「そろそろ来るはず……あ、来た」
フーリが指さす方には七人乗りの普通乗用車がこちらに向かってきていた。運転席に座っているのは……マルセルだ。
「おはよー。さあ乗って!」
「乗って!じゃねえよ。この車どこから持ってきたんだよ」
「パパが車貰ったから僕にくれたんだ」
「流石商人……規模が違ぇ」
「この車ね、凄いの!魔王城まで日帰りで行けるよ!」
「一気に壮大さが失われたな」
クライブは文句を言いながらも後部座席に乗り、フーリは助手席に乗った。
「まさか車で魔王城までとは……風情があったもんじゃない」
「クライブも文句ばっかり言ってないでよ。とりあえずナビ設定しとこ」
「すげ、魔王城がショッピングモールで登録されてんだけど」
「おー、ここからあと五時間で着くよ。魔王倒すのに五分かかるとして、全然日帰り圏内だ!」
こうして、魔王城への日帰り旅行が始まったのである。
「魔王様、これを見てください」
魔術師がパネルを出す。そこには、魔王討伐について話している勇者たちの姿があった。
「彼らが、貴方様を倒しに来るそうです」
「私の手に入れた情報によると、この銀髪の少年はあのカールの子孫だとか」
それを聞くと、魔王ムアウィアはゆっくりと顔を上げた。
「勇者か、嫌な響きだ」
「大丈夫です。私達があの者達を始末して参ります」
「ふふふ……奴らはきっとに恐怖に震えているはずであります」
朝。デープ国南門前が集合場所だ。早朝ということもあり非常に静まり返っている。
「うぃーす。おはよ、クライブ……」
「おはよう。あれ?どうしたフーリ。気分が悪いのか?まさか、今更魔王討伐に怖気付いて眠れなかったとかか?」
「いや、勇者団出てからゲーセン行って、家帰ってからずっと音ゲーしてた」
「え、まさかオールした?」
「うん。因みに朝飯も抜いた」
「ヤベェなお前」
「でも安心して。ちゃんとエナドリ飲んだから」
「お前な、ここから魔王城までどんだけあると思ってんだ?一週間はかかるぞ」
「歩きで行った場合でしょ?」
「歩き以外何で行くんだよ。そんな事よりマルセルは?まだ来ないのか?」
「そろそろ来るはず……あ、来た」
フーリが指さす方には七人乗りの普通乗用車がこちらに向かってきていた。運転席に座っているのは……マルセルだ。
「おはよー。さあ乗って!」
「乗って!じゃねえよ。この車どこから持ってきたんだよ」
「パパが車貰ったから僕にくれたんだ」
「流石商人……規模が違ぇ」
「この車ね、凄いの!魔王城まで日帰りで行けるよ!」
「一気に壮大さが失われたな」
クライブは文句を言いながらも後部座席に乗り、フーリは助手席に乗った。
「まさか車で魔王城までとは……風情があったもんじゃない」
「クライブも文句ばっかり言ってないでよ。とりあえずナビ設定しとこ」
「すげ、魔王城がショッピングモールで登録されてんだけど」
「おー、ここからあと五時間で着くよ。魔王倒すのに五分かかるとして、全然日帰り圏内だ!」
こうして、魔王城への日帰り旅行が始まったのである。
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