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日常編(単発)
勇者っぽい仕事【前編】
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ある日の昼、だいたい十三時頃。フーリはいつもの様にベッドに入ってケータイをいじっているとクライブから連絡が来た。
『緊急の用事があるから今すぐ勇者団本部に集合しろだと』
「え~めんど。魔王倒しったばっかりだってのに……」
あまりの面倒臭さに思わず言葉が出る。重い腰を上げて、パジャマからいつも通りの赤いインナーに青いジャケットに着替えた。そして、昨日ちくわに入れて遊んでいた神の武器を持ち、家を出た。
今日は夏なのに非常に心地よい気候で、ルンルン気分でスキップしながら勇者団に向かう。途中、クライブから第二食堂で待ち合わせと追加連絡が来た。だが、フーリは場所をよく覚えてない。
「ま、僕くなら大丈夫だよね~」
~三十分後~
第二食堂に入ると、紺色の半袖ワイシャツに濃い灰色のズボンを履いたクライブが肘をついて待っていた。
「ごめ~ん。待った?」
「待ったわ!クソ待ったわ!なんで待ち合わせに遅れたカップルの片割れみたいに来るんだよ。全く……何してたんだ?」
「いや~着いたは良かったけど、ここの場所わかんなくてさ。適当に探してついに見つけたってわけ」
フーリは胸を張って誇らしげに言った。
「なんでそんな堂々と言えんだよ。まぁここ構造が複雑だからな。お前の気持ちがわからないわけじゃない。ってことはマルセルも同じ理由かな」
「マルセルまだ来てないんか。ま、準備とか色々あるんだろ。女の子だし」
「は?あいつは男だろ」
「え?」
「え?」
微妙な空気のまましばらく待つと、マルセルが入ってきた。格好はいつもの通り黒くぶかぶかなローブに赤いインナーを着ている。
「マルセル遅かったな。何かあったのか?」
「いや?ヘリで行くか車で行くか迷ってたら時間経っちゃった」
「交通手段で迷うな」
「お、皆さんお揃いで」
マルセル到着からやや遅れて、勇者団のトップであるリーダーの秘書、通称秘書さんが入ってきた。普段からリーダーにいいように使われているので寝癖は立ったままだが、グレーのスーツはピシッと決まってるから偉いよね。
「では、リーダーから手紙を預かってきたのでここで読ませていただきます」
秘書さんが懐から紙を取り出してそれを読み始める。
「ええと……『仕事に次ぐ仕事で悪いが、なんか南の方の魔物が暴徒化して北上してきたから全討伐頼んだぴょーん』……だそうです」
『頼んだぴょーん……。』リーダーらしい手紙だぴょん。
「だそうですじゃねえよ!また討伐系の仕事かよ。封筒貼りとかの方が良かったわ!」
「いやそういう問題じゃないだろ。秘書さん、南方から魔物の群れが?」
「はい、大小様々な」
「ほかの勇者は?なんでよりによって俺らだけなんだ」
「今、他の勇者達はリーダー主催の海水浴大会に出かけてまして、即戦力が皆さんしか居ないのです」
「えーいいなー行きたかった」
「僕泳げないから行きたくないよ」
「マルセルは砂に頭でも埋めてろ」
「いいんだよ行かねぇんだからその話は」
クライブに激を飛ばされ、余計な話をしないよう二人とも口を凍らされる。
「一応補給品としてお茶が五リットルほど置いてあります。あとお弁当も。のり弁、肉弁、唐揚げ弁当……まぁいっぱいあるのでお好きなものを」
「んー!ふすー!ふんふー!」
「むー!」
「うるせぇ!このくだり何回目だ!」
クライブに再度怒られ二人とも完全に萎縮した。
「じゃあとりあえず地図をクライブさんの端末にお送りしましたので、討伐の方よろしくお願いします」
「ま、突然のお願いだけどここはカール様の末裔として一肌脱ぎますよ」
クライブが腕を組みカッコつけながら言う。
「ちなみにですが、いつものお仕事よりお給料の方は弾むそうなので……楽しみにしておいて下さい」
「え!マジ?金?金?金!」
フーリが凄い勢いで口の周りに張り付いていた氷を剥がして言った。口の周りが赤く晴れているが、それをマルセルが回復魔法ですかさず治した。
「それじゃあ金貰えるみたいだし早く行こうぜ!」
「うん!屋上にヘリ停めてあるからそれで行こう」
「結局ヘリで来てたんだ」
フーリとマルセルがバタバタと食堂を出ていく。クライブもゆっくり歩いて後を追った。すると、
「あ、そうだクライブさん」
秘書さんに呼び止められる。
「言い忘れてましたが実はもう一人、討伐に加わりたいという方がおりまして。後々合流すると思われます」
「助っ人ですか。分かりました」
「では、行ってらっしゃいませ」
『緊急の用事があるから今すぐ勇者団本部に集合しろだと』
「え~めんど。魔王倒しったばっかりだってのに……」
あまりの面倒臭さに思わず言葉が出る。重い腰を上げて、パジャマからいつも通りの赤いインナーに青いジャケットに着替えた。そして、昨日ちくわに入れて遊んでいた神の武器を持ち、家を出た。
今日は夏なのに非常に心地よい気候で、ルンルン気分でスキップしながら勇者団に向かう。途中、クライブから第二食堂で待ち合わせと追加連絡が来た。だが、フーリは場所をよく覚えてない。
「ま、僕くなら大丈夫だよね~」
~三十分後~
第二食堂に入ると、紺色の半袖ワイシャツに濃い灰色のズボンを履いたクライブが肘をついて待っていた。
「ごめ~ん。待った?」
「待ったわ!クソ待ったわ!なんで待ち合わせに遅れたカップルの片割れみたいに来るんだよ。全く……何してたんだ?」
「いや~着いたは良かったけど、ここの場所わかんなくてさ。適当に探してついに見つけたってわけ」
フーリは胸を張って誇らしげに言った。
「なんでそんな堂々と言えんだよ。まぁここ構造が複雑だからな。お前の気持ちがわからないわけじゃない。ってことはマルセルも同じ理由かな」
「マルセルまだ来てないんか。ま、準備とか色々あるんだろ。女の子だし」
「は?あいつは男だろ」
「え?」
「え?」
微妙な空気のまましばらく待つと、マルセルが入ってきた。格好はいつもの通り黒くぶかぶかなローブに赤いインナーを着ている。
「マルセル遅かったな。何かあったのか?」
「いや?ヘリで行くか車で行くか迷ってたら時間経っちゃった」
「交通手段で迷うな」
「お、皆さんお揃いで」
マルセル到着からやや遅れて、勇者団のトップであるリーダーの秘書、通称秘書さんが入ってきた。普段からリーダーにいいように使われているので寝癖は立ったままだが、グレーのスーツはピシッと決まってるから偉いよね。
「では、リーダーから手紙を預かってきたのでここで読ませていただきます」
秘書さんが懐から紙を取り出してそれを読み始める。
「ええと……『仕事に次ぐ仕事で悪いが、なんか南の方の魔物が暴徒化して北上してきたから全討伐頼んだぴょーん』……だそうです」
『頼んだぴょーん……。』リーダーらしい手紙だぴょん。
「だそうですじゃねえよ!また討伐系の仕事かよ。封筒貼りとかの方が良かったわ!」
「いやそういう問題じゃないだろ。秘書さん、南方から魔物の群れが?」
「はい、大小様々な」
「ほかの勇者は?なんでよりによって俺らだけなんだ」
「今、他の勇者達はリーダー主催の海水浴大会に出かけてまして、即戦力が皆さんしか居ないのです」
「えーいいなー行きたかった」
「僕泳げないから行きたくないよ」
「マルセルは砂に頭でも埋めてろ」
「いいんだよ行かねぇんだからその話は」
クライブに激を飛ばされ、余計な話をしないよう二人とも口を凍らされる。
「一応補給品としてお茶が五リットルほど置いてあります。あとお弁当も。のり弁、肉弁、唐揚げ弁当……まぁいっぱいあるのでお好きなものを」
「んー!ふすー!ふんふー!」
「むー!」
「うるせぇ!このくだり何回目だ!」
クライブに再度怒られ二人とも完全に萎縮した。
「じゃあとりあえず地図をクライブさんの端末にお送りしましたので、討伐の方よろしくお願いします」
「ま、突然のお願いだけどここはカール様の末裔として一肌脱ぎますよ」
クライブが腕を組みカッコつけながら言う。
「ちなみにですが、いつものお仕事よりお給料の方は弾むそうなので……楽しみにしておいて下さい」
「え!マジ?金?金?金!」
フーリが凄い勢いで口の周りに張り付いていた氷を剥がして言った。口の周りが赤く晴れているが、それをマルセルが回復魔法ですかさず治した。
「それじゃあ金貰えるみたいだし早く行こうぜ!」
「うん!屋上にヘリ停めてあるからそれで行こう」
「結局ヘリで来てたんだ」
フーリとマルセルがバタバタと食堂を出ていく。クライブもゆっくり歩いて後を追った。すると、
「あ、そうだクライブさん」
秘書さんに呼び止められる。
「言い忘れてましたが実はもう一人、討伐に加わりたいという方がおりまして。後々合流すると思われます」
「助っ人ですか。分かりました」
「では、行ってらっしゃいませ」
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