勇者ライフ!

わかばひいらぎ

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日常編(単発)

常夏のビーチリゾート

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 ある日、勇者団本部で帰り支度をしている時にマルセルが話を切り出した。
「ねぇ二人とも。今度の日曜日空いてない?」 
「日曜か。すまない、その日は勇者合同の食事会が……」
「フーリは?」
「日曜日は僕も用事があるんだよね」
「僕と遊ぶよりも重要な用事?」
「随分と答えにくい聞き方だな。……ん?」
 マルセルの質問に応えようとした時、電話がかかってきた。
「もしもーしレヴェル、何?もうあいつ来てるのか。分かった、すぐ行く」
「レヴェルさんからか?」
「うん。ちょっとお客さんが来ちゃったみたいだから帰るね」
「ちょっとフーリ!まだ話は終わってないよー!」
 しかし、フーリはその声を無視して足早にその場を去った。
「あんなに急いで、よっぽど重要な用事なんだろうな。ところでマルセル。
日曜日何するつもりなんだ?」
「マルセラが海に行きたいって言うから行くことになって、だったら二人を誘おうかな~って」
「そういう事か。すまないな行けなくて」
「いいよいいよ。でも……フーリも用事で行けないのに悪い事言っちゃったかな?」
「あいつも断り方雑だったし、どっちもどっちって事でいいだろ」
「そうだね。それじゃあ帰ろっか」

~日曜日~
「わー海だ!お兄ちゃん見てー!」
「すごーい!こんなに大量の水久しぶりに見たよ」
「間違って全部蒸発させないでよ?」
「マルセラこそ泳ぐときに悪魔召喚しちゃダメだよ」
 二人は水着に着替えながら話す。二人共上に一枚羽織っている為海水浴感はあまり無い。
 ここはデープ国北部のビーチリゾート。ほとんどのデープの海は汚染されてしまっているのだが、ここは海水浴場として開発されているため海が透き通るように綺麗なのだ。
 砂浜にシートを敷きパラソルを出すと、早速遊びに入る。
「お兄ちゃん、どっちが立派な砂のお城を建てられるか勝負しよう」
「建築魔法使っちゃダメ?」
「ダメ。私も悪魔に手伝ってもらわないから。お互いフェアにいくよ」
 兄妹で仲良く砂の城を建てていく。結果は砂を盛っただけのマルセルに対してゴシック様式の城を建てたマルセラの圧勝だった。
「……いくらなんでもお粗末すぎない?」
「ロマネスク様式で作れば勝てたかな?」
「多分そう言う問題じゃないと思うよ」
 妹に負けて少し不貞腐れているマルセルだが、そんな彼らから少し離れたところから会話が聞こえてきた。
「どんな城がいいかな。やっぱりバロック様式?」
「それよりもロココ様式の方がいい!」
「は?ヒナタはロココと言うよりもモダンだろ」
「それ褒めてるの?」
 どうやら隣にいるカップルも同じような会話をしているらしい。
「まさかこんな話の内容が被るなんてね」
「うん。世界って不思議だね」
「……どんな顔なのかな。お兄ちゃん見てきて」
「え!?なんで僕なの?マルセラが行けばいいじゃん」
「嫌だよ。私みたいな女の子一人で行ったら拉致されるかもでしょ」
「偏見だな~。悪魔召喚して行けばいいのに」
「そしたら怖がられるでしょ」
 強引にも丸め込まれたマルセルは渋々声のする方に向かった。ちなみに変装魔法で顔を変えてある。ちょうどそのカップルは波の辺りにいた。しかし、二人とも海のほうをむいているため顔が見えない。
「なぁヒナタ。潮干狩りでもするか?」「ここそういう場所じゃないからね。でも貝探そ貝。先に見つけた方が勝ち!」
「いいだろう……あ!見ろこれ、でけぇ貝だ。ヤドカリでも居ないかな~」
 そう言って男性の方がこちらの方向に振り向いた。これで顔が見えるとマルセルは喜ぶがそれも束の間、その顔は彼がよく知っている人の顔だった。
「……フーリ?」
 そう、マルセルが愛してやまないフーリだ。よく思い返してみれば、彼はヒナタという幼馴染と付き合っていた。つまり、横にいるヒナタと呼ばれるこの女性は……。そんなことを考えている内に、二人は海の家へと向かっていた。その姿を眺めながらマルセルは呆然としている。
「おーいお兄ちゃん。どうしたの?」
 マルセラがストローでサイダーを飲みながらやってきた。
「ねぇマルセラ。あの女を内部から爆破しちゃダメかな?」
「え?お兄ちゃんどうしたの?ダメに決まってるでしょ」
「あはは……あはは……あははははは……」
 こうして、人形と化したマルセルをマルセラが悪魔に助けてもらい家に連れて帰った。
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