勇者ライフ!

わかばひいらぎ

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日常編(単発)

劇的結婚式

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 ある日、マルセルは友人の結婚式に出席していた。そしてなぜかフーリとクライブも連れてこられていた。
「なんで俺らは関係ない人の結婚式に参列させられてるんだよ!」
「だって一人だとつまんないじゃん」
「つまるとかつまらないとかそういう問題じゃなくね?」
「ってかマルセルにも友達がいたんだな」
「心外だな~。あいつは僕の高校時代の親友なんだ」
「へぇー、ロン・ウィー〇リーみたいな顔だな」
「それって喜べばいいの?」
「あ、新郎新婦の入場だよ」
 式場が一気に暗くなり、扉の方がライトアップされた。それと同時に曲が流れ扉が開かれる。
『1日1歩♪僕的には30歩♪だけど公式的には1歩下がる♪』
「曲のセンスどうなってんだよ」
「最終的に1歩下がってんだよな」
 入場曲はアレだが、新郎新婦は至って普通の、話的には面白くない格好だ。
「別に面白い必要は無いだろ」
『さァー!赤コーナーから新郎新婦が侵入新婦して来ました!』
「赤コーナーもクソもねぇだろ」
「なんだよ侵入新婦って」
「このお肉美味しいね!」
「ちょっとは見ろよ侵入新婦」
 マルセルは目の前にあるステーキに炎魔法でおこげをつけながら食べていた。
「う~ん、ねぇクライブ。結婚式のスピーチって何言えばいいの?」
「は?お前スピーチやる予定なの?」
「ってか完成してねぇのかよ」
「うん。とりあえず銀杏の話でもするか」
「せめてウォンバットの話しろよ」
「お前らな……」
 とりあえず即興で作ることになった。

 紆余曲折ありながら、ついにマルセルのスピーチの時間になった。
「あいつ大丈夫かな?」
「平気平気!僕も一緒に考えてやったんだから」
「そこも含めて心配なんだよ」
「なんかあったら氷結魔法で助けてやれよ」
「どうやって助けるんだよ」
「あいつのスピーチで場が凍りついたら、実際に凍らせてやるんだよ」
「そういうこと?まぁ任せとけ。やんねぇけど」
 しばらくして、三味線の音と共にマルセルがスピーチ台の前に立ち、カンペの紙をバッと開いた。ちなみにその拍子に中央から裂けた。
「落語家かよ」
「初めの掴みは最高だな」
「別に笑いを求めてるわけじゃないからな」
『えー……あと一席のご辛抱でございます』
「ほんとに落語みたいな始まり方だな」
『で、彼との馴れ初めですが、初めて会ったのは高校の時、僕が食パンを魔法で焼いてあげた時です』
「高校の時からそんなことしてたのかよ」
『高校の時から彼は頼もしく、僕がブレイクダンスで人の体をブレイクbreakしてしまった時も優しくしてくれました』
「こいつの青春怖」
『僕がアイスティーとオレンジジュースとガレオン船の欠片を誤って混ぜてしまった時も、優しく分離させてくれたのも彼でした』
「もうさ、俺ツッコまなくていい?」
「うん。僕も同じ気持ちだよ」
 このカオスなスピーチを聞いて会場中のみんなの感情がなくなっていく。しかし、そんな静寂を切り裂くように会場の中から叫び声が上がった。
「マルセルくんー!もう我慢できない!」
 突如スタンディングオベーションの如く立ち上がったのはフーリの従姉妹レヴェルだ。
「あれ?レヴェルなんでいんの?」
「レヴェルさん?新郎か新婦の知り合いとかじゃないの」
「出かけるなんて聞いてないけどな~。あ、僕が出がけにマルセルと結婚式行ってくるって言っちゃったからかな」
 レヴェルは目が合ったポ〇モントレーナーの如くマルセルの前に立ちはだかった。
「な、なんであなたがここに……」
「心配したのよ~?フーリが結婚式に行くって言うからマルセルくんが結婚するのかと思っちゃった。でも良かった、ちょうど式場も整ってるし、このまま私達も式をあげちゃう?」
「ぎゃー!嫌だー!」
 こうして、マルセルはビルの七階から飛び降り風魔法に乗って遠くに逃げてしまった。これで、記憶に残る結婚式ができたね☆
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