勇者ライフ!

わかばひいらぎ

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日常編(単発)

体調不良

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 ある日、フーリはマスク姿のマルセルに会った。
「どうしたのマルセル。風邪?」
「ううん。ちょっと咳っぽいから予防の為にね。……ヴォグラァア!」
「今の咳?だとしたら多分重症だから病院行った方がいいと思うよ」
「分かった……じゃあ最近近くに出来た病院に行ってみるよ」
「なんかカフェみたいなノリだな」
 こうして、マルセルは病院に行くことにした。

 内科の病院、『ギャリィグゥエヴィキ』。名前がめっちゃ言い難いことが売りの新興病院だ。しかし、どうもこの病院は様子がおかしく、受付にすら誰も人がいないのだ。殺風景な待合室に穴が空いており、そこに保険証的なのを入れるらしい。
「テレビも無いし……暇だなぁ」
 とりあえず糸無しあやとりでもしながら待っていると、明らかに裏声で名前を呼ばれた。診察室に入ると、そこは椅子が一脚置いてあるのみで、他は黒い幕で仕切られているのみだ。
「えっと……先生は?」
「とりあえず、そこにおかけ下さい」
 声の主である先生は幕の裏にいるらしいが、その声はボイスチェンジャー的なのを使って低くしているようだ。
「え、犯人?」
「犯人ではありません。医師です」
「医者ってあんまり自分のこと医師って言わないけどね」
「私は黄泉の世界からやって来た輝き纏う暗殺者だ」
「情報量が多いよー」
「どこが悪いんですか?」
「フーリ達にはよく頭が悪いって言われるよ」
「そういう事じゃ無くてですね……」
「あ、咳咳!咳がてるの!」
「咳ですか。でしたら、風邪の疑いもありますが、インフルも考慮して魔法検診してみますね」
「へー。今どき魔法検診なんて珍しいね」
「昔ながらの検診を心がけてますからね」
「エッチだね」
「え?」
 マルセルの変な言い回しにタジタジになりながら、医師は検診を始めた。
「ふーん。お医者さんの魔法結構上品だね」
「分かるっすか?」
「うん。大分洗練されてるね。あ、大分おおいたじゃなくて大分だいぶね」
「そんなこと分かってます」
 このクソ雑なボケを見事にかわし、検診は終わった。
「えー、出ました。あなたの病名は……」
「ゴクン……(あ、病気の前提なんだ)」
「……ご安心っす!ただの風邪です」
「は?」
「え?ですからただの風邪で……」
「そんなのじゃ面白くねぇじゃねぇか!もっと変な病気だったらオチもついたのによぉ!」
「そ、そんな!キャラ変したらまずいっすよ!」
「しゃらくせぇ!さっさと姿を表しやがれ!」
 そうマルセルが言いながら風魔法で幕を吹き飛ばすと、その奥には浅黒い肌の青年、アインが座っていた。
「アイン?」
「……あ。失礼するっすー!」
 正体を表したアインは、その姿を見られるや否や壁を突き破って出て行ってしまった。
「あれ?やぶ医者?」
 こうして、アインは医者と偽った罪を新たに着ることになった。ちなみに、後日普通の病院に行った結果ただの風邪だった。
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