勇者ライフ!

わかばひいらぎ

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日常編(単発)

履歴

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 ある日、マルセラはルイスの住んでいる寮に遊びに来ていた。マルセラ曰く、家デートではなく本当にただの遊びらしい。ほんとかなぁ?
「お邪魔しまーす」
「入って入って!なんの不可解もないけど」
「そこはお構いじゃないの?」
「あ!廊下ローションまみれだから気をつけてね?」
「なんでそんな状況なの!」
「昨日フー兄さんが押しかけてきて、ヌメヌメにされたんだ」
 ちなみに、フーリは福袋の中に入っていた要らないローションをここで消化していただけらしい。じゃあ要るローションってなんだよ。
「そうなんだ……。どうしよ、私さすがに足ヌメヌメは嫌だよ?」
「悪魔におんぶしてもらえば?」
「人の家で悪魔召喚はちょっと……」
 どうやら一般人にはなかなか理解できないこだわりがあるらしい。
 ちなみに、この後マルセラはルイスにおんぶしてもらったが、ルイスが転けたので結局お互いヌメヌメになることになった。
「ふぅー。やっと着いたね!」
「よくそんなに笑顔でいれるね……。私初めてフーリさんに殺意を覚えてるよ」
「そうなんだ。じゃあお茶入れてくるから適当に休んでて」
 なぜ自分の家を兄にめちゃくちゃにされて怒りを覚えないのか。同じく頭のおかしい兄を持つマルセラは不思議でならなかった。
 しかし、一旦その事は忘れ、彼女はルイスの部屋を見渡してみた。彼の部屋は仙人もビビるくらい質素で何も無く、レイアウトも冷蔵庫の上にテレビを置くという訳の分からないものまである。
 だがここで、マルセラはルイスのスマホが机の上に置きっぱなしなことに気づいた。パスワードは確か、『ルイスの生まれた日の一か月半前』のはずだ。番号の決め方は正直アレだと思うが、それを知っていたマルセラは他人のスマホを勝手に開いてしまった。
 ちなみに、ルイスは緑茶を入れるか紅茶を入れるかでクソ悩んでいるためこちらに気づいていない。
「ふふふ……なんかこういうの浮気を疑う重い妻みたい」
 何言ってんだこいつ?
 スマホを開いてしまった彼女は、検索エンジンの履歴を覗き見てしまった。そこにはこのように残されている。
『ローション 掃除 やり方』
『イノシシ 鼻 直径』
『小指 存在意義』
『魔物 絞め殺し方』
『公園のグワングワンするやつ 名前』
『クライブ=デュプレクス 年収』
 なんと一貫性もないクソみたいな記録だろうか。兄の友人の年収を調べる鬼畜っぷりである。
「えぇ……なにこれめっちゃカオス……。しかもなんだかんだでローションのこと気にしてたんだ」
 なぜこれを調べておいて掃除をしなかったのかは不思議だが、とにかくマルセラはルイスの履歴を見ることに成功した。それに気を良くした彼女は、『さらに表示』を押そうとする。
 すると、タイミング悪く兄のマルセルから魔法通信がかかってきた。どうやら、マルセルのスマホがフーリによって破壊されたため、魔法通信を使っているらしい。マジでこいつ人に迷惑しかかけないな。
「ルイスくんごめん!ちょっと電話だから廊下出てる!」
「あっ!うん……せっかくお茶入ったのに……ん?」
 ルイスは残念そうに緑茶と紅茶のハイブリッドを机に置くと、先程までマルセラがいた所に彼女のスマホが置きっぱなしなことに気づいた。マルセラのスマホの暗証番号は確か『ルイスが転校して来た日付』に変更されていたはずだ。なぜこれに変更したのかは不明だが、おかげで彼でも簡単にマルセラのスマホを開けることに成功した。
「悪いことしちゃったかな……でもこういうのスパイみたいでカッコイイかも!」
 何言ってんだこいつ?
 マルセラのスマホを開いてしまったルイスは、検索エンジンの履歴を覗き見てしまった。そこにはこのように残されている。
『スマホ 修理』
『兄の友人 刑事告訴』
『ワニ 生け捕り 動画』
『不倫 ドラマ おすすめ』
『タイムスリップ 対処方法』
『マフラー 編み方』
 これまたカオスな履歴だ。しかし、これだけ見てルイスは満足したので携帯を置いた。
 どこに満足する要素があるんだろうね。
 そして、タイミングよくマルセラが帰ってきた。
「全く……私のシーツにジュースこぼすなんて。なんで人のベッドの上で飲み物飲むのよ」
 明らかに不機嫌そうなマルセラは乱暴に座った。
 履歴を見て満足しているルイスはニコニコしてマルセラを見る。
「な、なに?」
「えへへ……なんでもない!」
 こうして、お互い相手に黙って履歴を覗き見した。
 ちなみに、かなり遅い時間まで二人きりだったらしいが、特に何もなかったらしい。ほんとかなぁ?
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