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久しぶりの入院生活
入院する羽目になってしまった
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なんか、今日の暁さんはご機嫌だった。
朝あんだけ寝坊したのに、怒ってないのは意外だった。
しかもその御機嫌のまま、生姜焼きまで作ってくれた。
肉の香ばしい香りと、しょうがの香りがいいハーモニーを奏でている。
だいたい料理番組のコメントには、ハーモニーが使われてると思うのは僕だけだろうか。
まあ、そんな感じに、滅茶苦茶美味しそうな生姜焼きが作られていた。
「ほら、ご飯になるから準備してね」
「分かった」
テキパキと食卓の準備をして、ご飯を並べ終えた。
暁さんの方を見ると、鼻歌歌いながら片付けをしていた。
なんでこんなに元気なのやら。
塾に好きな先生でもいるのだろうか。
元気な彼女を見ると、色々とほっとする。
「それじゃあ、食べよっか」
いつの間にか片付けを終えて、自分の席に座っている暁さんが言った。
「そうだね」
「いただきます」
生姜焼きは、ちょうどいい味加減で、完璧な風味を醸し出していた。
しょっぱ過ぎず、辛すぎず、ご飯が進む程度の味付けで、非の打ちようがなかった。
そもそも、料理がまともに出来ない人には、何も言う権利はなさそうだが。
因みに、僕は生姜焼きを2回作ったことがある。
最初は、学校の調理実習で作らされた。
何が悪かったのか、ものすごいしょっぱい味付けになり、あとが大変だった。
その日に、家で作ってみろと言われて、適当にやった時は美味しく作れた。
暁さんのとはいかないが、結構いい味付けだったとは思う。
それでも、この味付けにはかなわない。
なんて考えていると、
「そういえば、蓮」
「どうしたの?」
「朝ごはんとお昼ご飯は何食べたの?」
「朝は適当にトースト1枚だよ」
「よくこのトースト1枚で足りるね
お昼は?」
「昼は適当にチャーハンにしたよ」
「適当にやってチャーハン作れるとか
もしかして連って料理得意なの?」
「全然得意じゃないよ
ただ、今の時代は、ネットで検索すればなんでも出てくるから、それ通りにやっただけだよ」
「それでも十分だと思うけどね
それじゃあ、昼はガッツリ食べた感じ?」
「そうだね」
「そういえば明日のことってちゃんとわかってるの?」
「明日のこと?」
「明日は公立高校の前期出願でしょ
授業は無しで、願書貰ったらすぐに高校に行くんだよ」
「知らなかった」
「ちゃんとそういうのは聞いときなよ
蓮はどこ受けるの?」
「県内最高峰」
「んじゃあ、私と一緒だろうから、一緒に行こうか」
「そうだね
そもそも僕は行き方すら知らないから、着いてくしかないだろうけど」
「この家からかなり近いんだけどなぁ
まあ、私が連れてってあげるよ」
「お願いします」
「でも、蓮も元々この辺に住んでたんでしょ?」
「そうだよ」
「なのになんで知らないの?」
「なんでなんだろうね」
「部活とかに入ってなければ、練習試合とかないからかなぁ
それでも行きそうな気はするけどなぁ」
「中学生が高校にはいる時ってどんな時がある?」
「何かしらの試験を受けに行くとか、それこそ練習試合とか
あとは、うちの学校なら、先輩たちの学園祭を見に行くとか」
「どれにも当てはまるものがないんだよなぁ」
「まあ、蓮はずっと入院してたわけだしね」
「そうなんだよ
だから、学校見学とかどこにも行ってないし」
「よくそれであそこ受けようと思ったよねぇ」
「成績的に受かりそうって色んな人に言われたから」
「さすがに人の意見に流され過ぎじゃない?
もうちょっと自分の意見を持とうよ」
「仕方ないじゃん
ずっと病院にいたから何がどうなのかわかんないんだし」
「全く、世話の焼ける人だねぇ」
「すいません」
「仕方ないとは思うけどさ
今日とか暇だったんだろうし、ちょっとぐらい調べときなよ」
「ごめんごめん」
「それじゃあ、明日は一緒に行こっか」
「お願い」
「はいはい
それじゃ、今日はちゃんと寝るんだよ」
「分かってるよ」
それからは、特に何もすることがなく、久しぶりに早く布団に入れた気がする。
次の日
いつものように登校したのはいいのだが、忘れ物をしてしまった。
朝に薬を飲むのを忘れたのだ。
登校中も、なんか変な感じがしていたのだが、嫌な予感が当たってしまった。
願書を貰う時も、かなりギリギリだった。
久しぶりに薬を飲まない時の痛みを感じたが、はっきり言って辛い。
普通の人はこんな気持ちをしなくて済むというのがとにかく羨ましく思ってしまった。
いまは、暁さんと一緒に願書を提出に来ている。
それまでの道のりは、暁さんが完璧な記憶力を発揮してくれたので、すごい楽だった。
出来れば早くにでしも、順番が来てくれないだろうか
椅子に座ってじっと待っている時でも、病気は待ってくれない。
暇さえあれば僕の体を痛めつけてくるのだ。
早く帰って、薬を飲みたいと願い続けていたら、何とか自分の番まで持ちこたえられた。
「次の方どうぞ」
と、学校の先生らしき人に呼ばれた。
「これでお願いします」
といって、一式を渡したその時
久々にものすごい激痛に見舞われた
痛い
ただそれだけだった。
たっていることさえ出来なくなり、蹲った。
でも、それで痛みが収まる訳でもない。
手で押えても痛みが戻る訳でもない
降圧剤も鎮痛剤も飲んでないと、こんなにも僕の体は弱かったのだろうか。
最悪だ。
高校の先生には最悪の第一印象だろうし、暁さんもこんなことになるとは思ってなかったはずだ。
何とか携帯で救急車を呼ぼうとしたが、まともにボタンを押すことさえできない。
何か、暁さんが必死に叫んでいるような気がした。
そして、そのまま僕の意識は痛みと共に闇に吸い込まれた。
「うわっ!」
起きると、いつか見た風景が広がっていた。
1面真っ白に整えられている空間。
そこに、1人で横たわっていた。
さっきまでの痛みが引いたことは良かったのだが、これはこれで問題だろう。
なんせ、僕は今、前まで入院していた病院のベッドに寝ているのだ。
「おっはよー」
いつか聞いた懐かしい声が聞こえた。
「彼方さん?」
「良かった~
起きたんだね
お姉ちゃんに声かけとくよ」
「ありがとう」
程なくして、暁さんが入ってきた。
「元気になってよかった~
まったく、大変だったんだからね」
「ご迷惑をおかけしました」
「まあ、少し元気になったみたいだし
ちゃんと起きてられてるから安心したよ」
「2人とも仲良いね」
「そういえば、彼方と蓮って知り合いなの?」
「患者同士で、仲良くなることは滅多にないんだけど、話したことならあるよ」
「そうなんだ
それはいつの話?」
「前に僕が入院してた時の話だね
たまたま、今と同じ場所に二人でいたから、少しだけ話をしたんだよ」
「そうだったんだ
でも、患者同士で仲良くなることが少ないのはなんでなの?」
「まあ、それはこんなとこにいるからさ」
「そそ、私たちみたいな人ばっかだから、下手に話しかけにくいんだよね」
「なるほど」
「それよりも、僕が倒れたあとってどんな感じだったの?」
「色々大変だったんだよ~」
といって、あの後のことを語ってくれた。
「蓮!!」
咄嗟に私は叫んでいた。
朝からなんとなく様子がおかしかった八雲くんが、倒れたのだ。
胸の当たりを抑えたまま動かなくなっている。
「すみません!!」
と、私は一声発したあと、スマホで救急車を呼んだ。
救急車が来るまで大体五分ほど。
それまでの間は何をしたらいいのだろうか。
そもそも私は彼の病気が何なのかさえ知らないのだ。
下手なことをすれば、戻らなくなってしまう。
さっき心臓の辺りを押さえていたから、きっと心臓関係なのだろう。
じゃあ、心臓マッサージをしたらいいのだろうか。
取り敢えず脈を取ってみると、ちゃんとしていた。
じゃあ、どうしたらいいのだろう
とにかくできることは特に無さそうだった
脈もしっかりしていて、息もちゃんとしている
でも、意識は無いみたいだった。
仕方ないので、荷物を全部まとめることにした。
あと、2人分の願書の手続きを済ませておいた。
手続きも終わって、次のことを考え始めた頃に
「患者さんはどこですか?」
救急隊員が入ってきた。
「ここにいます!」
と、伝えると、そのまま運び込まれて行った。
一応保護者的な立場として、荷物を持って救急車に乗った。
けど、救急車に乗ったからと言って、安心出来るわけではなさそうだった。
というのも、なんの病気なのかがなかなか分からなかったらしい。
やっぱり、心臓を押えて倒れ込んだと伝えても、何が原因なのか分からないらしい。
救急隊員も、仕方なしという感じで色んな検査をしていた。
どうなるか分からない
このまま帰ってこなくなるのではいか
と、心配していると、病院に着いたらしい。
そのまま、八雲くんは救急治療室に運び込まれて行った。
すると、ちょっと変わった格好の先生が、
「彼の名前は八雲 蓮で合ってますか」
と、落ち着いて聞いてきた
「合ってます」
と答えると、何やら手際よく治療をし始めた。
そして、色々と注射を済ませると、すぐに救急治療室から運び出された。
もしかしたら
「申し遅れました
八雲くんの担当医の者です」
なるほど
だから、テキパキと作業が進んだわけだ。
私も名乗るべきかな
そしたら、私は八雲くんの何に当たるんだろう
「君が八雲くんのお世話してくれてる人かな?」
「はい、そうです」
「まあ、こんな感じだけど、八雲くんをよろしくね」
「は、はあ」
「それじゃあ、君は八雲くんの病室に行ってきたらどうかな」
「ありがとうございました」
「はは
私と八雲君の仲だからいいよ
それじゃ、連れて行ってあげなさい」
そして、看護師たちに導かれてこの部屋にやってきた。
ということらしい。
「なんかごめんね」
「まあ、いいけど
それより、今日は薬飲み忘れたの?」
「忘れちゃったんだよ
だから、こんな大惨事になったって訳
願書はどうなった?」
「全部手続きしといたからここにあるよ」
「僕って退院出来んのかな?」
「2日3日寝たら退院してもいいってよ」
「良かった~」
「だから、退院するまでは、毎日お見舞いに来るから」
「ありがとう」
「ほんっとお姉ちゃんと八雲くんって仲良いよねぇ
もしかして、恋仲?」
「違う違う」
「じゃあなんなの?
居候させてるとは聞いてたけどさ」
「居候かな」
「居候だね」
「つまんないなぁ
こんなにも仲良いのに
でも、これから毎日お姉ちゃんに会えるんだね」
「そうなるね」
「そういえば、お見舞いってこれまでも来てたの?」
「お姉ちゃんほとんど来なかったんだよ
忙しいからって言ってさ」
「ほんとに忙しかったからね
半年に1回とかだったかな」
「そうだったんだ
まあ、確かに光がお見舞いに来てるところは見た事ないなぁ」
「ま、これから毎日見られるようになるから
それじゃあ、私はそろそろ帰るね」
「また明日~」
暁さんは帰っていった。
「いや~、君も無理するんだねぇ」
「なんのこと?」
「だって、この病院抜け出したんでしょ?
しかも、戻ってこなかったってことは、バレなかったんでしょ?」
「あの時は大変だったね
色々とタイミングを見て、無理に抜け出したよ
しかも、何故か学校の先生とかも、怪しまなかったんだよね」
「まあ、それでお姉ちゃんに会えたんだね
お姉ちゃんと仲良くなれて良かったね」
「まあ、何とか仲良くなれてよかったよ
このまま行けば、君と僕の夢も叶うと思うよ」
「あれって、君の夢にもなったの?」
「僕にはなんの夢も希望もなかったからね
自分の目標になったんだよ」
「それなら良かった
あの時は、無理なお願いだと思ったのに、叶えようとしてくれるんだから
今の話を聞いてると、君らしいなぁって感じ」
「そうかな?」
「うん
だって、君はなにかやろうと思ったら、何捨てでてもやり遂げるからね
まあ、だから頼んだよ」
「頼まれました」
「それじゃあ、今日は休むね」
「またね」
と言って、彼方は寝てしまった。
彼女だって、末期癌を患っているのだ。
あの元気さに飲まれて、忘れてしまいそうになるが、彼女も病人なんだ。
現実は不平等だなぁ
あんな小さい子供(僕もか)が、重病人として入院しているのに、80を超えた老人はピンピンしているのだ。
久しぶりに見た病室の雰囲気は、なかなか懐かしいものだった。
このアルコールの匂い
この夕焼けは死ぬまで忘れはしないだろう
朝あんだけ寝坊したのに、怒ってないのは意外だった。
しかもその御機嫌のまま、生姜焼きまで作ってくれた。
肉の香ばしい香りと、しょうがの香りがいいハーモニーを奏でている。
だいたい料理番組のコメントには、ハーモニーが使われてると思うのは僕だけだろうか。
まあ、そんな感じに、滅茶苦茶美味しそうな生姜焼きが作られていた。
「ほら、ご飯になるから準備してね」
「分かった」
テキパキと食卓の準備をして、ご飯を並べ終えた。
暁さんの方を見ると、鼻歌歌いながら片付けをしていた。
なんでこんなに元気なのやら。
塾に好きな先生でもいるのだろうか。
元気な彼女を見ると、色々とほっとする。
「それじゃあ、食べよっか」
いつの間にか片付けを終えて、自分の席に座っている暁さんが言った。
「そうだね」
「いただきます」
生姜焼きは、ちょうどいい味加減で、完璧な風味を醸し出していた。
しょっぱ過ぎず、辛すぎず、ご飯が進む程度の味付けで、非の打ちようがなかった。
そもそも、料理がまともに出来ない人には、何も言う権利はなさそうだが。
因みに、僕は生姜焼きを2回作ったことがある。
最初は、学校の調理実習で作らされた。
何が悪かったのか、ものすごいしょっぱい味付けになり、あとが大変だった。
その日に、家で作ってみろと言われて、適当にやった時は美味しく作れた。
暁さんのとはいかないが、結構いい味付けだったとは思う。
それでも、この味付けにはかなわない。
なんて考えていると、
「そういえば、蓮」
「どうしたの?」
「朝ごはんとお昼ご飯は何食べたの?」
「朝は適当にトースト1枚だよ」
「よくこのトースト1枚で足りるね
お昼は?」
「昼は適当にチャーハンにしたよ」
「適当にやってチャーハン作れるとか
もしかして連って料理得意なの?」
「全然得意じゃないよ
ただ、今の時代は、ネットで検索すればなんでも出てくるから、それ通りにやっただけだよ」
「それでも十分だと思うけどね
それじゃあ、昼はガッツリ食べた感じ?」
「そうだね」
「そういえば明日のことってちゃんとわかってるの?」
「明日のこと?」
「明日は公立高校の前期出願でしょ
授業は無しで、願書貰ったらすぐに高校に行くんだよ」
「知らなかった」
「ちゃんとそういうのは聞いときなよ
蓮はどこ受けるの?」
「県内最高峰」
「んじゃあ、私と一緒だろうから、一緒に行こうか」
「そうだね
そもそも僕は行き方すら知らないから、着いてくしかないだろうけど」
「この家からかなり近いんだけどなぁ
まあ、私が連れてってあげるよ」
「お願いします」
「でも、蓮も元々この辺に住んでたんでしょ?」
「そうだよ」
「なのになんで知らないの?」
「なんでなんだろうね」
「部活とかに入ってなければ、練習試合とかないからかなぁ
それでも行きそうな気はするけどなぁ」
「中学生が高校にはいる時ってどんな時がある?」
「何かしらの試験を受けに行くとか、それこそ練習試合とか
あとは、うちの学校なら、先輩たちの学園祭を見に行くとか」
「どれにも当てはまるものがないんだよなぁ」
「まあ、蓮はずっと入院してたわけだしね」
「そうなんだよ
だから、学校見学とかどこにも行ってないし」
「よくそれであそこ受けようと思ったよねぇ」
「成績的に受かりそうって色んな人に言われたから」
「さすがに人の意見に流され過ぎじゃない?
もうちょっと自分の意見を持とうよ」
「仕方ないじゃん
ずっと病院にいたから何がどうなのかわかんないんだし」
「全く、世話の焼ける人だねぇ」
「すいません」
「仕方ないとは思うけどさ
今日とか暇だったんだろうし、ちょっとぐらい調べときなよ」
「ごめんごめん」
「それじゃあ、明日は一緒に行こっか」
「お願い」
「はいはい
それじゃ、今日はちゃんと寝るんだよ」
「分かってるよ」
それからは、特に何もすることがなく、久しぶりに早く布団に入れた気がする。
次の日
いつものように登校したのはいいのだが、忘れ物をしてしまった。
朝に薬を飲むのを忘れたのだ。
登校中も、なんか変な感じがしていたのだが、嫌な予感が当たってしまった。
願書を貰う時も、かなりギリギリだった。
久しぶりに薬を飲まない時の痛みを感じたが、はっきり言って辛い。
普通の人はこんな気持ちをしなくて済むというのがとにかく羨ましく思ってしまった。
いまは、暁さんと一緒に願書を提出に来ている。
それまでの道のりは、暁さんが完璧な記憶力を発揮してくれたので、すごい楽だった。
出来れば早くにでしも、順番が来てくれないだろうか
椅子に座ってじっと待っている時でも、病気は待ってくれない。
暇さえあれば僕の体を痛めつけてくるのだ。
早く帰って、薬を飲みたいと願い続けていたら、何とか自分の番まで持ちこたえられた。
「次の方どうぞ」
と、学校の先生らしき人に呼ばれた。
「これでお願いします」
といって、一式を渡したその時
久々にものすごい激痛に見舞われた
痛い
ただそれだけだった。
たっていることさえ出来なくなり、蹲った。
でも、それで痛みが収まる訳でもない。
手で押えても痛みが戻る訳でもない
降圧剤も鎮痛剤も飲んでないと、こんなにも僕の体は弱かったのだろうか。
最悪だ。
高校の先生には最悪の第一印象だろうし、暁さんもこんなことになるとは思ってなかったはずだ。
何とか携帯で救急車を呼ぼうとしたが、まともにボタンを押すことさえできない。
何か、暁さんが必死に叫んでいるような気がした。
そして、そのまま僕の意識は痛みと共に闇に吸い込まれた。
「うわっ!」
起きると、いつか見た風景が広がっていた。
1面真っ白に整えられている空間。
そこに、1人で横たわっていた。
さっきまでの痛みが引いたことは良かったのだが、これはこれで問題だろう。
なんせ、僕は今、前まで入院していた病院のベッドに寝ているのだ。
「おっはよー」
いつか聞いた懐かしい声が聞こえた。
「彼方さん?」
「良かった~
起きたんだね
お姉ちゃんに声かけとくよ」
「ありがとう」
程なくして、暁さんが入ってきた。
「元気になってよかった~
まったく、大変だったんだからね」
「ご迷惑をおかけしました」
「まあ、少し元気になったみたいだし
ちゃんと起きてられてるから安心したよ」
「2人とも仲良いね」
「そういえば、彼方と蓮って知り合いなの?」
「患者同士で、仲良くなることは滅多にないんだけど、話したことならあるよ」
「そうなんだ
それはいつの話?」
「前に僕が入院してた時の話だね
たまたま、今と同じ場所に二人でいたから、少しだけ話をしたんだよ」
「そうだったんだ
でも、患者同士で仲良くなることが少ないのはなんでなの?」
「まあ、それはこんなとこにいるからさ」
「そそ、私たちみたいな人ばっかだから、下手に話しかけにくいんだよね」
「なるほど」
「それよりも、僕が倒れたあとってどんな感じだったの?」
「色々大変だったんだよ~」
といって、あの後のことを語ってくれた。
「蓮!!」
咄嗟に私は叫んでいた。
朝からなんとなく様子がおかしかった八雲くんが、倒れたのだ。
胸の当たりを抑えたまま動かなくなっている。
「すみません!!」
と、私は一声発したあと、スマホで救急車を呼んだ。
救急車が来るまで大体五分ほど。
それまでの間は何をしたらいいのだろうか。
そもそも私は彼の病気が何なのかさえ知らないのだ。
下手なことをすれば、戻らなくなってしまう。
さっき心臓の辺りを押さえていたから、きっと心臓関係なのだろう。
じゃあ、心臓マッサージをしたらいいのだろうか。
取り敢えず脈を取ってみると、ちゃんとしていた。
じゃあ、どうしたらいいのだろう
とにかくできることは特に無さそうだった
脈もしっかりしていて、息もちゃんとしている
でも、意識は無いみたいだった。
仕方ないので、荷物を全部まとめることにした。
あと、2人分の願書の手続きを済ませておいた。
手続きも終わって、次のことを考え始めた頃に
「患者さんはどこですか?」
救急隊員が入ってきた。
「ここにいます!」
と、伝えると、そのまま運び込まれて行った。
一応保護者的な立場として、荷物を持って救急車に乗った。
けど、救急車に乗ったからと言って、安心出来るわけではなさそうだった。
というのも、なんの病気なのかがなかなか分からなかったらしい。
やっぱり、心臓を押えて倒れ込んだと伝えても、何が原因なのか分からないらしい。
救急隊員も、仕方なしという感じで色んな検査をしていた。
どうなるか分からない
このまま帰ってこなくなるのではいか
と、心配していると、病院に着いたらしい。
そのまま、八雲くんは救急治療室に運び込まれて行った。
すると、ちょっと変わった格好の先生が、
「彼の名前は八雲 蓮で合ってますか」
と、落ち着いて聞いてきた
「合ってます」
と答えると、何やら手際よく治療をし始めた。
そして、色々と注射を済ませると、すぐに救急治療室から運び出された。
もしかしたら
「申し遅れました
八雲くんの担当医の者です」
なるほど
だから、テキパキと作業が進んだわけだ。
私も名乗るべきかな
そしたら、私は八雲くんの何に当たるんだろう
「君が八雲くんのお世話してくれてる人かな?」
「はい、そうです」
「まあ、こんな感じだけど、八雲くんをよろしくね」
「は、はあ」
「それじゃあ、君は八雲くんの病室に行ってきたらどうかな」
「ありがとうございました」
「はは
私と八雲君の仲だからいいよ
それじゃ、連れて行ってあげなさい」
そして、看護師たちに導かれてこの部屋にやってきた。
ということらしい。
「なんかごめんね」
「まあ、いいけど
それより、今日は薬飲み忘れたの?」
「忘れちゃったんだよ
だから、こんな大惨事になったって訳
願書はどうなった?」
「全部手続きしといたからここにあるよ」
「僕って退院出来んのかな?」
「2日3日寝たら退院してもいいってよ」
「良かった~」
「だから、退院するまでは、毎日お見舞いに来るから」
「ありがとう」
「ほんっとお姉ちゃんと八雲くんって仲良いよねぇ
もしかして、恋仲?」
「違う違う」
「じゃあなんなの?
居候させてるとは聞いてたけどさ」
「居候かな」
「居候だね」
「つまんないなぁ
こんなにも仲良いのに
でも、これから毎日お姉ちゃんに会えるんだね」
「そうなるね」
「そういえば、お見舞いってこれまでも来てたの?」
「お姉ちゃんほとんど来なかったんだよ
忙しいからって言ってさ」
「ほんとに忙しかったからね
半年に1回とかだったかな」
「そうだったんだ
まあ、確かに光がお見舞いに来てるところは見た事ないなぁ」
「ま、これから毎日見られるようになるから
それじゃあ、私はそろそろ帰るね」
「また明日~」
暁さんは帰っていった。
「いや~、君も無理するんだねぇ」
「なんのこと?」
「だって、この病院抜け出したんでしょ?
しかも、戻ってこなかったってことは、バレなかったんでしょ?」
「あの時は大変だったね
色々とタイミングを見て、無理に抜け出したよ
しかも、何故か学校の先生とかも、怪しまなかったんだよね」
「まあ、それでお姉ちゃんに会えたんだね
お姉ちゃんと仲良くなれて良かったね」
「まあ、何とか仲良くなれてよかったよ
このまま行けば、君と僕の夢も叶うと思うよ」
「あれって、君の夢にもなったの?」
「僕にはなんの夢も希望もなかったからね
自分の目標になったんだよ」
「それなら良かった
あの時は、無理なお願いだと思ったのに、叶えようとしてくれるんだから
今の話を聞いてると、君らしいなぁって感じ」
「そうかな?」
「うん
だって、君はなにかやろうと思ったら、何捨てでてもやり遂げるからね
まあ、だから頼んだよ」
「頼まれました」
「それじゃあ、今日は休むね」
「またね」
と言って、彼方は寝てしまった。
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あの元気さに飲まれて、忘れてしまいそうになるが、彼女も病人なんだ。
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