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キミノヨゾラ哨戒班
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私は、やっと少しだけ祖母を克服できたと思う
やっぱり、それには彼の力あってこそだった
だから、彼に感謝しながら今日も明日の夜空をみていた
彼は少しでも前向きに生きているかだろうか
今回は彼に助けて貰ったし、今度彼に何ができるだろうか
いつか、絶対に恩返しすると心に誓った
明日の夜空が、いつになく暖かく思えた
布団に入って目を閉じれば、すぐに寝てしまった。
あれだけ泣いたのだし、相当疲れていたんだろう。
夢で目を覚ますと、私は夜空に浮いていた
いや、だんだんと落ちていってるのだろうか
すると、ぼんやりと彼の体が見えてきた。
私と同じように宙に浮いていて
でも、彼は名前の通り、翼を身にまとっていた。
「翼くん」
でも、彼は何も反応してくれなかった。
彼は目をふせたまま、私より上に向かっていった。
その後は、彼を見つけることは出来なかった。
だから、美しい夜空を堪能することにした。
手で掴めそうなほど星が近く見えた。
そして、いつもの朝が来た。
昨日の翼くんの行動のおかげで、なんとか受け止められた。
だから、しばらく休んでいた学校に行こうと思う。
きっと、授業が終わった頃に屋上に行けば彼はいるはずだから。
そう思って、学校に行った。
そこで伝えられたのは、翼くんが自殺したとの事だった
あの屋上から飛び降りたのだ。
その時私が感じたのは、自責の念だった。
最初にあった時も屋上で飛び降りようとしていた。
その時は、私が止めてあげたから、こんなことにはならなかった。
でも、今回は誰も止めてあげられなかった。
それに、あの様子だとクラスに親しい友達はいなさそうだった。
だから、きっと最後に彼と話したのは私だったはずだ。
そこで、彼が飛び降りようとしたことに気が付かなきゃ行けなかった。
お墓参りの後に、彼のことをもっと気にかけるべきだった。
そんな自責の念が頭をうずまき続けた。
授業も終わり、屋上に昇った。
彼が前と同じようにたっているのではないか
なんて、淡い期待を浮かべて向かったが、そんな期待は打ち砕かれた。
屋上は誰もいなくて、冷たい風が身体にしみた。
どのくらいの間そのまま立っていただろうか。
屋上の扉から彼が出ては来ないだろうか。
まだ彼が生きているんじゃないだろうかという期待をずっと浮かべていた。
けど、そんなことは無かった。
ふと空を見上げて、気が緩んだすきに睡魔に襲われた。
「うわぁー」
なんとか堪えようと思ったが、そのまま寝てしまった。
目を覚ませば、またあの空に浮かんでいた。
そこで、私は思い出した。
もしかしたら、夢の中なら彼に出会えるのかもしれない。
周りを見渡していると、後ろから声がした。
「久しぶり」
昨日とは同じで、翼が生えている、いつもの翼くんだった。
「翼くん、ごめんね」
と謝った。
「なんで蕾さんが謝るのさ」
「だって、私があの時に気づいていれば良かったのに」
すると、翼くんはちょっと悲しみのまじる笑みを浮かべて
「君のせいじゃないんだよ
あの時の君は、絶対に気がつけるはずがなかったんだよ」
「そんなこと」
翼くんが言葉を遮るように言った。
「そんなことあるんだよ
だって、君は僕が自殺した理由を知らないから
確かに僕は少し先走ったかもしれない
でも、理由もなく死んだんじゃないんだよ」
「じゃあ、なんで飛び降りなんてしたのさ」
「それは、僕がいる意味が無いと思ったから」
「いる意味?」
「そう
僕の目的は、君を救うこと
君に何かがあった時に、僕が支えになろうと思ったんだ
君が僕を止めてくれたようにね
あの日、君の支えになろうとした
でも、君と別れてから思ったんだ
僕は何の支えにもなれないんじゃないかなって」
「そんな事ないよ!!」
「冷静に考えてみればそうだったかもしれない
でも、あの時の僕はそう考えてしまったんだ」
「そんなぁ」
「これで、僕の話は終わり
君からも聞かせてよ
なんで僕を助けてくれたのか」
「ひとつには、おばあちゃんに人を助けろって言われたから
もうひとつは、君と話す機会になると思ったから」
「なんで僕と?」
「だって君って誰とも話してないからよくわかんない人だったから
いっつも屋上とかにいてさ
なかなか話す機会がなかったから、私も屋上に行ってみたんだよ
そしたら飛び降りようとしてるんだもん
止めるに決まってるよ」
「そうだったんだ
いくらお礼しても足りないくらいだよ」
「でも私は止められなかった!!」
「でも、君は僕に希望をくれた
僕の生きる意味をくれたんだ
それに、現実ではもう死んだ身だけど、この世界では生きている」
「この夢の世界で?」
「そう
この夢の世界に、僕は生きている
だから、いつでも君の支えになることが出来るんだ
この前は生きる意味を、今度は生きる場所を僕にくれたんだ
お礼のついでに」
翼くんは私の手を握った。
何をするんだろう。
急に翼くんが空を飛び始めた。
「ほら、こうやって空を飛ぶと気持ちいいでしょ?」
「うん!!
すごい気持ちよくて楽しい」
「良かった」
その後はずっと翼くんと手を繋いだまま空を飛んでいた。
星は無限の彼方にあるから届きはしないけど、いつもより強く光っていた。
気がつけば、私は屋上に座っていた。
朝日が少しずつ射し込んできていた。
「よし、頑張ろう」
もう一度寝ればきっと彼に会える。
そう思っただけでやる気が湧いてくるのだ。
今日も一日頑張って、夢で彼とまた空を飛ぼう。
もう過去を変えようなんて思わない。
それよりも、また明日も翼くんと空を飛びたい。
そのために私は生きていく。
やっぱり、それには彼の力あってこそだった
だから、彼に感謝しながら今日も明日の夜空をみていた
彼は少しでも前向きに生きているかだろうか
今回は彼に助けて貰ったし、今度彼に何ができるだろうか
いつか、絶対に恩返しすると心に誓った
明日の夜空が、いつになく暖かく思えた
布団に入って目を閉じれば、すぐに寝てしまった。
あれだけ泣いたのだし、相当疲れていたんだろう。
夢で目を覚ますと、私は夜空に浮いていた
いや、だんだんと落ちていってるのだろうか
すると、ぼんやりと彼の体が見えてきた。
私と同じように宙に浮いていて
でも、彼は名前の通り、翼を身にまとっていた。
「翼くん」
でも、彼は何も反応してくれなかった。
彼は目をふせたまま、私より上に向かっていった。
その後は、彼を見つけることは出来なかった。
だから、美しい夜空を堪能することにした。
手で掴めそうなほど星が近く見えた。
そして、いつもの朝が来た。
昨日の翼くんの行動のおかげで、なんとか受け止められた。
だから、しばらく休んでいた学校に行こうと思う。
きっと、授業が終わった頃に屋上に行けば彼はいるはずだから。
そう思って、学校に行った。
そこで伝えられたのは、翼くんが自殺したとの事だった
あの屋上から飛び降りたのだ。
その時私が感じたのは、自責の念だった。
最初にあった時も屋上で飛び降りようとしていた。
その時は、私が止めてあげたから、こんなことにはならなかった。
でも、今回は誰も止めてあげられなかった。
それに、あの様子だとクラスに親しい友達はいなさそうだった。
だから、きっと最後に彼と話したのは私だったはずだ。
そこで、彼が飛び降りようとしたことに気が付かなきゃ行けなかった。
お墓参りの後に、彼のことをもっと気にかけるべきだった。
そんな自責の念が頭をうずまき続けた。
授業も終わり、屋上に昇った。
彼が前と同じようにたっているのではないか
なんて、淡い期待を浮かべて向かったが、そんな期待は打ち砕かれた。
屋上は誰もいなくて、冷たい風が身体にしみた。
どのくらいの間そのまま立っていただろうか。
屋上の扉から彼が出ては来ないだろうか。
まだ彼が生きているんじゃないだろうかという期待をずっと浮かべていた。
けど、そんなことは無かった。
ふと空を見上げて、気が緩んだすきに睡魔に襲われた。
「うわぁー」
なんとか堪えようと思ったが、そのまま寝てしまった。
目を覚ませば、またあの空に浮かんでいた。
そこで、私は思い出した。
もしかしたら、夢の中なら彼に出会えるのかもしれない。
周りを見渡していると、後ろから声がした。
「久しぶり」
昨日とは同じで、翼が生えている、いつもの翼くんだった。
「翼くん、ごめんね」
と謝った。
「なんで蕾さんが謝るのさ」
「だって、私があの時に気づいていれば良かったのに」
すると、翼くんはちょっと悲しみのまじる笑みを浮かべて
「君のせいじゃないんだよ
あの時の君は、絶対に気がつけるはずがなかったんだよ」
「そんなこと」
翼くんが言葉を遮るように言った。
「そんなことあるんだよ
だって、君は僕が自殺した理由を知らないから
確かに僕は少し先走ったかもしれない
でも、理由もなく死んだんじゃないんだよ」
「じゃあ、なんで飛び降りなんてしたのさ」
「それは、僕がいる意味が無いと思ったから」
「いる意味?」
「そう
僕の目的は、君を救うこと
君に何かがあった時に、僕が支えになろうと思ったんだ
君が僕を止めてくれたようにね
あの日、君の支えになろうとした
でも、君と別れてから思ったんだ
僕は何の支えにもなれないんじゃないかなって」
「そんな事ないよ!!」
「冷静に考えてみればそうだったかもしれない
でも、あの時の僕はそう考えてしまったんだ」
「そんなぁ」
「これで、僕の話は終わり
君からも聞かせてよ
なんで僕を助けてくれたのか」
「ひとつには、おばあちゃんに人を助けろって言われたから
もうひとつは、君と話す機会になると思ったから」
「なんで僕と?」
「だって君って誰とも話してないからよくわかんない人だったから
いっつも屋上とかにいてさ
なかなか話す機会がなかったから、私も屋上に行ってみたんだよ
そしたら飛び降りようとしてるんだもん
止めるに決まってるよ」
「そうだったんだ
いくらお礼しても足りないくらいだよ」
「でも私は止められなかった!!」
「でも、君は僕に希望をくれた
僕の生きる意味をくれたんだ
それに、現実ではもう死んだ身だけど、この世界では生きている」
「この夢の世界で?」
「そう
この夢の世界に、僕は生きている
だから、いつでも君の支えになることが出来るんだ
この前は生きる意味を、今度は生きる場所を僕にくれたんだ
お礼のついでに」
翼くんは私の手を握った。
何をするんだろう。
急に翼くんが空を飛び始めた。
「ほら、こうやって空を飛ぶと気持ちいいでしょ?」
「うん!!
すごい気持ちよくて楽しい」
「良かった」
その後はずっと翼くんと手を繋いだまま空を飛んでいた。
星は無限の彼方にあるから届きはしないけど、いつもより強く光っていた。
気がつけば、私は屋上に座っていた。
朝日が少しずつ射し込んできていた。
「よし、頑張ろう」
もう一度寝ればきっと彼に会える。
そう思っただけでやる気が湧いてくるのだ。
今日も一日頑張って、夢で彼とまた空を飛ぼう。
もう過去を変えようなんて思わない。
それよりも、また明日も翼くんと空を飛びたい。
そのために私は生きていく。
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