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第1部【明暗の大魔導師】編
第9話 夜道に日は暮れぬ
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俺の名前はコォ、インと共に旅をする冒険者だ。
だけど今は…もしかしたらこの旅最大の難所に当たっているかもしれない!
路銀を稼ぐため、ザリィに恩を返すため、俺は女の恰好をして怪人プリコ生け捕り大作戦に参加している…俺の役は…囮だ。
「最後にもう一回おさらいするぞ。」
「はい。」
「お前はその恰好で夜道を一人で歩く、そしてオレ達は遠くから監視する。奴が現れたらどうにかしてこの部屋へ連れ込む。そしてオレ達は先回りして部屋で待ち伏せ、後はタコ殴り。」
そして大事なのが絶対に殺してはいけないということ…生け捕りにすると引き取り手から追加で懸賞金を揺すれるらしい…そうすると俺達の分け前も増える。
旅は何かと金が掛かる…それに相手は極悪人だが殺さない。
「やだなぁ…ドレスってスースーするんだ…」
「まぁ安物だしな。(売女が着てる物なんて外面ばっかだろどうせ。)」
他にこの計画に参加するのはイン、ベンガ、ジャックン…計画は5人で行われる。
ちなみに遠くから監視すると言っていたが…ザリィは双眼鏡を持っている!
「凄い!こんな高級品を持っているなんて…」
「え?そんな高いのコレ?(かっぱらい物なんだけど)」
【そうやって倍率を変えられる物は高価だったハズだ。】
双眼鏡はただでさえ憧れの品だが…倍率が変えられる物を触れるとは…まぁ普通の双眼鏡も触ったことが無いけど…それでも貴重な体験だ。
そんな高級品をザリィは片手で掴み、上に投げてはキャッチするという危険な遊びをした…
【……そろそろ良いんじゃないか?】
「そうだな、大分夜も更けて来たし…行くか。」
「遂に来てしまった…」
来てしまったこの時間…時刻午後11時…草木も寝る準備をする深夜だ。
だが下階の酒場ではまだ騒音が鳴り響いている…酔っ払いは夜更かしが好きらしい…それはさておき、俺は最後にもう一回全身をチェックされ、外へと出た。
酒場で声を掛けられた時は死ぬかと思ったが…ザリィのフォローもあり、どうにかバレずに通り抜けることが出来た…外は人が少ないので堂々と歩ける…
「じゃあこっからだ、コォ先を行け。」
「分かりました…」
【お前ならなれるぞ、立派な女に。】
「なりたくないです…」
1人で村を出ると、暗い夜道を少し顔を伏せて歩いて行く…顔を見せなければある程度は女に見える…見られたらそれで終わりだけど。
頼むからこんな夜道を一般人が出歩いていないでくれ…
「(後ろから突いて来てるな…今は目視できるけど…)」
自分から遠く離れた所には丘の斜面を使って隠れながら付いて来る4人が見える。
夜道は少しだけおっかないが、ああやっているのを見ると1人じゃ無い気がして……いや、逆に怖い…なんか落ち着かない…
ずっと後ろから付いて来るってなると背中が痒くなるものだ。
急に走り出したらどうなるんだろう…
「……あ!走ったぞ!」
【なんかあったのか?】
「いや…特に何も無さそうだ…遊んでんじゃないか?」
はぁ…はぁ…何をしているんだろうか自分は…急に夜道なんかを走ったりして…
もし転んだら怪我をしていたところだ…もしそうなれば皆の迷惑になる。
もう変な事をするのは止そう………とにかく歩くか。
「(やっぱりスースーして落ち着かないなぁ…)」
涼しいのは良いが、寒いとなると話は別だ…こんなにスースーするものを着た事がない自分にとっては不慣れで仕方がない…インはいつもこんな気持ちなのだろうか。
だとしたら悪い事をしたな…もうちょっと厚い服を着せてやるんだった。
ビーミスに到着したら上着でも買おう。
ビーミスと言えば…遠くに光る街はキラキラ光って綺麗だ…集落とは違い、夜も起きている感じがする。
「ふぁあぁ~ねみぃ…戻ったら寝たいなぁ…」
今思えば、昨日の深夜に起きてから一睡もしていない…あの時は状況が状況で眠気が吹き飛んだが、今はその分…ドッと疲れと眠気が襲って来た。
ダメだ…寝てはダメだ…外で寝るなんて…
「……………はっ!いけない…寝ていた…」
凄いな…今、歩きながら寝ていたぞ…そんな事が出来るのか…戻ったらインに自慢してやろ。
「眠気を覚ますには…歌でも歌うか……けど…何の歌を…?」
歌でも歌いたいが…インとは違って歌を歌えない…チクショウ…
そうだ!他に眠気を覚ます方法を考えるんだ!そうすれば考えることに困らないし考えることにより眠気も覚める!うわー!俺って天才だなー!!
【よぅ…そこの嬢ちゃん、オレと一緒に……っておい!!無視するな!!】
「えっ?すいません…少し考え事をしていまして…」
いや待て…ナチュラルに返事をしてしまったが…どうしよう…振り返るのが怖い!ちょっとだけ…ちょっとだけ見よう!違う人だったら直ぐに前を向く…よし!コレで行こう!
振り返るぞ!振り返るぞ!!
【おい、どっり向いてんだ?】
「ッー!?」
【なんでい、化け物でも見るかのような顔をして…】
「しゅ、しゅいません…びっくりしてひまいして…」
振り返ってみると、誰も居ないので、もう一回前の方を向いたら顔面の真ん前にそれは居た…声が出ない程びっくりして腰が抜けてしまった…
こんなに驚いたのは人生初だ…初ビックリだ…初ビクだ…
それはさておき!相手は…間違いない!怪人プリコだ!やったぞ!!
(やったぞって…何をだ?)
【それより嬢ちゃんよぉ…こんな所で何してんだ?男でも探してんのか?】
「は、はい…」
【ひでぇ声だな…顔も男みたいだ…まぁ良い…そいう事なら!!】
「うわぁぁああ!?ちょ、ちょ!!」
プリコは自分を抱きかかえると顔をペロペロ舐めて来る…き、気持ち悪い!!ベトベトする生臭い唾液が頬を伝って首、肩まで伝う…ひぃぃい!!
【最近ご無沙汰だったんだ…相手してもらうからな…】
「や、やめて…くだしぃ…」
【嫌ならもっと本気で抵抗してみろよ…】
「んぎぃいい!!んぐぐぐ!?」
奴はベロベロと舐める下を無理やり口の方へねじ込んでくる!!歯を折れんばかりに喰いしばって抵抗する!!口の中に入ったらおしまいだ!!
クッソぉおお!!気持ちが悪い!!歯ブラシのように歯を舐めてる…
【もう良いだろ!!入れるぞ!!】
「(何を!?)やめやめ!!部屋!部屋ありますから!!」
【ッチ…あそこかぁ…時間は喰うがしょうがねぇ…】
プリコは自分を肩に担ぐとドッサドッサ!と村に向かって走り出す!
自分は必死にウィッグが落ちないように抑えながら、口内の唾液をペッ!と吐いて入れ替えた。
「こ、ここです…」
【此処か…なんでい、3人用の部屋じゃねぇか…】
数十分して先ほどの部屋へプリコを連れ込んだが…い、居ない…4人共居ない…
マズイ!!どうする…このままでは何かされる!何かは分からないが恐ろしい事をされるというのが雰囲気で分かる…コイツの罪状は…さ、殺人!!
殺される!!殺されるんだ…嫌だ!!死にたくない!!
【さてはお前…】
「(やべぇ!!バレたか…!?)」
【仲間に置いてかれたな?】
「え、えぇ…そうです…」
【はん、お前みたいなブス、確かに置いてかれるかもな!】
好き勝手言いやがって…皆まだ着いて無いのかな…ザリィー!早く来てくれーっ!
奴はベッドに寝転ぶとインの帽子を手に取った。
【コレ、お前のか?】
「は、はい…」
【すぅー…くっせぇな…ちゃんと風呂入ってるか?】
「いえ…最近入ってません…」
そう言えばインも俺も数日間風呂はおろか、行水もしていなかった…
臭いのも当然か…後でインに謝らないとな…っていやいや!そんな事を考えている場合ではない!!どうする…何とかして時間を稼ぐしかない!
【言わねぇと分かんねぇか、こっち来い。】
「い、いえ…自分は…」
【来い、殺すぞ。】
「はい………ッ!?ぐぅあ……」
出来るだけベッドの端っこに座ると、奴は後ろから首を絞める!!苦しい!な、なにを…やっぱり殺す気だ…
と思ったが、奴は首を絞めるのを止めると自分を抱き寄せる…こ、怖い!
酒臭いし!汗臭いし!不潔だ!!
(いや…今の自分も汗臭くて不潔かもしれない…)
「かはぁ!!はぁ…な、何を…」
【知ってるか?こうやって首を絞めると膣が締まるんだぜ…】
「ち、ちつ…(何だそれは…)」
【そういうこったぁ…自分がどうやって殺されるか…よーく分かっただろ?】
「ひぃ!?」
ドガッシィィイイッ!!
「【!?】」
その時、扉が蹴破られ、蹴破られた扉はそのまま窓までぶっ飛んで外へ飛んで行ってしまった…
「はぁ…すまん…はぁ…はぁ…遅くなった…」
【あぁ?誰だテメェ?】
「ざ、ザリィ!!」
やった!!ザリィが来たぞ!!息を切らしているが何とか来てくれた!
他の3人は見えない…何をしているのだろうか…何かトラブルでもあったのか?
【ザリィだと!?き、貴様!執行人のザリィか!!】
「はぁ…はぁ…うぐ…はぁ…………ちょっと待ってくれ…息を整える…」
【お、おう…】
数分してザリィは息を整えると…
「オラァ!!追い詰めたぞ怪人プリコ!」
【チクショウ!囮を使いやがったな!ぶっ殺してやる!】
「やれるもんならな!!」
「ひぃい!?」
ザリィは自分を抱えているというのにプリコへ容赦なく斬りかかる!!
だがプリコも黙って斬られるワケも無く、自分を投げ捨てて腕で防ぐ!
普通ならズバン!と腕は斬れてしまうはずだが奴の腕は鋼鉄の如く硬いのか…剣の刃がそれ以上食い込むことは無かった…
自分は恐ろしくなり、真ん中のベッドの下へ隠れた!上からはベギ!バギ!と言った音が聞こえる!
「うぐぁ!!」
【大したことねぇな!執行人もよぉ!!】
【この野郎!ザリィに何してやがる!】
「ジャックン!よくやった!そのまま抑え…うぉ!?」
恐ろしくて見れないが…何かが行われている様だ…家具が倒れる音や何かが割れる音なども聞こえる…その時!!
「うぉおお!?!」
突如としてベッドに隠れていた自分の右耳辺りへ何かが突き刺さる!!
剣のような何かが…ベッドの上から貫通して床へ刺さる…お、恐ろしい!
【しょうがねぇ!!アレやるしかねぇ!!ザリィ!伏せろ!!】
「お、おう!!」
【何をする気だ!この野郎!!】
「(いや!?本当に何をする気だ!?)」
ジャックンは何かをしたのか、部屋中にピューン!!と何かが飛ぶ音やバンッ!!と爆発するような音が響く…が、害獣除けの爆竹みたいな音だ!!
部屋の中も赤や青の煙、激しい閃光に包まれる!!
【ぐっはぁ!!?お、おのれ…】
「はぁ…はぁ…と、捕らえた!!ジャックン!縛るもの出せ!!」
【これ使え!】
【ぢぐしょう…おのれら…】
戦いが終わったのか、先ほどの騒音とは裏腹に一気に部屋は静まり返った。
そーっと確認するかのようにベッドから這い出て部屋を核にすれば…もうそこはボロボロの倉庫みたく、カオスに満ち溢れていた…
散乱した破片、倒れたタンス、キラキラの紙吹雪…そして3人…ジャックン、ザリィ、プリコ…
「お、終わった…?」
「あぁ…終わったぜ…怪我無いか?」
「無いですけど…お2人共、ご無事ですか?」
「俺なら大丈夫!ジャックンも疲れてはいるが平気そうだな。」
【ああ、こんくらい朝飯前よぉ。】
プリコは床へ伏せるように押し付けられている…手足を電飾の付いたロープで縛られている状態で…ところで、ベンガとインの姿が見えないが…
「ベンガとインは逃げた時用に下へ待ち伏せていたが…お、来たな。」
誰かが階段を昇ってくる音…やって来たのは…
「おいテメェ等!ウチの部屋で何してんだ!!」
「イン!!じゃない…」
「やっべ、店の主人だ…」
【あー…すいません、ちょっとゴタゴタが…】
「すいませんじゃねぇ!テメェ等出て行きやがれ!」
自分達は怒鳴られながら荷物ごと外へ追い出されてしまった…そりゃ当たり前だ。
部屋の中であんなに騒げば出禁にもなる。
「コォ…大丈夫?」
「インか。すまねぇな…部屋追い出されちゃって…」
「部屋なら良いよ…だけど、何事も無い?」
「無いって!俺は元気だよ!」
とは言え、この服装だと締まらない…服を着替えるか…
・・・
「はぁ!!この服装が一番落ち着く…」
「やっぱりコォはその服装に限るな。すまねぇな、こんな事になって。」
ベンガとザリィは地面に伏せられているプリコの上に座っている。
他に宿屋も無いため、今日は村の中で野宿する事になる。
「ふぁぁあ~眠い…」
「寝ちまいな。朝ンなったら起こすぜ。」
「じゃあ…お願いします…」
ザリィに起こしてもらう事にすると、自分はベンチに座ってインと共に眠ってしまった…ジャックンも自分の横に座って、死んだように静かに眠っている。
魔族って寝るんだ…つくづくそう思うのであった…
(今日…なんかロクな目に遭ってない気がする…)
つづく
・・・
キャラクタープロフィール5
名前:プリコ(オス) 身長:211㎝ 瞳の色:黒い眼に白い瞳孔 髪色:青
誕生日:9月7日 星座:サイモ座 血液型:A 人種:白肌族(魔族)
好物:チーズステーキ 趣味:裏娼館通い 職業:元モース要塞兵(現在は無職)
二つ名:怪人 懸賞金:5000ドル(上乗せ可) 手配地域:ダニーグ大陸全土
『プリコはガトーヒル周辺に出没する怪人である。彼の特徴は鋼鉄も凌ぐ硬い皮膚と強力な腕力だ。元々はモース要塞にて兵として属していたが上司と同僚の妻を寝取った事で追放された。少数の冒険者を狙った殺人と強盗、レイプでその日暮らしをするセコイ奴である。』
だけど今は…もしかしたらこの旅最大の難所に当たっているかもしれない!
路銀を稼ぐため、ザリィに恩を返すため、俺は女の恰好をして怪人プリコ生け捕り大作戦に参加している…俺の役は…囮だ。
「最後にもう一回おさらいするぞ。」
「はい。」
「お前はその恰好で夜道を一人で歩く、そしてオレ達は遠くから監視する。奴が現れたらどうにかしてこの部屋へ連れ込む。そしてオレ達は先回りして部屋で待ち伏せ、後はタコ殴り。」
そして大事なのが絶対に殺してはいけないということ…生け捕りにすると引き取り手から追加で懸賞金を揺すれるらしい…そうすると俺達の分け前も増える。
旅は何かと金が掛かる…それに相手は極悪人だが殺さない。
「やだなぁ…ドレスってスースーするんだ…」
「まぁ安物だしな。(売女が着てる物なんて外面ばっかだろどうせ。)」
他にこの計画に参加するのはイン、ベンガ、ジャックン…計画は5人で行われる。
ちなみに遠くから監視すると言っていたが…ザリィは双眼鏡を持っている!
「凄い!こんな高級品を持っているなんて…」
「え?そんな高いのコレ?(かっぱらい物なんだけど)」
【そうやって倍率を変えられる物は高価だったハズだ。】
双眼鏡はただでさえ憧れの品だが…倍率が変えられる物を触れるとは…まぁ普通の双眼鏡も触ったことが無いけど…それでも貴重な体験だ。
そんな高級品をザリィは片手で掴み、上に投げてはキャッチするという危険な遊びをした…
【……そろそろ良いんじゃないか?】
「そうだな、大分夜も更けて来たし…行くか。」
「遂に来てしまった…」
来てしまったこの時間…時刻午後11時…草木も寝る準備をする深夜だ。
だが下階の酒場ではまだ騒音が鳴り響いている…酔っ払いは夜更かしが好きらしい…それはさておき、俺は最後にもう一回全身をチェックされ、外へと出た。
酒場で声を掛けられた時は死ぬかと思ったが…ザリィのフォローもあり、どうにかバレずに通り抜けることが出来た…外は人が少ないので堂々と歩ける…
「じゃあこっからだ、コォ先を行け。」
「分かりました…」
【お前ならなれるぞ、立派な女に。】
「なりたくないです…」
1人で村を出ると、暗い夜道を少し顔を伏せて歩いて行く…顔を見せなければある程度は女に見える…見られたらそれで終わりだけど。
頼むからこんな夜道を一般人が出歩いていないでくれ…
「(後ろから突いて来てるな…今は目視できるけど…)」
自分から遠く離れた所には丘の斜面を使って隠れながら付いて来る4人が見える。
夜道は少しだけおっかないが、ああやっているのを見ると1人じゃ無い気がして……いや、逆に怖い…なんか落ち着かない…
ずっと後ろから付いて来るってなると背中が痒くなるものだ。
急に走り出したらどうなるんだろう…
「……あ!走ったぞ!」
【なんかあったのか?】
「いや…特に何も無さそうだ…遊んでんじゃないか?」
はぁ…はぁ…何をしているんだろうか自分は…急に夜道なんかを走ったりして…
もし転んだら怪我をしていたところだ…もしそうなれば皆の迷惑になる。
もう変な事をするのは止そう………とにかく歩くか。
「(やっぱりスースーして落ち着かないなぁ…)」
涼しいのは良いが、寒いとなると話は別だ…こんなにスースーするものを着た事がない自分にとっては不慣れで仕方がない…インはいつもこんな気持ちなのだろうか。
だとしたら悪い事をしたな…もうちょっと厚い服を着せてやるんだった。
ビーミスに到着したら上着でも買おう。
ビーミスと言えば…遠くに光る街はキラキラ光って綺麗だ…集落とは違い、夜も起きている感じがする。
「ふぁあぁ~ねみぃ…戻ったら寝たいなぁ…」
今思えば、昨日の深夜に起きてから一睡もしていない…あの時は状況が状況で眠気が吹き飛んだが、今はその分…ドッと疲れと眠気が襲って来た。
ダメだ…寝てはダメだ…外で寝るなんて…
「……………はっ!いけない…寝ていた…」
凄いな…今、歩きながら寝ていたぞ…そんな事が出来るのか…戻ったらインに自慢してやろ。
「眠気を覚ますには…歌でも歌うか……けど…何の歌を…?」
歌でも歌いたいが…インとは違って歌を歌えない…チクショウ…
そうだ!他に眠気を覚ます方法を考えるんだ!そうすれば考えることに困らないし考えることにより眠気も覚める!うわー!俺って天才だなー!!
【よぅ…そこの嬢ちゃん、オレと一緒に……っておい!!無視するな!!】
「えっ?すいません…少し考え事をしていまして…」
いや待て…ナチュラルに返事をしてしまったが…どうしよう…振り返るのが怖い!ちょっとだけ…ちょっとだけ見よう!違う人だったら直ぐに前を向く…よし!コレで行こう!
振り返るぞ!振り返るぞ!!
【おい、どっり向いてんだ?】
「ッー!?」
【なんでい、化け物でも見るかのような顔をして…】
「しゅ、しゅいません…びっくりしてひまいして…」
振り返ってみると、誰も居ないので、もう一回前の方を向いたら顔面の真ん前にそれは居た…声が出ない程びっくりして腰が抜けてしまった…
こんなに驚いたのは人生初だ…初ビックリだ…初ビクだ…
それはさておき!相手は…間違いない!怪人プリコだ!やったぞ!!
(やったぞって…何をだ?)
【それより嬢ちゃんよぉ…こんな所で何してんだ?男でも探してんのか?】
「は、はい…」
【ひでぇ声だな…顔も男みたいだ…まぁ良い…そいう事なら!!】
「うわぁぁああ!?ちょ、ちょ!!」
プリコは自分を抱きかかえると顔をペロペロ舐めて来る…き、気持ち悪い!!ベトベトする生臭い唾液が頬を伝って首、肩まで伝う…ひぃぃい!!
【最近ご無沙汰だったんだ…相手してもらうからな…】
「や、やめて…くだしぃ…」
【嫌ならもっと本気で抵抗してみろよ…】
「んぎぃいい!!んぐぐぐ!?」
奴はベロベロと舐める下を無理やり口の方へねじ込んでくる!!歯を折れんばかりに喰いしばって抵抗する!!口の中に入ったらおしまいだ!!
クッソぉおお!!気持ちが悪い!!歯ブラシのように歯を舐めてる…
【もう良いだろ!!入れるぞ!!】
「(何を!?)やめやめ!!部屋!部屋ありますから!!」
【ッチ…あそこかぁ…時間は喰うがしょうがねぇ…】
プリコは自分を肩に担ぐとドッサドッサ!と村に向かって走り出す!
自分は必死にウィッグが落ちないように抑えながら、口内の唾液をペッ!と吐いて入れ替えた。
「こ、ここです…」
【此処か…なんでい、3人用の部屋じゃねぇか…】
数十分して先ほどの部屋へプリコを連れ込んだが…い、居ない…4人共居ない…
マズイ!!どうする…このままでは何かされる!何かは分からないが恐ろしい事をされるというのが雰囲気で分かる…コイツの罪状は…さ、殺人!!
殺される!!殺されるんだ…嫌だ!!死にたくない!!
【さてはお前…】
「(やべぇ!!バレたか…!?)」
【仲間に置いてかれたな?】
「え、えぇ…そうです…」
【はん、お前みたいなブス、確かに置いてかれるかもな!】
好き勝手言いやがって…皆まだ着いて無いのかな…ザリィー!早く来てくれーっ!
奴はベッドに寝転ぶとインの帽子を手に取った。
【コレ、お前のか?】
「は、はい…」
【すぅー…くっせぇな…ちゃんと風呂入ってるか?】
「いえ…最近入ってません…」
そう言えばインも俺も数日間風呂はおろか、行水もしていなかった…
臭いのも当然か…後でインに謝らないとな…っていやいや!そんな事を考えている場合ではない!!どうする…何とかして時間を稼ぐしかない!
【言わねぇと分かんねぇか、こっち来い。】
「い、いえ…自分は…」
【来い、殺すぞ。】
「はい………ッ!?ぐぅあ……」
出来るだけベッドの端っこに座ると、奴は後ろから首を絞める!!苦しい!な、なにを…やっぱり殺す気だ…
と思ったが、奴は首を絞めるのを止めると自分を抱き寄せる…こ、怖い!
酒臭いし!汗臭いし!不潔だ!!
(いや…今の自分も汗臭くて不潔かもしれない…)
「かはぁ!!はぁ…な、何を…」
【知ってるか?こうやって首を絞めると膣が締まるんだぜ…】
「ち、ちつ…(何だそれは…)」
【そういうこったぁ…自分がどうやって殺されるか…よーく分かっただろ?】
「ひぃ!?」
ドガッシィィイイッ!!
「【!?】」
その時、扉が蹴破られ、蹴破られた扉はそのまま窓までぶっ飛んで外へ飛んで行ってしまった…
「はぁ…すまん…はぁ…はぁ…遅くなった…」
【あぁ?誰だテメェ?】
「ざ、ザリィ!!」
やった!!ザリィが来たぞ!!息を切らしているが何とか来てくれた!
他の3人は見えない…何をしているのだろうか…何かトラブルでもあったのか?
【ザリィだと!?き、貴様!執行人のザリィか!!】
「はぁ…はぁ…うぐ…はぁ…………ちょっと待ってくれ…息を整える…」
【お、おう…】
数分してザリィは息を整えると…
「オラァ!!追い詰めたぞ怪人プリコ!」
【チクショウ!囮を使いやがったな!ぶっ殺してやる!】
「やれるもんならな!!」
「ひぃい!?」
ザリィは自分を抱えているというのにプリコへ容赦なく斬りかかる!!
だがプリコも黙って斬られるワケも無く、自分を投げ捨てて腕で防ぐ!
普通ならズバン!と腕は斬れてしまうはずだが奴の腕は鋼鉄の如く硬いのか…剣の刃がそれ以上食い込むことは無かった…
自分は恐ろしくなり、真ん中のベッドの下へ隠れた!上からはベギ!バギ!と言った音が聞こえる!
「うぐぁ!!」
【大したことねぇな!執行人もよぉ!!】
【この野郎!ザリィに何してやがる!】
「ジャックン!よくやった!そのまま抑え…うぉ!?」
恐ろしくて見れないが…何かが行われている様だ…家具が倒れる音や何かが割れる音なども聞こえる…その時!!
「うぉおお!?!」
突如としてベッドに隠れていた自分の右耳辺りへ何かが突き刺さる!!
剣のような何かが…ベッドの上から貫通して床へ刺さる…お、恐ろしい!
【しょうがねぇ!!アレやるしかねぇ!!ザリィ!伏せろ!!】
「お、おう!!」
【何をする気だ!この野郎!!】
「(いや!?本当に何をする気だ!?)」
ジャックンは何かをしたのか、部屋中にピューン!!と何かが飛ぶ音やバンッ!!と爆発するような音が響く…が、害獣除けの爆竹みたいな音だ!!
部屋の中も赤や青の煙、激しい閃光に包まれる!!
【ぐっはぁ!!?お、おのれ…】
「はぁ…はぁ…と、捕らえた!!ジャックン!縛るもの出せ!!」
【これ使え!】
【ぢぐしょう…おのれら…】
戦いが終わったのか、先ほどの騒音とは裏腹に一気に部屋は静まり返った。
そーっと確認するかのようにベッドから這い出て部屋を核にすれば…もうそこはボロボロの倉庫みたく、カオスに満ち溢れていた…
散乱した破片、倒れたタンス、キラキラの紙吹雪…そして3人…ジャックン、ザリィ、プリコ…
「お、終わった…?」
「あぁ…終わったぜ…怪我無いか?」
「無いですけど…お2人共、ご無事ですか?」
「俺なら大丈夫!ジャックンも疲れてはいるが平気そうだな。」
【ああ、こんくらい朝飯前よぉ。】
プリコは床へ伏せるように押し付けられている…手足を電飾の付いたロープで縛られている状態で…ところで、ベンガとインの姿が見えないが…
「ベンガとインは逃げた時用に下へ待ち伏せていたが…お、来たな。」
誰かが階段を昇ってくる音…やって来たのは…
「おいテメェ等!ウチの部屋で何してんだ!!」
「イン!!じゃない…」
「やっべ、店の主人だ…」
【あー…すいません、ちょっとゴタゴタが…】
「すいませんじゃねぇ!テメェ等出て行きやがれ!」
自分達は怒鳴られながら荷物ごと外へ追い出されてしまった…そりゃ当たり前だ。
部屋の中であんなに騒げば出禁にもなる。
「コォ…大丈夫?」
「インか。すまねぇな…部屋追い出されちゃって…」
「部屋なら良いよ…だけど、何事も無い?」
「無いって!俺は元気だよ!」
とは言え、この服装だと締まらない…服を着替えるか…
・・・
「はぁ!!この服装が一番落ち着く…」
「やっぱりコォはその服装に限るな。すまねぇな、こんな事になって。」
ベンガとザリィは地面に伏せられているプリコの上に座っている。
他に宿屋も無いため、今日は村の中で野宿する事になる。
「ふぁぁあ~眠い…」
「寝ちまいな。朝ンなったら起こすぜ。」
「じゃあ…お願いします…」
ザリィに起こしてもらう事にすると、自分はベンチに座ってインと共に眠ってしまった…ジャックンも自分の横に座って、死んだように静かに眠っている。
魔族って寝るんだ…つくづくそう思うのであった…
(今日…なんかロクな目に遭ってない気がする…)
つづく
・・・
キャラクタープロフィール5
名前:プリコ(オス) 身長:211㎝ 瞳の色:黒い眼に白い瞳孔 髪色:青
誕生日:9月7日 星座:サイモ座 血液型:A 人種:白肌族(魔族)
好物:チーズステーキ 趣味:裏娼館通い 職業:元モース要塞兵(現在は無職)
二つ名:怪人 懸賞金:5000ドル(上乗せ可) 手配地域:ダニーグ大陸全土
『プリコはガトーヒル周辺に出没する怪人である。彼の特徴は鋼鉄も凌ぐ硬い皮膚と強力な腕力だ。元々はモース要塞にて兵として属していたが上司と同僚の妻を寝取った事で追放された。少数の冒険者を狙った殺人と強盗、レイプでその日暮らしをするセコイ奴である。』
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