【R18作品】コォとインの奇怪冒険譚

蛾脳シンコ

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第1部【明暗の大魔導師】編

第12話 恐ろしき森林、クシの森

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「んん……う…」
「大丈夫ですか?ちょっと…」

目が覚めると変な場所に居た…此処は…どこ?さっきは確か…コォと一緒に街に居て……そうだ!変な奴に襲われて首を絞められたんだ!!

「くっ!!この…」
「ま、待ってください!私は敵じゃないです!貴方と同じです…」
「私と同じ…っていうか此処は何処なの?」
「記憶はありますか?思い出してみてください、自分の名前とか。」

私の名前はイン、コォと一緒にパパの呪いを解くために冒険してる。
で、先ほど思い出したように自分は悪い奴等に攫われたんだけど…この人は?
私と一緒という事は……ッ!そうだ!えーっと…支部長の…

「ナゲットさん!!」
「ゲンナです…」

そうだった…ゲンナって言う名前だった…それはともかく、この人がゲンナかぁ…
まぁ?顔は可愛いけど所詮は私の二の次って感じね。
ゲンナは此処が何処なのかをてーねいに教えてくれた。
この部屋はルリーグ古代城という廃墟の城…の地下牢で人質である私達は身代金が手に入るまで此処に監禁される。

「お怪我もなくて良かったです。」
「うん…まぁ、大丈夫だけど……!?く、臭い!アンタ臭い!」
「やっぱり…もう何日も行水をしていなくて…」

そう言いながらゲンナはシュン…水気を失った花のように萎れた。
ちょっと臭いは言い過ぎたかな?…けど!この匂いは耐えがたいかもしれない!汗臭さと脂っこい匂いがする…匂い嗅ぐだけで胃もたれしそう…

「ところで、貴方のお名前は?」
「イン…パパが影の大魔導師だよ…」
「それは!私もなんですよ!母が還の大魔導師なんです!」

私はゲンナへ助けに来るつもりだった事と、母親の正体を話した。
彼女は少しも疑う事なく、全て話を鵜吞みにした…こんな性格してるけどもし詐欺師とかに遭ったら簡単に騙されちゃいそう…

「大変ですね…」
「そうなの、で…知らない?光の大魔導師の場所。」
「街に戻れたら思い出せそうな気がします。」
「ちゃっかりしてるね。」
「だって…此処…昼は暑くて夜は寒いんですもん。」

確かに今は昼なのか、すこし蒸し暑く汗ばんでしまう。
臭くなるのも無理はないだろう…コォは私が臭くなる前に助けに来てくれるかな…?
こ、来ないなんて…無いよね?だって双子の妹だよ?
助けないで放置…なんてあるわけ無い、あって良いわけがない。

「でも…なんで私、攫われたんだろう…」
「アイツ等は子供を人質に取れば下手に動けないと知っているからです…」
「とんでもない奴等だね。」

『そうよ!俺達ゃトンデモナイ奴等さ!!』
「「!?」」

鉄製の扉の奥に声が響く…その声は低く、まるで地獄の鬼の様であった。
例えばの話であって実際に聞いた事はないが、地獄の鬼の声はこんな感じなのだろう。
それはさておき、その声を聞くとガタガタと震え、私を抱いて部屋の奥の方へ隠れる…匂いがキツイからあまり密着しないでほしいって言ったら…傷つくかな?
(随分前にコォへ同じことを言ったら数日間話をしてもらえなかったなぁ…)

「オラァ!!テメェ等!拷問の時間だァ!!」
「ひぃいいい!勘弁してください!!もう嫌です…」
「お尻に何か入れられるの?」
「それは肛門!拷問だ!お望みなら焼け火箸をぶち込んでやるが。」

入って来たのは男だ…この人は…ボス?
魔法でも撃って怯ませてやろうかと思ったが…ダメだ、何をしても魔法が使えない…
何か…特殊な電波みたいなものを受けているからか?

「今日は新入り、お前からだ…」
「ちょ!何処に連れてくの!?」
「楽しい所だ…」

私はいとも簡単に抱きかかえられるとそのまま何処かに連れていかれてしまった。
この城は所々が半壊して、陽が差し込んでいるけど、雑に補修されてもいる。
人は少ないが…殆どの人が目つきの悪い…野盗だ…怖い!
しばらく抱きかかえられていると、やがて暗い部屋に降ろされ、椅子に縛り付けられた…

「おいリイセ、こいつの嫌いなものを調べろ。」
【へい。】
「な、何をする気なの…殺す気なの!?」
「殺す?ンな事はしない…が!苦しんでもらうぜ!!」

リイセと呼ばれた魔族の男は分厚い本を持っており、それをペラペラ捲ると…

【コイツが嫌いなのは脂っこい料理だそうです。】
「な!?何故そんな事を…」
「コイツはな、特殊な魔法で分かんだよ…脂っこい料理か…ネーマ。」
【はい、ここに。】

何処からか、もう1人…魔族の女が現れた。
さっきから自分は冷や汗で震えが止まらない…な、何をする気なんだ…

「ネーマ、なんか作れ。」
【了解しました。】
「ふふふふ…先は長いぜお嬢ちゃん…」
「ひぃい…」

・・・

「クッソぉお!!アイツ等め!!人質を!!」
「落ち着けズラッソ、立場の者としてその発言は如何なものかと思うぞ。」
「そうだよ…」
「そ、それもそうだな…すまない…」

俺の名前はコォ、クネと共に教会へ戻って事情を説明した冒険者だ。
事情を話すなり、ズラッソは激昂したが…直ぐに落ち着きを取り戻した。

「マズイな…10万ドルのカンパすら集まってないのに…」
「私とコォが行けば何とかなるだろう。」
「そりゃ!言うのは簡単だ!だがクシの森だぞ!」

クシの森は魔物がひしめき合う凶悪な森だ。
だが場所が場所なので敵を撒くことは容易いとも聞いた、それにクネが居る…もし逃げられない場合は2人で掛かれば何とかなるかもしれない。
お金も払えないのでインとゲンナが健康なうちに助け出した方が良いだろう。

「んじゃ、私達は行くぞ。ズラッソ、お前はどうする?」
「どうするって…行くわけ無いだろ!死ぬようなものだ!」
「あ、そう。もしゲンナ様を助け出したら私、結婚してなんて言われちゃうかも。」
「…勝手にしろ。認めはしないからな。」
「…?」

自分は話が飲めなかったが、構わずクシの森まで行くことにした。
馬車は手紙を見せれば出してくれるが…クネが「出せ」と言えば出る。
この人も大変だ、危険を冒して森の付近まで行かないといけないのだから。

「急行用のアレを出せ。」
【えぇ!?で、ですけど…値が張りますよ…】
「領収書はウチに付けとけ。」
【そういう事なら良いですけど…厄日だなぁ…トホホ…】
「アレって何ですか?」
「急行用の馬だ。馬車など使わん。」

従業員に連れて来られた馬は図体がデカく、鼻息の荒い黒馬2頭だ。
ドッシドッシと歩いているが…これは…魔物か?

「ほら、乗れよ。」
「すいません…馬は扱えなくて…」
「しょうがねぇな…1頭だけ連れて行って帰りはゲンナ様だけでも…」

「おーい!待ってくれよ!!」
「うん?ズラッソじゃないか、何か忘れもの?」

奥からズラッソが走ってやって来た…随分とつかれている様だ。
普段、運動などをしないのだろうか?仕事上、部屋の中に居ることが多そうだしね。
そんな事はともかく!!

「私も行かせてくれ…魔法は使える。」
「よし、だったらズラッソ、コォを後ろに連れてお前も馬に乗れ。」
「マジかよ…最初に後ろに乗せるのは恋人って決めてんだけど…」
「コォ、ズラッソは出来る奴だぞ。」
「男同士は勘弁です。」

冗談はさておき、馬に跨った自分達はすぐさま、クシの森へと向かった!
は、速い!!速すぎる!力強い走りは並みの馬の比じゃない!
硬い筋肉のせいで座り心地はアレだが…直ぐに森へと着きそうだ!
しかし…気になったことが1つ…

「なぁ、ズラッソ。良いか?」
「なんだよ、吐きそうなのか?後ろに吐けよ。」
「違うんだ…その、仕事はどうしたんだ?」
「仕事?副副支部長に任せておいた。」

なんだ…副副支部長まで居るのか……だが、そんな人…居たっけ?
まぁ良い!待ってろ!インと…ナントカさん!今助けに行くぞ!
・・・

「うぎゃー!!嫌だぁあ!!近付けないで!!」
「ダメだ、観念して食え。」

私は拷問と称され、変な炒め料理を口に押し付けられていた。
これはダメなヤツだ!匂いだけでも具合が悪くなってきた…しかも…臭い!青臭い!
こんなもの食べたら下痢になっちゃう!

「美味いのに…レバニラ炒め……うん!美味いよ、ネーマ。」
【ありがとうございます。】
「うっぷ…脳がもたれて来た…」
「さぁ食うんだ!レバーは鉄分豊富だ!好き嫌いしてると大きくなれないぞ?」

ネトネトと口へ炒め物を押し付けられ、口の周りがベトベトだ…
それでもめげずに歯を食いしばって断固として耐える!絶対に食うものか!

「強情な奴だな…おい、ネーマ…やれ。」
【はい。】
「ちょ!何を…あがが!!」
「無理やりにでも押し込んでやる…吐くなよ?」
「んごごご!!」

ネーマと言う女は後ろから私の口を無理やりこじ開け、その隙に奴は料理を口の中へ押し込む!!野菜の青臭さとレバーの血生臭さが口に広がる…
気持ちが悪い…吐いてしまおうと考えたが…
吐けばそれを食わせると言われたのであまり噛まずに飲み込んだ。

「んげ…はぁ…はぁ…」
「ようやく食ったか…さて、次だ。」
「いや…もう嫌…んが!?」
【は、早く!この子供、結構顎の力が強いです!!】

拷問は終わらない。
・・・

「此処がそうだな…お前等、準備は良いか?」
「お、恐ろしい…」
「聞いていた通り…うぅ…血生臭せぇ…」

俺達はクシの森入り口まで到着した…入口だというのに禍々しい雰囲気を放っており、血生臭い湿った空気が充満している…
看板も立てられており、『死にたい奴だけ入れ』と書いてある。

「武器は常に抜いておけ、何が起きるか分からん。」
「分かりました。…ズラッソは?」
「魔法がある。」
「なら良いな、行くぞ!!」

メイスを手に持つと、3人で一斉に森の中へ足を踏み入れた…その瞬間!
恐ろしい程の気配と威圧感を全身に受けた…まるで肉食獣に見られているかのような気分だ…どうやら…もう目を付けられてしまっているらしい。
つまり、もう見つかっているのだ…

【ギシャァァァアア!!】
「ハァ!!」
【ンズッバァ!?】
「うぉお!?い、いきなり…」

まだ1分と経たずうちに何かがこちら目掛けて飛んで来ると、クネはそれを剣で真っ二つに斬り裂く!飛んできたのはコウモリだ…コウモリにしては…大きいかも?
これは魔物なのかそうじゃないのかよく分からないな…

「あの…これって…魔物ですか…?」
「そうだ。名は知らんがこの森で生きて行けるのは魔物のみだ。」
「必然的に魔物だけが残るようになるのさ、残った魔物は…」
「お互いを殺し合うんですか…?」
「そういうこった、此処ででる生物は全員魔物だと思え。」

自分はビクビクしながらメイスを構えて進む…よりにも寄って一番後ろだなんて…
戦い慣れしていないので後ろから不意打ちを喰らったら…縁起でも無い事を考えるのは止めておこう…

「……ッ!!隠れろ!!」
「ひぃい!な、なんですか…」
「静かにしろ…魔導人だ…」

【ビーボッボ…バーブッブ…ゴババババ…】
「(あれが魔導人…)」

木の陰に3人で隠れると…森林を歩く影が1つ…あれが魔導人と呼ばれるものか…
腕は無く、ガイコツ…のように細い体をしている…アレは何で出来ているんだ?金属で無ければ木でも無い…不思議でならない…物が動いているのか?
とにかく、戦うのはマズいので、隠れてやり過ごすことに…

【バンバンバン…ブーブン…ギュビィイイイイイ!!】
【ンギゴゴゴゴ!!】
「(もう一体出た!)」
【ズバババババババ!!ズビビビィイイ!】
【ンゴゴーゴッゴ…ガッガゴ?】

もう一体現れた魔導人は下半身が無く、バチバチと火花を散らしながら腕を使って移動している…雑音みたいなものを出し合っているが…会話をしているのか?
魔物もするんだな…増してや魔導人などという奴が…

【ズボォオ!バッビゴン……ゴビビ?】
【ンギギ…】
【ズッビボォオオオ!!】

「アイツ等…会話してんのか?」
「さぁ…分かりません…」
「様子見だ。今飛び出すのはマズい。」

奴らが解散して居なくなるのを待ってから行こうという事だが…
次の瞬間!脚がある魔導人は下半身の無い相手の顔をバギバギに蹴り壊す!!
3人共呆気に取られて見ていると…蹴り壊した方は上を向いて顔から何かを射出すると…それは上へ飛んで行き…しばらくすると撃った本人へ落下し、爆破した…
自殺…したのか?何が起きたかは分からないが、一瞬にして目の前の魔導人が2体とも壊れた…ラッキーと言うべきだろうか?

「やっぱ…魔物が考える事はよく分かんねぇな…」
「分からなくて良いだろう。先へ行くぞ。」
「は、はい…」

恐ろしやクシの森…入って早々に魔物と出会い…そして訳の分からないモノを見せられるとは…森の入り口で置いて来た馬は大丈夫なのだろうか?
クネとズラッソは大丈夫と言っているが…少し心配だ。
それと同時にインとゲンナの方も心配だ、何もされて無いと良いが…

つづく
・・・
諸々図鑑3
名前:魔導人 分類:魔物(造) 発見者:07探検隊(諸説あり)
危険度:レベル3(直ぐに退避) 標的:同族以外の生命体

『魔導人は古代の魔族が造ったとされる魔物である。機械のような身体をしており、金属とも植物ともつかない不思議な素材で作られている。魔導人にはモデルと言うものがあり、それぞれ聴覚、視覚、嗅覚が優れている者が存在している。また腕の無いモノや、脚の無いモノも存在している…何時にどういう目的で造られたかは不明…主な武装は腕による怪力、頭部から射出する光線…特に光線は非常に危険で地面を抉り、樹木を一瞬で焼け焦がしてしまうほどだ。そして魔導人最大の特徴は同じ魔導人同士で会話のような行動するというのだ…我々には分からない言語、または電波で会話していると思われ、捕獲した魔導人で実験した際には……自殺してしまった…感情なんて無いと思われる。』
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