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第1部【明暗の大魔導師】編
第17話 固定概念、既定運命
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俺の名前はコォ、インと共に旅をしているが街で休んでいる冒険者だ。
父さんの呪いを解ける光の大魔導師を捜しに来たが、此処であまり良い情報は得られなかった…しかし、此処から遠く行ったモース地方の本部へ行けば何かわかるだろう。
推薦状を書いてもらう事になったのだ…明日、この街を去る。
「おい、お前等。邪魔するぞ。」
「クネさん、どうも。」
「よぉ、遅かったじゃねぇか。」
「まぁな…ゲンナの仕事も終わったし…飯でも食いに行くぞ。」
明日、此処から去るので最後に美味しいご飯を奢ってくれるらしい…ゲンナが。
一応救い出した礼も含めてだ、礼に相応しいものをご馳走してくれるそうだ。
楽しみ楽しみ…そう思いながら4人で教会まで行き、ゲンナを迎えに行く…
彼女はいつもの服装とは違い、顔を隠すように厚い上着を羽織っている…どうやら身分を隠さないと大騒ぎになってしまうらしい。
(今代の大魔導師の娘なら納得である。)
「お庶民は招かれない超高級料理店へ招くわ。楽しみにね。」
「自分は別に居酒屋でも良いんだけどな。」
「そうだな、副支部長のお前にはそれが似合っている。」
「衛兵長が何言ってんだか。」
やっぱりこの2人は…仲が良いのだろう。
それはそうと、しばらく歩いて行くと、人通りは減り…その代わりに衛兵の数が多い通りへやって来た…ここら辺の建物はブティックやジュエリーショップが多い。
「ここら辺は上流階級の人間しか入れない店ばかりよ。」
「とはいってもこの街にそんな奴、あんまり居ねぇけど。」
「果たして私も上流階級に入るのだろうか…」
「クネさんは衛兵長ですから…入ってると思います。」
「そうか……けどあんまり嬉しく無いな…」
やがて自分達が着いたのは…割とオシャレな外装の建物…窓から見える内装も凄く…煌びやか?ゴージャス?
(恐らくマダガスカルでは無い…てかなんだソレは?)
「いらっしゃいませ…あの…当店では正装を…」
「ワタシよ、個室をお願い。」
「わ、分かりました!直ぐに!!」
ゲンナが一瞬だけ出した顔を見た店員は直ぐに自分達を個室まで案内してくれた…どうやらこういう類のお店ではきちんとした正装で来ないといけないらしい。
勉強になったなぁ…
それはともかく!自分達が通されたのはかなり広い部屋…個室と言うより、玄関って感じがする…失礼かな?
中央の大きめの円卓につけば…皆とすこし離れて寂しい。
「飲み物頼もうぜ、自分はとりあえず生かな…」
「居酒屋かよ…ンなもん無いぞ…あっても防腐剤入りのワインぐらいだろ…」
「ぼーふざい?(棒が居ないのかな…)」
「というかズラッソもワタシもコォもインも未成年よ?お酒は飲めないわね…」
「(嘘だろ…この中で成人してんの自分だけか…なんかショック…)」
防腐剤と聞いてインが何か変な事を考えていたが…良しとしよう。
ゲンナは店員を呼び、適当に飲み物を頼んだ…クネは成人しているので酒を頼んでも良いと言われたが…本人は1人で酔いたくないと断った。
「そうね…料理は……適当に見繕って。」
「適当に!?こ、困ります…お客様…」
当たり前だ…そんな事を言われたら作る人も困るだろう。
そう言われるとゲンナは適当にメニューを開いて指さしで注文し始めた…自分達は彼女の全部任せることにした、代金は彼女は建て替えてくれるし。
「じゃ、コレとコレ…あとこのコースと…」
「ゲンナ様、ナゲット食べたい、サーモンナゲット。」
「ではナゲットも。」
「ナ!?ナゲット!?そのような下品な料理を当店ではお出しできません…」
サーモンナゲットがどんな料理かは知らないが、このようなお店で置けないほど下品な料理だと言うことは分かった…一体どんな物なのだろう。
「だったら買って来て。これで買えるだけ。」
「え、えぇ…(前代未聞だ…もうこの店辞めよっかな…)」
「あ、ソースはマスタードとランチで頼むぜ。」
ゲンナから100ドル札を受け取った店員は注文を繰り返した後、行ってきますと言って本当に買いに行った…あの人も大変だ…ウェイターなのに…
料理と飲み物が来るまで暇なので何か話すことに。
「ゲンナ様、もしかして拷問とかされてた?」
「え、ええ…そりゃ…」
「(帰ったらモギス達を絞めておくか…)」
ゲンナはどうやら野盗達から拷問を受けていた様だ。
拷問の内容は一番彼女が嫌いな虫や爬虫類、両生類を身体に密着させられるという精神的に一番嫌なタイプの拷問…
インも受けていたらしく、味の濃くて脂っこい料理を無理やり食わされていたと…恐ろしい奴等だな…捕まって良かった。
(どさくさに紛れて奴の顔面にメイスをめり込ませれば良かったかな…)
「ところで…クネさんってザリィさんとはどんな関係なんですか?」
「急だな…」
「確かに、クネってあのクソッタレと何気に面識有るよな。」
「馬車でも話してたしね。」
自分が思うにクネとザリィは何かしら…知り合いのような気ががする。
だがザリィは旅人、この街で兵長をやっているクネとはあまり合わない気がするな。
「簡単だ、アイツは…幼馴染だ。」
「えぇ!?お、幼馴染…?それって…故郷が一緒って事ですか?」
「ワタシ、クネの実家知らないわね。何処なの?」
「………サーバという国だ。」
曰く、サーバは此処から遠く離れた…ダニーグ大陸では無く、完全なる海外の国。
ザリィと同じ村の生まれで昔は親友だった様だ…今は知らない。
ちなみにサーバ国は炭鉱が有名で流通している石炭の3割がバーサ産らしい…
「あの国は固定観念が酷いと聞いたな。」
「まぁな…それが嫌で私はこの国へ来たんだ。」
「そうだったのね…だけど、悪い事じゃないわ。」
「そう言ってもらえるとありがたい…すまない、湿っぽい話にして…」
国や村が残す歴史と文化に背くことは良い事とは言わないが、悪い事でも無い。
今の世界は(一部を除いた)種族は公平であるべきと言われ、種族や人種では無く、個人として評価されていると新聞で見たことがある。
その代わり、能の無いモノは容赦なく斬り捨てられる。
・・・
「ひゃっはー!美味い!…けどこんな大量のナゲット食えるかな…」
「33箱か…1箱7ピースだから…」
「231ピースですね。」
「さらに最低でも約20回噛むと考えれば…約4620回噛むことになるわね。」
「ゲンナって頭いいね。」
「ふふん♪伊達に支部長やって無いのよ、インも勉強すればなれるかもね。」
ンなものにインをならせたくない。
それはそうと、コース料理の前菜と飲み物…そして33箱のナゲットが来た。
ズラッソはともかく、前菜は季節の野菜の…ナントカだ、サラダかも。
「オシャレな味がする…これが上流階級の味ですか…」
「まぁ美味くは無いな。高級料理は味が全てでは無いからな。」
「味が悪い料理って店としてダメなんじゃ…」
「イン、それは禁句よ。」
前菜が済んだら次はスープだ…何かのポタージュ…黄色くて…甘じょっぱい。
なんか食べた事ある味だ…けど思い出せない…なんの味だろう?
「温度と言い、歯ざわりからして…ゲロだな。」
「ブッ!?ちょ、ちょっとやめろよクネ…」
「そうよ、ゲロより下痢便の方が正しいわ。」
「そうか…すまなかったな…コォ、イン。」
「なんで俺達に謝るんですか…」
気を取り直して…次は魚料理だ!こんな感じで尺を稼ぐから書きたいモノも書けないな…魚料理は「アカネコザメ」のムニエルだ。
とても貴重な魚らしい、見た目はただのナマズと言っていたが。
味は…うん、淡泊って感じだ…トカゲの肉に似ている。
「なんか爬虫類の味がするね、コォ。」
「まったくだな。」
「うげ…お前等爬虫類食ったことあるのかよ…」
「世界は広いんだな。」
「もしかしたら食事に困っているの?」
変な心配をされたが、次だ…次は口直しを挟んで肉料理。
新鮮な馬の刺身………?な、生肉?生で肉を食べるの?そんな事したら食中毒になるのでは?
「これはちゃんとした肉だから病気にはならないぞ。安心しろ。」
「そうなんですか…だったら安心ですね…」
「不思議な感覚だなぁ…生の肉って初めて食べたかも。」
次はいよいよメインだ、メイン料理はラム肉とキノコの包み焼き。
ラム肉なんて久しぶりに食べるな…高いだけあって美味しいや…
良く味わって食べよう。
「……クネっち、これあげる。」
「お前って確か味が濃いのはダメだったな…良いぞ、もらう。」
「食べられない物があるとよく人生の半分損してるって言われるよな。」
「そう言う人に限って一生の半分すら楽しめて無いのよ。」
なんだか深い言葉を貰った…別に食事と言うのは誰かに無理やり食わされるものでは無いからな、別に残すことに関してはアレだが…今回は目を瞑ろう。
奢ってもらったのになんだか悪い事をしたな…
そして次はデザート…サラダは結局で無かったな…もしかして前菜がサラダの役割をしていたのか?
「………ちょっと外の空気を吸って来る。」
「クネ、どうかしたのか?」
「何でもねぇよ。ちょっと鎧が蒸れただけだ。」
皆が楽しく話す中、クネは外の空気を吸うと出て行った…何かあったのか…
自分もトイレついでについて行くことにした…後ろからバレないように。
ところでクネは食事中も兜を脱がなかった、ズラして食していたのだ。
食べずらいと思う…何をしてまで顔を架空のだろうか?…人間じゃないとか?
まさかそんな事が…あるわけ無い、あり得ない、起こり得ないバカバカしい事だ。
「(外まで来たけど…こんな路地裏に?)」
クネは外へ出ると暗い路地裏へ入って行った…なぜこんな所に?
こんなに狭く、生温い空気しか来ない場所なんてリフレッシュしに来る場所では無い。
「………コォ、居るんだろう。」
「ッ!?…な、何故…分かったんですか…」
「そのくらいなら気配で分かる。」
クネはため息をつくと、こちらへ振り返り…壁へ背中をついて寄り掛かった。
「お前は口が堅そうだな。」
「…それは分かりません、自分でも。」
「コォ…もうお前にしか相談できない…私の悩みを聞いてくれないか?」
「……お力になれるのなら。」
悩みの相談なんてされたこと無いな…けど助けになるなら、なりたい。
聞くだけなら無料だ、それに意外と大したこと無いかも。
「落ち着いて聞いてくれ………私はゲンナが好きだ…」
「…そうすか。」
そのくらいならお見通しだ…少しだけ分かっていた。
というかズラッソに聞いた、彼は近々その事でクネをからかおうとしている。
…怒られてボコボコにされるアイツの顔が思い浮かぶな。
「好きなら好きだと本人に言えば良いじゃないですか。」
「それが出来たら苦労はしないさ……私は……私は…」
「…クネさん?」
「私も女なんだ…」
「は!?」
クネが女…?女がクネ…?だとすれば……ゲンナは男になるのか?
「女同士なんて気持ち悪いよな…」
良かった…ゲンナも女性か…だとすれば…いや!良いのか!?
女同士?普通、恋や愛ってのは男女間にしか無いんじゃないのか?だって…だって!!おかしいじゃん!何かわからないけど…おかしいじゃん…
だけど…分からないならおかしくない?…意味が分からない…
「どうすれば…教えてくれ!」
「い、言おう、好きだって。」
「やっぱり…それしかないのか!!ちくしょう!!…ッガフ!?」
「クネさん!?」
クネは兜を脱ぐと地面へ投げつけた…しかし、その先には自信のつま先が…
兜は凄い勢いでビキッ!と音を鳴らしてクネの指を粉砕した。
「痛い…」
「今回復するんで待ってください…」
「だけど…この痛みが私を前へ…」
「押し出しません。痛いのは痛いんです。」
「そっかぁ。」
ところで治療終えたが…クネってこんな顔をしていたのか…やはり女性っぽい?
髪型は自分と同じでほとんど坊主だし、目だって厳つい。
こんな女性が町で話しかけてきたら逃げてしまう自信がある。
「ありがとうコォ…私…前へ行ける気がした…」
「お礼なんて言わないでください…自分は何もしてないんで。」
「じゃ、今のは回復の礼だな。さてと!」
「やっぱり兜、被っちゃうんですか?」
「まぁな、この兜は大切な物だ、粗末に出来ん。」
「(さっき投げてたじゃん…)」
兜を再度、装着したクネは自信満々な感じで歩いて部屋へ戻る。
自分もその後を付いて行き、一緒に部屋へ戻った。
「あぁ、クネ…何かあったの?」
「…ゲンナ。聞いて欲しい事がある。」
「何かしら?」
こうして時は過ぎて行く。
つづく
・・・
ティア―バーガーの商品について
著者:スパローグ氏(本社技術開発部所属)
『ティア―バーガーはついに店舗数が100を超えました。これは実に喜ばしい事です。これに伴い、全商品半額キャンペーンを今月末まで行います。しかし、その間の商品の原料と調理方法については非公開となりますが消費者の皆様には害の無い健康的な物を提供しますのでご心配なく。………現在、3種類のメニューが非常に売れていることが分かった。これらはキャンペーン中、コストを抑えるために原料と調理方法を変更する。1つ目は看板商品のハンバーガー。原料の肉を外国産の牛肉から恐竜と鶏の合い挽き肉へと変える、スパイスを入れて焼けば気付かれないだろう。2つ目はサーモンナゲット。原料のサーモンのうち6割をサーバ産からダニーグ海域産の物に変更、工場で揚げたものを店舗で解凍するように。最後はオレンジジュース、匂いを強くして水で薄める…これで売り上げは著しく上がること間違いなし。消費者共は味音痴だから気付かず、喰らい付くだろうな。』
父さんの呪いを解ける光の大魔導師を捜しに来たが、此処であまり良い情報は得られなかった…しかし、此処から遠く行ったモース地方の本部へ行けば何かわかるだろう。
推薦状を書いてもらう事になったのだ…明日、この街を去る。
「おい、お前等。邪魔するぞ。」
「クネさん、どうも。」
「よぉ、遅かったじゃねぇか。」
「まぁな…ゲンナの仕事も終わったし…飯でも食いに行くぞ。」
明日、此処から去るので最後に美味しいご飯を奢ってくれるらしい…ゲンナが。
一応救い出した礼も含めてだ、礼に相応しいものをご馳走してくれるそうだ。
楽しみ楽しみ…そう思いながら4人で教会まで行き、ゲンナを迎えに行く…
彼女はいつもの服装とは違い、顔を隠すように厚い上着を羽織っている…どうやら身分を隠さないと大騒ぎになってしまうらしい。
(今代の大魔導師の娘なら納得である。)
「お庶民は招かれない超高級料理店へ招くわ。楽しみにね。」
「自分は別に居酒屋でも良いんだけどな。」
「そうだな、副支部長のお前にはそれが似合っている。」
「衛兵長が何言ってんだか。」
やっぱりこの2人は…仲が良いのだろう。
それはそうと、しばらく歩いて行くと、人通りは減り…その代わりに衛兵の数が多い通りへやって来た…ここら辺の建物はブティックやジュエリーショップが多い。
「ここら辺は上流階級の人間しか入れない店ばかりよ。」
「とはいってもこの街にそんな奴、あんまり居ねぇけど。」
「果たして私も上流階級に入るのだろうか…」
「クネさんは衛兵長ですから…入ってると思います。」
「そうか……けどあんまり嬉しく無いな…」
やがて自分達が着いたのは…割とオシャレな外装の建物…窓から見える内装も凄く…煌びやか?ゴージャス?
(恐らくマダガスカルでは無い…てかなんだソレは?)
「いらっしゃいませ…あの…当店では正装を…」
「ワタシよ、個室をお願い。」
「わ、分かりました!直ぐに!!」
ゲンナが一瞬だけ出した顔を見た店員は直ぐに自分達を個室まで案内してくれた…どうやらこういう類のお店ではきちんとした正装で来ないといけないらしい。
勉強になったなぁ…
それはともかく!自分達が通されたのはかなり広い部屋…個室と言うより、玄関って感じがする…失礼かな?
中央の大きめの円卓につけば…皆とすこし離れて寂しい。
「飲み物頼もうぜ、自分はとりあえず生かな…」
「居酒屋かよ…ンなもん無いぞ…あっても防腐剤入りのワインぐらいだろ…」
「ぼーふざい?(棒が居ないのかな…)」
「というかズラッソもワタシもコォもインも未成年よ?お酒は飲めないわね…」
「(嘘だろ…この中で成人してんの自分だけか…なんかショック…)」
防腐剤と聞いてインが何か変な事を考えていたが…良しとしよう。
ゲンナは店員を呼び、適当に飲み物を頼んだ…クネは成人しているので酒を頼んでも良いと言われたが…本人は1人で酔いたくないと断った。
「そうね…料理は……適当に見繕って。」
「適当に!?こ、困ります…お客様…」
当たり前だ…そんな事を言われたら作る人も困るだろう。
そう言われるとゲンナは適当にメニューを開いて指さしで注文し始めた…自分達は彼女の全部任せることにした、代金は彼女は建て替えてくれるし。
「じゃ、コレとコレ…あとこのコースと…」
「ゲンナ様、ナゲット食べたい、サーモンナゲット。」
「ではナゲットも。」
「ナ!?ナゲット!?そのような下品な料理を当店ではお出しできません…」
サーモンナゲットがどんな料理かは知らないが、このようなお店で置けないほど下品な料理だと言うことは分かった…一体どんな物なのだろう。
「だったら買って来て。これで買えるだけ。」
「え、えぇ…(前代未聞だ…もうこの店辞めよっかな…)」
「あ、ソースはマスタードとランチで頼むぜ。」
ゲンナから100ドル札を受け取った店員は注文を繰り返した後、行ってきますと言って本当に買いに行った…あの人も大変だ…ウェイターなのに…
料理と飲み物が来るまで暇なので何か話すことに。
「ゲンナ様、もしかして拷問とかされてた?」
「え、ええ…そりゃ…」
「(帰ったらモギス達を絞めておくか…)」
ゲンナはどうやら野盗達から拷問を受けていた様だ。
拷問の内容は一番彼女が嫌いな虫や爬虫類、両生類を身体に密着させられるという精神的に一番嫌なタイプの拷問…
インも受けていたらしく、味の濃くて脂っこい料理を無理やり食わされていたと…恐ろしい奴等だな…捕まって良かった。
(どさくさに紛れて奴の顔面にメイスをめり込ませれば良かったかな…)
「ところで…クネさんってザリィさんとはどんな関係なんですか?」
「急だな…」
「確かに、クネってあのクソッタレと何気に面識有るよな。」
「馬車でも話してたしね。」
自分が思うにクネとザリィは何かしら…知り合いのような気ががする。
だがザリィは旅人、この街で兵長をやっているクネとはあまり合わない気がするな。
「簡単だ、アイツは…幼馴染だ。」
「えぇ!?お、幼馴染…?それって…故郷が一緒って事ですか?」
「ワタシ、クネの実家知らないわね。何処なの?」
「………サーバという国だ。」
曰く、サーバは此処から遠く離れた…ダニーグ大陸では無く、完全なる海外の国。
ザリィと同じ村の生まれで昔は親友だった様だ…今は知らない。
ちなみにサーバ国は炭鉱が有名で流通している石炭の3割がバーサ産らしい…
「あの国は固定観念が酷いと聞いたな。」
「まぁな…それが嫌で私はこの国へ来たんだ。」
「そうだったのね…だけど、悪い事じゃないわ。」
「そう言ってもらえるとありがたい…すまない、湿っぽい話にして…」
国や村が残す歴史と文化に背くことは良い事とは言わないが、悪い事でも無い。
今の世界は(一部を除いた)種族は公平であるべきと言われ、種族や人種では無く、個人として評価されていると新聞で見たことがある。
その代わり、能の無いモノは容赦なく斬り捨てられる。
・・・
「ひゃっはー!美味い!…けどこんな大量のナゲット食えるかな…」
「33箱か…1箱7ピースだから…」
「231ピースですね。」
「さらに最低でも約20回噛むと考えれば…約4620回噛むことになるわね。」
「ゲンナって頭いいね。」
「ふふん♪伊達に支部長やって無いのよ、インも勉強すればなれるかもね。」
ンなものにインをならせたくない。
それはそうと、コース料理の前菜と飲み物…そして33箱のナゲットが来た。
ズラッソはともかく、前菜は季節の野菜の…ナントカだ、サラダかも。
「オシャレな味がする…これが上流階級の味ですか…」
「まぁ美味くは無いな。高級料理は味が全てでは無いからな。」
「味が悪い料理って店としてダメなんじゃ…」
「イン、それは禁句よ。」
前菜が済んだら次はスープだ…何かのポタージュ…黄色くて…甘じょっぱい。
なんか食べた事ある味だ…けど思い出せない…なんの味だろう?
「温度と言い、歯ざわりからして…ゲロだな。」
「ブッ!?ちょ、ちょっとやめろよクネ…」
「そうよ、ゲロより下痢便の方が正しいわ。」
「そうか…すまなかったな…コォ、イン。」
「なんで俺達に謝るんですか…」
気を取り直して…次は魚料理だ!こんな感じで尺を稼ぐから書きたいモノも書けないな…魚料理は「アカネコザメ」のムニエルだ。
とても貴重な魚らしい、見た目はただのナマズと言っていたが。
味は…うん、淡泊って感じだ…トカゲの肉に似ている。
「なんか爬虫類の味がするね、コォ。」
「まったくだな。」
「うげ…お前等爬虫類食ったことあるのかよ…」
「世界は広いんだな。」
「もしかしたら食事に困っているの?」
変な心配をされたが、次だ…次は口直しを挟んで肉料理。
新鮮な馬の刺身………?な、生肉?生で肉を食べるの?そんな事したら食中毒になるのでは?
「これはちゃんとした肉だから病気にはならないぞ。安心しろ。」
「そうなんですか…だったら安心ですね…」
「不思議な感覚だなぁ…生の肉って初めて食べたかも。」
次はいよいよメインだ、メイン料理はラム肉とキノコの包み焼き。
ラム肉なんて久しぶりに食べるな…高いだけあって美味しいや…
良く味わって食べよう。
「……クネっち、これあげる。」
「お前って確か味が濃いのはダメだったな…良いぞ、もらう。」
「食べられない物があるとよく人生の半分損してるって言われるよな。」
「そう言う人に限って一生の半分すら楽しめて無いのよ。」
なんだか深い言葉を貰った…別に食事と言うのは誰かに無理やり食わされるものでは無いからな、別に残すことに関してはアレだが…今回は目を瞑ろう。
奢ってもらったのになんだか悪い事をしたな…
そして次はデザート…サラダは結局で無かったな…もしかして前菜がサラダの役割をしていたのか?
「………ちょっと外の空気を吸って来る。」
「クネ、どうかしたのか?」
「何でもねぇよ。ちょっと鎧が蒸れただけだ。」
皆が楽しく話す中、クネは外の空気を吸うと出て行った…何かあったのか…
自分もトイレついでについて行くことにした…後ろからバレないように。
ところでクネは食事中も兜を脱がなかった、ズラして食していたのだ。
食べずらいと思う…何をしてまで顔を架空のだろうか?…人間じゃないとか?
まさかそんな事が…あるわけ無い、あり得ない、起こり得ないバカバカしい事だ。
「(外まで来たけど…こんな路地裏に?)」
クネは外へ出ると暗い路地裏へ入って行った…なぜこんな所に?
こんなに狭く、生温い空気しか来ない場所なんてリフレッシュしに来る場所では無い。
「………コォ、居るんだろう。」
「ッ!?…な、何故…分かったんですか…」
「そのくらいなら気配で分かる。」
クネはため息をつくと、こちらへ振り返り…壁へ背中をついて寄り掛かった。
「お前は口が堅そうだな。」
「…それは分かりません、自分でも。」
「コォ…もうお前にしか相談できない…私の悩みを聞いてくれないか?」
「……お力になれるのなら。」
悩みの相談なんてされたこと無いな…けど助けになるなら、なりたい。
聞くだけなら無料だ、それに意外と大したこと無いかも。
「落ち着いて聞いてくれ………私はゲンナが好きだ…」
「…そうすか。」
そのくらいならお見通しだ…少しだけ分かっていた。
というかズラッソに聞いた、彼は近々その事でクネをからかおうとしている。
…怒られてボコボコにされるアイツの顔が思い浮かぶな。
「好きなら好きだと本人に言えば良いじゃないですか。」
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「…クネさん?」
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「は!?」
クネが女…?女がクネ…?だとすれば……ゲンナは男になるのか?
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良かった…ゲンナも女性か…だとすれば…いや!良いのか!?
女同士?普通、恋や愛ってのは男女間にしか無いんじゃないのか?だって…だって!!おかしいじゃん!何かわからないけど…おかしいじゃん…
だけど…分からないならおかしくない?…意味が分からない…
「どうすれば…教えてくれ!」
「い、言おう、好きだって。」
「やっぱり…それしかないのか!!ちくしょう!!…ッガフ!?」
「クネさん!?」
クネは兜を脱ぐと地面へ投げつけた…しかし、その先には自信のつま先が…
兜は凄い勢いでビキッ!と音を鳴らしてクネの指を粉砕した。
「痛い…」
「今回復するんで待ってください…」
「だけど…この痛みが私を前へ…」
「押し出しません。痛いのは痛いんです。」
「そっかぁ。」
ところで治療終えたが…クネってこんな顔をしていたのか…やはり女性っぽい?
髪型は自分と同じでほとんど坊主だし、目だって厳つい。
こんな女性が町で話しかけてきたら逃げてしまう自信がある。
「ありがとうコォ…私…前へ行ける気がした…」
「お礼なんて言わないでください…自分は何もしてないんで。」
「じゃ、今のは回復の礼だな。さてと!」
「やっぱり兜、被っちゃうんですか?」
「まぁな、この兜は大切な物だ、粗末に出来ん。」
「(さっき投げてたじゃん…)」
兜を再度、装着したクネは自信満々な感じで歩いて部屋へ戻る。
自分もその後を付いて行き、一緒に部屋へ戻った。
「あぁ、クネ…何かあったの?」
「…ゲンナ。聞いて欲しい事がある。」
「何かしら?」
こうして時は過ぎて行く。
つづく
・・・
ティア―バーガーの商品について
著者:スパローグ氏(本社技術開発部所属)
『ティア―バーガーはついに店舗数が100を超えました。これは実に喜ばしい事です。これに伴い、全商品半額キャンペーンを今月末まで行います。しかし、その間の商品の原料と調理方法については非公開となりますが消費者の皆様には害の無い健康的な物を提供しますのでご心配なく。………現在、3種類のメニューが非常に売れていることが分かった。これらはキャンペーン中、コストを抑えるために原料と調理方法を変更する。1つ目は看板商品のハンバーガー。原料の肉を外国産の牛肉から恐竜と鶏の合い挽き肉へと変える、スパイスを入れて焼けば気付かれないだろう。2つ目はサーモンナゲット。原料のサーモンのうち6割をサーバ産からダニーグ海域産の物に変更、工場で揚げたものを店舗で解凍するように。最後はオレンジジュース、匂いを強くして水で薄める…これで売り上げは著しく上がること間違いなし。消費者共は味音痴だから気付かず、喰らい付くだろうな。』
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ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
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