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第1部【明暗の大魔導師】編
第29話 大要塞の影
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俺の名前はコォ…イワと……ってこの説明いるかな…どうせ前回も、その前回も見てる人だけがこの回を見ている事だろう…
とにかく、5人でモース地方の「ナヲツケルノヲワスレタセイデナナシノ岩山」の高原にて休んでいる…暗いので分からないが、あの出っ張りを越えた先にモース大要塞があるらしい。
しかし…相変わらず、ここら辺はオイル臭い…灰の中がヌルヌルしてしまいそうな程に。
「ベンガ、見張っておけ。俺達は休む。」
「アイアイサ―。」
「大丈夫なんですか?」
「へーきへーき!別にそんな疲れて無いし。」
「そうだぜ、こんなカス、いたわろうとするな。」
ちょっと可哀想だけど…自分は少しだけ横になる事にした。
地面がちいとばかし、ベトネチョしており、月明かりが微妙に暗くて何も見えない…それに寒い…
とてもじゃないが、寝れるような気はしない…とりあえず、目だけでも瞑っておこう…確か効果があると聞いた事がある。
「…どうかした?イワ。」
【いや…寒いから。】
「なら上着を貸すよ。ほら。」
あんまり他人と密着すると落ち着かないので、寒くなるが着ていた上着をイワに貸した…まぁサイズは少しばかり小さいかもしれないが、我慢してもらおう。
羽織らなくても掛けるだけで温かいし。
【ありがとう……けどコォは?】
「俺は良いよ別に。イワは女の子だろ、身体は大事にしないと。」
【うん…オイル臭い…】
「あんまり匂いは嗅がないでよ…」
前も言ったが、悪人で無いなら他人には優しく接しろと父さんに言われた。
人かどうかとは…まぁ言葉の綾だろう…
そんな無駄な事を考えるのは止めて、今は休むことに専念するか。
こうやってゆっくりできている時間は大切なのだ。
・・・
「おい、コォ…起きろよ。おい。」
「うーん…?んあ…寝てましたか…?」
「まぁな。ぐっすりとな。」
寝られないかと思ったが、意外と人間はどこでも寝られるのだな。
夜のとばりも上がり切っていない空は薄暗く、空気もツンと冷たい…早朝か。
懐中時計を確認しても、午前4時過ぎを指していた。
「イワ、起きてくれ。」
【ん…】
イワも起こすと、上着を返してもらい、着ると出発の準備を進めた。
携帯食料を食べて…イワには水をあげて…(なんか植物みたいだな…)
昨日、投げたメイスも…特にコレと言って破損した部分などは見られない、やっぱり頑丈で使いやすいんだな。
「よし、お前等良いか?今日はあの丘を越えて、奴等の本拠地へ殴り込みに行く。」
「はい。」
「返事をしているのは1人と言うのは置いといて…最初に言っておくが、生きて帰れる保証はないからな。死にたくないと思った奴は此処で消えろ。ベンガ以外。」
「なんでー!」
「うるせい!お前は八つ裂きにされても誰も悲しまねぇよ!」
「ひっどーい!」
確かに酷い気もするが…それはさておこう。
話を戻すが、大切なのはモース大要塞についてだ…大要塞という割にはあまり大きく無くて、なんなら要塞より小さいらしい…自分は要塞を知らないので何も言えない。
ではなぜ、大要塞と言う名なのかと言うと、モース地方に要塞はこれしか無いからだ。
モース地方で一番大きいので大要塞と付く…うん、この下りいるか?
とにかく!中には沢山の信者が居ると思われ、正面突破は無理という事なので…どうにかして忍び込む必要がある。
「……昨日、来た奴らの服があるな…ちょうど3着。」
「私とザリィ、コォが着て、仲間のフリをするのはどうだ。」
「あまり現実的とは思えませんが…まぁその手で行きましょう。」
「そうだな、アイツ等だって俺達の顔を知ってるとは限らないもんな。」
という事で、昨日襲撃して来た…名前は…何だっけかな?
そいつ等のローブを頂き、羽織って仲間のフリをする事に…だが…
自分やポイはともかく、ザリィはサングラスをしているし、写真が出回っている。
要するに目立ち過ぎという事だ。
「はぁ…しょうがねぇな…グラサン取るか…」
【ヘンテコ眼鏡とっちゃうの?】
「これ取ると、何も見えなくなるからよぉ、手ぇ貸してくれよ。」
「分かりました。」
ザリィはサングラスを…取っていない、まだとる必要が無いからだ。
俺、ザリィ、ポイの3人で要塞目指して歩き始めた…イワとベンガは先ほどの場所で待機…イワは誰かが守らないとね。
「おっとやべぇ…誰かが前から来てっぞ…顔隠せ。」
前から来る人影がこちらに気付く前に俺とポイは顔を隠し、ザリィはサングラスを外して顔を隠した…アッチから来たのは同じローブを着た魔影団の者であった。
いきなり出くわすとは…大丈夫…きっとバレない…多分、おそらく、もしかしたら。
【……?なんだお前達、買い出しにでも行ってたのか?】
「え?あぁ……そう!そうだ!ちょっとね!」
咄嗟にザリィは返事をした。
【そうか…荷物は?】
「えぇーっと…買ったのは……これだァッ!!」
【うがぁっはぁ!?が、がは…】
「そんな…いきなり斬るなんて…」
ザリィは剣を素早く抜くと、すぐさまズアァッシュ!!と相手を袈裟斬りにした…相手はなす術も無く…そのまま正直に死に絶えてしまった。
哀れ、名も知らぬ魔影団の人…けど、あのまま行かせてたらベンガと戦闘になっていた可能性があるので…結果オーライだろう。
俺達は気にせず、その先へ進んだ…高原は寒いが、中々眺めは良い。
「見えて来たな…アレがモース要塞だ。」
「周りに人が多いな…やはり変装しておいてよかったな。」
「あの量は相手にできませんからね…」
見えて来たのはモース要塞…もう大要塞とは言わないぞ。
その周辺には大量の人影と櫓のようなモノが見える…どうやら警備は厳重というか、もはや逆刑務所状態だった。
あの量の相手をすることにならなくて本当に良かった。
自分達はいかにも仲間っぽい歩き方で彼らへ近付いた…ほとんど魔族…人間はえらく少なかった。
「あの、入りたいんですけど。」
【あぁ?勝手に入れよ。】
「そうですよね、すいません…」
なんで俺はわざわざ聞いたのだろうか…ザリィ達も俺を無視して置いて行っている…よくあんなに堂々と歩けるものだ、姿がバレたら殺されると言うのに。
ちなみにザリィの手を引いているのはポイだ、そのせいで皆からからかわれている。
【帰んな。ゲイと一般人は立ち入り禁止なんだ。】
「あぁ…連れがよぉ、具合が悪くなったんで引いてただけだ。」
「そうそう!オレはもう元気!ほらこういう風に歩ける……あだッ!?」
ザリィは元気そうに歩いたが、目の前が見えていないので近くの柱へ顔からぶつかった。
バンッ!という音がした…痛そう…
ポイはザリィを抱えて、「通さないなら顔面陥没させてやろうか」と相手を脅す…
【しょうがねぇな。入れよ。】
「話が分かるようで良かった。」
「ははは…」
【おっと!お前はダメだ。】
「えぇ!?」
自分も入ろうとしたが、なぜか自分だけ入り口の警備員に止められた。
「なんでですか!?」
【お前…絶対仲間じゃないだろ。】
「!?な、なにを…根拠に…ばばば…バカな事いわないでくだしゃい…」
【敬語使う奴が仲間なもんか!それにお前みたいに弱っちそうなヤツ、見たことねぇぞ。】
よ、弱っちい…なんていう事だ…インを攫ったクズみたいな奴等に弱っちいなんて言われるなんて…ちくしょう!悔しい…
けど…本当に自分って弱いしなぁ…
【分かったら、おとと行きやがれ。】
「………ハァ!!」
【うごっふ!?】
自分はついカッとなって、反射的に素早く相手を殴ってしまった…
相手は殴られただけじゃ何とも無かったが、殴られた勢いでよろめき、後ろの壁へ頭をぶつけて気を失ってしまった…ど、どうしよう…死んで無いよね?
………良かった…死んで無い…回復しておこう。
「おいお前等、どうかしたのか。」
「うはわぁ!?」
後ろから声を掛けられ、びっくりしながらも後ろへ振り返ると…奴はいた。
奴とは…テトモルトだ…インを攫った張本人だ!コイツ!!
いや…待て…相手は俺の事に気が付いてない…下手に手を出すのも場が悪い。
「こ、コイツが…いじわるして…」
「なに?おい、本当にいじわるしてたか?」
【はい。1567番君はその新入り君を通せんぼしてました。】
「マジかよ…だったら後でお仕置きだな…お前、大丈夫か?」
「はい…」
なんだ?コイツ、意外と良い奴なんじゃ…いや、良くないな。
普通に部下を殺してたし、インを攫った。
コイツは敵でロクでもないカルト宗教の幹部…この世で死ぬべき人物トップ3に入る。
自分は怪しまれると思ったが、直ぐに中へ通された。
「新入り、俺の名前はテトモルトと言うんだ。覚えといてくれ。」
「はい、分かりました。ところで地下牢って何処すか。」
「地下牢?そこの階段を降りてすぐそこだけど。」
「そうですか…だったら見張りを…してきます!」
「…?あぁ、行って来いよ。(仕事熱心な奴が来たな…だが…気のせいか?既視感があるような…まぁ良いか。)」
やってやったぜ!!ざまぁ味噌汁!アイツを出し抜いてやったぞ!
ザリィさんとは離れ離れなったけど、きっと地下牢に居るに違いない!
自分は転ばないように石造りの階段を一段一段、丁寧に降りて行った…その先には廊下…と大量のドア。
何処にインが居るんだろうか…ええい!全部開けてしまえ!
「イン!」
【ハロー!もしかして解放ですか?】
「すいません、人違いです…」
【分かった!】
「此処か!?」
「インデス様バンザイ、インデス様バンザイ…」
「(や、ヤバい人だ…)」
「よし分かったぞ!この部屋だな!」
【あら素敵なお兄さん、もしよかったらアタシと…】
「なんだよ!なんで居ないんだよ!」
【アタシだったら此処に居るけど。】
「アンタはお呼びじゃ無いんだよ!」
ちくしょう…何処に居るんだイン…というか見張りも居ないのか…居たら聞けるんだけどなぁ…
「おい、コォ。すまない、ちょっと迷ってた。」
「うひゃぁ!?び、びっくりした…ザリィさんとポイさん…」
その時、ザリィとポイが後ろからやって来た。
どうやら自力で探してやって来たようだ…今日はホントに心臓に悪い日だ。
改めて3人で探すことにした…この牢屋には変な人が多い…しかし、中には普通の人も居て、そう言う人は解放させてあげた。
この牢屋に入れて洗脳している様だ…なんと恐ろしい連中だろうか…
「おい、この部屋で最後だぞ。此処に居なかったら…」
「本当にマズい事になるな。私もこれ以上の人探しはごめんだぞ。」
「くっ……イン!!」
最期の部屋のドアをバシン!!と開けると………そこはもぬけの殻だった。
何もいない、誰もいない…インの姿はそこには無い。
どこに…何処に!!何処へ連れて行かれたんだ!奴らめ!一体どこにインを…
「おい、お前等。何をやっている?掃除か?」
「おひ!?そうだぜ。この部屋を掃除しようと思ったが…もう終わっていた様だな…」
「(テトモルト…コイツが…コイツをインを…)」
「インって奴を知らないか?」
ザリィは誤魔化し、俺は黙っていたが…ポイはストレートにテトモルトへ聞いた。
「あぁ、インか…アイツは解放してやった。」
「!?な、なぜ!?」
「俺の性に合わないんでね…それより、お前等の正体が分かったぞ…コォだな?」
「あ、あぁ!そうだ!テトモルト!」
「テトモルト?……!?お前、テトモルトか!?」
テトモルトへ突如としてザリィは語りかけた。
何か…あるのか?幼馴染み…とかだったら止めて欲しい、殺せなくなる。
「お前の兄さんとのボージリとは知り合いだったんだぜ。」
「なに?お兄ちゃんと?」
「ああ。元気にしてるか?」
「兄ちゃんは死んだよ!そこのコォのクソ野郎が殺したんだ!鉱山もめちゃくちゃにしやがって!」
それを言うなり、モルトはこちらへ殴りかかって来た。
あまりにも急な拳は素早く、自分の脳が「避けろ!」と感じた瞬間にはもう…殴り飛ばされていた…い、痛い…
「うわー痛そ…ってかお前、ボージリやったのか、やるな!」
「ぐへ…確かに…敵対はしたけど…殺したのは俺じゃない!」
「じゃあ誰がやったんだ!お前の他に居るもんか!!」
「それは…(クネさんは売れないな…)やっぱり俺がやっぐっはぁ!!」
言い終える前に自分は右頬を殴られ、立て続けに左頬も殴られた。
「やり返せよ!コォ!」と大声で捲し立てるザリィをポイが殴って止めると、ポイは後ろからテトモルトの首を掴んで引き剥がす。
助かった…だが…左下の奥歯の位置がズレてしまったな。
「一族の計画も…兄ちゃんも…お前のせいで滅茶苦茶だ!この疫病神め!」
「なんだとこの野郎!好きなだけ文句は言え!だがな!インを攫うなんて卑怯だぞ!なぜ俺を殺さなかった!」
「…マジのお前と殺し合いをしたかったからだ!全力で叩き潰すためにな!」
【うるせぇぞお前等!何の騒ぎだ!】
突如としてその場には2人の魔族もやって来た。
1人のローブは…モルトと同じ、金の装飾が付いた黒のローブ…幹部か。
そしてもう1人は、もっと豪華な装飾が付いたローブ…そしてザリィのサングラスが奴を写す…もしこの予想が当たっているなら、彼こそがモスキンだろう。
かなりマズい状況じゃないか…インは居ない、ボスと出くわす…最悪だ。
つづく
・・・
魔族と人間について
著者:不明 発見場所:サーバ大図書館のゴミ箱
『人間と魔族は根本的に違う。まず最初に人間は地域によって特徴があるが…まぁ目の形と肌の色ぐらいなので省こう。次に魔族について…魔族には角が有ったり、血の色が違ったり、肌の色も人間とは似ても似つかない。主な分類は青い肌の青肌族、赤い肌の赤皮属、紫色の人工魔族、白い魔族の白皮族、人間と同じ様な見た目の化け族…他には獣人族や魔界貴族、物質族なども居るが…とにかく数が多いのでこれも省く。次に…人間は太古の昔に存在していた恐竜人に哺乳類の遺伝子が突然変異で芽生えた事でそれが進化を続け、今の人間になったと言われている。一方で魔族については謎が多い、彼らは人間が記録を始める前にこの世界へ魔界から来たと推測され、それは今も変わらず…一部の魔族や魔物はこの世界へ魔界から来ている。魔界については同じクラスのシフィーが発表するので俺は休もぬ……あぁ!!ちくしょう!誤字っちまった!これ、インクだから消せないんだよなぁ…しょうがない…没だな。どうせ誰も見ないだろう…最後に言ってやる俺は絶対に全国魔法委員会の役員になってみせるぞ!』
【これ、捨てますか?随分古い紙ですけど…】
「歴史的資料って発表すれば…人が集まるだろう。取っておけ。」
「あの、本を見たいんですけど…」
「え?あぁ!いらっしゃいませ!ウチは全部本物の紙ですよ!」
とにかく、5人でモース地方の「ナヲツケルノヲワスレタセイデナナシノ岩山」の高原にて休んでいる…暗いので分からないが、あの出っ張りを越えた先にモース大要塞があるらしい。
しかし…相変わらず、ここら辺はオイル臭い…灰の中がヌルヌルしてしまいそうな程に。
「ベンガ、見張っておけ。俺達は休む。」
「アイアイサ―。」
「大丈夫なんですか?」
「へーきへーき!別にそんな疲れて無いし。」
「そうだぜ、こんなカス、いたわろうとするな。」
ちょっと可哀想だけど…自分は少しだけ横になる事にした。
地面がちいとばかし、ベトネチョしており、月明かりが微妙に暗くて何も見えない…それに寒い…
とてもじゃないが、寝れるような気はしない…とりあえず、目だけでも瞑っておこう…確か効果があると聞いた事がある。
「…どうかした?イワ。」
【いや…寒いから。】
「なら上着を貸すよ。ほら。」
あんまり他人と密着すると落ち着かないので、寒くなるが着ていた上着をイワに貸した…まぁサイズは少しばかり小さいかもしれないが、我慢してもらおう。
羽織らなくても掛けるだけで温かいし。
【ありがとう……けどコォは?】
「俺は良いよ別に。イワは女の子だろ、身体は大事にしないと。」
【うん…オイル臭い…】
「あんまり匂いは嗅がないでよ…」
前も言ったが、悪人で無いなら他人には優しく接しろと父さんに言われた。
人かどうかとは…まぁ言葉の綾だろう…
そんな無駄な事を考えるのは止めて、今は休むことに専念するか。
こうやってゆっくりできている時間は大切なのだ。
・・・
「おい、コォ…起きろよ。おい。」
「うーん…?んあ…寝てましたか…?」
「まぁな。ぐっすりとな。」
寝られないかと思ったが、意外と人間はどこでも寝られるのだな。
夜のとばりも上がり切っていない空は薄暗く、空気もツンと冷たい…早朝か。
懐中時計を確認しても、午前4時過ぎを指していた。
「イワ、起きてくれ。」
【ん…】
イワも起こすと、上着を返してもらい、着ると出発の準備を進めた。
携帯食料を食べて…イワには水をあげて…(なんか植物みたいだな…)
昨日、投げたメイスも…特にコレと言って破損した部分などは見られない、やっぱり頑丈で使いやすいんだな。
「よし、お前等良いか?今日はあの丘を越えて、奴等の本拠地へ殴り込みに行く。」
「はい。」
「返事をしているのは1人と言うのは置いといて…最初に言っておくが、生きて帰れる保証はないからな。死にたくないと思った奴は此処で消えろ。ベンガ以外。」
「なんでー!」
「うるせい!お前は八つ裂きにされても誰も悲しまねぇよ!」
「ひっどーい!」
確かに酷い気もするが…それはさておこう。
話を戻すが、大切なのはモース大要塞についてだ…大要塞という割にはあまり大きく無くて、なんなら要塞より小さいらしい…自分は要塞を知らないので何も言えない。
ではなぜ、大要塞と言う名なのかと言うと、モース地方に要塞はこれしか無いからだ。
モース地方で一番大きいので大要塞と付く…うん、この下りいるか?
とにかく!中には沢山の信者が居ると思われ、正面突破は無理という事なので…どうにかして忍び込む必要がある。
「……昨日、来た奴らの服があるな…ちょうど3着。」
「私とザリィ、コォが着て、仲間のフリをするのはどうだ。」
「あまり現実的とは思えませんが…まぁその手で行きましょう。」
「そうだな、アイツ等だって俺達の顔を知ってるとは限らないもんな。」
という事で、昨日襲撃して来た…名前は…何だっけかな?
そいつ等のローブを頂き、羽織って仲間のフリをする事に…だが…
自分やポイはともかく、ザリィはサングラスをしているし、写真が出回っている。
要するに目立ち過ぎという事だ。
「はぁ…しょうがねぇな…グラサン取るか…」
【ヘンテコ眼鏡とっちゃうの?】
「これ取ると、何も見えなくなるからよぉ、手ぇ貸してくれよ。」
「分かりました。」
ザリィはサングラスを…取っていない、まだとる必要が無いからだ。
俺、ザリィ、ポイの3人で要塞目指して歩き始めた…イワとベンガは先ほどの場所で待機…イワは誰かが守らないとね。
「おっとやべぇ…誰かが前から来てっぞ…顔隠せ。」
前から来る人影がこちらに気付く前に俺とポイは顔を隠し、ザリィはサングラスを外して顔を隠した…アッチから来たのは同じローブを着た魔影団の者であった。
いきなり出くわすとは…大丈夫…きっとバレない…多分、おそらく、もしかしたら。
【……?なんだお前達、買い出しにでも行ってたのか?】
「え?あぁ……そう!そうだ!ちょっとね!」
咄嗟にザリィは返事をした。
【そうか…荷物は?】
「えぇーっと…買ったのは……これだァッ!!」
【うがぁっはぁ!?が、がは…】
「そんな…いきなり斬るなんて…」
ザリィは剣を素早く抜くと、すぐさまズアァッシュ!!と相手を袈裟斬りにした…相手はなす術も無く…そのまま正直に死に絶えてしまった。
哀れ、名も知らぬ魔影団の人…けど、あのまま行かせてたらベンガと戦闘になっていた可能性があるので…結果オーライだろう。
俺達は気にせず、その先へ進んだ…高原は寒いが、中々眺めは良い。
「見えて来たな…アレがモース要塞だ。」
「周りに人が多いな…やはり変装しておいてよかったな。」
「あの量は相手にできませんからね…」
見えて来たのはモース要塞…もう大要塞とは言わないぞ。
その周辺には大量の人影と櫓のようなモノが見える…どうやら警備は厳重というか、もはや逆刑務所状態だった。
あの量の相手をすることにならなくて本当に良かった。
自分達はいかにも仲間っぽい歩き方で彼らへ近付いた…ほとんど魔族…人間はえらく少なかった。
「あの、入りたいんですけど。」
【あぁ?勝手に入れよ。】
「そうですよね、すいません…」
なんで俺はわざわざ聞いたのだろうか…ザリィ達も俺を無視して置いて行っている…よくあんなに堂々と歩けるものだ、姿がバレたら殺されると言うのに。
ちなみにザリィの手を引いているのはポイだ、そのせいで皆からからかわれている。
【帰んな。ゲイと一般人は立ち入り禁止なんだ。】
「あぁ…連れがよぉ、具合が悪くなったんで引いてただけだ。」
「そうそう!オレはもう元気!ほらこういう風に歩ける……あだッ!?」
ザリィは元気そうに歩いたが、目の前が見えていないので近くの柱へ顔からぶつかった。
バンッ!という音がした…痛そう…
ポイはザリィを抱えて、「通さないなら顔面陥没させてやろうか」と相手を脅す…
【しょうがねぇな。入れよ。】
「話が分かるようで良かった。」
「ははは…」
【おっと!お前はダメだ。】
「えぇ!?」
自分も入ろうとしたが、なぜか自分だけ入り口の警備員に止められた。
「なんでですか!?」
【お前…絶対仲間じゃないだろ。】
「!?な、なにを…根拠に…ばばば…バカな事いわないでくだしゃい…」
【敬語使う奴が仲間なもんか!それにお前みたいに弱っちそうなヤツ、見たことねぇぞ。】
よ、弱っちい…なんていう事だ…インを攫ったクズみたいな奴等に弱っちいなんて言われるなんて…ちくしょう!悔しい…
けど…本当に自分って弱いしなぁ…
【分かったら、おとと行きやがれ。】
「………ハァ!!」
【うごっふ!?】
自分はついカッとなって、反射的に素早く相手を殴ってしまった…
相手は殴られただけじゃ何とも無かったが、殴られた勢いでよろめき、後ろの壁へ頭をぶつけて気を失ってしまった…ど、どうしよう…死んで無いよね?
………良かった…死んで無い…回復しておこう。
「おいお前等、どうかしたのか。」
「うはわぁ!?」
後ろから声を掛けられ、びっくりしながらも後ろへ振り返ると…奴はいた。
奴とは…テトモルトだ…インを攫った張本人だ!コイツ!!
いや…待て…相手は俺の事に気が付いてない…下手に手を出すのも場が悪い。
「こ、コイツが…いじわるして…」
「なに?おい、本当にいじわるしてたか?」
【はい。1567番君はその新入り君を通せんぼしてました。】
「マジかよ…だったら後でお仕置きだな…お前、大丈夫か?」
「はい…」
なんだ?コイツ、意外と良い奴なんじゃ…いや、良くないな。
普通に部下を殺してたし、インを攫った。
コイツは敵でロクでもないカルト宗教の幹部…この世で死ぬべき人物トップ3に入る。
自分は怪しまれると思ったが、直ぐに中へ通された。
「新入り、俺の名前はテトモルトと言うんだ。覚えといてくれ。」
「はい、分かりました。ところで地下牢って何処すか。」
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「そうですか…だったら見張りを…してきます!」
「…?あぁ、行って来いよ。(仕事熱心な奴が来たな…だが…気のせいか?既視感があるような…まぁ良いか。)」
やってやったぜ!!ざまぁ味噌汁!アイツを出し抜いてやったぞ!
ザリィさんとは離れ離れなったけど、きっと地下牢に居るに違いない!
自分は転ばないように石造りの階段を一段一段、丁寧に降りて行った…その先には廊下…と大量のドア。
何処にインが居るんだろうか…ええい!全部開けてしまえ!
「イン!」
【ハロー!もしかして解放ですか?】
「すいません、人違いです…」
【分かった!】
「此処か!?」
「インデス様バンザイ、インデス様バンザイ…」
「(や、ヤバい人だ…)」
「よし分かったぞ!この部屋だな!」
【あら素敵なお兄さん、もしよかったらアタシと…】
「なんだよ!なんで居ないんだよ!」
【アタシだったら此処に居るけど。】
「アンタはお呼びじゃ無いんだよ!」
ちくしょう…何処に居るんだイン…というか見張りも居ないのか…居たら聞けるんだけどなぁ…
「おい、コォ。すまない、ちょっと迷ってた。」
「うひゃぁ!?び、びっくりした…ザリィさんとポイさん…」
その時、ザリィとポイが後ろからやって来た。
どうやら自力で探してやって来たようだ…今日はホントに心臓に悪い日だ。
改めて3人で探すことにした…この牢屋には変な人が多い…しかし、中には普通の人も居て、そう言う人は解放させてあげた。
この牢屋に入れて洗脳している様だ…なんと恐ろしい連中だろうか…
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「本当にマズい事になるな。私もこれ以上の人探しはごめんだぞ。」
「くっ……イン!!」
最期の部屋のドアをバシン!!と開けると………そこはもぬけの殻だった。
何もいない、誰もいない…インの姿はそこには無い。
どこに…何処に!!何処へ連れて行かれたんだ!奴らめ!一体どこにインを…
「おい、お前等。何をやっている?掃除か?」
「おひ!?そうだぜ。この部屋を掃除しようと思ったが…もう終わっていた様だな…」
「(テトモルト…コイツが…コイツをインを…)」
「インって奴を知らないか?」
ザリィは誤魔化し、俺は黙っていたが…ポイはストレートにテトモルトへ聞いた。
「あぁ、インか…アイツは解放してやった。」
「!?な、なぜ!?」
「俺の性に合わないんでね…それより、お前等の正体が分かったぞ…コォだな?」
「あ、あぁ!そうだ!テトモルト!」
「テトモルト?……!?お前、テトモルトか!?」
テトモルトへ突如としてザリィは語りかけた。
何か…あるのか?幼馴染み…とかだったら止めて欲しい、殺せなくなる。
「お前の兄さんとのボージリとは知り合いだったんだぜ。」
「なに?お兄ちゃんと?」
「ああ。元気にしてるか?」
「兄ちゃんは死んだよ!そこのコォのクソ野郎が殺したんだ!鉱山もめちゃくちゃにしやがって!」
それを言うなり、モルトはこちらへ殴りかかって来た。
あまりにも急な拳は素早く、自分の脳が「避けろ!」と感じた瞬間にはもう…殴り飛ばされていた…い、痛い…
「うわー痛そ…ってかお前、ボージリやったのか、やるな!」
「ぐへ…確かに…敵対はしたけど…殺したのは俺じゃない!」
「じゃあ誰がやったんだ!お前の他に居るもんか!!」
「それは…(クネさんは売れないな…)やっぱり俺がやっぐっはぁ!!」
言い終える前に自分は右頬を殴られ、立て続けに左頬も殴られた。
「やり返せよ!コォ!」と大声で捲し立てるザリィをポイが殴って止めると、ポイは後ろからテトモルトの首を掴んで引き剥がす。
助かった…だが…左下の奥歯の位置がズレてしまったな。
「一族の計画も…兄ちゃんも…お前のせいで滅茶苦茶だ!この疫病神め!」
「なんだとこの野郎!好きなだけ文句は言え!だがな!インを攫うなんて卑怯だぞ!なぜ俺を殺さなかった!」
「…マジのお前と殺し合いをしたかったからだ!全力で叩き潰すためにな!」
【うるせぇぞお前等!何の騒ぎだ!】
突如としてその場には2人の魔族もやって来た。
1人のローブは…モルトと同じ、金の装飾が付いた黒のローブ…幹部か。
そしてもう1人は、もっと豪華な装飾が付いたローブ…そしてザリィのサングラスが奴を写す…もしこの予想が当たっているなら、彼こそがモスキンだろう。
かなりマズい状況じゃないか…インは居ない、ボスと出くわす…最悪だ。
つづく
・・・
魔族と人間について
著者:不明 発見場所:サーバ大図書館のゴミ箱
『人間と魔族は根本的に違う。まず最初に人間は地域によって特徴があるが…まぁ目の形と肌の色ぐらいなので省こう。次に魔族について…魔族には角が有ったり、血の色が違ったり、肌の色も人間とは似ても似つかない。主な分類は青い肌の青肌族、赤い肌の赤皮属、紫色の人工魔族、白い魔族の白皮族、人間と同じ様な見た目の化け族…他には獣人族や魔界貴族、物質族なども居るが…とにかく数が多いのでこれも省く。次に…人間は太古の昔に存在していた恐竜人に哺乳類の遺伝子が突然変異で芽生えた事でそれが進化を続け、今の人間になったと言われている。一方で魔族については謎が多い、彼らは人間が記録を始める前にこの世界へ魔界から来たと推測され、それは今も変わらず…一部の魔族や魔物はこの世界へ魔界から来ている。魔界については同じクラスのシフィーが発表するので俺は休もぬ……あぁ!!ちくしょう!誤字っちまった!これ、インクだから消せないんだよなぁ…しょうがない…没だな。どうせ誰も見ないだろう…最後に言ってやる俺は絶対に全国魔法委員会の役員になってみせるぞ!』
【これ、捨てますか?随分古い紙ですけど…】
「歴史的資料って発表すれば…人が集まるだろう。取っておけ。」
「あの、本を見たいんですけど…」
「え?あぁ!いらっしゃいませ!ウチは全部本物の紙ですよ!」
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