【R18作品】コォとインの奇怪冒険譚

蛾脳シンコ

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第1部【明暗の大魔導師】編

第37話 浪漫海遊記 その4

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俺の名前はコォ、インと共に船上にて敵と対峙する冒険者だ。
ポルターンと言う幽霊が船長を襲い、ガレン船長は気絶…そして俺達を仲間の幽霊にするために配下と思われるゾンビのチジとシースケルトンのゲシを呼び寄せた。
実体のある半魔物である彼らには光魔法は効きにくい、だが身体がある。
だったら直接叩きのめせば良いだけ…しかし、武器は無いぞ。

「おい!汚いぞ!武器を使うなんて!」
【バッキャロー!海賊に汚いも綺麗もあるか!勝った奴が強い!】
「くっそー!」

奴は遠慮なしにナイフをビュンビュンと振りながらこちらへ近付いてくる。
あのナイフ、刃こぼれが凄いので切れ味は無さそうだが…それでも斬られたら致命傷になり兼ねない、海の水は汚いらしいのだ。

【ヒヘヘヘ…追い詰めたぞ…】
「し、しまった…後ろに柱が…」
【テメェもゾンビだ!!死ぃねぇえええ!!】
「ほわぁあああ!!」

柱に追い詰められた自分は決死の思いで敵のナイフを躱した!
自分でもビックリするくらい身体が動いて何とか不潔なナイフを躱すことに成功…や、やったぞ…人間ってのは死ぬ気になれば何でも出来るんだな!

【がぁ!?な、ナイフが…!この…ちくしょう!!】
「占めた!この腐れ死にぞこない!!」
【ぐほぁあ!!?】

奴はよほど力を込めてナイフを突いたのか、刃が良い感じに柱へ刺さって抜けない様だ…その隙を見計らい、奴の薄っぺらい腹部を全力で殴り飛ばす!
軽いのか、チジはいとも簡単に殴り飛ばされてそのまま奥の壁へぶつかった。
拳がヌメヌメする…き、気色悪い…

【ぐぇぇ…こ、この野郎!!】
「まだやるか!」

殴り飛ばされるも、直ぐに起き上がって奴はこちらへ飛び掛かるが…
所詮はヒョロヒョロゾンビ、軽く殴ると簡単に相手は直ぐにまた飛ばされる。
何と言うか…葉っぱみたいな奴だな…

【ちくしょう…生身の人間がこんなに強いなんて…】
「お前が弱すぎるんだよ…筋肉も無いのに…」
【そんなもの!魚に喰われてとうの昔に無くなった!死ね!!】
「ま、まだやるのか…この!!」
【な!?何を…】

しかし奴はゾンビ、何度も立ち上がってはこちらへ立ち向かう!まるで尽きないスタミナを有している様に…このままでは俺が参ってしまう。
向かって来る奴を小突いて転倒させると足を掴む。
こうなったら二度と立てないようにするしかない!

「キム・ムーア!!ハァアアアア!!」
【ぐおぁああああ!!?】
「イン!!そこを離れろ!!早く!!」
「え!?ちょ、ちょ!!」

腕を魔法で強化すると奴を何度も甲板へ叩き付けた後にブンブン振り回し…奥でインと戦っているスケルトン相手にゾンビを投げつける!!

【げ、ゲシィ!!そこをどけぇ!!】
【か、かか…カルシゥム!?】

投げられたチジは空を切ってゲシの所へ飛んで行き、激突するとゲシはバラバラに、チジはそのまま海へ真っ逆さまに落ちて行った…
案外、早く片付いたな…とにかく、勝てて良かった。
その後は残った骨の欠片も海へ落として返してあげた…まぁスケルトンだし大丈夫だろう。

「ふぅ…片付いたな。」
「う、うん…けど…まだ残ってるよね?」
「まぁな。」

あの2人組は片付いたが…大事な大事な奴がまだ残っている。
幽霊のポルターンだ…奴は姿を消して何処かへ潜んでいる様だな…確か幽霊は光魔法で照らせば炙り出せると聞いた事がある。
とにかく、今は船長の所へ向かうか。

「その前に…イン、目を閉じろ。目が潰れるぞ。」
「わー!!ちょ、ちょっと待ってよ!」
「ハァア!」

その前に甲板をフラッシュルの閃光で激しく照らすと…何も起こらない…奴は船内か!だとしたらマズイ!船長たちを狙っているのかもしれない!
自分達は直ぐに船長が運ばれた部屋へと急いで向かった、

「船長、大丈夫ですか?」
「あ、ああ…傷の方は大丈夫そうだ…」
【お化けは来てないよ。】

船長の部屋ではガレン船長がイワに頭へ包帯を巻いてもらっていた…気を取り戻したようで良かった…ルッパはどうやら幽霊を探しに船を回っている模様。

「直ぐに…進路を戻す、直ぐに船を戻さねぇと…迷うぞ…」
「だったら…俺も付いて行きます。インはイワと一緒に中に居てくれ。」
「分かった。」【留守バーン。】

自室からメイスを取り、船長を舵の場所まで護衛すると、直ぐに船長は舵を手に取り船の進路を正す。
風は強く吹き始め、雨もバシャバシャと甲板を濡らす…暴風域へ近付いている様だ…あの幽霊め、俺達をマジで幽霊にするつもりだったのか…
とにかく!ひとまずは安心だ、船長が言うには直ぐに此処から退避できるらしい。

『おのれ!アタシの計画を邪魔するとは…』
「出やがったな悪霊め…オレの船を乗っ取ろうとするなんて飛んだ野郎だな。」
『お黙り!アンタ等はお終い!何としてでも幽霊に…』
「スネレイズ。」

奴が話し終える前に自分は光線を指先から射出した。
光線は奴の腹部へ命中し、ジュゥウ…と腹を焼け焦がす…

『ぐぅあ!!な、なにを…』
「言っただろう。次は当てるって…成仏したくなければ俺達の前から消えろ。」
「幽霊も光には弱いわけか…」
『くっ…アンタの顔は覚えたからね…船長に言いつけてやる!!』
「船長…?」

船長…奴は船長じゃ無かったのか。
そして幽霊はそれを言い残すと逃げるようにそのまま何処かへ消え去った。
ひとまずは安心…辺りの天気も静まって来た…どうやら暴風域からは大分遠ざかって来たようだ…空の色も穏やかになって来たな、まだ暗いが。

「ふぅ…どうにか風に飲まれずに済んだようだな…」
「もし飲まれたら…どうなるんですか?」
「千単位の悪霊の竜巻が生者の魂を刈り取りにへ来るぞ。奴等はそうして霊を増やし、規模を拡大して行っているのだ。」

「お、恐ろしい…でも…なぜ幽霊になるのでしょうか…」

海で死んだ者は幽霊になりやすいらしい…もちろん、陸にも居るが。

「海は数日に数億の命が生まれ、還る場所…生きとし生けるものが死に対する恐怖を感じた時、億年に積まれた大きな魂が小さな魂を己の牙として飲み込む…これは海で語り継がれる伝承だ。生は生を糧とし、死は死を糧とする…生きようが死のうが、捕食の連鎖は終わらないと言う事だ。」

何だか深いなぁ…幽霊と言うものがある限り、きっとこの世には謎が残り続けるのだろう。
船は進んで行く、えらく静かな怨霊海域を。
・・・

…申し訳ございません…どうかお許しを…』
【まぁ良い。奴の顔は覚えたのだろう。】
『はい…チジとゲシの方はアタシが回収しに向かいます。』
【頼んだぞ。(にしても…コォか…次に海を渡る時が奴の最期だ…我が一団に加えてやる…)】

・・・

「なんか…湿っぽくなってきましたね…」
「ああ。いよいよ…コブサラ南海域へ突入したと言う証拠だ。」
【もうすぐ着くの?】
【ええ。もうすぐですよ。】

怨霊海域の戦闘から数日…いよいよ自分達は何事も無く、コブサラ国へ近付いて来た。
どうやら今日中には着くようだ…もうすぐこの船ともお別れか。
船長からコブサラ国の地図を貰い、シーザ地方のクルト村までの道も教えてもらった。

「良いか?まずはドチョッパ港町を出てカプラ湿原へ向かうんだ?」
【シツゲン?】
「湿った地面が広がる地さ。そこを進んでコルスラ熱帯雨林へ向かえ。」
「熱帯雨林とはどんな所ですか?森ですか?」
「いや、森林さ。森よりも湿っていて凶暴な猛獣や毒虫が沢山居る。」
「うぇぇ…毒虫…きもい…」

カプラ湿原は湿った大地の広がる地で…木造の道を進まなければならない。
そしてコルスラ森林は熱帯雨林…さきほどガレン船長が言ったように肉食の猛獣、危険な毒を持つ虫…さらには戦闘部族であるが住んでいるらしい。
サミーサ族は同じ集落以外の者を殺し、刈り取った首を神へ捧げる事で強さを求める部族で容赦なく襲って来るらしいが…意外と話の分かる奴等とも言った。

「これを預かっている。サミーサ族の首飾りだ。」
「首飾りですか…」
「それを見せれば仲間だと認識して襲って来ないぞ。」
「ねぇ…そのサミーサ族って人間なの?魔族なの?」
「どっちもだ。魔族と人間のハーフと言ったところか…」

コブサラ国にはそんなに恐ろしい奴等が住んでいるのか…何という事だ。
しかし、ガレン船長から貰った犬の下顎で作られた首飾りがある…これは彼らの中では親愛なる者を意味するもので襲って来ないと…それに言葉も通じるらしい。
(部族もを話すのか…)

「そしてその熱帯雨林を越えた先がシーザ地方のシーザ湿地帯だ。」
「湿地帯と湿原って違うんですか?」
「えぇーっと…あぁ…ルッパ。」
【はい。湿原は湿った草原、湿地はそのままで湿った地…ですが湿地の方が水分量が多く、水たまりなども多いですよ。】

なるほど…まぁ何となくルッパの説明が「言葉」でなく、「心」で理解できた。
話を続けるがシーザ湿地帯の初めにある村こそが…目的地のクルト村とのこと。
なんだ、意外と直ぐに行けそうじゃないか。

「時間と余裕があれば観光でもすると良い。古代遺跡とかがあるぞ。」
「古代遺跡か…特に興味は無いですね。」
「私も。」【いせき…?】
「最近の若者は古い物が苦手かぁ…俺の時代は流行ったんだがな…」

ガレン船長はジェネレーションギャップを感じながらも船を操縦する…
少し悪い気はするが、本当に古代遺跡などは特に興味がわかないのだ、もうクッド旧市街で間に合わせたせいだろうか?ロクな目に合わない気がする。
にしても…母親か…どんな人なのか少し、ドキドキして来た…人違いじゃないだろうか?まだ生きているだろうか?
変な心配ばかり出て来る…いよいよ旅が終わるのか…いや、終わらないな。
俺の旅は終われない、まだ造魔影ゾウマエイを探す使命がある。
だがインの旅は終わる事になる。

【コォ…大丈夫?】
「え?どうかした?俺は平気だけど…」
【いや…なんか、難しい顔をしてたから。】
「難しい顔…か…」

そりゃ難しい顔になるのも無理はないかもしれない、ハッキリ言って嬉しい反面、今までより過酷な道のりになると感じているのだから。

「少し考え事をしていただけだ。あまり気にしないでくれ。ありがとな。」
【そう…なら良いけど…】
「コォみたいなスカスカ脳みそでも難しい事を考えるんだね。」
「ほぉう…じゃあそのスカスカ脳みその妹ちゃんは誰ですかね?」
「知ってる?兄より優れた妹が多いってこと。」

まったく…インは何処に言っても減らず口だ…まぁテンションが上がってるのかもな。
これ以上無駄な文字数稼ぎは止めにしてカットする事にしよう。
この回で海とはおさらばなのだ。
・・・

「よぉーし…お前等、此処がコブサラ国の港町、ドチョッパだ。」
【ご武運をお祈りいたします。】
「ガレン船長、ルッパさん。お世話になりました。」
「帰りは気を付けてね。」
【ばいばい。】

船長たちへ礼を言って足を踏み出せば…いよいよ、到着!コブサラ国!
ジメジメとした空気が肌へ粘りつく…古代文明と湿気が入り混じる地。
現在は真昼…時間も丁度いいのでゆっくりせずにこのままカプラ湿原へ向かう事にした…いよいよ光の大魔導師への道のりは近くなってきた。
あともう一息だ。

つづく(今回は短くてごめんなさい)
・・・
お徳用キャラクタープロフィール【半魔族3体セット】

名前:ポルターン(性別不詳) 身長:169㎝ 魂色:白 階級:偉い
誕生日:6月4日 星座:ケイク座 血液型:なし 種族:海幽霊ウミユウレイ(半魔族)
好物:仏飯 趣味:飛行 職業:とある船の特殊先行部隊
二つ名:見えぬ恐怖 懸賞金:2000ドル 手配地域:怨霊海域

『ポルターンは享年不明の幽霊である。特に書くことのないくらいに味気の無い奴であり、ハッキリ言って何でこんな奴を出したんだと思うくらいにどうでも良い。多分女。』

名前:チジ(生前は男) 身長187㎝ 腐敗度:ヴィンテージ 匂い:オェー!
誕生日:9月28日 星座:サイモ座 血液型:Z型 種族:海洋動屍シーゾンビ(半魔族)
好物:歯に優しいもの 趣味:ダイビング 職業:ポルターンの部下
二つ名:海からの刺客 懸賞金:1000ドル 手配地域:怨霊海域

『チジは元海賊のゾンビである。腐敗度は凄まじく、それは蛆虫ですら無い尻尾を巻いて逃げてしまうほどでチーズ顔負け。生前は海賊の戦闘員として働いていたがあえなく戦死。その後、死体と魂が怨霊海域へと流されてゾンビへと姿を変え、また戦闘員としてこき使われることに。チジは偽名だ。』

名前:ゲシ(生前は男) 身長199㎝ 骨の強度:硬い カルシウム:充分
誕生日:3月28日 星座:ゴッダ座 血液型:なし 種族:海洋動骨シースケルトン(半魔族)
好物:カルシウム! 趣味:カルシウム! 職業:カルシ…戦闘員
二つ名:恐るべしカルシウム 懸賞金:500ドル 手配地域:怨霊海域

『ゲシは…カルシウムたっぷりなスケルトンである。生前はチジとは敵対関係に当たる海賊であったが脳が魚に喰われた為、もう覚えていない。魂で喋れるが、言うのは「カルシウム」ぐらいである。全身がカルシウムを狙ったフジツボの溜まり場と化しているので身体は重い。イライラしない。』
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