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第1部【明暗の大魔導師】編
第41話 決闘の行く末
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俺の名前はコォ…見慣れぬ集落にて敵と睨み合う男だ。
ずっと毒で苦しみ、眠っていたが…大分気分が良くなってきたので起きてみればこのザマだ…何となくだが、今の状況を少しだけ理解できた。
此処はおそらく、サミーサ族の集落であり、どういうワケかインがその部族の戦士と戦っていた…しかし、族長と思われる者との戦いではインは体力を消耗していたのでボロ負け…一方的にボコられていたと。
「さぁ…1対1だ…真剣勝負と行こうぜ、どうせ万全なんだろ。」
【うぐ…お、おのれ!】
「コ、コォ…」
「あっちに行ってろ、後で回復してやる。」
「うん…」
イワはフィールドから離れ、家屋の隅へと隠れる。
そう言えばイワの姿も見えないな…分からないことだらけだが…今は、コイツを片付けるしかない。
最初から本気で行くぞ!!
【この…良いだろう…死に晒せ!!】
「…!こんなもの!!」
族長は俺と戦う気になったのか、持っていた槍をこちらへ投げつける。
しかし、それを躱すのは容易いが…その隙を見計らって相手はこちらへ蹴りかかる!
【デイヤァ!!…な!?う、受け止め…】
「なめんじゃねぇ!!」
【ぐばぁ!?】
自分は蹴りを受け取ると、足を持ってガムシャラにぶん回し、遠くへ飛ばす!
そして右手へ不安定な火球を作ると、握り潰し…右腕へ纏う…テトモルトがやっていた技だが…少しばかりパク…借りさせてもらう…
名前は知らんが!命名するなら魔熱波!!
「燃え尽きろ!!」
【ぐわぁあああああ!!お、おのれぇ…貴様…】
燃える拳を奴へ投げるように向けると、凄まじい熱気が柱のように飛ばされる!
その柱は族長へ直撃したが…大したダメージになっていない様だ…イワと言い、コイツと言い、人工魔族ってのは丈夫に造られているのだろうか。
「どうした、もう終わりか。(出来ればもう終わって…)」
【まだだ!貴様には恐ろしき神技を喰らわせてやる!】
「お、恐ろしき神技…?」
そう言うや否や、族長は立ち上がると腕をクロスさせ…全身へ力を込め始める…果たして腕をクロスする必要性はあるのか問いたくなるが…今は黙れ。
凄く嫌な予感がする…奴の言っていた様に恐ろしい何かが始まる気が…
【で、出たぞ!族長の奥義!キム・オーディだ!】
「な、なんだそれは!?(てか誰だ…)」
【外来人め!残念だったな!族長がキム・オーディを使う時!それは必ず相手を潰す時だ!イコール!お前の命はねぇぞ!!】
「なんだって!?」
「(なんかすごい事になってるけど…)」
キム・オーディ?聞いた事が無い魔法だ…俺が使うキム・ムーアと同じ系列の魔法だと思うが…と、とにかく!先に攻撃して止めなくては!!
「スネレイズ!!」
【効かん!そのようなハエ如き光など…】
「なにぃッ!?」
スネレイズは情けない音を立て、ピシュン!と散り、消えた…そんな、効かないなんて…半魔族には効果が薄いと聞いていたが、コイツは普通の魔族だ!
【そして…これが……キム・オーディだ!!特と目に焼き付けておけ!!】
「こ、これはッ!?」
【始まるぞ…地獄の時間が…】
族長はクロスさせていた腕を勢いよく振り解くと、それと同時に相手の全身の筋肉がビキッバキッ!と音を立て、肥大化する…同じだ…キム系だ!
自分が使うキム・ムーアの完全上位互換だ!全身を強化するのか…
【どうした!ボケッとしてる暇は無いぞ!!】
「ハッ!?……うぐぁ゛!!」
【こうなってしまうからな…】
奴は鷹の如く、俺の前までやって来ると、拳を腹部へ突き刺すように入れる!
見えないほど速い拳は胃を押し上げ、内蔵を潰す!!
「がッぁあ゛…な、何が…!?」
【それ!さっきの仕返しだ!アッハッハッハッハ!!】
族長は腹部を抑えながら後ろへ後ずさる自分へ足払いをして転倒させると、右足を掴み、ブンブンと振り回す!!
【俺は貴様ほどやさしく無いぞ…死ね!!】
「ぐっはぁ!!がは…」
「コォ!!?ちょ、ちょっと…」
しばらく振り回され、二転三転どころではない景色を見ていた自分だが、急にビュン!と投げられると、近くのインが隠れていた物陰へ激突した。
ゴガッ!と鳴り響く頭…ドロリと真っ赤に染まる視界…よ、良かった…今回のは血が目に入っただけだ…目の繊維が死んだわけでは無い…
「ぐぅう!!はぁ…はぁ…」
【おぉ!まだ立つか…次は頭を潰してやろう…】
「コォ…血が…(私もだけど)」
「い、イン…聞いてくれ…今のお前に魔法を使えだなんて無理を言うが…奴へ…奴へタニポ・インジャを使って俺の怪我を移せ…た、頼んだぞ…」
「う、うん…けど時間は掛かっちゃう…」
「構わん…出来るならそれでいい…時間は俺が稼ぐ…」
インへそれを伝えると、ゆっくりとだが…フィールドへ歩いて戻った。
目を拭っても拭っても血が垂れてしょうがない…くそ…こんな凄い魔法が有ったなんて…俺もまだまだだった…少しばかり相手の上に立とうとした瞬間にこのザマ。
慢心するんじゃ無かった…それに真剣勝負だなんてクソ喰らえ。
やっぱり俺の意思ってクソなんだなぁ…
【はははは…コォと言ったな…お前が何を企んでるか分からんが、死んでもらうぞ。】
「やめ…とけ…こう…かいするぞ…」
【何を抜かすかと思えば…後悔…そんな事…誰だって出来るんだぜ!!】
「ぐあ゛ッあぁああ!!ごは!!うがぁあ!!」
「ひぃい!?う、腕を…」
奴が蹴りを俺の右腕へぶち込めば、いとも簡単にバギィ!と腕は変形してしまった…
【良い叫びだ…ははは…さて、そろそろお終いにしようか。】
「はぁ…はぁ…」
【ハァァアアアア……トドメだ喰らえッ!!脊椎粉砕脳天突下拳!!】
族長の振り上げる拳が振り下ろされようとする寸前!!
「タニポ・インジャ!!」
【な!?あの小娘…何を……がっはぁ!!】
インがタニポ・インジャを唱え、俺の怪我の殆どを族長へ一方的に押し付ける!
相手の頭からは血が噴き出し、右腕は変形する!ど、どうだ…これがインの魔法だ…俺の魔法じゃ無いのか情けないが、返してやったぞ…お前の痛み…
【くっそーッ!!この卑怯者が!】
「う、うるせー!お前だって仲間に槍を取ってもらってただろ!」
【ぬぅ…そ、それとこれとは……話が別だろ!!】
族長はかなりの致命傷を負ったが、それでもまだ立ち上がろうとする…頼むからもう立たないでくれ…いくら怪我が軽くなったと言っても、消耗した体力までは回復しない…
それに…奴の魔法…そろそろ…
【ぐぁあ!!クソ…ぜ、全身が…痛い…】
「反動だ…長時間も使用してあれだけ酷使すれば当然だ!早く解除しろ!」
【嫌…だね!貴様を殺すのが先だ!!】
「ぐぁ…何をする気だ…は、はな…せ…」
早く解除しないと全身の筋肉が壊死してしまうと言うのに、コイツは解除せず、俺の首をギリギリと右腕で絞める…しかし…絞める勢いも落ちてきている…
このままでは俺の首が折れる前にコイツの腕が参ってしまう、止めなくては…
「や、やめろ…本当に腕が…」
【絶対に許さんぞ…その首…へし折ってでも手に入れてやる…】
【待ってください!族長!!】
幸運は俺に味方をしてくれた…自分達の決闘場へ1人の部族の者が入って来たのだ…イワと一緒に。
【族長!その人を放してください!彼らは無実です!】
【そうだよおじさん!やめてよ!コォを殺さないで!】
【何を抜かすか!コイツは…】
【これが証拠です!】
そう言って彼女が出したのは自分が湿原で失くした首飾り。
それを見た族長は直ぐに自分を手放し、身体の魔法を解いた…し、死ぬかと思った…割とマジでヤバかったかも…とりあえずイワも無事でよかった…
【これは湿原で発見した物です。此処に居るイワの証言で発見いたしました、彼女はその2人の仲間…ですので彼らは嘘言っていません!】
【そ、そんな事が…しかし…】
「族長…貴方のプライドが許しはしないでしょう…しかし、ここは…」
【ぐぅう……】
そういう事で決闘は終わった…俺はインとイワを治療した後、自分も回復魔法で治療すると、すっかり元気な状態に…やっぱり中級は違うのだろう。
もうこの集落に居ると、視線が辛いので行きたいのだが…
【待て!約束は約束だ…】
「あぁ…そうだったわね…」
「約束?」
「実は…」
インはワケを話してくれた…どうやらこの決闘でインが勝ったら願いを聞いてやると言うモノだ…しかし。
「コォ、願いは譲る。コォがアイツに勝ったんだし。」
「うーん…いや、良い。俺達は戦いには勝ったが、決闘には負けている。」
【なんだと!】
「だけど…敢えて言うなら…もう俺達に関わらないでくれ。」
それを言い残してイワ、イン、案内の人(マネイと言うらしい)と一緒にサミーサ族の集落を後にした…イワと同じ人工魔族だったので話を聞きたかったが…今はそんな場合では無い。
ゆっくりしている暇など無いのだ…今は何よりも先へ進まなくては。
・・・
【これをご覧ください…もしかすると…】
【メイトですね。此処で交戦して負けたようです…それにしても首を斬り落とすとは酷い事を…それにセンスターは海上にて肉塊へと変わっていました…】
【なんて惨たらしい奴等でしょうか!我々の手でやりましょう!】
【その必要はありません。貴方のように優秀な者なら1人でも充分でしょう。ワタクシは此処で遺体を回収します。貴方はコォとインを追うのです、まだ近くに居ると思うので。】
【はい!(奴らめ…魔影団幹部の恐ろしさを思い知らせてやる!)】
・・・
密林を進む自分達4人…シーザ湿地帯までの道案内を行うのはサミーサ族の戦士…の補欠であるマネイ…男なのか女なのか分からないが、別にどうでも良い。
彼女(仮)に付いて行く途中で色々と話を聞かせてもらった。
「自分はあんな場所で一生を終えたくない」や「外の文明に対して憧れがある」と。
【たまに…このまま逃げたらどうなるんだろう…って思う時があるの…】
「逃げればいいじゃない、誰も責めやしないわよ。」
【そうもいかないの…ワタシには両親が居て、面倒見なくちゃいけない。】
なら仕方ない…そうしたいのなら本人の意思が変わらない限りはダメだ。
それはともかく、自分達は密林を抜けることに成功した。
「此処が湿地帯ですね。ありがとうございます!」
【いや、気にしないで。アンタ達だって大変だったでしょ?】
「まぁね。」【それなりに。】
【気を付けてね、このまま真っすぐ行けば日暮れまでには村に着くと思うけど、夜は本当に暗いから。】
それを言うと、そのままマネイは来た道をさっさと戻ってしまった。
日暮れまでか…確かに陽がかなり傾いて来たな…村まで急ごう。
「そうだ…イン、イワ…俺が寝ていた間の事はすまないな…」
「ホントだよ、まじで苦労掛けてさ。」
【重かったよコォ。バラバラにして持って行こうかって思ったもん。】
「えぇ…そ、そうならなくて良かった…まぁ…ありがとう。」
「礼は良いから早く行こうよ!日が暮れちゃうよ!」
日が暮れようが、暗くなろうが礼は大事だ…しかし、今は本当に急がなくてはならない。
こんな狭い道で日が暮れたら大変な事になる。
自分には何度も泥まみれになる覚悟は無い。
「でも…ドキドキするなぁ…母親かぁ…」
「イン…あまり期待しない方がいいかもしれないぞ。」
「えっどうして?」
「父さんと離れて暮らしていたんだ、自分達を歓迎する気が無いかもしれない。」
「そっかぁ…」
やはりそう言う事が心配になってしまうのだ…父さんの呪いを解いてくれるのだろうか?自分達を邪険にしないだろうか?
それに…俺達以外に…新しい家族が居るかもしれない。
その時は…どうしようか………それと父さんは無事だろうか、自分の止めているらしいが…いつまで持つかは分からない、もし解ければ父さんは呪いで…うぅ…
駄目だ駄目だ!何で俺がウジウジしないといけないのだ!俺は男じゃないか!
俺達はそのまま村まで歩いて向かった…
・・・
「っと…ようやく着いたな…」
「ねぇどうするの?これから探すの?」
「うーん…何のために明日にするか。今日は宿を取ろう。」
【おやの前におやどを探すんだね。】
イワのギャグは放っておくとして、自分達はクルト村へと到着した。
クルト村は静かであまり大きい村では無いが…人はまぁまぁ居て、宿などの施設も多い…自分は念のためを思って、明日、光の大魔導師を探すことに。
まずは休まないと…身体がクタクタで仕方がない。
果たして…会えるのだろうか…自分達の母親、一代前の光の大魔導師に。
つづく
・・・
キャラクタープロフィール
名前:タブルス・テヌシィ(男) 身長:194㎝ 瞳の色:灰色 髪色:橙
誕生日:7月29日 星座:ソーメ座 血液型:A型 人種:ダニーグ人
好物:点心料理 趣味:読書 職業:影の大魔導師(現)
『タブルスは今代の影の大魔導師である。生まれから学歴までが不明で、唯一分かる事は圧倒的な魔法の知識量と凄腕の影魔法使いという理由で大魔導師会へ入った事だけだ。現在はとある場所で暮らしながら影の大魔導師として働いている。』
『引用:大魔導師会員管理帳』
ずっと毒で苦しみ、眠っていたが…大分気分が良くなってきたので起きてみればこのザマだ…何となくだが、今の状況を少しだけ理解できた。
此処はおそらく、サミーサ族の集落であり、どういうワケかインがその部族の戦士と戦っていた…しかし、族長と思われる者との戦いではインは体力を消耗していたのでボロ負け…一方的にボコられていたと。
「さぁ…1対1だ…真剣勝負と行こうぜ、どうせ万全なんだろ。」
【うぐ…お、おのれ!】
「コ、コォ…」
「あっちに行ってろ、後で回復してやる。」
「うん…」
イワはフィールドから離れ、家屋の隅へと隠れる。
そう言えばイワの姿も見えないな…分からないことだらけだが…今は、コイツを片付けるしかない。
最初から本気で行くぞ!!
【この…良いだろう…死に晒せ!!】
「…!こんなもの!!」
族長は俺と戦う気になったのか、持っていた槍をこちらへ投げつける。
しかし、それを躱すのは容易いが…その隙を見計らって相手はこちらへ蹴りかかる!
【デイヤァ!!…な!?う、受け止め…】
「なめんじゃねぇ!!」
【ぐばぁ!?】
自分は蹴りを受け取ると、足を持ってガムシャラにぶん回し、遠くへ飛ばす!
そして右手へ不安定な火球を作ると、握り潰し…右腕へ纏う…テトモルトがやっていた技だが…少しばかりパク…借りさせてもらう…
名前は知らんが!命名するなら魔熱波!!
「燃え尽きろ!!」
【ぐわぁあああああ!!お、おのれぇ…貴様…】
燃える拳を奴へ投げるように向けると、凄まじい熱気が柱のように飛ばされる!
その柱は族長へ直撃したが…大したダメージになっていない様だ…イワと言い、コイツと言い、人工魔族ってのは丈夫に造られているのだろうか。
「どうした、もう終わりか。(出来ればもう終わって…)」
【まだだ!貴様には恐ろしき神技を喰らわせてやる!】
「お、恐ろしき神技…?」
そう言うや否や、族長は立ち上がると腕をクロスさせ…全身へ力を込め始める…果たして腕をクロスする必要性はあるのか問いたくなるが…今は黙れ。
凄く嫌な予感がする…奴の言っていた様に恐ろしい何かが始まる気が…
【で、出たぞ!族長の奥義!キム・オーディだ!】
「な、なんだそれは!?(てか誰だ…)」
【外来人め!残念だったな!族長がキム・オーディを使う時!それは必ず相手を潰す時だ!イコール!お前の命はねぇぞ!!】
「なんだって!?」
「(なんかすごい事になってるけど…)」
キム・オーディ?聞いた事が無い魔法だ…俺が使うキム・ムーアと同じ系列の魔法だと思うが…と、とにかく!先に攻撃して止めなくては!!
「スネレイズ!!」
【効かん!そのようなハエ如き光など…】
「なにぃッ!?」
スネレイズは情けない音を立て、ピシュン!と散り、消えた…そんな、効かないなんて…半魔族には効果が薄いと聞いていたが、コイツは普通の魔族だ!
【そして…これが……キム・オーディだ!!特と目に焼き付けておけ!!】
「こ、これはッ!?」
【始まるぞ…地獄の時間が…】
族長はクロスさせていた腕を勢いよく振り解くと、それと同時に相手の全身の筋肉がビキッバキッ!と音を立て、肥大化する…同じだ…キム系だ!
自分が使うキム・ムーアの完全上位互換だ!全身を強化するのか…
【どうした!ボケッとしてる暇は無いぞ!!】
「ハッ!?……うぐぁ゛!!」
【こうなってしまうからな…】
奴は鷹の如く、俺の前までやって来ると、拳を腹部へ突き刺すように入れる!
見えないほど速い拳は胃を押し上げ、内蔵を潰す!!
「がッぁあ゛…な、何が…!?」
【それ!さっきの仕返しだ!アッハッハッハッハ!!】
族長は腹部を抑えながら後ろへ後ずさる自分へ足払いをして転倒させると、右足を掴み、ブンブンと振り回す!!
【俺は貴様ほどやさしく無いぞ…死ね!!】
「ぐっはぁ!!がは…」
「コォ!!?ちょ、ちょっと…」
しばらく振り回され、二転三転どころではない景色を見ていた自分だが、急にビュン!と投げられると、近くのインが隠れていた物陰へ激突した。
ゴガッ!と鳴り響く頭…ドロリと真っ赤に染まる視界…よ、良かった…今回のは血が目に入っただけだ…目の繊維が死んだわけでは無い…
「ぐぅう!!はぁ…はぁ…」
【おぉ!まだ立つか…次は頭を潰してやろう…】
「コォ…血が…(私もだけど)」
「い、イン…聞いてくれ…今のお前に魔法を使えだなんて無理を言うが…奴へ…奴へタニポ・インジャを使って俺の怪我を移せ…た、頼んだぞ…」
「う、うん…けど時間は掛かっちゃう…」
「構わん…出来るならそれでいい…時間は俺が稼ぐ…」
インへそれを伝えると、ゆっくりとだが…フィールドへ歩いて戻った。
目を拭っても拭っても血が垂れてしょうがない…くそ…こんな凄い魔法が有ったなんて…俺もまだまだだった…少しばかり相手の上に立とうとした瞬間にこのザマ。
慢心するんじゃ無かった…それに真剣勝負だなんてクソ喰らえ。
やっぱり俺の意思ってクソなんだなぁ…
【はははは…コォと言ったな…お前が何を企んでるか分からんが、死んでもらうぞ。】
「やめ…とけ…こう…かいするぞ…」
【何を抜かすかと思えば…後悔…そんな事…誰だって出来るんだぜ!!】
「ぐあ゛ッあぁああ!!ごは!!うがぁあ!!」
「ひぃい!?う、腕を…」
奴が蹴りを俺の右腕へぶち込めば、いとも簡単にバギィ!と腕は変形してしまった…
【良い叫びだ…ははは…さて、そろそろお終いにしようか。】
「はぁ…はぁ…」
【ハァァアアアア……トドメだ喰らえッ!!脊椎粉砕脳天突下拳!!】
族長の振り上げる拳が振り下ろされようとする寸前!!
「タニポ・インジャ!!」
【な!?あの小娘…何を……がっはぁ!!】
インがタニポ・インジャを唱え、俺の怪我の殆どを族長へ一方的に押し付ける!
相手の頭からは血が噴き出し、右腕は変形する!ど、どうだ…これがインの魔法だ…俺の魔法じゃ無いのか情けないが、返してやったぞ…お前の痛み…
【くっそーッ!!この卑怯者が!】
「う、うるせー!お前だって仲間に槍を取ってもらってただろ!」
【ぬぅ…そ、それとこれとは……話が別だろ!!】
族長はかなりの致命傷を負ったが、それでもまだ立ち上がろうとする…頼むからもう立たないでくれ…いくら怪我が軽くなったと言っても、消耗した体力までは回復しない…
それに…奴の魔法…そろそろ…
【ぐぁあ!!クソ…ぜ、全身が…痛い…】
「反動だ…長時間も使用してあれだけ酷使すれば当然だ!早く解除しろ!」
【嫌…だね!貴様を殺すのが先だ!!】
「ぐぁ…何をする気だ…は、はな…せ…」
早く解除しないと全身の筋肉が壊死してしまうと言うのに、コイツは解除せず、俺の首をギリギリと右腕で絞める…しかし…絞める勢いも落ちてきている…
このままでは俺の首が折れる前にコイツの腕が参ってしまう、止めなくては…
「や、やめろ…本当に腕が…」
【絶対に許さんぞ…その首…へし折ってでも手に入れてやる…】
【待ってください!族長!!】
幸運は俺に味方をしてくれた…自分達の決闘場へ1人の部族の者が入って来たのだ…イワと一緒に。
【族長!その人を放してください!彼らは無実です!】
【そうだよおじさん!やめてよ!コォを殺さないで!】
【何を抜かすか!コイツは…】
【これが証拠です!】
そう言って彼女が出したのは自分が湿原で失くした首飾り。
それを見た族長は直ぐに自分を手放し、身体の魔法を解いた…し、死ぬかと思った…割とマジでヤバかったかも…とりあえずイワも無事でよかった…
【これは湿原で発見した物です。此処に居るイワの証言で発見いたしました、彼女はその2人の仲間…ですので彼らは嘘言っていません!】
【そ、そんな事が…しかし…】
「族長…貴方のプライドが許しはしないでしょう…しかし、ここは…」
【ぐぅう……】
そういう事で決闘は終わった…俺はインとイワを治療した後、自分も回復魔法で治療すると、すっかり元気な状態に…やっぱり中級は違うのだろう。
もうこの集落に居ると、視線が辛いので行きたいのだが…
【待て!約束は約束だ…】
「あぁ…そうだったわね…」
「約束?」
「実は…」
インはワケを話してくれた…どうやらこの決闘でインが勝ったら願いを聞いてやると言うモノだ…しかし。
「コォ、願いは譲る。コォがアイツに勝ったんだし。」
「うーん…いや、良い。俺達は戦いには勝ったが、決闘には負けている。」
【なんだと!】
「だけど…敢えて言うなら…もう俺達に関わらないでくれ。」
それを言い残してイワ、イン、案内の人(マネイと言うらしい)と一緒にサミーサ族の集落を後にした…イワと同じ人工魔族だったので話を聞きたかったが…今はそんな場合では無い。
ゆっくりしている暇など無いのだ…今は何よりも先へ進まなくては。
・・・
【これをご覧ください…もしかすると…】
【メイトですね。此処で交戦して負けたようです…それにしても首を斬り落とすとは酷い事を…それにセンスターは海上にて肉塊へと変わっていました…】
【なんて惨たらしい奴等でしょうか!我々の手でやりましょう!】
【その必要はありません。貴方のように優秀な者なら1人でも充分でしょう。ワタクシは此処で遺体を回収します。貴方はコォとインを追うのです、まだ近くに居ると思うので。】
【はい!(奴らめ…魔影団幹部の恐ろしさを思い知らせてやる!)】
・・・
密林を進む自分達4人…シーザ湿地帯までの道案内を行うのはサミーサ族の戦士…の補欠であるマネイ…男なのか女なのか分からないが、別にどうでも良い。
彼女(仮)に付いて行く途中で色々と話を聞かせてもらった。
「自分はあんな場所で一生を終えたくない」や「外の文明に対して憧れがある」と。
【たまに…このまま逃げたらどうなるんだろう…って思う時があるの…】
「逃げればいいじゃない、誰も責めやしないわよ。」
【そうもいかないの…ワタシには両親が居て、面倒見なくちゃいけない。】
なら仕方ない…そうしたいのなら本人の意思が変わらない限りはダメだ。
それはともかく、自分達は密林を抜けることに成功した。
「此処が湿地帯ですね。ありがとうございます!」
【いや、気にしないで。アンタ達だって大変だったでしょ?】
「まぁね。」【それなりに。】
【気を付けてね、このまま真っすぐ行けば日暮れまでには村に着くと思うけど、夜は本当に暗いから。】
それを言うと、そのままマネイは来た道をさっさと戻ってしまった。
日暮れまでか…確かに陽がかなり傾いて来たな…村まで急ごう。
「そうだ…イン、イワ…俺が寝ていた間の事はすまないな…」
「ホントだよ、まじで苦労掛けてさ。」
【重かったよコォ。バラバラにして持って行こうかって思ったもん。】
「えぇ…そ、そうならなくて良かった…まぁ…ありがとう。」
「礼は良いから早く行こうよ!日が暮れちゃうよ!」
日が暮れようが、暗くなろうが礼は大事だ…しかし、今は本当に急がなくてはならない。
こんな狭い道で日が暮れたら大変な事になる。
自分には何度も泥まみれになる覚悟は無い。
「でも…ドキドキするなぁ…母親かぁ…」
「イン…あまり期待しない方がいいかもしれないぞ。」
「えっどうして?」
「父さんと離れて暮らしていたんだ、自分達を歓迎する気が無いかもしれない。」
「そっかぁ…」
やはりそう言う事が心配になってしまうのだ…父さんの呪いを解いてくれるのだろうか?自分達を邪険にしないだろうか?
それに…俺達以外に…新しい家族が居るかもしれない。
その時は…どうしようか………それと父さんは無事だろうか、自分の止めているらしいが…いつまで持つかは分からない、もし解ければ父さんは呪いで…うぅ…
駄目だ駄目だ!何で俺がウジウジしないといけないのだ!俺は男じゃないか!
俺達はそのまま村まで歩いて向かった…
・・・
「っと…ようやく着いたな…」
「ねぇどうするの?これから探すの?」
「うーん…何のために明日にするか。今日は宿を取ろう。」
【おやの前におやどを探すんだね。】
イワのギャグは放っておくとして、自分達はクルト村へと到着した。
クルト村は静かであまり大きい村では無いが…人はまぁまぁ居て、宿などの施設も多い…自分は念のためを思って、明日、光の大魔導師を探すことに。
まずは休まないと…身体がクタクタで仕方がない。
果たして…会えるのだろうか…自分達の母親、一代前の光の大魔導師に。
つづく
・・・
キャラクタープロフィール
名前:タブルス・テヌシィ(男) 身長:194㎝ 瞳の色:灰色 髪色:橙
誕生日:7月29日 星座:ソーメ座 血液型:A型 人種:ダニーグ人
好物:点心料理 趣味:読書 職業:影の大魔導師(現)
『タブルスは今代の影の大魔導師である。生まれから学歴までが不明で、唯一分かる事は圧倒的な魔法の知識量と凄腕の影魔法使いという理由で大魔導師会へ入った事だけだ。現在はとある場所で暮らしながら影の大魔導師として働いている。』
『引用:大魔導師会員管理帳』
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