【R18作品】コォとインの奇怪冒険譚

蛾脳シンコ

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第1部【明暗の大魔導師】編

第45話 奇天烈看守、タラシアン

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俺の名前はコォ…イワ、イン…そしてわけ合ってテトモルトと共にザモン古代牢を進んで行く冒険者だ。
なんとかこの中へ入れた自分達であったが、内部は迷路のように入り組んでおり、迷えば進むことはもちろん、還る事すらも出来ないだろう。
それに侵入者撃退用の罠もそこら辺にある…うっかり掛かってしまったら…
直ぐにあの世行きだ。

「…待て、貴様等…耳を澄ませ…」
「どうかしたのか?」

テトモルトが急に耳を澄ませと言い出したので、自分達も黙って耳に全神経を向けてみた。
そうすると、ボソボソとだが…声が聞こえてくるのが分かる…
誰か居るのか?喋っていると言う事は看守か?

『タラシアン、侵入者を見つけたら直ぐに殺せよ、からの命令だからな。』

『分かっていやす。プチマット、アンタは拷問棟の方をお願いしやす、アタシゃこの牢獄棟を捜索しやすから。』

そう会話が終わると、コツコツと2つの足音が聞こえてくる…
1つは遠ざかり、もう1つはこちらへ来ている…来ている!!まずいぞ…あの会話からして看守で間違いないだろう…もし見つかれば戦闘は不可避だ!
慌てて皆で逃げようとしたのだが…

「貴様等、何を怯えている?あっちはどうせ1人。こちらは4人だろ?」
「バカ野郎…古代魔族だぞ?どんな奴か知らないけど…強いに決まってる!」
「そうよ!普通の魔族ですらおっかないってのに…」
「そんな妄想を…俺は入り口で古代魔族のコリブとか言うフザけた野郎と戦ったが、相手はあのザマだ。」

「けどお前、やられてたじゃん。」
「な!?あ、あれは不慮の事故だ…ともかく!4対1の方が勝率は限りに無く100に近い…皆でリンチするぞ!」

リンチなんて気が乗らないし、何もわざわざ戦って殺すこと無いじゃないかと思ったのだが…今は先へ進むことが大切だ。
仕方なしに自分達は武器を抜いて近くの物陰へ身を潜めた。
奴を後ろから襲うと言う卑劣な戦法だ…父さんに顔向けできないな。

【おかしい…部外者の匂いがしやす…】
「(あ、あれが古代魔族か………なんか意外と変わんないな…)」

角から現れた古代魔族の看守は赤黒い鎧を着た…普通の魔族っぽい奴だった。
少し体つきが逞しいという以外は本当に普通の魔族と変わらない。
肌の色は…薄い青だな…外に出ないので肌の色が弱いのだろう…

「よし…まずは俺がバレチトンで動きを止める、その隙にコォと小娘インはありったけの火球を叩き込め。俺も全力の火球をぶち込んでやる。」

【ウチはどうすれば良いの?】
「弱いだけで役立たずのカスはそこに居ろ。」
「もうちょっとイワに優しくしろよ、殴るぞ。」
「じゃあカスはそこに座ってろ。」

とりあえずテトモルトの後頭部へ拳骨を喰らわせた後に計画を実行する事に。
奴が後ろを向いている今がチャンスだ!

「ハァアアアアア!!!」
【な!?ぐびゃぁあああ!?】
「今だ!ありったけの火球をぶち込むぞ!!」

テトモルトが飛びだし、かなり激しく光るバレチトンを奴へ浴びせると合図で自分とインも奴へ近付いて出来るだけ沢山の火球を奴へ浴びせる!
ドゴォオン!等と言う爆発音が響き、壁は割れ…地面にもヒビが入る。
とにかく3人で撃ちまくったのだが…ど、どうだ?流石の魔族でもあれは応えただろう…おかげで…魔力はカツカツだがな…少し休まないと…

「はぁ…はぁ…とりあえず1体目は…」
【やってくれるな、侵入者共め…】
「「「!?」」」

何と言う事だろうか、常人なら灰すらも残らない火球の嵐を見に受けたというのに…そこには先ほどの看守が立っていた…鎧はコゲコゲだが、普通に立ち上がった…

【おもしろいでやすね…看守相手に不意打ちとは…】
「ッチ…化け物が…おい貴様等下がってろ。俺が1人で片付ける。」
「な!無茶だぞ!相手は古代魔族だ!」
「うるせぇ!弱っているなら1人で充分だ!邪魔だから下がってろ!」
「しょうがないよ、コォ。死んだら置いてこ。」

えらくドライな発言をするインだが…それと対照的に相手は【良いねぇ】と余裕満々な発言をした…マズいぞ…あの看守、全然弱っていない…
体力は消耗した様だが、相手からしたらほんの些細な事でしかないのだろう。
直ぐにその事も伝えたのだが、テトモルトは…それでもやる気らしい。
巻き込まれたらタダじゃ済まないので自分達は遠く離れた。

【そこに隠れてるゴミクズも含めて4人でも良いでやすよ?】
「舐めた事を…抜かせぇ!!」
【うっぐぁあ!!】

テトモルトは最初から魔力全開で行く気だ!火球を作り上げるとそれを握り潰して纏う技…魔熱波だ!…いや、別にこれが正式名称じゃ無いのだけども、今はそんな事どうだって良い!
アイツの魔熱波はシャレにならない!直ぐにインとイワを抱えて死角の位置から覗き込む…

「消えて無くなれぇッ!!」
【なんの!!これしきぃいい!!】

す、凄い熱量だ…目を閉じないと一瞬で眼球が蒸発してしまいそうだ!
モルトの放つ魔熱波は一瞬で奴を飲み込み、ズバァアアアア!!と床や壁を焦がす!なんて野郎だ…魔力を使い果たす気か…

「はぁ…や、やったか…」
【残念でやすね…こんな攻撃じゃアタシゃは殺せないぜ。】
「さ、最大火力の球壊波キュウカイハを絶え凌ぐなんて…」
【クヘヘヘヘ…じゃあ…今度はこっちからだぜい!!】
「ぐぉっほぁ!」

魔法を放ったばかりで体力を消耗したモルトを看守は腕を振るってテトモルトを殴り飛ばす!力のこもっていない振り払いでもモルトはドガッ!と壁にぶつかって倒れる…
なんて力だ…普通の魔族の倍以上はあるぞ…

【どうしやした?まさか…もう終わりかぁ!?】
「ぐぁお゛…がはぁ!!」
【アッハッハッハッハ!魔族みてぇに頑丈な人間も居たもんだ!!】
「はうっがぁ゛!ごほっがあ゛ッ!」

看守は横たわるテトモルトの足を掴んで振り回し!壁や床にぶつけるとこちらの方へ投げる!こちらの近くへ飛んできたモルトであったが、直前で一回床にバウンドして転がって来た…
血まみれでボロボロだ…奴の言ったように頑丈だがそれでもこの有様だ。

「て、テトモルト…」
【そこのクズ共め、3対1でアタシとやるか?】
「くっ…(もしそうでも…勝ち目はないな…)」

テトモルトの魔法でもあまり傷付かない奴だ…自分の魔法は効くかどうか分からないし、インは一撃で殺されてしまうだろう。
イワは論外。

「4対1じゃ…ダメか?」
【4だと?はっはっは…良いだろう!4でも5でも何でも来い!】

3人なら無理だが、4人ならイケるだろう…テトモルトを残った魔力全てを使って回復させてやった…コイツは悔しいが強い。

「ぐ、ぐぅう……コォ…き、貴様!!」
「なんだよ!急に…」
「なぜ俺を回復させた!俺を回復させないで魔力を使って奴を攻撃すれば良いだろ!」

そう言ってモルトは傷だらけの身体で無理やり立ち上がった。
いくら魔法が使えなくても…俺なら普通に格闘で何とかなるかもしれない…別に魔法じゃ無いと攻撃できないワケでは無い、武器だってあるんだ。

「コォ、私のダガーを使って。」
「すまねぇな…イン、魔力はどのくらいだ?」
「まだまだ残ってるけど。」
「だったら出し惜しみするな、枯渇させる勢いでやれ!」
「おいお前等!ゴタゴタ言ってないでやるぞ!4人ならやれる!!」
【ふん!やってみろ!!】
【(ウチって居る意味あるのかなぁ…まぁいいや、戦おう。)】

自分達は構え、奴と対峙した…敵は勝てるかどうか分からないほどの強敵…とにかくガムシャラに戦うしかない!

「ハァアアアアッ!!雹球!!ダリャァア!!」
【うごが!】

まず最初にテトモルトが雹球を相手の顔面へぶつける!奴が怯んだ隙に4人で全力を出して奴を攻撃する!インはマジカウェポンで殴り、イワは爪で切り裂く!
俺はダガーで切り裂いた場所をメイスでぶん殴って追撃!そしてテトモルトのトドメのバレチトン!!

【ふははは…そんなものか…お前等の実力は…】
「き、効いていない…!」
【ここまで来るからどんなものかと思ったが…大した奴ではないでやしたね…】
「ぐっ……待て!おい古ぼけモンスター!2…いや1分くれ。」
【どうするつもりでやす?まさか…死ぬ準備とでも言わないでやす?】

何か手があるのか、テトモルトは1分くれと相手に頼み込んだ。
そして看守も【まぁ良いだろう】と特別に1分だけ時間くれる…なんだ、まさか何か手があると言うのか?こんなどうしようも無さそうな相手でも…

「イン…貴様確か影魔法は使えるな?」
「そうだけど…何を使わせる気?あんまり使いたく無いんだけど。」
「奴に向かって底なしの穴を出せ…」

テトモルトの作戦は簡単で、相手をインの作り出した底なしの穴に突き落とすと言うものであった…
しかし完璧な物では無い…影魔法は詠唱に時間が掛かる、それに体力も魔力も大きく消費して身体に負担も掛かってしまう。
そんなものを使わせたくないのだが…今はしょうがない。
奴を葬るしか道は無いだろう。

「その間は俺達が時間を稼ぐ…コォ、魔法はどうだ?」
「もう使えんぞ。使い果たしてしまった。」
「だったら俺のを分け与えてやる。全力で時間を稼ぐんだ…」

モルトに従うのはハッキリ言って癪だが、状況状況なので従う事に。
そして魔力を分けてもらい、テトモルトが作戦をザックリと説明したその時、遠くに居る看守がドガッ!と壁を殴ってこちらの視線を集めた。

【おい、アンタ等…まだか?】
「ふん…今、終わったところさ…」
【ようやく死ぬ準備ができやしたか…だったら…死ねぇ!!】
「いいや!死ぬのはテメェだ!!多勢に挑んだことを後悔するんだな!行くぞ!」
「うぉおおおおお!!キム・ムーア!!」

テトモルトの合図と共に自分達は一斉に奴へ襲い掛かった。
キム・ムーアで強化した腕を使い、自分は相手へ武器を持って殴りかかり、イワは再び爪で斬りかかる…とにかく3人で何も考えない野蛮な攻撃を続けた。

【ええい!うざったらしいハエ共が!!】
【ぐぅえッ!!】
「イワ!ちっくしょう…スネレイズ!!」
【ぐわッ!き、貴様!!】

イワが殴り飛ばされ壁にぶつかり、自分はスネレイズで看守の顔面を撃つもバーン!と飛び散る様に光線は弾け飛び、逆に自分が首を絞め上げられる!

「がぁあ゛…ぐぅう!!」
【どうした!そんな爪楊枝光線でアタシを殺せると思ったのか!!】
「火球ッ!」
【がぁああ!!お、おのれぇ!!さっきからうるさいコバエ共が…1匹残らず叩き潰してやる!!】

絞め上げられる自分だったが、モルトが奴の空いた背中へ火球をぶち込み、何とか事なきを得た…地面に強く落ちた自分だったが、直ぐに立ち上がるとモルトと同じように火球を作って奴の背中へぶち込んだ!
いくら魔族と言っても…やはり肌には限界があるのか…少しだけ肌が焼けている…
だが…奴の最期も近い!インが魔法の詠唱を終えた!

【まずはそこのオレンジ頭!!貴様からだ!!】
「ハァアアア!!底なしの穴!!」
【ぐぉおお!?こ、これは…】

奴の足元には大きな黒い穴が現れ、それは光すらも通さないどす黒いものであった…
看守はそのまま落ちるかと思ったのだが…なんと縁を掴んで這い上がろうとしている!普通はあの穴に落ちると落ちた瞬間に消えるハズなのに!
まさか一部には効かないのか…だが…

「イン!解除しろ!早く!!」
「え!?えぇ……か、解除!!」
【ぐっはぁあああ!!ごはぁ!!ぞ、ぞんな…】

奴の上半身が穴から出てきたその時、出られる前に先にインが穴を解除した。
穴が解除されたことによって飲まれた下半身は消え去る事になり…看守は上半身のみとなってしまった…流石の古代魔族も…これにはひとたまりも無いようだ。
切断面と口から凄い勢いで血が噴き出している…

「ははは…はっはっは!ざまぁ見やがれ!!」
【おのれ…影魔法を使うなんて…ぢ、ぢぐじょおおぉおお!!】

ちくしょう…それを言い残し、看守はそのまま…息途絶えてしまった。
始めて戦った古代魔族だが…その力は地上の魔族とはシャレにならない力だった…少しでもインの魔法が遅かったら俺の命が危ういところだった…

「お、おい…みんな…集まれ…回復するぞ…」
「はぁ…はぁ…私は休ませて…ちょっと目がフラフラする…」
「早く治療しろ…」
「そう急かすなって…まずはインの治療を…」
【ウチなら大丈夫だけど。】

嘘だろ…あんなにドバッギィ!!と派手な音を立てたのに大丈夫なのか…
でも、それなら良い…ならテトモルトを回復してやるか…この魔力は一応、奴の魔力だからな。
(って言うかしないと殺されそうだ)

「次は拷問棟とやらに行くぞ。」
「行く必要なんてあるのか?」
「おっと…お前まさか忘れたのか?俺はお前を手伝う代わりに…?」
「ッチ…しょうがねぇ…無駄な戦いは控えるぞ。回復だって無限じゃねぇんだぞ。」

テトモルトとの約束は『手伝ってもらう代わりに手伝う』だ…拷問棟なんて名前を聞いたら絶対に足を踏み入れたく無いのだが、しょうがない。
もしかしたら造魔影の情報があるかもしれない。
それに道だって分からない、我武者羅に進むよりかは良いだろう。
自分達は看守の仲間が向かった拷問棟方面へと進んだ。

つづく
・・・
諸々図鑑
名前:古代魔族 分類:魔族(原種) 発見者:不明
危険度:レベル5(遭ったら最後) 標的:不確定

『古代魔族は読んで字の如く古代の血を引いた魔族である。魔界に生息する魔族で現世に居る魔族の原種とされている。知能はまちまちで人間以上に賢い者から犬以下の者も居る。一貫して特徴は大柄な身体に強力な力を有している、平均身長は260㎝程で、これは現世の魔族でも高い方に入る。言葉は話せるが、あまり口は良くない。また性格も野蛮で凶暴な者が多く、戦闘を好み、自身が強くなることを最高の報酬と考えている。種類はベーシック、動物型、飛翔型、帝王型が居り、中でも帝王型は基礎の能力が非常に高く、その名の通り帝王になる素質を持っているが滅多に生まれる事は無い。肌の色は現世の物に加え、灰色や黄色…果ては緑まで何でもござれ。平均寿命は謎で確認された最高齢は386年。現世では人工魔族の紫肌族の次に珍しいとされている。ちなみに飼育は禁止、命権侵害となる。』
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