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第1部【明暗の大魔導師】編
第46話 拷問官と看守長
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俺の名前はコォ…4人でザモン古代牢を進んで行く冒険者だ。
古代魔族の看守の1人を何とか倒した自分達は行きたくないが約束は仕方ないと言う事で拷問棟へ向かっている…もしかしたらそこにテトモルトの目的である造魔影の資料があるかもしれないからだ。
響きからして無さそうだが、行かないと殺されそう。
ちなみに拷問棟へは看守の仲間であるプチマットが居るハズだ…名前は飽くまでも憶測なので違う可能性があるが、とにかく誰かしら居るに違いない。
にしてもこの古代牢には看守が2人しか居ないのか?奴らの話から察するにガスパラという者も居るそうだが…会わないことを祈るのみだな。
「うっ…く、臭いわ…何よこの匂い…」
「酷いな…腐敗臭か?」
「奴らの事だ、拷問した後も後片付けはしないんだろ?俺は好きだけどな、この匂い。」
拷問棟へ近付いて来ている証拠なのか、自分達の鼻を酷い悪臭が突いた。
まるで腐った生ゴミのような匂いだ…もちろんハエや蛆などが沢山湧いているタイプの。
涼しい顔をしているイワとテトモルトだが…イワは分かる、がコイツに至っては何なんだよ…怖いよ…
「……ん?なんだ?」
大気中に湿り気が含まれてきた頃に、通路の壁に落ちている物体に目が行った。
少し暗くて分からないので近付いてみれば…
「うわぁ!?な、生首だ…気持ち悪い…」
「なんだよ生首くらいで。こんなもん、蹴り飛ばせば良い。」
「私も慣れてるかも。もっと酷いの見たからね。」
【ジャングルの村にはもっとあったよ。】
落ちていたのは腐りかけの生首…肌の色からして魔族だろう…同じ看守の…?
いや違うな、看守にしては髪の毛がボーボーで近くに横たわっている胴体もロクな服を着ていない…一般の古代魔族か…にしてもなぜ首を?
まさかアイツ等殺しているのか…侵入者は見境なく殺すのか…
そんな事を考えていた矢先にテトモルトは生首を奥の方へと蹴り飛ばしてしまった。
「何やってんだよ…死体だぞ。」
「死体なんて価値は無いさ、死んだらお終い、ただの物だ。」
「キッパリしてるのね。」
「し過ぎだろ…否定はしないが、情とかあるだろ?」
「そんなの物も一緒だろ、思い出の品とかは捨てにくいが、道端に落ちている石ころは普通に蹴り飛ばす。そんなもんだろ。」
どうにも自分はこのテトモルトと言う男とは生きる世界が違い過ぎる様だ。
停戦が解けたらまた殺し合うのかと思うと、少し複雑な気分になるがコイツに変な情などは持ってられないし湧かない。
インを攫ったんだ、許すわけが無かろう。
しばらく歩いた自分達は大きく開けた場所へやって来た…
そこは血生臭く、血と刃が入り乱れる空間…此処が拷問棟か…酷い匂いだ。
「大分広いな…」
「探すとしたら此処は無しだよな?だったら引き返して…」
「引き返すだと?貴様本気で言っているのか?」
「じょ、冗談に決まってんだろ…」
やべぇ…テトモルトの奴、目が一瞬だけ…本気だった。
コイツと今の状態でやり合っても負けるだけだろう…今は止めておこう。
自分達は拷問部屋を見て回るのだが…どうも此処は刃と針と肉以外は何も無さそうだ…こんな所に資料なんてあるのだろうか。
あっても拷問に関する資料だけだろう。
それに此処には看守が居るハズ…迂闊に動き回る事も危うい。
「針床に磔台、ギロチンか…拷問と言う割には殺しに来てるじゃねぇか。」
「よくそんな物が触れるな…迂闊に動かして起動させるなよ…」
「このギロチンなんて動きそうだぜ。ほら!」
「ひぃい!?」
テトモルトは近くのレバーを引くと、ギロチンの刃がスパン!!と音を立てて下へ下がった…凄い速さだ…これで首を斬られたら痛みすらも感じないだろう。
しかし、此処は牢屋なのに拷問部屋があるのか…不思議な所だな。
もしかすると光の大魔導師も…?いや、そんな事は無いな、ずっと閉じ込めているって聞いたし。
「……3、3人共…あれを…」
「コォ、どうかしたの?あ、あれは…」
「きっと看守の片割れだな、ぶっ殺しに行くか。」
奥の方でドスドスと尻尾を引き摺って歩く影を見た…アレがもう1人の看守だろう。
他に居なさそうなのでやはり看守は2人しか居ないのか…
早々にぶっ殺しに行こうとしたテトモルトを止めて、奴が無効に居る間にここら辺を調べることに…しかし、本当に此処には拷問器具意外、何も無い。
厳密に言えばベトベトの何かやよく分からない肉が落ちている。
「やっぱり此処には何も無いな、戻るぞ。」
「待てよ、あの看守をぶっ殺しに行くぞ。」
「アンタ正気!?さっき戦ってヤバかったの分かんなかったわけ?」
「そうだぞテトモルト、殺しに行く理由も無いし、手間がかかるだけだ。」
「うるせぇ!良いか?看守長が居るかもしれないんだ、ソイツとの戦いは避けられないだろう、だから先に相手の兵を減らすんだ、古代魔族は1匹だけならどうにかなるが、群れると手が付けられなくなるのはよく分かるだろ?」
別に戦うと決まったわけじゃ無いが、一理ある。
しかし一々殺すってのも…なんか嫌な感じだ。
「それに此処は拷問棟、武器になりそうなもんは幾らでもあるぜ。」
「あっちが本職じゃ無いのか?多分そのくらいの読みなら普通に逆手に取られると思うが。」
「うるせぇな!行くぞ!残りたい奴は残って死ね!」
そう言ってテトモルトは進んで行く…たった1人で。
自分達はしばらく、その場で奴の背中を見ていたが…誰1人として付いて来ない状況に腹を立てたモルトは「来ないと殺すぞ!」と言って脅して来た。
仕方なしに自分達も向かう事に。
「おかしいな…こっちにはこの部屋しか無いな…」
「ほかに道なんて無かったよ。」
自分達は奴の後ろを付いて行くように通路を進んで行ったのだが…その先には1つの牢獄みたいな部屋しか無かった…おかしい、この部屋しか無いなら、必然的に会うはずなのに。
インの言う通り、他に通路も無かったし…何処かで見落としていたのか?
とりあえず一旦戻りたいが…
【テメェ等!よくもまぁ付いて来たな!!】
「!?こ、コイツは…」
入り口には看守が立っており、厳つい槍をこちらに向けていた。
トカゲ型の魔族だが…ま、まさか姿を消したのか…確かトカゲ系の魔族はそう言うのが得意だと聞いたが…
【貴様等全員ミンチだ!!押し潰してやるぜぇ!!】
「い、入り口が!?」
「なんだよこの音は…」
奴が入り口付近のブロックをドスッ!と殴ると入り口は鉄格子で塞がれ、下手全体がズゴゴゴと揺れ始めた…何が起きるんだ…
潰すと言っていたが……!!ま、まさか!!
【コォ!天井が落ちて来てる!!】
「なぁ!?」
【ゲヒヒ!全員潰れ死ね!】
「ど、どうしよう…雹球も火球も意味無いし…」
「………」
天井が落ちて来ていてこんなにヤバい状況だと言うのにテトモルトは涼しい顔で立っていた…コイツ、大丈夫か?まさか緊張のあまり…頭が…
「貴様等落ち着け。俺の魔法を忘れたか。」
「お前の…あ…た、たしか!」
「全員掴まれ。」
【お、おい…何をする気だ?】
テトモルトがそう言うので全員で掴まると、バシュン!!と景色が変わった…
そうだ、テトモルトは転送魔法を持っていた…近場にしか使えないが、こういう時に便利に他ならない…意外な場面で使える奴だったな。
さて此処は奴の後ろだが…気付いていない様だ。
【アイツ等…何処行きやがった!】
看守はわざわざご丁寧にも仕掛けを止めて部屋の中へ確認しに行った。
その隙を見計らってテトモルトは同じように壁を叩いて奴を閉じ込める…
【!?な…い、いつの間に…どわぁああ!!?天井が!!】
「テトモルト…何も天井は勘弁してやれよ…」
「すまねぇな。天井の止め方は知らねぇんだ。そのまま潰れて死ね。」
【くっそ!!テメェ等!!】
看守は必死にガシャガシャと鉄格子を揺らしたが…この鉄格子は思いの外頑丈らしい…びくともせずに、天井はドンドン奴の頭上付近までへと落ちて行く…
時間を無駄にしたくないと自分達も少し可哀想だが、あのまま放置して進むことにした…成仏してくれよ。
【ぐおぁぁあぁぁぁあああ!!ぐがべッ………】
後ろで断末魔と共にゴキゴキやベキバキィ!!と言った音が聞こえたが…ブチュンと言う音と共に静まり返った…あのような最期は迎えたくないモノである。
さて…最深部を目指すか…
・・・
【プチマットすら敗れたか…中々出来る様だな…貴様の子はよくやるそうだ。】
「当たり前よ、ワタシの血を引いているんだから。」
【親子揃えて収監してやる…(タラシアン、プチマット…お前等の仇は取るぞ…)】
・・・
あれからどれほど進んだのだろうか…かなりの距離を歩いて来た感じがするが…まだまだ着きそうにない…しかし、奥に近付いていることは確かだろう。
進むたびに余計な道は無くなり、ほぼ一本道だ…全くなんでこんなフクザツで不便な設計にしたのだろうか…脱走対策も含めているのだろうか?
「くぅう…」
「どうかしたのか?具合でも悪いのか?」
「違う…昨日の昼から何も口に入れてねぇから…少し腹が…」
「ダメじゃねぇか、キッチリ食事はしないと。」
テトモルトが具合が悪そうにしていたので何かと思えば、空腹なだけだったか…
しょうがねぇ、今は仲間だし携帯食料を分けてやるか。
そう思ってバッグを漁った自分であったが、それよりも先にイワが何かを差し出した。
それはルオッドから貰ったおにぎり…そういやイワは魔族だし食わなかったな。
【あげる、腐らせるよりかはマシだし。】
「くっ…恩にき…はしないが、助かった。」
「良いのか?イワ。」
【ご飯食べても意味無いし、捨てるのは勿体ないでしょ。】
それもそうか…しかし、あのおにぎり…貰ってから結構経ってるよな。
今日は雨が降っていて湿り気も凄かったし………いや、止めておこう。
変な事を言うと場がしらける、テトモルトだって笑顔で頬張っているのでそっとしといてあげようじゃないか。
「テトモルト、少し気になったことがあるんだが…」
「なんだよ。」
「お前っていくつなんだ?」
「……【ヘックショイ!!】歳だ。」
「て、ていう事は…俺とインより1つ上なのか…」
それにしては…何という魔法の名手だろうか、やはりコイツはタダ者では無いな。
モルトが食べ終えるとイワに上着を掛けて先に進むことにした。
このザモン古代牢に入ってからどのくらい経ったかは分からないが…まだ半日も経っていないのだろうか…入る前に時間を確認しとくんだったなぁ…
「看守って…もう1人居るのよね?」
「奴らの話的にな。おそらく…話からして看守長…辺りか?」
「少なくともあのクソ野郎2匹の上に立つ奴で間違いねぇな。ボスと言ったところか…」
【だったらあの2人より強いんだよね?ウチ等、勝てるかな…】
強いのは確かだが…何も負けると決まったワケではない、勝つと決まったワケでも無いが…それでもあの看守に4対1で勝ったんだ、絶対に勝てないと言うワケでは無い。
「この世に絶対は無いからな、勝てるかもしれないな。」
「せいぜいそう思っとくんだな。貴様等は知らんだろうが古代魔族には帝王型という者が居る…もしかしたら此処のボスがそうかもしれん。」
テトモルトの言う帝王型とは古代魔族の型の1つであり…1つの文明が始まり、終わるまでの間に1人生まれるか生まれ無いかで、とても貴重な存在らしい。
それは読んで字の如く帝王の素質を有しており、生後一週間で親すらもいとも簡単にぶち殺せるほどの実力を有するらしい。
そして最も大きな特徴は…
「アイツ等は特殊な生態をしている。生物は通常、長い年月を掛けて進化、退化を行うが…奴らは極短時間に…それも生きている間に何度も進化と退化を繰り返すことができる。」
「なぜ…状況に分けて己の身体の形を変えているのか?」
「ぶ、不気味な奴等ね…イワがそんなんじゃ無くて良かったわ。」
【ウチも心底そう思うけど、そんなんって言われたら複雑だよ。】
まぁ、イワからしてみれば先祖や仲間みたいなモノだしな。
それはさておき、かなり大きく開けた所に来たな…嫌だなぁ、こういう所だといつも敵と戦闘になるんだよな…
【このオレをそんなん呼ばわりとは良い身分だな、小娘。】
「ひぃええ!?で、出た…」
「こ、この人が…」
「貴様が此処のボスか…弱そうだな、おい。」
出て来たのは…まぁ何ともあまり強くは無さそうな…トカゲクンであった。
背は自分と同じくらいしか無いし、ヒョロヒョロしている…それに何も着ていない…いくらブツが無いからと言ってもせめて服は着た方がいい。
此処は冷える……いや、古代魔族は凍えないのかもしれないな…
(爬虫類の多くはブツを仕舞っているが、この人もそうなのだろうか)
【人間はいつも愚かだ、そうやって外見で全てを決める…】
「弱そうな奴は弱いんだよ…本当に強い奴は無駄な戦闘を避けるために自身を強く見せるのさ、お前みたいに余裕ぶっこいてる奴ほど小物なんだぜ。」
【ほう…だったら……これで…満足かぁあああ!!!】
「「「【!?】」」」
そう言って看守長は全身に力を溜めると全身の筋肉が肥大化し、背も伸びて一気に身長2メートルほどの大柄な魔物へと姿を変えた…
背自体はあの2人に敵わないが…溢れ出る強さは……別格だ…
【さぁ…貴様等…断罪の時間だ…】
つづく
・・・
『君もやってみよう!魔力の受け渡し!』
提供:全国魔法委員会
『魔法と切っても切れないモノである魔力の枯渇。一時的な解決策として他人との魔力の共有がある。方法は簡単、相手の何処か一部分…最も良いのは手、それ以外は痴漢になる可能性が大。……そして触れた場所へ魔力を溜めるようにすればイイ感じに魔力が相手へ注がれます。やる時は落ち着いて、ゆっくりやりましょう。一歩間違えれば相手の急所に魔法を誤射してしまう可能性があります。』
『※何が起きても当委員会は一切の責任を負いかねます。』
古代魔族の看守の1人を何とか倒した自分達は行きたくないが約束は仕方ないと言う事で拷問棟へ向かっている…もしかしたらそこにテトモルトの目的である造魔影の資料があるかもしれないからだ。
響きからして無さそうだが、行かないと殺されそう。
ちなみに拷問棟へは看守の仲間であるプチマットが居るハズだ…名前は飽くまでも憶測なので違う可能性があるが、とにかく誰かしら居るに違いない。
にしてもこの古代牢には看守が2人しか居ないのか?奴らの話から察するにガスパラという者も居るそうだが…会わないことを祈るのみだな。
「うっ…く、臭いわ…何よこの匂い…」
「酷いな…腐敗臭か?」
「奴らの事だ、拷問した後も後片付けはしないんだろ?俺は好きだけどな、この匂い。」
拷問棟へ近付いて来ている証拠なのか、自分達の鼻を酷い悪臭が突いた。
まるで腐った生ゴミのような匂いだ…もちろんハエや蛆などが沢山湧いているタイプの。
涼しい顔をしているイワとテトモルトだが…イワは分かる、がコイツに至っては何なんだよ…怖いよ…
「……ん?なんだ?」
大気中に湿り気が含まれてきた頃に、通路の壁に落ちている物体に目が行った。
少し暗くて分からないので近付いてみれば…
「うわぁ!?な、生首だ…気持ち悪い…」
「なんだよ生首くらいで。こんなもん、蹴り飛ばせば良い。」
「私も慣れてるかも。もっと酷いの見たからね。」
【ジャングルの村にはもっとあったよ。】
落ちていたのは腐りかけの生首…肌の色からして魔族だろう…同じ看守の…?
いや違うな、看守にしては髪の毛がボーボーで近くに横たわっている胴体もロクな服を着ていない…一般の古代魔族か…にしてもなぜ首を?
まさかアイツ等殺しているのか…侵入者は見境なく殺すのか…
そんな事を考えていた矢先にテトモルトは生首を奥の方へと蹴り飛ばしてしまった。
「何やってんだよ…死体だぞ。」
「死体なんて価値は無いさ、死んだらお終い、ただの物だ。」
「キッパリしてるのね。」
「し過ぎだろ…否定はしないが、情とかあるだろ?」
「そんなの物も一緒だろ、思い出の品とかは捨てにくいが、道端に落ちている石ころは普通に蹴り飛ばす。そんなもんだろ。」
どうにも自分はこのテトモルトと言う男とは生きる世界が違い過ぎる様だ。
停戦が解けたらまた殺し合うのかと思うと、少し複雑な気分になるがコイツに変な情などは持ってられないし湧かない。
インを攫ったんだ、許すわけが無かろう。
しばらく歩いた自分達は大きく開けた場所へやって来た…
そこは血生臭く、血と刃が入り乱れる空間…此処が拷問棟か…酷い匂いだ。
「大分広いな…」
「探すとしたら此処は無しだよな?だったら引き返して…」
「引き返すだと?貴様本気で言っているのか?」
「じょ、冗談に決まってんだろ…」
やべぇ…テトモルトの奴、目が一瞬だけ…本気だった。
コイツと今の状態でやり合っても負けるだけだろう…今は止めておこう。
自分達は拷問部屋を見て回るのだが…どうも此処は刃と針と肉以外は何も無さそうだ…こんな所に資料なんてあるのだろうか。
あっても拷問に関する資料だけだろう。
それに此処には看守が居るハズ…迂闊に動き回る事も危うい。
「針床に磔台、ギロチンか…拷問と言う割には殺しに来てるじゃねぇか。」
「よくそんな物が触れるな…迂闊に動かして起動させるなよ…」
「このギロチンなんて動きそうだぜ。ほら!」
「ひぃい!?」
テトモルトは近くのレバーを引くと、ギロチンの刃がスパン!!と音を立てて下へ下がった…凄い速さだ…これで首を斬られたら痛みすらも感じないだろう。
しかし、此処は牢屋なのに拷問部屋があるのか…不思議な所だな。
もしかすると光の大魔導師も…?いや、そんな事は無いな、ずっと閉じ込めているって聞いたし。
「……3、3人共…あれを…」
「コォ、どうかしたの?あ、あれは…」
「きっと看守の片割れだな、ぶっ殺しに行くか。」
奥の方でドスドスと尻尾を引き摺って歩く影を見た…アレがもう1人の看守だろう。
他に居なさそうなのでやはり看守は2人しか居ないのか…
早々にぶっ殺しに行こうとしたテトモルトを止めて、奴が無効に居る間にここら辺を調べることに…しかし、本当に此処には拷問器具意外、何も無い。
厳密に言えばベトベトの何かやよく分からない肉が落ちている。
「やっぱり此処には何も無いな、戻るぞ。」
「待てよ、あの看守をぶっ殺しに行くぞ。」
「アンタ正気!?さっき戦ってヤバかったの分かんなかったわけ?」
「そうだぞテトモルト、殺しに行く理由も無いし、手間がかかるだけだ。」
「うるせぇ!良いか?看守長が居るかもしれないんだ、ソイツとの戦いは避けられないだろう、だから先に相手の兵を減らすんだ、古代魔族は1匹だけならどうにかなるが、群れると手が付けられなくなるのはよく分かるだろ?」
別に戦うと決まったわけじゃ無いが、一理ある。
しかし一々殺すってのも…なんか嫌な感じだ。
「それに此処は拷問棟、武器になりそうなもんは幾らでもあるぜ。」
「あっちが本職じゃ無いのか?多分そのくらいの読みなら普通に逆手に取られると思うが。」
「うるせぇな!行くぞ!残りたい奴は残って死ね!」
そう言ってテトモルトは進んで行く…たった1人で。
自分達はしばらく、その場で奴の背中を見ていたが…誰1人として付いて来ない状況に腹を立てたモルトは「来ないと殺すぞ!」と言って脅して来た。
仕方なしに自分達も向かう事に。
「おかしいな…こっちにはこの部屋しか無いな…」
「ほかに道なんて無かったよ。」
自分達は奴の後ろを付いて行くように通路を進んで行ったのだが…その先には1つの牢獄みたいな部屋しか無かった…おかしい、この部屋しか無いなら、必然的に会うはずなのに。
インの言う通り、他に通路も無かったし…何処かで見落としていたのか?
とりあえず一旦戻りたいが…
【テメェ等!よくもまぁ付いて来たな!!】
「!?こ、コイツは…」
入り口には看守が立っており、厳つい槍をこちらに向けていた。
トカゲ型の魔族だが…ま、まさか姿を消したのか…確かトカゲ系の魔族はそう言うのが得意だと聞いたが…
【貴様等全員ミンチだ!!押し潰してやるぜぇ!!】
「い、入り口が!?」
「なんだよこの音は…」
奴が入り口付近のブロックをドスッ!と殴ると入り口は鉄格子で塞がれ、下手全体がズゴゴゴと揺れ始めた…何が起きるんだ…
潰すと言っていたが……!!ま、まさか!!
【コォ!天井が落ちて来てる!!】
「なぁ!?」
【ゲヒヒ!全員潰れ死ね!】
「ど、どうしよう…雹球も火球も意味無いし…」
「………」
天井が落ちて来ていてこんなにヤバい状況だと言うのにテトモルトは涼しい顔で立っていた…コイツ、大丈夫か?まさか緊張のあまり…頭が…
「貴様等落ち着け。俺の魔法を忘れたか。」
「お前の…あ…た、たしか!」
「全員掴まれ。」
【お、おい…何をする気だ?】
テトモルトがそう言うので全員で掴まると、バシュン!!と景色が変わった…
そうだ、テトモルトは転送魔法を持っていた…近場にしか使えないが、こういう時に便利に他ならない…意外な場面で使える奴だったな。
さて此処は奴の後ろだが…気付いていない様だ。
【アイツ等…何処行きやがった!】
看守はわざわざご丁寧にも仕掛けを止めて部屋の中へ確認しに行った。
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【!?な…い、いつの間に…どわぁああ!!?天井が!!】
「テトモルト…何も天井は勘弁してやれよ…」
「すまねぇな。天井の止め方は知らねぇんだ。そのまま潰れて死ね。」
【くっそ!!テメェ等!!】
看守は必死にガシャガシャと鉄格子を揺らしたが…この鉄格子は思いの外頑丈らしい…びくともせずに、天井はドンドン奴の頭上付近までへと落ちて行く…
時間を無駄にしたくないと自分達も少し可哀想だが、あのまま放置して進むことにした…成仏してくれよ。
【ぐおぁぁあぁぁぁあああ!!ぐがべッ………】
後ろで断末魔と共にゴキゴキやベキバキィ!!と言った音が聞こえたが…ブチュンと言う音と共に静まり返った…あのような最期は迎えたくないモノである。
さて…最深部を目指すか…
・・・
【プチマットすら敗れたか…中々出来る様だな…貴様の子はよくやるそうだ。】
「当たり前よ、ワタシの血を引いているんだから。」
【親子揃えて収監してやる…(タラシアン、プチマット…お前等の仇は取るぞ…)】
・・・
あれからどれほど進んだのだろうか…かなりの距離を歩いて来た感じがするが…まだまだ着きそうにない…しかし、奥に近付いていることは確かだろう。
進むたびに余計な道は無くなり、ほぼ一本道だ…全くなんでこんなフクザツで不便な設計にしたのだろうか…脱走対策も含めているのだろうか?
「くぅう…」
「どうかしたのか?具合でも悪いのか?」
「違う…昨日の昼から何も口に入れてねぇから…少し腹が…」
「ダメじゃねぇか、キッチリ食事はしないと。」
テトモルトが具合が悪そうにしていたので何かと思えば、空腹なだけだったか…
しょうがねぇ、今は仲間だし携帯食料を分けてやるか。
そう思ってバッグを漁った自分であったが、それよりも先にイワが何かを差し出した。
それはルオッドから貰ったおにぎり…そういやイワは魔族だし食わなかったな。
【あげる、腐らせるよりかはマシだし。】
「くっ…恩にき…はしないが、助かった。」
「良いのか?イワ。」
【ご飯食べても意味無いし、捨てるのは勿体ないでしょ。】
それもそうか…しかし、あのおにぎり…貰ってから結構経ってるよな。
今日は雨が降っていて湿り気も凄かったし………いや、止めておこう。
変な事を言うと場がしらける、テトモルトだって笑顔で頬張っているのでそっとしといてあげようじゃないか。
「テトモルト、少し気になったことがあるんだが…」
「なんだよ。」
「お前っていくつなんだ?」
「……【ヘックショイ!!】歳だ。」
「て、ていう事は…俺とインより1つ上なのか…」
それにしては…何という魔法の名手だろうか、やはりコイツはタダ者では無いな。
モルトが食べ終えるとイワに上着を掛けて先に進むことにした。
このザモン古代牢に入ってからどのくらい経ったかは分からないが…まだ半日も経っていないのだろうか…入る前に時間を確認しとくんだったなぁ…
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「少なくともあのクソ野郎2匹の上に立つ奴で間違いねぇな。ボスと言ったところか…」
【だったらあの2人より強いんだよね?ウチ等、勝てるかな…】
強いのは確かだが…何も負けると決まったワケではない、勝つと決まったワケでも無いが…それでもあの看守に4対1で勝ったんだ、絶対に勝てないと言うワケでは無い。
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テトモルトの言う帝王型とは古代魔族の型の1つであり…1つの文明が始まり、終わるまでの間に1人生まれるか生まれ無いかで、とても貴重な存在らしい。
それは読んで字の如く帝王の素質を有しており、生後一週間で親すらもいとも簡単にぶち殺せるほどの実力を有するらしい。
そして最も大きな特徴は…
「アイツ等は特殊な生態をしている。生物は通常、長い年月を掛けて進化、退化を行うが…奴らは極短時間に…それも生きている間に何度も進化と退化を繰り返すことができる。」
「なぜ…状況に分けて己の身体の形を変えているのか?」
「ぶ、不気味な奴等ね…イワがそんなんじゃ無くて良かったわ。」
【ウチも心底そう思うけど、そんなんって言われたら複雑だよ。】
まぁ、イワからしてみれば先祖や仲間みたいなモノだしな。
それはさておき、かなり大きく開けた所に来たな…嫌だなぁ、こういう所だといつも敵と戦闘になるんだよな…
【このオレをそんなん呼ばわりとは良い身分だな、小娘。】
「ひぃええ!?で、出た…」
「こ、この人が…」
「貴様が此処のボスか…弱そうだな、おい。」
出て来たのは…まぁ何ともあまり強くは無さそうな…トカゲクンであった。
背は自分と同じくらいしか無いし、ヒョロヒョロしている…それに何も着ていない…いくらブツが無いからと言ってもせめて服は着た方がいい。
此処は冷える……いや、古代魔族は凍えないのかもしれないな…
(爬虫類の多くはブツを仕舞っているが、この人もそうなのだろうか)
【人間はいつも愚かだ、そうやって外見で全てを決める…】
「弱そうな奴は弱いんだよ…本当に強い奴は無駄な戦闘を避けるために自身を強く見せるのさ、お前みたいに余裕ぶっこいてる奴ほど小物なんだぜ。」
【ほう…だったら……これで…満足かぁあああ!!!】
「「「【!?】」」」
そう言って看守長は全身に力を溜めると全身の筋肉が肥大化し、背も伸びて一気に身長2メートルほどの大柄な魔物へと姿を変えた…
背自体はあの2人に敵わないが…溢れ出る強さは……別格だ…
【さぁ…貴様等…断罪の時間だ…】
つづく
・・・
『君もやってみよう!魔力の受け渡し!』
提供:全国魔法委員会
『魔法と切っても切れないモノである魔力の枯渇。一時的な解決策として他人との魔力の共有がある。方法は簡単、相手の何処か一部分…最も良いのは手、それ以外は痴漢になる可能性が大。……そして触れた場所へ魔力を溜めるようにすればイイ感じに魔力が相手へ注がれます。やる時は落ち着いて、ゆっくりやりましょう。一歩間違えれば相手の急所に魔法を誤射してしまう可能性があります。』
『※何が起きても当委員会は一切の責任を負いかねます。』
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