【R18作品】善悪虐殺伝「ミサキ」

蛾脳シンコ

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終章 ギサキ

第44話 月明かりで照らす兎、なにみて跳ねる?

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オレの名はギサキ、2人を連れて月世界旅行に向かう途中の女の子だ。
もちろん宇宙船やロケットなんて無い、頼れるのは己のジェット噴射能力だけだ。
しかし…まさか月へ行くことになるとは思わなかったなぁ…
宇宙はともかく、月なんて行く機会が無いと思っていた。

「(何も起きないんだなぁ…)」

月までひたすら飛んで行くだけだが…何も起きない…そりゃお月様からレーザー砲や光線が飛んで来るなんて思わないし、想像もできない。
だがチサキが言うには武装はされているらしい。

「おい、ギサキ。そろそろ立ち入り禁止ゾーンに入るぞ。」
「分かった……なんでオレ達って宇宙なのに会話できるの?」
「宇宙ってそんなもんだろ?」
「そうかな…」
「早く行きましょう。」

これより先は立ち入り禁止空域……空域?ともかく!これ以上進むと攻撃を受けるらしい。
だが…逃げるなんて事は当然しない、前進あるのみ。
ちなみにここから月面まで行くに必要な時間は最高速度で飛ばしても…30分だ。
30分、猛攻に耐えなければならない…そして月面に着いたら話を聞いてもらおう。
それが良い…うん。

「言っておくが…一発でも当たれば……大破だ。」
「うぅ…怖いなぁ…月の人って…」
「当たらなければどうと言う事はないんですね。」
「まぁな………行くぞッ!!」
「クソッタレェ!!こうなりゃだ!!」

オレ、イサキ、チサキの3人はお互いに離れながらも、最高速度で月を目指してぶっ飛ぶ!!この中で一番早いのはオレだ、自分が先に行って攻撃を止めてもらわなけば…

『侵入者達よ!!貴様等は今、月の射程内に入っている!!』
「(な、なんだ!?誰の声だ…?)」
『撃ち殺されたくなければ10秒以内に軌道を変えろ!10!9!8…』
「帰るかよ!チクショウが!!」
『…3!2!………1!』

奴が1を言い終わった瞬間から攻撃が始まる!!数多の閃光が月面で発光するのが見えたと思えば…その10秒後には大量のレーザービームがこちらへやって来る!!
アイツ等マジもマジで殺す気だ!あの威力の物を喰らったら音1つ残さないだろう…だが…シリーズ最高速度の名は伊達じゃない!

「クッソォォオ!!」

・・・
月の内部

「ひぇぇ!?司令官!攻撃を躱しています!!」
「なにぃッ!?あの量をか!」
「うわあぁあああ!!第1ゾーンを突破されましたぁ!!」
「ち、地球にそんな科学力が…あると言うのか…」
・・・

「攻撃の間隔がどんどん早くなっている!奴等も本気か!!」

ただでさえ攻撃が激しくなる一方で、当たり前だが砲台がある月面へ近づけば近づくほど攻撃の速度は増す…躱した先の光線を躱した先のビームを躱した先も計算して躱さなくてはならない!
おのれぇぇ!!地球代表じゃないが地球人として小さい月の奴等なんかに負けてたまるか!!お前等は黙って地球でも眺めながら餅でもついていやがれ!!

「(あと10分…イケる!!)」

ここでラストスパートと言わんばかりに手から光線を射出して加速する!!
エネルギーは使うが仕方ない!!これで倍以上の速さになったハズだ!

「(これで倍だから…5分くらいで着く!!)」

とにかくありったけの力をぶっ放して飛んで行く!!
凄まじい速さで月面の直ぐ近くまで到着した私は残った力をすべて使って、減速し…無事に月面まで到着した…やった、ここがお月様か…めっちゃ物騒だな…
(この際、宇宙には重力がうんたらかんたらと言う問題には目瞑ってほしい)

「チサキ達が来るまであとどのくらいだろうか…早く攻撃を止めさせないと!」
『止まれ地球人!この先は我々の領土!通しはしないぞ!!』
「うぉ!?つ、月の人だ!とういう事は…月人?」
『冷静に分析すな!お前は此処へ何しにやって来た!要件次第ではぶっ殺すぞ!』

オレはあっという間に周囲のトーチカと大量の歩兵に銃を突き付けられ、完全包囲されてしまった…
此処へ来た理由…えーっと…どうすれば………そうだ!
自分は手を上げたまま言い訳をどうにか考えた。

「ピザです…ピザ屋です…お届けにやって来ました…」
『なんだ…デリピザか…地球の方面から来たから地球人かと思ったぞ…』
「すいやせん……中に入れてください…あと攻撃を止めてください。」
『……待て。肝心のピザが無いじゃないか!貴様嘘をついたな!それに地球語を喋ってるし地球人じゃないか!!』

クッソぉ!!この宇宙服野郎め!!面倒くせぇ事に気付きやがってよぉ!!
どうする…別の言い訳を考えるしかないな…言い訳…来たからには何か…忍び込むのに必要な言い訳が必要だ…忍び込むと言えば忍者、忍者と言えば………訪問販売!
訪問販売員は現代の忍者とも言われている!(※言われていません)

「冗談です…訪問販売です…」
『訪問販売だと?セールスに興味は無い!帰れ!』
「興味ありますって!ほら…この…」

自分は必死に懐をまさぐって何かを探した…何か良い物を……これは…
そうか!!

「これです!この純金とサファイアのブローチを見てくださいよ!」
『ほう…これは…中々…』
「綺麗でしょう?きっとジャッカロープ様も興味が有ると思いますよ!」
『うむむ…待ってろ。』

よっしゃぁ!!このクソ宇宙人共め!!まんまと騙されやがったな!!
兵士の1人はトランシーバーで何かを伝えると…月面の大砲が鳴り止み、トーチカと共に地下へ収納された…やったのか…?

『ジャッカロープ様が会いたがっている。中へ入れ。』
「そっすか…待ってください…まだ仲間が居るんで。」
『だったら早く待て。(早く待てってなんだ?)』

オレはしばらく兵士と共に月面でチサキとリサキを待った。
今のうちにと自分は携帯食料も頬張っておいた…これを自分で作れるようにならないとなぁ。

「はぁ…着いた着いた…よっす。」
「どうもごきげんよう。」
『ふん。ようやく来たか…来い。』

チサキとリサキが到着したので自分達3人は立場がありそうな兵士に付いて行き、地下からニョキっと出て来た大型エレベーターに乗って下へ降りた。
ゴウンゴウン…と鳴るエレベーター内から見えるのは…地下の軍事基地であった…膨大過ぎるその月の中には地球で50年経っても見れない様な光景が広がる…此処は軍事基地なのだろうが、都市と言うに相応しいくらいにビル等が建っている。
そうか、内部は武装しなくて良いのか…

『ふぅ……お前等、こっちだ。」
「に、人間だ…人間にそっくりだ…」
「俺達は本質的にはお前等とは変わらないからな。」

兵士がヘルメットを脱ぎ捨てると、姿を現したのは人間によく似た…と言うか人間そのものだ…やっぱり宇宙人ってのは人間とそんなに大差は無いのだろうか。
マジコもそうだったな…アイツ、見た目だけ見れば人間だ。
それはさておき、しばらく圧巻と言うに相応しい景色を見ながら案内された道を歩いた…道中で会うのも人間っぽい奴等だ…ジロジロ見られたが…珍しいのか?
(確かに格好だけ見れば珍しいのかもしれない)

「このエレベーターに乗った先に総帥は居られる。くれぐれも失礼の無いようにな。」

「分かってますよ。」
「おうおう、任せとき。」
「赤い旧式。敬語を使ってください。」
「(本当に変な奴らだな…)」

3人でエレベータに乗ると、自動で階層が選択され動き出す…道中もガラスから外が見えるようになっているので飽きない…すげぇな…
月の中にはモノレールみたいな物も道路みたいなのも有る…確かにそれほどの物が無いといくら室内?と言っても広大だからな…やっぱりコイツ等の科学力は凄まじい。

「着いたぞギサキ、いつまで外見てんだ。」
「そうだった…いやー…造りが豪華だなぁ…」
「掃除も家事も全てロボットが行っている様ですね。」
「典型的な技術の使いだな。」

やはりいくら科学力が優れていても…何処でもロボットは奴隷のように働かされるらしい…
ちょっと親近感のある青い絨毯が敷かれる長い道の奥には大きな扉がある、あの中に奴がいるのであろう…だがしかし…問題はどうやってリサキをメインコンピュータールームに忍び込ませるかだ。
此処に兵士は居ないな…ロボットだけだ…
長ったらしい道を歩く途中でどうしたものかと考えているうちに…着いてしまった…ジャッカロープの待つ部屋に。
月明兎会のマークが刻まれたドアを開けると…

「お、お邪魔しまーす…」
【おう、入れや。】

真ん中のデスク…では無く、横のソファーに座っている兎男が目に入った。
間違いない、奴がジャッカロープだろう…身長は小さいな…オレよりデカいけどチサキよりかは小さい。
オレ達は奴の反対側のソファへと座ると、ロボットに茶を出された。
この茶は啜らないでおこう。

【俺がジャッカロープだ。化け兎で此処の総司令官をしている。】
「ど、どうも…セールスマンのギサキです。」
「の姉のチサキだ。」
「2人の妹のリサキと申します。」
【ギサキ、チサキ、リサキだな。(サキサキうるせぇな…)】

オレは早速、本題に入ろうとサファイアのブローチを取り出した。
高額で購入したブローチ…まさかここで役に立つとは…

【ヴィンテージ物だな………?なんで裸で持って来たんだ?】
「そ、それがですね!途中で野盗に襲われまして…」
【入れ物だけ持って行かれたのか?】
「え?…はい!入れ物だけ狙う奴等だったみたいです!」

何となく自分はブローチを渡して、それっぽい事をペラペラと話した。
この大きなサファイアは名産地であるスリランカから取れてとっても貴重云々やこれを逃したらもう二度と手に入らないなどとも言った。
ジャッカロープはジャラジャラと指輪を付けているので宝石が好きな模様…
しかし…問題はどうやってリサキを忍び込ませるか…

「赤い旧式、トイレに行きたいです。」
「え?あぁ…ったくしょうがねぇな…組長さん、良い?」
【便所か?便所なら部屋を出て右だ。】
「下痢なので時間が掛かるかもしれませんが行ってきます。旧式も付いて来て下さい。」

「しょうがねぇな、お前は…」

よし!リサキが機転を利かせてくれたので2人共、部屋を出れたぞ!
頼むから出来るだけ急いでくれよ!2人共!
・・・

「オラァ!オラァ!オラァッ!!」
「赤い旧式、そんな事したらダクトの蓋が壊れる。」
「壊してんだよ…ッハァ!!しかし…頑丈なこったぁ…」

私はチサキ、妹のリサキと共にトイレへ行くと、見つけたダクトへ忍び込むためにカバーを蹴り壊そうとしているが…こ、壊れん!頑丈だ!
ちくしょう…もっと強く作って欲しかったなぁ…

「旧式、このタイプはこうすれば開きますよ。」
「えぇ?そ、そうなの?」
「はい。最近の物は工具いらずで開くんです。」
「は…はははは!我ながらよくできた妹だ!」

なんかちょっと恥ずかしいけど…ここは笑い飛ばして先に行こう。
こういう軍事基地のダクトはいざと言う時の為に人が這って通れるようになっている事が多い…なのでこのままコンピュータールームに直行できる。
少し遠いが、それでも変なリスクを冒して行くよりかは遥かに安全だ。

「だが…このご時世にダクトを通るなんて…ブルー○・○ィリスくらいだな。」
「誰ですか、その人は?有名人ですか?」
「ああ。人間ならカッコイイと一度は思える人さ。」

『まったくもってその通りです。』
「「!?」」

しばらくダクトを張って行くと、変な宇宙服の奴と鉢合わせてしまった!!
何だコイツは…まさか待機しているなんて…見破られたのか?

『ああ!待ってください!自分はサボってるだけです。』
「なんだ…びっくりした……メインコンピューターってどっちだっけ?」
『そのまま真っすぐ行って、次を右に曲がって3番目のカバーです。』
「ありがと。黙っておくからお前も黙っとけよ。」
『はい。(この人も仲間かぁ…自分は原子炉のトコにでも行こうかな…)』

あぁ…びっくりした…まさかダクト内で宇宙服を着る奴が居たなんて思わなかったぜ…
奴に教えてもらった道を行き、カバーから下を見れば…うん、此処で間違いないだろう…だが見張りが居るな…1人だけだしやるか。

「………フン!!」
「ッ!?がぶゃ!!」

カバーを外し、そーっと降りると後ろから首をへし折った!!
ボッギャ!!と音がして奴の首を120°くらい後ろにひん曲げる…我ながら人を殺すのが上手くなったものだな…嬉しくないけど。

「旧式!!受け止めて!!」
「はぁ!?うがぁッ!いってぇ…降りるなら言え!」
「言いましたけど。」
「まったく…誰に似たんだか…」

なにがどうあれ…メインコンピュータールームに着いたんだ…此処は基地内の全コンピューターの中心部だ、例えるとするならば馬鹿デカいパソコンのCPU内みたいなもの。
なので見張りが少ない…此処さえ取っちまえばこっちの物だ…一応此処にもモニターとキーボードはあるんだな。

「よっしゃ、お前の出番だ!ハッキングしろ!」
「了解しました……えーっと…ハッキング、方法で…検索っと…」
「流暢に調べてんじゃねぇ!!お前の力でやれ!って言うかそれで検索するなよ…お前は自分自身で検索できるだろ…」

「○フーよりグ○グル派なんです。」
「お前の検索エンジン、○フーかよ…私はファイ○○ォックス派かな…」

そんな事はさておき、リサキは真面目にハッキングを開始した。
バレないようにやるのでちょっと時間が掛かるようだ…その間は私もリサキも手持ち無沙汰だ…何か無いかな…

「旧式、見てください。レインボー○ックス○ージです!」
「興奮するな…変な所に伏字を入れるな…」
「カジュアルマッチをやりたいです!お願いです!1回だけ!」
「ったく…しょうがねぇな…(ゲーム好きな所はギサキによく似てんな…)」

リサキが虹六を勝手に起動し始めたのでしょうがないとカジュアルマッチを1回だけやらせることにした。
どうせならテロハントにしとけよと言いたいけど…まぁ良いか。

「すっげぇな…全キャラ揃ってるぞ…」
「このカッコいい奴を使わせてもらいましょう。」
「おい!なに爆速でタチ○ンカ選んでんだよ!あぁ!!早速除外投票されてるし!!」

「有刺鉄線置いた瞬間に新兵に撃ち殺されちゃいました…」
「ある意味除外より酷い仕打ちだ…」

民度が低いのでしょうがない事態である。
・・・

「そこ、フ○ーズが強いぞ。密室で溜まってることが多いから。」
「ル○クにLMGを持たせるとは…くっ!強い!!」
「ハゲが居るぞ!撃ち殺せ!」

……ハッ!!つい熱中してしまった…うっかりカジュアル4回にテロハントの防衛を2回連続で行ってしまった…リサキを叩き戻して、本題に移らなければ。

「リサキ、どうだ?」
「もう大丈夫ですよ。完全に手の中です。」
「じゃあ手始めに全体にメールを流せ。」
「なんて内容のですか?」
「そうだな…」

『俺の名はジャッカロープ。今日からこのおまぬけ月中都市は全て地球の人に明け渡します。みんなの人権も明け渡すのでいつも通り働いてください。ちなみに俺はマザコンでホモです。ついでに百合に汚い男を挟む同人誌も書いてます。』

「ってな感じの物だ。」
「もう送りました。」

よしよし…ここまで酷い人物のように書けばアイツの人望はダダ下がりだろう。
リサキへついでに武装の解除と工場の一時停止、指定の口座への多額の入金をやらせて…後は適当に警備ロボットに私達の顔を最高司令官と書き換えておいた。
(逆にジャッカロープの顔を連続殺人鬼と書き換えもした)

「さて…戻るか。」
「はい。」

・・・

「すいません!遅れちゃいました…」
「申しわけございません。なにせ便秘なもので。」
【そうか…こっちは話が弾んで面白かったよ。】
「う、うぅ…」

チサキのクソ野郎…長いこと待たせやがって…そのせいでオレは興味の無い月明兎会創設秘話をたっぷりと聞かされてしまったじゃないか…
だが…戻ってきたという事は…終わりか。

「んじゃ…やるか。ギサキ…」
「ああ。そぉらぁ!!」
【!?な、なにを…!!】

茶等が置かれた大理石のテーブルを蹴り上げ、ぶっ壊すと右手にエネルギーを溜めた。
よくも長ったらしい話を聞かせてくれたなぁ?ここまで来たからにはそれ相応の苦しみを与えてやろう…それと最期の言葉ぐらい残させてやる。

【き、貴様等!さてはトロイダの使いだな!】
「癪だけどそうなるな。オレはハッキリ言ってアイツの事嫌いだけど。」
「トロイダの事を悪く言うとぶっ殺すぞ。」
「アイツの事を好きと言える奴なんてこの世に居ないだろ。常識的に考えて。」
「此処に居るけど。」

チサキの気色の悪い趣味は置いといて、私は右手を銃のような形にすると奴の心臓の位置を狙った。
当然、ジャッカロープも黙っているハズも無く、警備を呼んだが…
誰も来ない…しかし なにも おこらなかった!と言ったところかな?

「おっと残念だが外部の助けも何も来ないぞ?」
「私が止めちゃいましたので。」
「正真正銘、オレ達だけの場って事だ。」
【チクショウ!!良いのか!俺を殺せば二度と地球に月を通して太陽光は送られなくなるんだぞ!!】

「あら、その事ならお構いなく。対策済みよ。」
【!?と、トロイダ!?】

その時、トロイダが急に部屋へ現れた…自分で来れるなら来いよ…と言いたいが黙っておこう。
にやける彼女の姿を見たジャッカロープは恐怖の表情へと変わる。
どんな奴でも彼女が怖いのだろう…

「トロイダ!お前なぁ…私を派遣するなら直接行けよ!」
「やぁね?ワタシだって忙しかったのよぉ…ちょっと諸事情でね。」
「まぁ良い。どうすんだ?殺すのかよ?」
【こ、殺す…】
「そんな事しないわ。」

それを聞いたジャッカロープの顔は少し緩んだが…それと反対にトロイダの顔は恐ろしいにやけ顔へ変わる…口角を引きつらせるその笑い顔はこの世の残酷さを体現しているかのようであった。
トロイダは懐からジャラジャラと鎖とソレに繋がれた首輪を取り出す。
そして写真も数枚ばら撒く…その写真には機械の様な人間の姿が写っている…

「とある惑星にね。貴方の買い手が見つかったのよ。」
【か、買い手?】
「そう、貴方を買ってペットにしたいって言うのよ。ワタシもだって貴方の事がだーい好きだから4秒ぐらい迷っちゃったんだけど…手放すことにしたわ。」

トロイダの出した首輪はひとりでに動き出すとジャッカロープへ伸びて行き、奴の首へガッチリとハマった…そして…鎖の先っぽが宙に浮いたと思えば姿を現したのは…先ほどの写真に写っていてたスーツを着たロボット人間だ。
彼は鎖をグイッ!と引くと奴は引っ張られる…

『ンギギポポ、ピャッピャプン。』
「ええ。お買い上げありがとうね。」

ロボ男は懐から青いカードを取り出すと、トロイダへ渡す。
そうすると男は鎖を引っ張ってジャッカロープを引き寄せる…

『ゴプンッピプププ。』
【うわあぁあああああ!!お、俺は何処に連れて行かれるんだ!?】

「あ、その惑星ね。医療技術がすごーく発達してるの。だから不老不死なんて朝飯前よ…死にたくても死ねないでしょうね。」

『ンボッボ…ンボッボ…』
【うわぁぁあああああああッ!!】

奴はロボ男のすぐ近くまで引き寄せられると、2人の身体は光に包まれ…一瞬にして姿を消してしまった…何だったんだアイツは…
オレ達は終始、その様子を黙って眺めていた…放心していたのかもしれない。
あれだけ色んな事が起これば当たり前である

「やったぁ!!これでお月様は完全にワタシの物ね!!」
「おめっとさん。トロイダ、約束忘れてねぇよな?」
「当たり前よ。チサキ、今日をもって貴女は2階級特進でワタシの専属ボディーガードにするわ。見込みがありそうね。」

「やった…これまで以上に一緒に居られるな…」
「そんな事を約束してたのかよ…」

トロイダはデスクの高そうな椅子にふんぞり返ると、くるくる回った…回転式の椅子だから楽しい…しかも高級品なので回り方も滑らかだ。

「はぁぁ…満足…ギサキ、貴女は帰る?特別に送るわ。」
「そうしてくれ。」
「了解っと…リサキちゃんだっけ?貴女には用があるの。残ってくれる?」
「司令官殿の命令があれば。」

チサキも居るから平気だろうと、オレはリサキに「此処に残れ」と伝えた。
自分だけが亀裂に入って帰る事に…行きも楽に行きたかったな…
そう思いながら亀裂をくぐれば…夜の教会だ…後ろを振り返ると…そこはもういつも通りの景色…帰って来たのか…教会に…はは…
シスター…貴女が居なくなった教会は…少し静かすぎますね…
変な殺し方をして申し訳ございません…

つづく
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