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保険。
元を辿ると海賊たちが、
「おまえの船沈みそうだから、もし沈んだら俺の勝ちってことで10ポンド払えYO!」
「なんだそれ?沈まなかったらお前が払えYO!」
みたいな感じで賭けをしたのが始まりとされている。大分省略と意訳があるが気にするな、歴史が確実に本物と証明されることなんて稀だし。
保険。
現代だと何かと言われているものだが歴史を知ってしまうと、
「とりま君たちの給料からお金頂戴ね~?いざって時に怪我したら怖いでしょ~?」
「ヒェッ!?そんなことが起こるんですか!?払います~」
なのだ。昔から先の分からない未来に対して賭けをさせているのだ、丘に上がろうが賊は賊らしい。
弁明?一応しておくと、私も保険屋である。だからこそ実態をこうして言っている。やりたくないならやらない方がいい。自分の人生の舵を切るのは周りではない。船頭たる自分なのだからわざわざ賊の真似事をしたところで意味がないだろう。だからこそ私は言う。
「保険なんてものを賭けないといけない危ないことはしない方がいい。分かった?」
「いえ、まあそうなんですけど・・・」
目の前には依頼人の女子大生がいる。
目元まで隠れたおかっぱ、地味めの服に地味めのカバン、それにうっすらと纏う空気が彼女自身の性格を滲み出している。
「保険屋さんがそんなこと言っていいんですか・・・?」
「普通ならダメだね」
そのまま来客用のソファに寝転がる。上客じゃないので、対応は適当でいい。だが、彼女自体は比較的上品な方なので、顔は逸らさずに対応する。下品な輩は緊張感を持たずに色々弄ったりするからな、特に来客用の菓子を食いまくるし。
「こんな格好をして対応するのも、もちろんダメさ。でも私がこんな対応をするのは理由があるから。聞きたい?」
「えっ!?えっと・・・はい・・・」
ダメだ、この子。乗せられやすい。運命なんぞ信じないが、この子が初めてうちの事務所に来たのは幸運だっただろう。他の保険屋とか不動産に言ったら確実にカモにされてるな。
仕方なく身体を起こして、出来売る限りの親切心を持って、言葉を出す。
「君がここを普通の保険屋として認識してないから、だ」
「・・・・・・・・・」
ここは最終保険を売る保険屋だ。普通の保険を売る場所ではない。
「最終保険はどうしようもなくて誰の手も借りられないようなヤバい連中が借りる最後の砦みたいなもんだ。もちろん、支払うのは普通のものじゃない。家だったり、家宝だったり、物騒なのだと臓器とか人身売買とかもやろうとしてたな」
「ぞ、臓器ですか・・・?じょ、冗談ですよね?」
大層怯えてらっしゃるが実際そうなのだ。マジで洒落にならない状態だからこそ、賭けるモノのレートが上がってしまうのだ。信頼を売っている、とかいう感情論なのか貨幣論なのか意味分からんことを並べる保険屋よりはよっぽどマシだ。
「残念ながら本当のことだ。ここでは客が私に信用を売るんだ。そのためのみかじ・・・代金として高いものを渡してくる。分かったかい?」
「ぶ、物騒ですね・・・」
そうだ、物騒なのだ。普通に考えて海賊がやっていた賭け事をそのまま商売として売る方が明らかに悪い。利益どうこうというが、本来であればこういう悪い考え方をいくらか排斥するために国に金を払っているはずなんだが。
(・・・やめよう、こちらの考えも下品になり始めている)
額に数回、人差し指の先を当てる。一度大きく息を吸って吐いた。身体を起こして再び向き直る。ここからは本当に商売の話だ。
「すまない。少々下品な話になったね」
「ああ、いえ、だ、大丈夫です」
うん、どうやら意図的ではないにせよ彼女なりに自分の前にいる私がやばい人物であると理解したみたいだ。
「さて、ここがどういう場所か言葉にはしてないけど理解してもらえたようだし・・・君の話を聞かせてくれないか?」
「えっ・・・どうして?」
「どうして、か。一応聞かないといけない命令なんでね、法律の」
私には直属の上司や組織の代表はいない。というか存在そのものが都市伝説みたいなものなので、あったとしても表立って活動なんてできない。でも不思議なことに法律だけは存在する。
~最終保険を売る保険屋は、是を使用するの有無にかかわらず、依頼者の相談内容を知らなければならない~
なんともまあ面倒なことこの上ない。こんなものあったところで一体何の役になるんだが。
人の話を聞くのは嫌いな質ではないが、必ずと言っていいほどつまらない部分が存在する。
「順序立ってでもいいし、結論から先に言う論文形式でもいい。とりあえず君が話しやすい風で話してくれ」
「は、はい・・・」
何故かさらに緊張してしまった。だから緊張しなくていいように話していいってば。
元を辿ると海賊たちが、
「おまえの船沈みそうだから、もし沈んだら俺の勝ちってことで10ポンド払えYO!」
「なんだそれ?沈まなかったらお前が払えYO!」
みたいな感じで賭けをしたのが始まりとされている。大分省略と意訳があるが気にするな、歴史が確実に本物と証明されることなんて稀だし。
保険。
現代だと何かと言われているものだが歴史を知ってしまうと、
「とりま君たちの給料からお金頂戴ね~?いざって時に怪我したら怖いでしょ~?」
「ヒェッ!?そんなことが起こるんですか!?払います~」
なのだ。昔から先の分からない未来に対して賭けをさせているのだ、丘に上がろうが賊は賊らしい。
弁明?一応しておくと、私も保険屋である。だからこそ実態をこうして言っている。やりたくないならやらない方がいい。自分の人生の舵を切るのは周りではない。船頭たる自分なのだからわざわざ賊の真似事をしたところで意味がないだろう。だからこそ私は言う。
「保険なんてものを賭けないといけない危ないことはしない方がいい。分かった?」
「いえ、まあそうなんですけど・・・」
目の前には依頼人の女子大生がいる。
目元まで隠れたおかっぱ、地味めの服に地味めのカバン、それにうっすらと纏う空気が彼女自身の性格を滲み出している。
「保険屋さんがそんなこと言っていいんですか・・・?」
「普通ならダメだね」
そのまま来客用のソファに寝転がる。上客じゃないので、対応は適当でいい。だが、彼女自体は比較的上品な方なので、顔は逸らさずに対応する。下品な輩は緊張感を持たずに色々弄ったりするからな、特に来客用の菓子を食いまくるし。
「こんな格好をして対応するのも、もちろんダメさ。でも私がこんな対応をするのは理由があるから。聞きたい?」
「えっ!?えっと・・・はい・・・」
ダメだ、この子。乗せられやすい。運命なんぞ信じないが、この子が初めてうちの事務所に来たのは幸運だっただろう。他の保険屋とか不動産に言ったら確実にカモにされてるな。
仕方なく身体を起こして、出来売る限りの親切心を持って、言葉を出す。
「君がここを普通の保険屋として認識してないから、だ」
「・・・・・・・・・」
ここは最終保険を売る保険屋だ。普通の保険を売る場所ではない。
「最終保険はどうしようもなくて誰の手も借りられないようなヤバい連中が借りる最後の砦みたいなもんだ。もちろん、支払うのは普通のものじゃない。家だったり、家宝だったり、物騒なのだと臓器とか人身売買とかもやろうとしてたな」
「ぞ、臓器ですか・・・?じょ、冗談ですよね?」
大層怯えてらっしゃるが実際そうなのだ。マジで洒落にならない状態だからこそ、賭けるモノのレートが上がってしまうのだ。信頼を売っている、とかいう感情論なのか貨幣論なのか意味分からんことを並べる保険屋よりはよっぽどマシだ。
「残念ながら本当のことだ。ここでは客が私に信用を売るんだ。そのためのみかじ・・・代金として高いものを渡してくる。分かったかい?」
「ぶ、物騒ですね・・・」
そうだ、物騒なのだ。普通に考えて海賊がやっていた賭け事をそのまま商売として売る方が明らかに悪い。利益どうこうというが、本来であればこういう悪い考え方をいくらか排斥するために国に金を払っているはずなんだが。
(・・・やめよう、こちらの考えも下品になり始めている)
額に数回、人差し指の先を当てる。一度大きく息を吸って吐いた。身体を起こして再び向き直る。ここからは本当に商売の話だ。
「すまない。少々下品な話になったね」
「ああ、いえ、だ、大丈夫です」
うん、どうやら意図的ではないにせよ彼女なりに自分の前にいる私がやばい人物であると理解したみたいだ。
「さて、ここがどういう場所か言葉にはしてないけど理解してもらえたようだし・・・君の話を聞かせてくれないか?」
「えっ・・・どうして?」
「どうして、か。一応聞かないといけない命令なんでね、法律の」
私には直属の上司や組織の代表はいない。というか存在そのものが都市伝説みたいなものなので、あったとしても表立って活動なんてできない。でも不思議なことに法律だけは存在する。
~最終保険を売る保険屋は、是を使用するの有無にかかわらず、依頼者の相談内容を知らなければならない~
なんともまあ面倒なことこの上ない。こんなものあったところで一体何の役になるんだが。
人の話を聞くのは嫌いな質ではないが、必ずと言っていいほどつまらない部分が存在する。
「順序立ってでもいいし、結論から先に言う論文形式でもいい。とりあえず君が話しやすい風で話してくれ」
「は、はい・・・」
何故かさらに緊張してしまった。だから緊張しなくていいように話していいってば。
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