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しおりを挟む「では、簡単に起きたことを話します」
私のいる大学、K大学では心霊スポットを巡るサークルがありまして、
そのサークルでは、リーダーのMさん、副リーダーおよび細かい計画を立てる係のYさん、Cさん、Dさん、E...もとい私を含めた部員の計5人で活動しています。
いつもリーダーのMさんが色々な情報サイトからこれ面白そうと言って場所をYさんに見せてOKサインが出たら計画を練って行く、という流れなんです。それを何回かやって、その場所の気流だったり、地形だったりを解析して、何故その場所でそういったことが起きてしまうのか、というのがサークルの表立った活動なんです。・・・本当はリーダーが面白がって行って後の情報をうま―く統計とかしてるだけなんですが。
でも今回行くところはYさんがMさんに対して立案した場所みたいで、いつもみたいに行くような流れには見えなかったんです。本当だったらMさんも行きたくなさそうな表情をしていたみたいだったんですが、Yさんの強い言動で断るにも断れずにそのままOKサインを出したらしいです。
それで私たち一般部員たちがもしかしたら、ということを考えて色々調べた中で見つけたのが、この最終保険のお店で、ジャンケンで行くことになって、私が行くことになって来たわけです・・・。はい・・・。
「なるほど、なるほど。そう言うことだったか」
一つ、大きく息を吐いてもう一度寝転がる。今度は視線を合わせる気すら起きなかった。
(終わってる、間違いなく組織として終わってる)
サークルは偏に人の集まる集団ではあるが、傍から見ると組織図のようなものが出来上がっていることが多々ある。だがこのサークルではほぼワンマン経営に近い状態だから回らないのが目に見える。事実、このサークルの責任者は恐らくYである。Mも表面上の顔としては働いているように見えるが、ほとんどがアドバイザーやプランナーの動きに近い。最終的な働きをしていようが、課程という料理で言う調理をしているのはほとんどYである。この段階でYに課せられた重量は海嶺並みに深いだろう。
(まあコイツらの組織はどうでもいい)
正直お遊びだろうが真面目だろうが知ったこっちゃない。ここで問題になるのは、Yの動向だ。今までの恨みつらみが重なった、偶には自分で提案したくなった、ちょっとした事情で今のサークルから出たくなった。などなど色々思いつくが、そんな理由ならこんな場所に来ること自体が場違い、というか論外だ。もっと教授とかに頼りなさい。
もう一度身体を起こし、再度つまらない質問をする。
「Yが提案したのなら、絶対に整った計画書を立てているはずだ。場所の資料はあるんだろうな?」
「う、受けてくれるんですか!?」
「ちーがーう。私の勘が見た方がいいって言ってんの」
決定権は私にある。最終保険は絶対に使わなければいけないと私が判断、了承しなければ意味がない。それぐらい重く設定しているからこそこの保険の価値は都市伝説のように囁かれているのだ。
彼女は地味めのカバンから遠足のしおり程度の厚さの書類を出す。そこには『資料』とデカデカ書かれた表紙が見える。なるほど、Yは無駄なことをするタイプの人間ではないらしい。
私はそれを寝転がりながら受け取り、ペラペラと読み進める。全8ページ、情報の詳細が事細かに記されている。細かい日時に移動でかかる時間、それに食事の時間もかなり綿密に書かれている。余程の事故が無い限り、Yが経てた予定は狂うことは無いだろう。
「はぁ・・・」
思わずため息が漏れた。この計画書ならサークルの維持ぐらい屁でもないだろう。リーダーが無茶苦茶でトラブルメーカーで人の作業を見てちょっかいを掛けてくるような厄介者でなければ、十分ワンマンで何とかなるだろう。
「ど、どうでしょうか・・・」
「マシだね。不躾だが君はこれを書いたYを見習った方がいい。そこら辺の大学生としては抜きんでているからな」
「で、ですよね!米澤さんはすごいんですよ!いつもいつもちゃんとした計画を立てて、字もきれいで、それにすごくカッコよくて――――」
「はぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
私の息の臭いが届くくらいどデカイ溜息を出して言葉を遮る。
「のろけは他所でやってくれ。今の一言でどれぐらい私の気分が落ち込んだか分かるかな?」
「・・・・・・・す、すみません」
マジでこの子は対人を全く分かってない。この子がサークルに入った理由も、同じ部員二人に口裏を合わせられてハメられた理由も分かった。
「こ、こんな私の言うことですから、受けてくれませんよね・・・」
なんで泣きそうになるかなー。こっちが悪いみたいじゃん。元々受けるっていう決定権があるのは私だっての。
(けど、まあ)
今回の件は見過ごせない。これは少しイケナイことになりそうだ。
私は身体を起こして立ち上がる。窓側のデスクの方まで歩き、引き出しから契約書を一枚取り出す。
「印鑑はあります?無いならサインでもいいんだけど」
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