ぬるいミルクに、熱いハチミツ

三森のらん

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7杯目

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 抱えられたまま防災センターに向かうと、途中、何人かの人とすれ違ってしまう。たぶん、そろそろ飲食店のフロアが閉店する時間で、ちょうど帰る人たちがいるんだろう。男のそれも警備員が、イケメンに抱えられての移動とか、かなり屈辱的。俺は恥ずかしくて顔を伏せてしまう。

「あれ、どうかしましたか」

 防災センターに着いてすぐに聞こえてきたのは、高田さんの心配そうな声。俺はすぐに、ホワイトさんに降ろしてもらう。さすがに、ここまで来てずっと抱えられっぱなしはない、と俺ですら思う。
 くそー、恥ずかしすぎて死ねる。

「お疲れ様です。さっき、うちの店のところで会いましてね。ちょっと具合が悪そうだったので」
「ああ、やっぱり」

 ホワイトさんの気づかわし気な声とともに、高田さんも納得したような声。何がやっぱりなんだ、と思った俺は上目遣いに高田さんのほうに目を向ける。目の前に立っている高田さんの顔は、やっぱり心配そうな顔をしていた。

「なんか、出勤してきたときから様子がおかしかったんで、少しばかり心配してたんですよ」
「……そうなんですか」

 俺の方は、まさか高田さんに心配されてたとは思わず、ちょっとだけびっくりする。そんなに、俺、バイトに来た時、おかしかったんだろうか。
 一瞬、考え込むような顔をしたホワイトさんだったが、すぐに顔を引き締めた。

「でしたら、今日はもう彼を帰してもらえませんか」
「……まぁ、特に夜間作業が入ってるわけじゃないから、なんとかなりますが……上原、帰る……」
「え、いえ、大丈夫ですっ」

 俺は高田さんの言葉に被せるように、反論する。

「ホ、ホワイトさんは心配しすぎですよ。俺、マジで大丈夫ですからっ」

 必死にそう言う俺の顔を、高田さんは眉間に皺をよせてジッと見つめると、大きくため息をついた。

「はぁ……やっぱ、帰れ」
「ええっ!?」

 高田さんの言葉に、俺は顔を引きつらせる。本当に俺は大丈夫なのに。高田さんにそう言っても、まったく取り合ってもらえず。

「とりあえず、今日は帰っとけ。んで、明日はよろしく。ちゃんと休んでおけよ」
「いや、あのっ」
「じゃぁ、上原くん、私の車で送っていこう」
「え? えぇぇ!?」

 まさかのホワイトさんの車での送迎とか。『義父になる現実』を見せつけられるのか、と考えると、胸苦しい思いで自然と顔は強張っていった。
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