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4.花火
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世間一般のお盆休みの時期というのは、俺にはあまり関係なかった。基本的に有休休暇で消化する、という、社内ルールのせいもあり、特別に用事でもない限り、俺は普通にカレンダー通りの休みだった。
すでに自分の両親は他界していて帰る実家もない天涯孤独。義理の両親は健在だが、義理の兄夫婦がいる。俺一人が顔を出したところで、さおりと静流を思い出させて悲しませるだけだ。
「山本課長! 今日の花火大会、屋上で見ますよね」
定時にはまだ早いが、社内がどこか浮ついた雰囲気だったのは、花火大会のせいか。小島が、パートの佐藤さんと派遣の丹野さんを引き連れてやってきた。
「あー、いや、俺はいいや」
「何言ってるんですか! 一応、うちの課の課長なんですから、責任者としていてもらわないと」
別に子供でもないんだから、俺がいなくてもいいだろうに、と思った。しかし、同期の小笠原が、自分の部下に買出しの指示をしているのを見ると、やっぱり、俺もいないとまずいのか、と、うんざりする。
「わかった、わかったよ。とりあえず、出るから。で、お前ら、買出しに行きたいっていうのね。予算は?」
「一応、一人500円と、足らなかったら、前回の飲み会の余ったお金で補填するんで」
「はいはい。じゃ、俺、1,000円ね」
「ありがとうございます!」
三人ともがテンション高く言うと、小島はバイトくんに声をかけてフロアを出ていった。
「あのパワー、仕事に向けてくれるといいんですけどねぇ」
遠藤が呆れながら、小島たちが消えたほうを見る。
「パワーはあるだろ」
「……そうでした。ミスが多いだけで」
相変わらず、小島のミスのフォローを遠藤がするはめになっているせいか、遠藤の言葉は手厳しい。でも、そう言いたくもなる気持ちもわかるだけに、俺も苦笑いしてしまう。
定時を少し過ぎた頃に、小島たちは帰って来た。彼女たちは駅ビルの百均で山ほどお菓子やらつまみを買いだしてきたらしい。荷物持ちのバイトくんは、盛大に汗をかきながら両手に大きな袋下げている。
「山本課長! これ、お好きですか?」
ずいぶんと大きな袋に、棒状の駄菓子の詰め合わせが入っているのを、小島が取り出して俺に見せる。こんなセットになってるのが、あの店にあるのか、と、少し驚きつつ。
「嫌いな奴はいないだろうが」
「ですよねー!」
俺の答えに、嬉しそうに袋から続々とお菓子を取り出そうとする小島。
「おい、今、ここで出してどうする。上で食うんだろ?」
「あ、そうでした!」
小島たちは、どこから調達したのか、会社の備品であるブルーシートを抱えると「先に屋上に行ってます!」と言ってフロアを出ていった。
「……あいつ、ちゃんと仕事終わらせてるんだろうな」
俺がポツリと言うと、遠藤は小さくため息をついた。
すでに自分の両親は他界していて帰る実家もない天涯孤独。義理の両親は健在だが、義理の兄夫婦がいる。俺一人が顔を出したところで、さおりと静流を思い出させて悲しませるだけだ。
「山本課長! 今日の花火大会、屋上で見ますよね」
定時にはまだ早いが、社内がどこか浮ついた雰囲気だったのは、花火大会のせいか。小島が、パートの佐藤さんと派遣の丹野さんを引き連れてやってきた。
「あー、いや、俺はいいや」
「何言ってるんですか! 一応、うちの課の課長なんですから、責任者としていてもらわないと」
別に子供でもないんだから、俺がいなくてもいいだろうに、と思った。しかし、同期の小笠原が、自分の部下に買出しの指示をしているのを見ると、やっぱり、俺もいないとまずいのか、と、うんざりする。
「わかった、わかったよ。とりあえず、出るから。で、お前ら、買出しに行きたいっていうのね。予算は?」
「一応、一人500円と、足らなかったら、前回の飲み会の余ったお金で補填するんで」
「はいはい。じゃ、俺、1,000円ね」
「ありがとうございます!」
三人ともがテンション高く言うと、小島はバイトくんに声をかけてフロアを出ていった。
「あのパワー、仕事に向けてくれるといいんですけどねぇ」
遠藤が呆れながら、小島たちが消えたほうを見る。
「パワーはあるだろ」
「……そうでした。ミスが多いだけで」
相変わらず、小島のミスのフォローを遠藤がするはめになっているせいか、遠藤の言葉は手厳しい。でも、そう言いたくもなる気持ちもわかるだけに、俺も苦笑いしてしまう。
定時を少し過ぎた頃に、小島たちは帰って来た。彼女たちは駅ビルの百均で山ほどお菓子やらつまみを買いだしてきたらしい。荷物持ちのバイトくんは、盛大に汗をかきながら両手に大きな袋下げている。
「山本課長! これ、お好きですか?」
ずいぶんと大きな袋に、棒状の駄菓子の詰め合わせが入っているのを、小島が取り出して俺に見せる。こんなセットになってるのが、あの店にあるのか、と、少し驚きつつ。
「嫌いな奴はいないだろうが」
「ですよねー!」
俺の答えに、嬉しそうに袋から続々とお菓子を取り出そうとする小島。
「おい、今、ここで出してどうする。上で食うんだろ?」
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小島たちは、どこから調達したのか、会社の備品であるブルーシートを抱えると「先に屋上に行ってます!」と言ってフロアを出ていった。
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俺がポツリと言うと、遠藤は小さくため息をついた。
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