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5.ネクタイ
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小島がなかなか捕まらない。席にいたと思ったら、俺の方に電話が入ったり、声をかけようとした時には、席にいなかったり。いつもなら、比較的席にいることが多いのに、今日に限って、彼女とのタイミングが合わない。
特に、今日の会議の時間が変更になっているとのメールが今朝になって入ったせいで、早めに資料の用意をしてもらわないと困るのだが、そのとりまとめをしている肝心の彼女がなかなか捕まらない。
「小島くんは、どうした?」
パソコンに向かっている遠藤に声をかけると、チラッと彼女の席のほうを見て、ため息をつく。
「山本課長、俺は彼女のお守りじゃないですよ」
「ああ、すまん」
いつも遠藤と小島の組み合わせを見ているせいで、ついつい彼に聞いてしまう。俺が素直に謝ると、遠藤も苦笑いする。
「そのうち戻ってくるんじゃないですか。ノートパソコン、開いたままですから」
確かに、外出したようには見えなかった。そのうち戻ってくるとはいえ、早めに彼女に確認したい。参ったな、と思っていたところに、再び小島の姿がフロアの入り口のほうから現れた。彼女の後ろに誰か男の子がついてきているようだ。
小島に声をかけようと席を立とうした時、目の前の電話が鳴った。仕方なく電話を受けると、関西支社の同期、江田からの電話だった。
『久しぶり』
「おお、どうした」
『本当は小笠原のほうに用があったんだけど、たまにはお前の声でも聞きたいと思ってな』
江田と小笠原と俺は、新人研修の時にグループを組まされた仲間だった。今でもよく連絡を取り合っている同期と言えば、この二人くらい。だからか、気まぐれに、仕事と関係ない電話をしてくることがある。
「おいおい、俺も一応忙しいんだけどな」
『悪い悪い、そこから小笠原、見える?』
「あ? あー、今、葛木と話し込んでる」
『あ、じゃあ、酒田は?』
酒田というのは、葛木の下にいる今年入社2年目、だったか。
「ああ、自分の席で仕事してるっぽい」
『してるっぽいって』
電話越しに江田が笑っているのがわかる。
「パソコン見てるけど、ネットでも見てんじゃねぇの」
『なるほど。ちょうどいいや。ちょっと酒田と変わって』
なんで江田が酒田と? と、思ったが、俺のほうもいつまでも話している暇はない。電話を保留にすると、酒田に内線で回す。
『はい。営業部酒田です』
パソコンの画面から顔を離さずに、酒田は電話を取った。すぐそこに座ってるだけに、声がハレーションを起こしているように聞こえる。
「山本だけど」
『はいっ?』
たぶん、酒田のほうも同じだろう。びっくりした顔をして、俺のほうを向いた。俺は片手をあげると、そのまま、江田から電話だから、と伝えると受話器を置いた。酒田は小さく頭を下げると、そのまま江田と話を始めたようだった。
俺は小島の姿を探そうと周囲を見回していると、遠藤がパーテーションで区切られている小部屋のほうを指さした。ちょうどそこから、小島と男の子が出てくるのが見えたので、俺は急いで彼女を追いかけた。
特に、今日の会議の時間が変更になっているとのメールが今朝になって入ったせいで、早めに資料の用意をしてもらわないと困るのだが、そのとりまとめをしている肝心の彼女がなかなか捕まらない。
「小島くんは、どうした?」
パソコンに向かっている遠藤に声をかけると、チラッと彼女の席のほうを見て、ため息をつく。
「山本課長、俺は彼女のお守りじゃないですよ」
「ああ、すまん」
いつも遠藤と小島の組み合わせを見ているせいで、ついつい彼に聞いてしまう。俺が素直に謝ると、遠藤も苦笑いする。
「そのうち戻ってくるんじゃないですか。ノートパソコン、開いたままですから」
確かに、外出したようには見えなかった。そのうち戻ってくるとはいえ、早めに彼女に確認したい。参ったな、と思っていたところに、再び小島の姿がフロアの入り口のほうから現れた。彼女の後ろに誰か男の子がついてきているようだ。
小島に声をかけようと席を立とうした時、目の前の電話が鳴った。仕方なく電話を受けると、関西支社の同期、江田からの電話だった。
『久しぶり』
「おお、どうした」
『本当は小笠原のほうに用があったんだけど、たまにはお前の声でも聞きたいと思ってな』
江田と小笠原と俺は、新人研修の時にグループを組まされた仲間だった。今でもよく連絡を取り合っている同期と言えば、この二人くらい。だからか、気まぐれに、仕事と関係ない電話をしてくることがある。
「おいおい、俺も一応忙しいんだけどな」
『悪い悪い、そこから小笠原、見える?』
「あ? あー、今、葛木と話し込んでる」
『あ、じゃあ、酒田は?』
酒田というのは、葛木の下にいる今年入社2年目、だったか。
「ああ、自分の席で仕事してるっぽい」
『してるっぽいって』
電話越しに江田が笑っているのがわかる。
「パソコン見てるけど、ネットでも見てんじゃねぇの」
『なるほど。ちょうどいいや。ちょっと酒田と変わって』
なんで江田が酒田と? と、思ったが、俺のほうもいつまでも話している暇はない。電話を保留にすると、酒田に内線で回す。
『はい。営業部酒田です』
パソコンの画面から顔を離さずに、酒田は電話を取った。すぐそこに座ってるだけに、声がハレーションを起こしているように聞こえる。
「山本だけど」
『はいっ?』
たぶん、酒田のほうも同じだろう。びっくりした顔をして、俺のほうを向いた。俺は片手をあげると、そのまま、江田から電話だから、と伝えると受話器を置いた。酒田は小さく頭を下げると、そのまま江田と話を始めたようだった。
俺は小島の姿を探そうと周囲を見回していると、遠藤がパーテーションで区切られている小部屋のほうを指さした。ちょうどそこから、小島と男の子が出てくるのが見えたので、俺は急いで彼女を追いかけた。
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