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5.ネクタイ
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彼女の代わり、というわけではないが、濱田くんに声をかけた。
「思わぬところで会うもんだねぇ……そう言えば、濱田くんは、もう指示は受けているのかい?」
俺の言葉に、ピクリと反応すると、俺のほうを向いて顔を赤らめている。百均のバイトの時とは、少しばかり雰囲気が違うようだ。
「濱田くん?」
「あ、は、はい。大丈夫です。ちょっと自販機の場所を教えてもらおうとしてたんです」
チラリと席に戻っている小島のほうを見る。遠藤に、また何か言われている小島は濱田くんのことを見る余裕はなさそうだ。パソコンにかじりついている様子に、ちゃんと資料が準備できるのか、心配になった。
「そうか。じゃあ、私もついでに買いに行くから、一緒に行こうか」
俺が席に戻るまでに、何かしら準備が出来ているといいんだがな、と思いながら、俺は自販機のあるフロアに向かうためにエレベーターホールに向かった。
後ろから軽いパタパタという足音とともに、濱田くんがついてくるのがわかる。
「自販機は3階上の喫煙ルームのそばにあるから」
「は、はい」
エレベーターのドアが開くと、二人で乗り込むと目的のフロアに着くまで無言のままになる。俺にしても、濱田くんにしても、それほどおしゃべり、というわけでもない。たぶん、彼のほうが、緊張してるんだろうなぁ、と思い、チラッと見ると、ドアの上に表示される階数をジッと見つめている。その真剣な表情に、俺の口元が少し緩む。
目的のフロアに着くと、自販機のあるスペースに向かう。喫煙ルームには数人の喫煙者が外の景色を眺めたり、その場で打ち合わせのようなものをしている者もいた。俺たちはその前を通り過ぎ、複数台置かれている自販機のある場所へと向かう。
そこには小さなテーブルが二つほど置いてあるが、今はさすがに誰もいなかった。
「濱田くん、何、飲む?」
俺は小銭入れを取り出して濱田くんに声をかけた。
「あ、いえ、僕、自分で買います」
慌てたように、スラックスのポケットから財布を取り出そうとしている。
「いや、いいよ。そこは大人に買わせてよ」
そう言うと、困ったような顔をしながら、素直に頷いた。
「で? 何が飲みたい?」
小銭を投入口に入れ、俺は自分の分にとアイスコーヒーのボタンを押す。ガタン、と出てきた缶を拾うと、濱田くんのほうを見る。真剣に悩んでいる姿に、やっぱり高校生みたいだなぁ、と笑みが零れそうになった。
「あ、あの、じゃあ、これ」
恥ずかしそうに指さしたのは、少し甘そうなアイスカフェオレ。
「ん、これね」
俺は自販機から出てきた缶を取ると、濱田くんに差し出した。
「ありがとうございます」
小さな声で言うと、恥ずかしそうに受け取る。その姿にも、なぜだか笑みが零れそうになるが、壁の時計の時間に気付いて、俺は顔を引き締めた。
「さぁ、フロアに戻るか。私も会議の準備をしないといけないんでね」
「あ、はいっ、ありがとうございました」
慌てたように頭を下げる濱田くん。その姿に、つい、頭を撫でてやりたくなった。そんなことをされたら、子供扱いされた、と思うかもしれない、と思い、伸ばそうとした手を握りしめる。
エレベーターホールに向かうべく、その場を後にする。小島はちゃんと準備が出来ているだろうか、と思うと少しばかり心配になる。エレベーターを呼ぶボタンを押すと、俺と濱田くんは、互いに何も話すことなく静かにエレベーターを待ち続けた。
「思わぬところで会うもんだねぇ……そう言えば、濱田くんは、もう指示は受けているのかい?」
俺の言葉に、ピクリと反応すると、俺のほうを向いて顔を赤らめている。百均のバイトの時とは、少しばかり雰囲気が違うようだ。
「濱田くん?」
「あ、は、はい。大丈夫です。ちょっと自販機の場所を教えてもらおうとしてたんです」
チラリと席に戻っている小島のほうを見る。遠藤に、また何か言われている小島は濱田くんのことを見る余裕はなさそうだ。パソコンにかじりついている様子に、ちゃんと資料が準備できるのか、心配になった。
「そうか。じゃあ、私もついでに買いに行くから、一緒に行こうか」
俺が席に戻るまでに、何かしら準備が出来ているといいんだがな、と思いながら、俺は自販機のあるフロアに向かうためにエレベーターホールに向かった。
後ろから軽いパタパタという足音とともに、濱田くんがついてくるのがわかる。
「自販機は3階上の喫煙ルームのそばにあるから」
「は、はい」
エレベーターのドアが開くと、二人で乗り込むと目的のフロアに着くまで無言のままになる。俺にしても、濱田くんにしても、それほどおしゃべり、というわけでもない。たぶん、彼のほうが、緊張してるんだろうなぁ、と思い、チラッと見ると、ドアの上に表示される階数をジッと見つめている。その真剣な表情に、俺の口元が少し緩む。
目的のフロアに着くと、自販機のあるスペースに向かう。喫煙ルームには数人の喫煙者が外の景色を眺めたり、その場で打ち合わせのようなものをしている者もいた。俺たちはその前を通り過ぎ、複数台置かれている自販機のある場所へと向かう。
そこには小さなテーブルが二つほど置いてあるが、今はさすがに誰もいなかった。
「濱田くん、何、飲む?」
俺は小銭入れを取り出して濱田くんに声をかけた。
「あ、いえ、僕、自分で買います」
慌てたように、スラックスのポケットから財布を取り出そうとしている。
「いや、いいよ。そこは大人に買わせてよ」
そう言うと、困ったような顔をしながら、素直に頷いた。
「で? 何が飲みたい?」
小銭を投入口に入れ、俺は自分の分にとアイスコーヒーのボタンを押す。ガタン、と出てきた缶を拾うと、濱田くんのほうを見る。真剣に悩んでいる姿に、やっぱり高校生みたいだなぁ、と笑みが零れそうになった。
「あ、あの、じゃあ、これ」
恥ずかしそうに指さしたのは、少し甘そうなアイスカフェオレ。
「ん、これね」
俺は自販機から出てきた缶を取ると、濱田くんに差し出した。
「ありがとうございます」
小さな声で言うと、恥ずかしそうに受け取る。その姿にも、なぜだか笑みが零れそうになるが、壁の時計の時間に気付いて、俺は顔を引き締めた。
「さぁ、フロアに戻るか。私も会議の準備をしないといけないんでね」
「あ、はいっ、ありがとうございました」
慌てたように頭を下げる濱田くん。その姿に、つい、頭を撫でてやりたくなった。そんなことをされたら、子供扱いされた、と思うかもしれない、と思い、伸ばそうとした手を握りしめる。
エレベーターホールに向かうべく、その場を後にする。小島はちゃんと準備が出来ているだろうか、と思うと少しばかり心配になる。エレベーターを呼ぶボタンを押すと、俺と濱田くんは、互いに何も話すことなく静かにエレベーターを待ち続けた。
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