63 / 93
8.クリスマスツリー
62
しおりを挟む
翌日、遠藤とはいつも通りに仕事の打ち合わせをし、午前中の会議に臨んだ。昨日頑張って資料を仕上げたこともあり、思いのほかスムーズに済んだ。
「お疲れ」
「お疲れ様でした」
俺と遠藤は会議室から出ると、フロアに戻るためにエレベーターホールへと向かう。俺は小笠原と並びながら、遠藤はその後ろに立っている。苦労して作った資料を、評価されたこともあって、機嫌が良さそうだった。
「遠藤さん、昨日は大変でしたね」
そう声をかけてきたのは、会議室から後から出てきた葛木だった。俺は、昨日と言われると、遠藤に何を言われたのか、悲し気な濱田くんの姿が頭をよぎった。俺はチラッと後ろへと視線を向ける。遠藤は、何を言って濱田くんを悲しませたのだろうか。
「ああ? ああ、2回も電話してくるお前も、お前だけどな」
「それでも、来てくれましたよね。さすが、『巽くん』」
「それ、やめろ」
少しばかり、不機嫌な声になっている遠藤。
「なんだ、どうした」
小笠原のほうが後ろにいる二人に声をかけた。
「昨日、俺、友達と食べて帰るって言ったじゃないですか」
葛木が話始めた時、エレベーターが到着した。俺たちはそのまま箱に乗り込む。
「ああ、あれだろ? 酒田の後輩たちだっけ?」
「ええ。で、駅前で待ちああせてたんですけど、そこに、なぜだか八巻さんと小島が現れて」
「は?」
昨日は、いつの間にかに小島も八巻さんもフロアにはいなかったように思う。
「もう、あの時間で二人ともけっこう酔っぱらってて、俺たちと一緒に行くって聞かなくて、参っちゃいましたよ」
話を聞くと、店までついてきた八巻さんは葛木の友人たちの前で、抱き着いて大泣きし始めたとか。
「小島もつられて泣くし、俺のスーツの腕のところ、ぐしょぐしょにされて最悪でした」
エレベーターが到着した音が鳴り、ドアが開く。
「んで、もういい加減、俺も面倒になったんで遠藤さんに電話したんです。引き取ってくれって」
夕べ、会社を出る所でつかまっていた電話はそれのことだったのか。
「でも、断られちゃって。小一時間したくらいですかね。小島はどうでもいいけど、八巻さんは、なんかまずそうだったんで、もう1回、電話したんですよ。そしたら今度は、俺たちのいる店に来て、八巻さん抱えて帰ってくれたんですよ」
あの後、葛木達のところに行ったのか。フロアに入る前に、チラッと見ると、苦々しい顔で、葛木を見ている。
「で、その時に、八巻さんが『巽く~ん』って」
「いいかげんにしろ」
「いてっ」
遠藤が手にしてた資料の束で、葛木の頭を軽く叩いた。
「お前、次はねぇからな」
「いや、マジでなんとかしてくださいって」
二人の声をよそに、俺と小笠原微は微かに笑いながら、自分たちの席へと戻った。
「お疲れ」
「お疲れ様でした」
俺と遠藤は会議室から出ると、フロアに戻るためにエレベーターホールへと向かう。俺は小笠原と並びながら、遠藤はその後ろに立っている。苦労して作った資料を、評価されたこともあって、機嫌が良さそうだった。
「遠藤さん、昨日は大変でしたね」
そう声をかけてきたのは、会議室から後から出てきた葛木だった。俺は、昨日と言われると、遠藤に何を言われたのか、悲し気な濱田くんの姿が頭をよぎった。俺はチラッと後ろへと視線を向ける。遠藤は、何を言って濱田くんを悲しませたのだろうか。
「ああ? ああ、2回も電話してくるお前も、お前だけどな」
「それでも、来てくれましたよね。さすが、『巽くん』」
「それ、やめろ」
少しばかり、不機嫌な声になっている遠藤。
「なんだ、どうした」
小笠原のほうが後ろにいる二人に声をかけた。
「昨日、俺、友達と食べて帰るって言ったじゃないですか」
葛木が話始めた時、エレベーターが到着した。俺たちはそのまま箱に乗り込む。
「ああ、あれだろ? 酒田の後輩たちだっけ?」
「ええ。で、駅前で待ちああせてたんですけど、そこに、なぜだか八巻さんと小島が現れて」
「は?」
昨日は、いつの間にかに小島も八巻さんもフロアにはいなかったように思う。
「もう、あの時間で二人ともけっこう酔っぱらってて、俺たちと一緒に行くって聞かなくて、参っちゃいましたよ」
話を聞くと、店までついてきた八巻さんは葛木の友人たちの前で、抱き着いて大泣きし始めたとか。
「小島もつられて泣くし、俺のスーツの腕のところ、ぐしょぐしょにされて最悪でした」
エレベーターが到着した音が鳴り、ドアが開く。
「んで、もういい加減、俺も面倒になったんで遠藤さんに電話したんです。引き取ってくれって」
夕べ、会社を出る所でつかまっていた電話はそれのことだったのか。
「でも、断られちゃって。小一時間したくらいですかね。小島はどうでもいいけど、八巻さんは、なんかまずそうだったんで、もう1回、電話したんですよ。そしたら今度は、俺たちのいる店に来て、八巻さん抱えて帰ってくれたんですよ」
あの後、葛木達のところに行ったのか。フロアに入る前に、チラッと見ると、苦々しい顔で、葛木を見ている。
「で、その時に、八巻さんが『巽く~ん』って」
「いいかげんにしろ」
「いてっ」
遠藤が手にしてた資料の束で、葛木の頭を軽く叩いた。
「お前、次はねぇからな」
「いや、マジでなんとかしてくださいって」
二人の声をよそに、俺と小笠原微は微かに笑いながら、自分たちの席へと戻った。
2
あなたにおすすめの小説
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話
タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。
瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。
笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。
宵にまぎれて兎は回る
宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…
竹本義兄弟の両片思い
佐倉海斗
BL
高校一年の春、母親が再婚をした。義父には2歳上の引きこもりがちな連れ子の義兄がいた。初対面ではつれない態度だった義兄だった。最初は苦手意識があったのに、先輩に目を付けられて暴行されている時に助けられてから、苦手意識が変わっていった。それにより、少しずつ、関係が変わっていく。
女子にモテる極上のイケメンな幼馴染(男)は、ずっと俺に片思いしてたらしいです。
山法師
BL
南野奏夜(みなみの そうや)、総合大学の一年生。彼には同じ大学に通う同い年の幼馴染がいる。橘圭介(たちばな けいすけ)というイケメンの権化のような幼馴染は、イケメンの権化ゆえに女子にモテ、いつも彼女がいる……が、なぜか彼女と長続きしない男だった。
彼女ができて、付き合って、数ヶ月しないで彼女と別れて泣く圭介を、奏夜が慰める。そして、モテる幼馴染である圭介なので、彼にはまた彼女ができる。
そんな日々の中で、今日もまた「別れた」と連絡を寄越してきた圭介に会いに行くと、こう言われた。
「そーちゃん、キスさせて」
その日を境に、奏夜と圭介の関係は変化していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる