100均で始まる恋もある2

三森のらん

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8.クリスマスツリー

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 小島たちは定時に上がると、さっさと先に店へと向かっていった。うちの課で残っているのは、俺と野原。遠藤は直接店に向かうという。気のせいかもしれないが、遠藤が俺を避けているような気がしてしまう。
 野原の書類の確認が、意外に時間がかかってしまい、パソコンに表示されている時間に目をやると、そろそろ18時半になろうとしていた。

「野原、そっちはどうだ」
「あ、はい。大丈夫です」

 俺が声をかけたからか、パタパタと机の周りを片付け始めた。俺もパソコンの電源を落とすと、コートと鞄に手を伸ばす。

「お、今日は二課は早いな」

 隣の島の小笠原が声をかけてきた。隣はまだまだ仕事をしている連中が残っている。

「ああ、なんかクリスマスパーティなんだと」
「ほぉ……珍しいな、お前が行くなんて」

 そう言いながらも、どこか嬉しそうな顔をする小笠原。

「すぐに帰るけどな」
「何言ってるんだ。せっかくなんだから、楽しんでこいよ」
「そうですよ、課長。クリスマスなんですし」

 コートを着終えた野原が、楽しそうに声をかけてくる。正直、濱田くんとの時間のほうが楽しいんだがなぁ、と胸の中で呟きながら、俺はなんとか笑みを浮かべた。
 野原と二人でエレベーターホールでエレベーターを待っている間に、濱田くんへメールを送る。なんとか1時間で抜け出せるだろうか。少しだけ不安になりながら、野原と店へと向かう。
 到着してみれば、すでに小島たちはかなり盛り上がっていた。テーブルの上にはチーズフォンデュの鍋も出ているし、どうも、ワインのボトルの姿もある。

「遠藤さーん、結局、受付の子とは別れちゃったんですかぁ?」

 コートをかけて空いてる席に座ると、そんな声が聞こえてきた。その声の主は小島で、向かい側に座っていた遠藤はうんざりした顔でピザを手にしている。

「余計なお世話だよ」
「だって、八巻さんの攻撃にもめげずに、付き合ってたのに、って思ってぇぇ」

 小島の酔った声に、どれだけ短時間に飲んだんだ? と不思議に思いつつ、彼女のミニスカサンタの格好に、驚いてしまう。その上、まさか遠藤が社内恋愛していたとは知らなかった。
 出入り口傍の席に座った俺に、佐藤さんがメニューを差し出す。

「飲み放題なんで、このメニューの中から選んでください」
「ああ」
「俺、とりあえずビールで」

 野原がメニューも見ずに答える。俺も飲むにしてもビールだろうと思ったので、メニューも受け取らずに、「俺も」と答えた。
 不意に視線を感じたのでそちらを向くと遠藤が俺の方を見ていた。視線が合うとにっこりと笑い、「お疲れ様でーす」と声をかけてきた。

「お、お疲れ様でーっす」

 すでに酔っぱらった小島が、顔を真っ赤にしながら立ち上がった。隣に座る佐藤さんが、小島に向かって両手をヒラヒラとさせながら、笑っている。

「ああ、お疲れ」

 つい、呆れたような声で答えてしまう俺。その反応が気にくわなかったのか、小島が拗ねたような顔で「課長~、可愛くないですかぁ?」と言い出す始末。

「ああ、可愛い、可愛い」

 流すように答えていると、俺と野原の前にビールが運ばれてきた。俺と野原、二人で乾杯をしていると、頬を赤く染めた佐藤さんと丹野さんも、ワインの入ったグラスを差し出してきた。

「ええー、私も、私もぉ」

 酔っ払いの小島は、もう、どうしようもない感じだ。その様子に不安になって佐藤さんに「大丈夫か?」と聞くと、丹野さんが「ダメだったら、うちに泊まらせますから」とニコニコと笑っていた。

「それとも、課長、お持ち帰りにします?」

 どう言ってきたのは隣に座る佐藤さん。

「いや、遠慮しとくわ」

 げんなりした顔で答えた俺に、小島以外、全員が笑った。
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