100均で始まる恋もある

三森のらん

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3.エアプランツ

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 僕は仕方がないので、バイトの時間までどこかで暇を潰そうと駅ビルの中をうろついてみた。外に出るには、あまりにも暑すぎた。
 だけど、ここはそんなに大きな駅ビルでもない。その中でも広めにフロアをとっている本屋をうろついてなんとか時間を潰そうとしたけれど、それも限界。
 どうしようかと悩みながら、僕は最上階のレストラン街まで上がると、大きなガラス張りのところから外の景色を眺めていた。

 雲一つない空と、太陽は少しだけ傾きかけてはいるものの、遮るものがないから白い日差しが思う存分に降り注いでいる。その下をポツポツと歩く人影を見て、よく溶けてしまわないものだ、などと思う。
 僕がそこを歩いたら、ものの2,3分で行き倒れになってしまいそうだ。自分でそんなことを考えて、思わず一人で笑ってしまう。

 ふと、そこで気が付いた。
 今僕が見ている方向は駅の反対側で、山本さんが勤める会社があったことを。

 普段、駅の反対側に行くことなんて、ほとんどない。
 僕の用事は、買い物にしろ、大学に行くにしろ、大概が僕の住んでいる側で済ませてしまう。だから、あちら側へ行こうとすら思うことがなかった。
 反対側はビジネス街というには少しばかりこじんまりしている感じなのは、都会と言うには少しばかり田舎なせい。それでもいくつかのビルが立ち並び、その中に山本さんの会社の名前がビルの側面に書かれているのが目に入る。

 この時間帯とこの暑さだったら、外に出ている人はさほど多くはないだろう。
 そう思ったら、時間つぶしに行ってみようか、なんていう気まぐれが湧き上がってきた。ちょっと前までは、自分が外に出るなんてことを考えもしていなかったのに、山本さんの会社まで、目測でたぶん徒歩10分くらいかな、と思ったら、行けそうな気がしてきた。
 どうせ、暇なんだし、耐えられなかったら、近場でカフェでも見つけて、そこにでも逃げ込もう、と、その時は安易にそう思った。
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