100均で始まる恋もある

三森のらん

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3.エアプランツ

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 暑気払いは、駅前の居酒屋さんで行われた。同じく遅番だったフリーターの長谷川さんと一緒に、僕は店を閉めた後に合流することになった。
 そういう日に限って、閉店間際に迷惑なお客さんが来たりする。きっと山本さんだったら、こんな反応をしたりはしない。

「だからぁ、これの色違いのが欲しいんだって」

 もう店内の閉店の音楽は鳴り終わり、他の店はネットをかけてたりする。一方で長谷川さんはその面倒なお客さんの相手をしていて、俺はその間にレジを閉めて、報告書を準備して、と一人で慌ただしくしていた。

「申し訳ありません、そのお色はもう完売してまして」
「えぇ? もう入荷しないの?」
「いや、ちょっと今はわからないんですけど」
「他の店舗にあったりする?」
「それも今はすぐには」
「ったく、使えないわねぇ」
「申し訳ございません」

 長谷川さんがペコペコと頭を下げている姿を見ながら、僕だったら、もっと色々言われそうな気がして怖くなった。
 片付けを一人でしながら、ふと気が付く。そういえば、今日は山本さん来なかったなぁ、と。週に1回、山本さんの姿を見るだけなのに、その機会がないとなると、少しばかり寂しい気がする。

「はぁ……濱田くん、ごめんねぇ、一人でさせちゃって」

 ようやく面倒なお客さんが諦めてくれたのか、長谷川さんが僕の手伝いにやってきた。

「いえ、長谷川さんのほうこそ、お疲れ様でした」
「もうめんどくさいったらないわよね。こんな閉店間際っていうか、もう閉店してるってのに色々言ってきてさ」

 そう言いながら、長谷川さんは何やら小さなメモを振り回している。

「なんですか?それ」
「さっきのお客さんの連絡先」
「へ?」
「明日にでも、調べて電話してこいだって。そうしなきゃ帰ってくれなそうだったから、一応書いてもらったの」
「うわぁ……」
「でもさ、あの人、もう酔っぱらってたっぽいのよね。だからあんなにしつこかったんじゃないかなぁ」

 ブツブツ言いながら、ネットをかけていく長谷川さん。

「まぁ、明日いる人に対応してもらうしかないけどね。早いとこ、片づけて店に行こうね」
「あ、はい」

 僕たちはアタフタしながら、ネットをかけて、帰る準備を始めた。
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