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5.ネクタイ
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そういう日に限って、あまりお客さんもいなくて、商品が動かないから補充もすることもなくて、暇な時間が多かったりする。
だから、ついつい、山本さんのことを考えてしまう。自分でも、どうしようもない。
「どうした? 濱田くん?」
尾賀さんが、心配そうな顔で僕に話しかけてきた。
「え? あ、いや、どうもしないです」
慌てて、レジ前のお菓子の棚を整理しだしてみたけれど、誰も手を触れていないのか、もう、誰かが整理したのか、僕がいじる余地がない。
「なんか、眉間に皺、よってる」
「えっ」
慌てて自分の眉間に指をおき、指の腹で皺を伸ばそうとした。
「珍しいね。いつも、そんなふうに顔を顰めたりしないのに。なんかあった?」
「あ、いや……」
「どうせ、今は暇だし、お客さんくるまでなら話聞くけど?」
そう言いながら、レジのカウンター周りを整理しだす。僕は僕で、尾賀さんのいるレジのそばで、チラシの整理に手をだした。お客さんが持っていくたびに、山がずれるけれど、実際にはそんなに動かないチラシ。
「平川先輩、覚えてますか」
「あ、あいつ? 何、濱田くん、あいつに何か言われたの?」
あからさまに嫌そうな顔をする尾賀さん。そうだよな。尾賀さんも平川先輩に迷惑を被った人だもの。
「ちょっと、別のバイトの誘いを受けて」
「えっ!? ちょっと、やめて。冗談でしょ?」
「あ、でも、断りましたけど」
「あー、よかったぁ。濱田くん辞めるとか言われたら、マジでシフト回らなくなるから」
「や、辞める時は、早めに言います」
「そうよね、濱田くんだったら、ちゃんとしてくれると思うもの。あいつみたいに、突然とかないと思ってるから」
そうだ。平川先輩は、店が一番忙しい時期に辞めると言って、代わりに僕を送り込んだのだ。おかげで、僕は鍛えられたのかもしれないけれど。
「あいつさぁ、本当は濱田くんが入る2週間前からバイトに来なくなって、マジで大変だったのよ」
「え?」
「もうさ、よそからヘルプ頼んだりして、なんとか回してたけど。あの時、濱田くん来てくれて、本当に助かったの」
そう言われて、当時のことを思い出す。
あんまりにも忙しくて、周りの様子を見る余裕もなかったけれど、今思えば、周囲の人の反応がなんだか冷たかったような気がする。かといって、ちゃんと教えてくれなかったわけではない。今、こうして、それなりに仕事ができているのだから。でも、あの冷たい反応は、平川先輩の行いのせいだったのかも、と、今なら納得がいく。
「ほら、濱田くん、あいつの後輩だっていうからさ、みんなは何も言わなかったけど。ほんっと、あいつ、無責任でさ」
それからは、お客さんの姿が見えるまで、延々と平川先輩の悪口のオンパレードだった。
だから、ついつい、山本さんのことを考えてしまう。自分でも、どうしようもない。
「どうした? 濱田くん?」
尾賀さんが、心配そうな顔で僕に話しかけてきた。
「え? あ、いや、どうもしないです」
慌てて、レジ前のお菓子の棚を整理しだしてみたけれど、誰も手を触れていないのか、もう、誰かが整理したのか、僕がいじる余地がない。
「なんか、眉間に皺、よってる」
「えっ」
慌てて自分の眉間に指をおき、指の腹で皺を伸ばそうとした。
「珍しいね。いつも、そんなふうに顔を顰めたりしないのに。なんかあった?」
「あ、いや……」
「どうせ、今は暇だし、お客さんくるまでなら話聞くけど?」
そう言いながら、レジのカウンター周りを整理しだす。僕は僕で、尾賀さんのいるレジのそばで、チラシの整理に手をだした。お客さんが持っていくたびに、山がずれるけれど、実際にはそんなに動かないチラシ。
「平川先輩、覚えてますか」
「あ、あいつ? 何、濱田くん、あいつに何か言われたの?」
あからさまに嫌そうな顔をする尾賀さん。そうだよな。尾賀さんも平川先輩に迷惑を被った人だもの。
「ちょっと、別のバイトの誘いを受けて」
「えっ!? ちょっと、やめて。冗談でしょ?」
「あ、でも、断りましたけど」
「あー、よかったぁ。濱田くん辞めるとか言われたら、マジでシフト回らなくなるから」
「や、辞める時は、早めに言います」
「そうよね、濱田くんだったら、ちゃんとしてくれると思うもの。あいつみたいに、突然とかないと思ってるから」
そうだ。平川先輩は、店が一番忙しい時期に辞めると言って、代わりに僕を送り込んだのだ。おかげで、僕は鍛えられたのかもしれないけれど。
「あいつさぁ、本当は濱田くんが入る2週間前からバイトに来なくなって、マジで大変だったのよ」
「え?」
「もうさ、よそからヘルプ頼んだりして、なんとか回してたけど。あの時、濱田くん来てくれて、本当に助かったの」
そう言われて、当時のことを思い出す。
あんまりにも忙しくて、周りの様子を見る余裕もなかったけれど、今思えば、周囲の人の反応がなんだか冷たかったような気がする。かといって、ちゃんと教えてくれなかったわけではない。今、こうして、それなりに仕事ができているのだから。でも、あの冷たい反応は、平川先輩の行いのせいだったのかも、と、今なら納得がいく。
「ほら、濱田くん、あいつの後輩だっていうからさ、みんなは何も言わなかったけど。ほんっと、あいつ、無責任でさ」
それからは、お客さんの姿が見えるまで、延々と平川先輩の悪口のオンパレードだった。
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