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6.ジャック・オー・ランタン
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ハロウィンのグッズの中で動きがあるのは、メイクやコスプレ用品だけじゃない。オレンジや紫で彩られたパッケージのお菓子もよく動く。たぶん、子供向けに準備をしてるんだろうなぁ、と思いながら山盛りのカゴを見て、げんなりする。
「いらっしゃいませ」
ハロウィングッズを見飽きた頃に、普通のお菓子やつまみを買ってくれる人が来ると、なんとなくホッとする。そして、不意に山本さんのことを思い出す。
シュークリームの缶をもらってから、山本さんとはタイミングが合わなくて、話をすることができないでいた。『今度』と言われたけれど、なかなか、その『今度』にならない。
つまみを買いに来てはくれているのだけれど、ここのところ続けて隣のレジに行ってしまうのだ。ただ、前と違うのは、僕のレジに来なくても、僕と目が合うと、疲れた顔をしながらも、少しだけ微笑んでくれるようになったこと。たったそれだけのことだけど、僕のほうは、それのおかげで疲れが吹っ飛んでるんだけど。
「ありがとうございました」
一瞬、お客さんの波が途切れた。僕はポケットの中のシールを取り出してみる。傷跡を表現するためとはいえ、この赤い血の部分のうねっているところなんて、ちょっとリアルで笑えない。
「ほら、早いとこ貼っちゃいなよ」
尾賀さんは、ほれほれ、とニヤニヤしながら僕に催促する。
「これって、一度貼ったら、貼りなおしとかできるんですか?」
「ん? 使い切りじゃない?」
「え、もったいなくないですか」
「サンプルで落とすヤツだからいいよ」
あっさりと言う尾賀さん。そうは言われても、顔につけるのに抵抗がある。だから僕は、左手の甲に貼ることにした。貼ってみると、やっぱりそれはグロテスクで、百均の商品にしては上手くできてるなぁ、としげしげと見てしまった。
「え、なんで、そこ?」
僕の左手を見て、尾賀さんが、がっかりしたような声で言う。
「手元のほうだって、見えるでしょう?」
「もう、濱田くんだから顔って言ったのに」
ぶぅぶぅ言われつつも、僕はシールの位置を変えることなく、そのまま接客を続けた。
左手の傷跡シールは思いのほか反応がよかった。商品を受け取るたびにお客さんの視線を感じるし、人によっては、触らせて、と言われ、素直に触らせたりもした。その度に、色々な反応が返ってきて、ついでに買っていくお客さんもいたりした。
「尾賀さん、今度は、尾賀さんが何かつけましょうよ」
閉店後、レジを締めながら隣で作業していた尾賀さんに声をかけた。
「私?いやいや、こういうのはかわいい子がやるからいいんであって、私はダメ」
そう謙遜して言うけれど、尾賀さんだって黙っていれば、そこそこカワイイ……と、彼氏さんは思うに違いない。
「おい、今、何か思っただろ」
重低音で突っ込まれると、やっぱり逃げ腰になってしまう僕。
「い、いえいえ。何も」
早いところ逃げてしまおうと、僕は急いでレジ締めをつづけた。
「いらっしゃいませ」
ハロウィングッズを見飽きた頃に、普通のお菓子やつまみを買ってくれる人が来ると、なんとなくホッとする。そして、不意に山本さんのことを思い出す。
シュークリームの缶をもらってから、山本さんとはタイミングが合わなくて、話をすることができないでいた。『今度』と言われたけれど、なかなか、その『今度』にならない。
つまみを買いに来てはくれているのだけれど、ここのところ続けて隣のレジに行ってしまうのだ。ただ、前と違うのは、僕のレジに来なくても、僕と目が合うと、疲れた顔をしながらも、少しだけ微笑んでくれるようになったこと。たったそれだけのことだけど、僕のほうは、それのおかげで疲れが吹っ飛んでるんだけど。
「ありがとうございました」
一瞬、お客さんの波が途切れた。僕はポケットの中のシールを取り出してみる。傷跡を表現するためとはいえ、この赤い血の部分のうねっているところなんて、ちょっとリアルで笑えない。
「ほら、早いとこ貼っちゃいなよ」
尾賀さんは、ほれほれ、とニヤニヤしながら僕に催促する。
「これって、一度貼ったら、貼りなおしとかできるんですか?」
「ん? 使い切りじゃない?」
「え、もったいなくないですか」
「サンプルで落とすヤツだからいいよ」
あっさりと言う尾賀さん。そうは言われても、顔につけるのに抵抗がある。だから僕は、左手の甲に貼ることにした。貼ってみると、やっぱりそれはグロテスクで、百均の商品にしては上手くできてるなぁ、としげしげと見てしまった。
「え、なんで、そこ?」
僕の左手を見て、尾賀さんが、がっかりしたような声で言う。
「手元のほうだって、見えるでしょう?」
「もう、濱田くんだから顔って言ったのに」
ぶぅぶぅ言われつつも、僕はシールの位置を変えることなく、そのまま接客を続けた。
左手の傷跡シールは思いのほか反応がよかった。商品を受け取るたびにお客さんの視線を感じるし、人によっては、触らせて、と言われ、素直に触らせたりもした。その度に、色々な反応が返ってきて、ついでに買っていくお客さんもいたりした。
「尾賀さん、今度は、尾賀さんが何かつけましょうよ」
閉店後、レジを締めながら隣で作業していた尾賀さんに声をかけた。
「私?いやいや、こういうのはかわいい子がやるからいいんであって、私はダメ」
そう謙遜して言うけれど、尾賀さんだって黙っていれば、そこそこカワイイ……と、彼氏さんは思うに違いない。
「おい、今、何か思っただろ」
重低音で突っ込まれると、やっぱり逃げ腰になってしまう僕。
「い、いえいえ。何も」
早いところ逃げてしまおうと、僕は急いでレジ締めをつづけた。
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