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9.酒のつまみ、再び
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実家から戻ってきて崇さんの短い正月休みが終わるまで、僕たちは崇さんの家で過ごした。特別、何をするでもなく、ただまったりと一緒の時間を過ごす。そんな時間が幸せで、いつまでも崇さんの隣に寄り添っていたい、そう思っていた。
幸せな正月休みが明けると、崇さんはまたいつものように忙しい日常が戻っていく。僕のほうも少し遅れて休みが終わり、崇さんの家から自分のアパートに戻った。
久しぶりに戻った自分の部屋の空気は、人がいないというだけでかなり冷ややかに僕を迎えてくれた気がする。
戻って1週間もすると試験期間が始まるせいで、試験勉強をし始めた僕には、崇さんと会う時間がまったくなくなってしまった。崇さん自身も忙しかったのもあるけれど、その間、何度か電話やメールのやりとりしかできなくて、僕は崇さん不足で試験が終わるころには、心身ともに干からびてしまっていた。
試験最終日の金曜日、午後の最後の試験を終えて、教室の机の上に突っ伏してた僕に、崇さんからの『試験終わった?』というメールが届いた。そのメールを見ただけで、飛び起きてしまう僕は現金な奴かもしれない。口元を緩めながら『なんとか終わりました』と返事を返すと、崇さんからもすぐに返事が返ってきた。
『今日、夕飯、一緒に食べないか?』
久しぶりに崇さんに会える、と思ったら、僕は教室から飛び出していた。
早めに仕事をあがるとは言っていたものの、定時には終わらないだろうな、と思った僕は、バイトの予定はないものの、店のほうに顔を出した。今日は尾賀さんと長谷川さんがレジのほうに入っている。彼女たちの手際のよさのおかげで、お客さんの列はそれほど長くはなっていなかった。
「おや、濱田くん」
商品の補充をしていた店長の矢島さんが、店の中をウロウロしていた僕に気づいて声をかけてきた。
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ~、試験終わったんだ?」
「はい、なんとか」
僕は矢島さんと立ち話をしながらも、今日が金曜日だったことを思い出して、ふと食品の棚のほうが気になった。いつもなら、崇さんが酒のつまみを買っていく日だけど、今日は僕との食事があるから、買いに来ないかもしれない。矢島さんとの話を終えると、僕は酒のつまみがある棚のほうに向かった。
前にも崇さんの好きそうなつまみをたくさん買ったのを思い出す。今日は、食事の後、崇さんの家に行ってもいいんだろうか。僕はちょっとだけ期待しながら、棚にある商品をジッと見つめる。
「おーい。濱田くん」
尾賀さんがニコニコ笑いながら、たくさんのカゴをもって現れた。
「何、買い物?」
「え、いや、そういうわけじゃ」
「まぁ、まぁ、これ一つ、どーぞ」
目の前に差し出されたカゴ。あからさまに『何か買っていけ』という笑顔に、一つだけ受け取ってしまう。尾賀さんは「じゃーね」と言いながらカゴを抱えて去っていった。僕は苦笑いをしながら、目の前のつまみの棚に再び視線を向け、自然と手が伸びていた。
さきいかフライ
いわしせんべい
かわはぎ
カシューナッツ
アーモンド小魚
ゴマわかめ
崇さんと僕。二人でのんびりビールを飲みながら、酒のつまみを食べてる姿が、頭の中に浮かんでくる。
そんな時、いきなりコートのポケットの中でスマホが揺れた。崇さんからの電話だった。
幸せな正月休みが明けると、崇さんはまたいつものように忙しい日常が戻っていく。僕のほうも少し遅れて休みが終わり、崇さんの家から自分のアパートに戻った。
久しぶりに戻った自分の部屋の空気は、人がいないというだけでかなり冷ややかに僕を迎えてくれた気がする。
戻って1週間もすると試験期間が始まるせいで、試験勉強をし始めた僕には、崇さんと会う時間がまったくなくなってしまった。崇さん自身も忙しかったのもあるけれど、その間、何度か電話やメールのやりとりしかできなくて、僕は崇さん不足で試験が終わるころには、心身ともに干からびてしまっていた。
試験最終日の金曜日、午後の最後の試験を終えて、教室の机の上に突っ伏してた僕に、崇さんからの『試験終わった?』というメールが届いた。そのメールを見ただけで、飛び起きてしまう僕は現金な奴かもしれない。口元を緩めながら『なんとか終わりました』と返事を返すと、崇さんからもすぐに返事が返ってきた。
『今日、夕飯、一緒に食べないか?』
久しぶりに崇さんに会える、と思ったら、僕は教室から飛び出していた。
早めに仕事をあがるとは言っていたものの、定時には終わらないだろうな、と思った僕は、バイトの予定はないものの、店のほうに顔を出した。今日は尾賀さんと長谷川さんがレジのほうに入っている。彼女たちの手際のよさのおかげで、お客さんの列はそれほど長くはなっていなかった。
「おや、濱田くん」
商品の補充をしていた店長の矢島さんが、店の中をウロウロしていた僕に気づいて声をかけてきた。
「あ、お疲れ様です」
「お疲れ~、試験終わったんだ?」
「はい、なんとか」
僕は矢島さんと立ち話をしながらも、今日が金曜日だったことを思い出して、ふと食品の棚のほうが気になった。いつもなら、崇さんが酒のつまみを買っていく日だけど、今日は僕との食事があるから、買いに来ないかもしれない。矢島さんとの話を終えると、僕は酒のつまみがある棚のほうに向かった。
前にも崇さんの好きそうなつまみをたくさん買ったのを思い出す。今日は、食事の後、崇さんの家に行ってもいいんだろうか。僕はちょっとだけ期待しながら、棚にある商品をジッと見つめる。
「おーい。濱田くん」
尾賀さんがニコニコ笑いながら、たくさんのカゴをもって現れた。
「何、買い物?」
「え、いや、そういうわけじゃ」
「まぁ、まぁ、これ一つ、どーぞ」
目の前に差し出されたカゴ。あからさまに『何か買っていけ』という笑顔に、一つだけ受け取ってしまう。尾賀さんは「じゃーね」と言いながらカゴを抱えて去っていった。僕は苦笑いをしながら、目の前のつまみの棚に再び視線を向け、自然と手が伸びていた。
さきいかフライ
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カシューナッツ
アーモンド小魚
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崇さんと僕。二人でのんびりビールを飲みながら、酒のつまみを食べてる姿が、頭の中に浮かんでくる。
そんな時、いきなりコートのポケットの中でスマホが揺れた。崇さんからの電話だった。
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