26 / 36
もう一度彼が輝くためなら
しおりを挟む
打ち合わせ場所に紙の擦れる音が響く。電話があってから二週間、要は泉と共に映画の企画書を手にし会議室の椅子にかけていた。
事件から三週間が経ち、世の中はもうすっかりビルの隙間から入道雲が覗く季節になった。
「泉くんの半生を映画にしたいんだよ」
紳士的な物腰で美作監督は言った。
仕立てのいいジャケット姿の彼は、四十代半ばのまさに紳士だった。淡い色の髪は品よく掻きあげられ、意志の強い眉と理知的な瞳は女性受けがとてもいいだろう。映画監督というよりは大企業の重役と紹介された方がしっくりくる。いや、芸能人に引けを取らない華やかさすらある。
温和そうな彼は指を組んだ手に顎を載せ、思慮深さを感じさせるしわの刻まれた目尻を下げた。
「もちろん、泉くんが過去をつまびらかにするのが嫌でなければ、だがね。それから五百蔵マネージャー……君も」
流し目で言われ、要はドキリとした。生来の気の弱さが顔を覗かせ、不安げに問い返してしまう。
「お、オレですか……?」
「あの釈明会見で一番インパクトがあったのは泉の過去とマネージャーとの信頼関係だ。泉の半生を映画にする上で、君の存在は不可欠と言える」
「――――要を映画に出演させる気ですか?」
それまで沈黙を貫いていた泉が尋ねた。美作は「できればそうしてほしいがね」と心地よく答えた。
「しかし、そこまで露骨にキャスティングすると、あの事件をこの映画のための話題作りと勘繰る人たちも出てくるだろう。それは本意ではないね。五百蔵くんの雰囲気にあった俳優を探すつもりだよ」
要はほっとした。この前の撮影では悩む時間も惜しかったため撮影に応じたが、一度引退した身の人間がスクリーンに出るのは抵抗があったからだ。
しかし、要が出ないならば映画化の話が立ち消えとなるなら、己の感情を無視して出演する気ではあったが。
「オ、オレなんかでよければ、過去なり、何なり聞いてください……。泉の起死回生のチャンスになるなら、オレは何でもします……!」
分厚いメガネ越しに、要は真摯に訴えた。頭を勢いよく下げたことで机にゴンッと額をぶつける。その反動でメガネが外れてしまい、零れ落ちそうなくらい大きな要の杏眼があらわになった。
「ああっ、すみません、すみません! オレなんて粗相を……っ」
靄がかかったようにぼやける視界の中、要は手探りで手元のメガネを探す。眼前で美作がクスリと笑う気配がし、「君は変わらないね」と言いながら要の顎を掬い上げた。
瞬間、泉から鋭い威嚇の視線が美作へ飛ぶ。それは一瞬で潜められたが、美作はしわの寄った口元を引き上げてクスリと笑った。
「ほら、どうぞ」
「あ、ありがとうございます……すみません、オレなんて、ゴミなのに……」
美作にメガネをかけてもらい、ようやく両眼がクリアになった要は恥ずかしさに肩を縮こまらせながら礼を言った。
「ゴミなんて言わないことだ。君はこのプロジェクトのキーになる人だよ」
「あ、え、ありがとうございます……っ」
美作に優しくたしなめられ、要はもう一度礼を言う。いい人に仕事を振られてよかったと、要は心から感謝した。
まずは泉の半生についての綿密な取材や脚本家との相談、製作費などの話を突き詰めていくことになった。打ち合わせがひと段落したところで、美作が隣の椅子に立てかけていた杖を手に立ちあがる。
要が手を貸そうとしたが、美作は軽く手で制し断った。美作は足が悪いのか杖をついた監督としても有名だったが、多くの作品を手掛けた監督としても名を馳せていた。
「では、撮影の開始を楽しみにしているよ。予算の少ない貧乏映画だが、いい作品にしよう」
「……っはい! よろしくお願いします!!」
部屋を後にする美作へ、要は折りたたみ携帯のように深々と頭を下げる。杖を突く音が遠のいていくと、泉は形のよい眉を片方吊り上げた。
「あのおっさん、足が悪いのか?」
「そうみたいだね」
「ふうん……」
「ふうん、じゃないよ! 泉、もっと感じよくして!」
要は泉の白い頬をこれでもかと引っ張った。
「いつもはちゃんと感じよくしてただろう? 久しぶりだから勘が鈍った?」
「いや、単純にああいう紳士面したオッサンは好きじゃないだけだ」
「ええ? ねえ泉、オレたちにとって、これは起死回生のチャンスなんだよ! それとも……やっぱりドキュメンタリーは嫌だった……?」
要にとってもそうだが、泉にとっては自身の過去を明らかにされるのは決して気分のよいものではないだろう。それを見世物にされるならなおさらだ。
両親に捨てられ、孤独を背負ってきた彼がその過去と改めて向き合うのはひどく勇気がいることに違いない。
そしてその過去が、大衆に受け入れられるとも分からないのに。
「もしも泉が乗り気じゃないなら、この仕事、断ってもいいよ……? オレ、別の仕事も頑張ってとってくるから……!」
必死の形相で要が拳を握ると、泉は要のくしゃくしゃした髪を余計に乱した。
「蹴るわけないだろ? この業界に入った時から、自分の過去と向き合う覚悟くらいとっくにできてる」
「泉……」
「また俺の時代に戻してやる。見てろよ、要」
不敵に笑う泉に、要の心臓は高鳴る。本当に、言葉一つだけで世の中を席巻してしまうほどの破壊力を持った彼なのだ。
ここで埋もれさせはしないと、要は固く誓った。
映画は低予算で組まれた。
美作がメガホンを握ること、そして話題の泉の半生が映画化することは世の中に衝撃と話題を与えたが、問題児の泉が主演することにスポンサーとなってくれる企業は少なかったためだ。それでも口コミさえよければ、上映する映画館の館数を増やしていくことは可能だ。
実際、口コミをもとに大ヒットを収めた映画だってある。
ただ――――想像以上に、泉の過去は要の心を抉った。
「貴方が泉を気に入って引き取ったんじゃありませんか!」
「養子をとるにあたって見目がいい子を選んで何が悪い!? お前は泉とベッドで何をしていた!?」
「わ、私は――――この子の母です! 一緒に眠っていたっておかしくないでしょう?」
「泉を裸にしてか!? お前も裸で!?」
贅を凝らした寝室に、怒声が響く。今よりも明るい金髪と碧眼を揺らした泉は、まだ小学校にも上がっていない。裕福な家庭に引き取られた彼は里親に愛されたが、その愛情の方向は歪んだものだった。
まだ幼い泉の美貌に、あろうことか母親は夢中になり――――性の対象として見てしまったのだ。
新しい母だと思っていた相手に体を撫でられ、あちこちに唇を寄せられる恐怖は泉に深い傷を残した。そしてしまいに里親は、五つにも満たない子供が大人を誘惑したとのたまうのだ。
「泉は悪魔だ! 我々は社会的地位もあり、周囲の尊敬を集める存在だったのに泉が妻を狂わせた!」
身近な大人にそう罵られた泉が、施設に戻されることは必然で。そして、テレビの向こう側の要に救いを求めたのも当然と言えた。
「カット!」
美作の張りのある声がカットをかける。次は高校生時代の泉のシーンだ。台本に視線を落としていた要は、気づかわしげに泉を見やった。
泉はスタイリストに衣装の確認をされながら、幼少時代の泉を子役が演じているのを、見るともなしに見ていた。針金を通したようにツンと鼻の尖った横顔が相も変わらず美しい彼は、何を思っているのだろうか。
身を切り売りしているようではないか。映画が完成すれば、己の膿んだ傷口を晒さねばならないなんて、どれほど苦い思いを噛みしめなければならない?
傷ついてはいないだろうかと、要はそればかりが気になった。
「大丈夫だって言ってるだろ、要」
オロオロと落ち着きのない要に気づいたのだろう。泉は気楽そうに言った。
「次は俺が要と出会うシーンだぜ? 懐かしむ気持ちで見とけよ?」
「う、うん……! 頑張ってね、泉!」
(すごいなぁ、泉は……)
要は過去のトラウマを払拭するのに長い時間がかかった。しかも、泉の手を借りなければ絶対に無理だった。対して泉は、過去は過去だと割り切れる強さを持ち合わせている。それが要には眩しかった。
「驚いたな。泉くんは君の前だとあんなに人間みのある表情をするんだね」
コッと杖を突きながら、美作が要の元へ寄ってきた。
「会見でも特別に君を大切に思っているようだったし。君も――――」
要の分厚いメガネのブリッジを美作が下げ、要の表情があらわになった。
「泉くんの前では、緊張がほぐれるようだ」
「あ、ああああの」
「ほら、私の前ではやっぱりまた緊張してしまうようだね?」
広い肩をすくめて美作が笑う。要はずれたメガネをかけ直しながら、頬を赤らめて言った。
「オレにとっても泉は特別、なんです」
「……そう」
「芸能界から干され希望をなくしていたオレに、泉は別の形で芸能界で戦う希望をくれた」
「それはすごいことだ」
美作は力強く頷く。
「よければその辺をもっと掘り下げたいね。顔合わせの時にもお願いしたが、さらに詳しく聞きたいな――――……どうだろう? 今夜あたり、私の家で聞かせてくれないかな。ああ、もちろん、君が嫌ならばそのくだりは映画に出さないよ」
「美作監督の家で、ですか? あの、逆にオレなんかがお邪魔してもいいんですか……?」
「もちろん大歓迎さ。ああ、ぜひ泉くんも来てほしいね」
心地よく言った美作に、要はちょっと迷った。
仕事終わりに泉が美作の家に寄るだろうか。しかし、映画監督の自宅になんて中々お邪魔できることもないし、仕事で必要なことだ。
要は泉を説得しようと思いつつ、了承した。
事件から三週間が経ち、世の中はもうすっかりビルの隙間から入道雲が覗く季節になった。
「泉くんの半生を映画にしたいんだよ」
紳士的な物腰で美作監督は言った。
仕立てのいいジャケット姿の彼は、四十代半ばのまさに紳士だった。淡い色の髪は品よく掻きあげられ、意志の強い眉と理知的な瞳は女性受けがとてもいいだろう。映画監督というよりは大企業の重役と紹介された方がしっくりくる。いや、芸能人に引けを取らない華やかさすらある。
温和そうな彼は指を組んだ手に顎を載せ、思慮深さを感じさせるしわの刻まれた目尻を下げた。
「もちろん、泉くんが過去をつまびらかにするのが嫌でなければ、だがね。それから五百蔵マネージャー……君も」
流し目で言われ、要はドキリとした。生来の気の弱さが顔を覗かせ、不安げに問い返してしまう。
「お、オレですか……?」
「あの釈明会見で一番インパクトがあったのは泉の過去とマネージャーとの信頼関係だ。泉の半生を映画にする上で、君の存在は不可欠と言える」
「――――要を映画に出演させる気ですか?」
それまで沈黙を貫いていた泉が尋ねた。美作は「できればそうしてほしいがね」と心地よく答えた。
「しかし、そこまで露骨にキャスティングすると、あの事件をこの映画のための話題作りと勘繰る人たちも出てくるだろう。それは本意ではないね。五百蔵くんの雰囲気にあった俳優を探すつもりだよ」
要はほっとした。この前の撮影では悩む時間も惜しかったため撮影に応じたが、一度引退した身の人間がスクリーンに出るのは抵抗があったからだ。
しかし、要が出ないならば映画化の話が立ち消えとなるなら、己の感情を無視して出演する気ではあったが。
「オ、オレなんかでよければ、過去なり、何なり聞いてください……。泉の起死回生のチャンスになるなら、オレは何でもします……!」
分厚いメガネ越しに、要は真摯に訴えた。頭を勢いよく下げたことで机にゴンッと額をぶつける。その反動でメガネが外れてしまい、零れ落ちそうなくらい大きな要の杏眼があらわになった。
「ああっ、すみません、すみません! オレなんて粗相を……っ」
靄がかかったようにぼやける視界の中、要は手探りで手元のメガネを探す。眼前で美作がクスリと笑う気配がし、「君は変わらないね」と言いながら要の顎を掬い上げた。
瞬間、泉から鋭い威嚇の視線が美作へ飛ぶ。それは一瞬で潜められたが、美作はしわの寄った口元を引き上げてクスリと笑った。
「ほら、どうぞ」
「あ、ありがとうございます……すみません、オレなんて、ゴミなのに……」
美作にメガネをかけてもらい、ようやく両眼がクリアになった要は恥ずかしさに肩を縮こまらせながら礼を言った。
「ゴミなんて言わないことだ。君はこのプロジェクトのキーになる人だよ」
「あ、え、ありがとうございます……っ」
美作に優しくたしなめられ、要はもう一度礼を言う。いい人に仕事を振られてよかったと、要は心から感謝した。
まずは泉の半生についての綿密な取材や脚本家との相談、製作費などの話を突き詰めていくことになった。打ち合わせがひと段落したところで、美作が隣の椅子に立てかけていた杖を手に立ちあがる。
要が手を貸そうとしたが、美作は軽く手で制し断った。美作は足が悪いのか杖をついた監督としても有名だったが、多くの作品を手掛けた監督としても名を馳せていた。
「では、撮影の開始を楽しみにしているよ。予算の少ない貧乏映画だが、いい作品にしよう」
「……っはい! よろしくお願いします!!」
部屋を後にする美作へ、要は折りたたみ携帯のように深々と頭を下げる。杖を突く音が遠のいていくと、泉は形のよい眉を片方吊り上げた。
「あのおっさん、足が悪いのか?」
「そうみたいだね」
「ふうん……」
「ふうん、じゃないよ! 泉、もっと感じよくして!」
要は泉の白い頬をこれでもかと引っ張った。
「いつもはちゃんと感じよくしてただろう? 久しぶりだから勘が鈍った?」
「いや、単純にああいう紳士面したオッサンは好きじゃないだけだ」
「ええ? ねえ泉、オレたちにとって、これは起死回生のチャンスなんだよ! それとも……やっぱりドキュメンタリーは嫌だった……?」
要にとってもそうだが、泉にとっては自身の過去を明らかにされるのは決して気分のよいものではないだろう。それを見世物にされるならなおさらだ。
両親に捨てられ、孤独を背負ってきた彼がその過去と改めて向き合うのはひどく勇気がいることに違いない。
そしてその過去が、大衆に受け入れられるとも分からないのに。
「もしも泉が乗り気じゃないなら、この仕事、断ってもいいよ……? オレ、別の仕事も頑張ってとってくるから……!」
必死の形相で要が拳を握ると、泉は要のくしゃくしゃした髪を余計に乱した。
「蹴るわけないだろ? この業界に入った時から、自分の過去と向き合う覚悟くらいとっくにできてる」
「泉……」
「また俺の時代に戻してやる。見てろよ、要」
不敵に笑う泉に、要の心臓は高鳴る。本当に、言葉一つだけで世の中を席巻してしまうほどの破壊力を持った彼なのだ。
ここで埋もれさせはしないと、要は固く誓った。
映画は低予算で組まれた。
美作がメガホンを握ること、そして話題の泉の半生が映画化することは世の中に衝撃と話題を与えたが、問題児の泉が主演することにスポンサーとなってくれる企業は少なかったためだ。それでも口コミさえよければ、上映する映画館の館数を増やしていくことは可能だ。
実際、口コミをもとに大ヒットを収めた映画だってある。
ただ――――想像以上に、泉の過去は要の心を抉った。
「貴方が泉を気に入って引き取ったんじゃありませんか!」
「養子をとるにあたって見目がいい子を選んで何が悪い!? お前は泉とベッドで何をしていた!?」
「わ、私は――――この子の母です! 一緒に眠っていたっておかしくないでしょう?」
「泉を裸にしてか!? お前も裸で!?」
贅を凝らした寝室に、怒声が響く。今よりも明るい金髪と碧眼を揺らした泉は、まだ小学校にも上がっていない。裕福な家庭に引き取られた彼は里親に愛されたが、その愛情の方向は歪んだものだった。
まだ幼い泉の美貌に、あろうことか母親は夢中になり――――性の対象として見てしまったのだ。
新しい母だと思っていた相手に体を撫でられ、あちこちに唇を寄せられる恐怖は泉に深い傷を残した。そしてしまいに里親は、五つにも満たない子供が大人を誘惑したとのたまうのだ。
「泉は悪魔だ! 我々は社会的地位もあり、周囲の尊敬を集める存在だったのに泉が妻を狂わせた!」
身近な大人にそう罵られた泉が、施設に戻されることは必然で。そして、テレビの向こう側の要に救いを求めたのも当然と言えた。
「カット!」
美作の張りのある声がカットをかける。次は高校生時代の泉のシーンだ。台本に視線を落としていた要は、気づかわしげに泉を見やった。
泉はスタイリストに衣装の確認をされながら、幼少時代の泉を子役が演じているのを、見るともなしに見ていた。針金を通したようにツンと鼻の尖った横顔が相も変わらず美しい彼は、何を思っているのだろうか。
身を切り売りしているようではないか。映画が完成すれば、己の膿んだ傷口を晒さねばならないなんて、どれほど苦い思いを噛みしめなければならない?
傷ついてはいないだろうかと、要はそればかりが気になった。
「大丈夫だって言ってるだろ、要」
オロオロと落ち着きのない要に気づいたのだろう。泉は気楽そうに言った。
「次は俺が要と出会うシーンだぜ? 懐かしむ気持ちで見とけよ?」
「う、うん……! 頑張ってね、泉!」
(すごいなぁ、泉は……)
要は過去のトラウマを払拭するのに長い時間がかかった。しかも、泉の手を借りなければ絶対に無理だった。対して泉は、過去は過去だと割り切れる強さを持ち合わせている。それが要には眩しかった。
「驚いたな。泉くんは君の前だとあんなに人間みのある表情をするんだね」
コッと杖を突きながら、美作が要の元へ寄ってきた。
「会見でも特別に君を大切に思っているようだったし。君も――――」
要の分厚いメガネのブリッジを美作が下げ、要の表情があらわになった。
「泉くんの前では、緊張がほぐれるようだ」
「あ、ああああの」
「ほら、私の前ではやっぱりまた緊張してしまうようだね?」
広い肩をすくめて美作が笑う。要はずれたメガネをかけ直しながら、頬を赤らめて言った。
「オレにとっても泉は特別、なんです」
「……そう」
「芸能界から干され希望をなくしていたオレに、泉は別の形で芸能界で戦う希望をくれた」
「それはすごいことだ」
美作は力強く頷く。
「よければその辺をもっと掘り下げたいね。顔合わせの時にもお願いしたが、さらに詳しく聞きたいな――――……どうだろう? 今夜あたり、私の家で聞かせてくれないかな。ああ、もちろん、君が嫌ならばそのくだりは映画に出さないよ」
「美作監督の家で、ですか? あの、逆にオレなんかがお邪魔してもいいんですか……?」
「もちろん大歓迎さ。ああ、ぜひ泉くんも来てほしいね」
心地よく言った美作に、要はちょっと迷った。
仕事終わりに泉が美作の家に寄るだろうか。しかし、映画監督の自宅になんて中々お邪魔できることもないし、仕事で必要なことだ。
要は泉を説得しようと思いつつ、了承した。
20
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
初夜の翌朝失踪する受けの話
春野ひより
BL
家の事情で8歳年上の男と結婚することになった直巳。婚約者の恵はカッコいいうえに優しくて直巳は彼に恋をしている。けれど彼には別に好きな人がいて…?
タイトル通り初夜の翌朝攻めの前から姿を消して、案の定攻めに連れ戻される話。
歳上穏やか執着攻め×頑固な健気受け
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる