リーマン異世界への転職

イッシ

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すいません、ここどこですか?②

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 何時間ほど寝たのだろう。
 太陽から注ぐ光は、お世辞にも朝陽と呼ぶにはひどく暑かった。
 
 「目が覚めたか。いや、人間らしくここは《おはよう》とでも言うべきか」

 俺よりも早く起きていたのだろうか・・・いや、そもそも寝る必要はないのかもしれないその男は、こちらを見ることなくそう言った。

 「悪い、疲れてたみたいでかなり寝てしまった。今は昼か?」

 地面で寝るという不慣れなことをしたためか、寝違えたのだろう。腰や首が痛む。
 男は俺の質問には答えなかった。

 「お主には聞きたいことが山ほどあるが、今は悠長に会談している時間はないようだぞ」

 男がそう言いながら見つめる先を俺も見る。
 そこには、昨日まで広がっていた景色とは違い、大きな街が見えていた。

 「おいおい、なんだあれは」

 「お主があまりにも寝続けているものでな。我がここまで運んでやったというわけだ」

 なるほど、どうりで腰やら首やらが痛むのか。
 
 待てよ。ここまで運んだ?昨日は延々と草原が広がってたんだぞ。一晩でここまで運んだとなると・・・

 「あんた!さてはドラゴンの姿でここまで来たな!?」

 ドラゴンの姿に戻ることができる事については後で突っ込む事にしよう。
 
 ガルバーンは、こちらに向かってくる砂煙りをただ眺めている。

 「もしかしてあの砂煙りって街からきてる兵士とかじゃないよな!?」

 俺は半分パニックを起こしながら叫ぶが、ガルバーンは変わらず黙ったままだ。
 
 ここまでドラゴンの姿で来たとすれば、それを見た兵士達が押し寄せてくるに決まってる。なんかドラゴンは全滅したみたいなこと言ってたし。これはまずい。

 「というかだな、あの街は一体なんなんだ?あんたはあの街を知ってるのか?」

 「うるさいぞ人間。そなたらは口を開いておらねば死ぬのか?」

 うるさいのはどっちだ。
 
 寝ぼけた頭もだいぶ覚醒してきた。
 このままでは確実に、職質宜しく兵士に囲まれる事になるだろう。そしたらこいつはきっと暴れ出す。俺は野宿なんてもうこりごりだ。

 「とりあえずここを移動しよう。下に見える街道に出て、何も見なかった事にするんだ」

 「それから、あんたの口調も直さないとだな。我とかお主とかはやめてくれ。そうだな・・・俺とあんたは主従関係ってことでいいんだよな?それなら、俺は健二殿、あんたは私ってことで頼む」

 ガルバーンは何か言いたそうにしていたが、俺が慌てて駆け出すのを見て諦めたように歩き出した。
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