リーマン異世界への転職

イッシ

文字の大きさ
11 / 11

すいません、ここどこですか?②

しおりを挟む
 何時間ほど寝たのだろう。
 太陽から注ぐ光は、お世辞にも朝陽と呼ぶにはひどく暑かった。
 
 「目が覚めたか。いや、人間らしくここは《おはよう》とでも言うべきか」

 俺よりも早く起きていたのだろうか・・・いや、そもそも寝る必要はないのかもしれないその男は、こちらを見ることなくそう言った。

 「悪い、疲れてたみたいでかなり寝てしまった。今は昼か?」

 地面で寝るという不慣れなことをしたためか、寝違えたのだろう。腰や首が痛む。
 男は俺の質問には答えなかった。

 「お主には聞きたいことが山ほどあるが、今は悠長に会談している時間はないようだぞ」

 男がそう言いながら見つめる先を俺も見る。
 そこには、昨日まで広がっていた景色とは違い、大きな街が見えていた。

 「おいおい、なんだあれは」

 「お主があまりにも寝続けているものでな。我がここまで運んでやったというわけだ」

 なるほど、どうりで腰やら首やらが痛むのか。
 
 待てよ。ここまで運んだ?昨日は延々と草原が広がってたんだぞ。一晩でここまで運んだとなると・・・

 「あんた!さてはドラゴンの姿でここまで来たな!?」

 ドラゴンの姿に戻ることができる事については後で突っ込む事にしよう。
 
 ガルバーンは、こちらに向かってくる砂煙りをただ眺めている。

 「もしかしてあの砂煙りって街からきてる兵士とかじゃないよな!?」

 俺は半分パニックを起こしながら叫ぶが、ガルバーンは変わらず黙ったままだ。
 
 ここまでドラゴンの姿で来たとすれば、それを見た兵士達が押し寄せてくるに決まってる。なんかドラゴンは全滅したみたいなこと言ってたし。これはまずい。

 「というかだな、あの街は一体なんなんだ?あんたはあの街を知ってるのか?」

 「うるさいぞ人間。そなたらは口を開いておらねば死ぬのか?」

 うるさいのはどっちだ。
 
 寝ぼけた頭もだいぶ覚醒してきた。
 このままでは確実に、職質宜しく兵士に囲まれる事になるだろう。そしたらこいつはきっと暴れ出す。俺は野宿なんてもうこりごりだ。

 「とりあえずここを移動しよう。下に見える街道に出て、何も見なかった事にするんだ」

 「それから、あんたの口調も直さないとだな。我とかお主とかはやめてくれ。そうだな・・・俺とあんたは主従関係ってことでいいんだよな?それなら、俺は健二殿、あんたは私ってことで頼む」

 ガルバーンは何か言いたそうにしていたが、俺が慌てて駆け出すのを見て諦めたように歩き出した。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

前世は厳しい家族とお茶を極めたから、今世は優しい家族とお茶魔法極めます

初昔 茶ノ介
ファンタジー
 代々続くお茶の名家、香坂家。そこに生まれ、小さな時から名家にふさわしくなるように厳しく指導を受けてきた香坂千景。  常にお茶のことを優先し、名家に恥じぬ実力を身につけた彼女は齢六十で人間国宝とまで言われる茶人となった。  しかし、身体は病魔に侵され、家族もおらず、また家の定める人にしか茶を入れてはならない生活に嫌気がさしていた。  そして、ある要人を持て成す席で、病状が悪化し命を落としてしまう。  そのまま消えるのかと思った千景は、目が覚めた時、自分の小さくなった手や見たことのない部屋、見たことのない人たちに囲まれて驚きを隠せなかった。  そこで周りの人達から公爵家の次女リーリフィアと呼ばれて……。  これは、前世で名家として厳しく指導を受けお茶を極めた千景が、異世界で公爵家次女リーリフィアとしてお茶魔法を極め優しい家族と幸せになるお話……。   ーーーーーーーー  のんびりと書いていきます。  よかったら楽しんでいただけると嬉しいです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

繰り返しのその先は

みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、 私は悪女と呼ばれるようになった。 私が声を上げると、彼女は涙を流す。 そのたびに私の居場所はなくなっていく。 そして、とうとう命を落とした。 そう、死んでしまったはずだった。 なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。 婚約が決まったあの日の朝に。

処理中です...