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第三節 夜の闇と追憶の月影11
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そんな彼の表情に、リーヤが、その秀麗な顔を怪訝そうな表情に満たした時、突然、背後でウィルタールが素っ頓狂な声を上げたのだった。
「あれ!?レダ様がいない!?」
その声に、ハッと肩を揺らして、ジェスターとリーヤが振り返る。
先程まで、そこに居たはずの秀麗なの青珠守り手の姿が、まるで、夜の闇に溶けてしまったかのように、と消えていたのである。
高峰の峰より吹き付ける冷たい夜風に、リーヤの持つ長い紺碧色の巻き髪が揺れた。
その髪束が綺麗な頬にかかることも気にせずに、リーヤは、驚いたように大きく両目を見開くと、まくし立てるように言うのだった。
「一体何処へいったのでしょう!?まだ魔物がいるかもしれません、早く探さなくてはっ!!」
「やめておけ」
慌てて騎馬の元へ走ろうとするリーヤの腕を、不意にジェスターが掴んだ。
とたん、リーヤは、怒ったように蛾美な眉を吊り上げて、やけに冷静な彼の端正な顔を睨むように見たのである。
「離しなさいジェスター!魔物と対峙しておきながら、貴方は何故そんな冷たいことが言えるのです?」
「レダの行き先は知れてる、俺達が口を挟むようなことじゃない」
「はぁ?何を言っているのです貴方は!?」
その時、噛付くような勢いで反論しようとしたリーヤの耳に、不意に、実に神妙な面持ちで潜められたウィルタールの声が届いたのだった。
「リーヤ姫・・・・風が・・・・風の精霊が・・・・今、伝えてきました・・・」
「え?」
紺碧色の大きな瞳を怪訝そうに細め、リーヤは、夜風に揺れる艶やかな紺碧色の巻き髪の下で、そう言ったウィルタールのまだあどけなさの残る顔をまじまじと顧みたのである。
黒絹の夜空に煌く月影を揺らし、高峰より吹き付ける風が小高い峠の森をざわめかせながら通り過ぎていく。
やけに神妙で真剣な顔つきをして、ウィルタールの青い瞳が、ふと、リーヤの手を掴んだまま実に冷静な表情をしている、ジェスターの端正で凛々しい顔を見た。
「レダ様は・・・・シルバ様のところへ・・・・いいのですか?ジェスター様?
レダ様は、今、幻術にかけられているのですよ?」
「シルバなら大丈夫だ・・・・それに、どうせいずれは、まともに向き合わねばならない事柄だったんだ、放っておけ」
その言葉に、今更ながら、その場にシルバが居なかった事に気が付いて、リーヤが、ハッと眼前に立つジェスターの冷静な顔を見る。
「そういえば、シルバは・・・・シルバは今どこに?どうして貴方と共に戻らなかったのです?」
「まぁ・・・・・・色々とあってな」
なにやら訳あり気な微笑をその凛々しい唇に刻んで、ジェスターは、夜の闇と嘆きの霧に曇るエトワーム・オリアの町を、燃え盛る緑玉の瞳で静かに見下ろした。
黒絹の夜空に、青く煌く流星が落ちていく。
懇々と沸き立つ夜の闇に、エトワーム・オリアを囲む高峰の峰々が藍色の影を落としながら悠然とそこに佇んでいる。
暗き天空を照らし出す金色の月の光が、吹き付ける夜風に舞い飛んだこの夜、それが、この日最後に巻き起こった出来事であった。
「あれ!?レダ様がいない!?」
その声に、ハッと肩を揺らして、ジェスターとリーヤが振り返る。
先程まで、そこに居たはずの秀麗なの青珠守り手の姿が、まるで、夜の闇に溶けてしまったかのように、と消えていたのである。
高峰の峰より吹き付ける冷たい夜風に、リーヤの持つ長い紺碧色の巻き髪が揺れた。
その髪束が綺麗な頬にかかることも気にせずに、リーヤは、驚いたように大きく両目を見開くと、まくし立てるように言うのだった。
「一体何処へいったのでしょう!?まだ魔物がいるかもしれません、早く探さなくてはっ!!」
「やめておけ」
慌てて騎馬の元へ走ろうとするリーヤの腕を、不意にジェスターが掴んだ。
とたん、リーヤは、怒ったように蛾美な眉を吊り上げて、やけに冷静な彼の端正な顔を睨むように見たのである。
「離しなさいジェスター!魔物と対峙しておきながら、貴方は何故そんな冷たいことが言えるのです?」
「レダの行き先は知れてる、俺達が口を挟むようなことじゃない」
「はぁ?何を言っているのです貴方は!?」
その時、噛付くような勢いで反論しようとしたリーヤの耳に、不意に、実に神妙な面持ちで潜められたウィルタールの声が届いたのだった。
「リーヤ姫・・・・風が・・・・風の精霊が・・・・今、伝えてきました・・・」
「え?」
紺碧色の大きな瞳を怪訝そうに細め、リーヤは、夜風に揺れる艶やかな紺碧色の巻き髪の下で、そう言ったウィルタールのまだあどけなさの残る顔をまじまじと顧みたのである。
黒絹の夜空に煌く月影を揺らし、高峰より吹き付ける風が小高い峠の森をざわめかせながら通り過ぎていく。
やけに神妙で真剣な顔つきをして、ウィルタールの青い瞳が、ふと、リーヤの手を掴んだまま実に冷静な表情をしている、ジェスターの端正で凛々しい顔を見た。
「レダ様は・・・・シルバ様のところへ・・・・いいのですか?ジェスター様?
レダ様は、今、幻術にかけられているのですよ?」
「シルバなら大丈夫だ・・・・それに、どうせいずれは、まともに向き合わねばならない事柄だったんだ、放っておけ」
その言葉に、今更ながら、その場にシルバが居なかった事に気が付いて、リーヤが、ハッと眼前に立つジェスターの冷静な顔を見る。
「そういえば、シルバは・・・・シルバは今どこに?どうして貴方と共に戻らなかったのです?」
「まぁ・・・・・・色々とあってな」
なにやら訳あり気な微笑をその凛々しい唇に刻んで、ジェスターは、夜の闇と嘆きの霧に曇るエトワーム・オリアの町を、燃え盛る緑玉の瞳で静かに見下ろした。
黒絹の夜空に、青く煌く流星が落ちていく。
懇々と沸き立つ夜の闇に、エトワーム・オリアを囲む高峰の峰々が藍色の影を落としながら悠然とそこに佇んでいる。
暗き天空を照らし出す金色の月の光が、吹き付ける夜風に舞い飛んだこの夜、それが、この日最後に巻き起こった出来事であった。
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