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第二節 嘆きの雨に鐘は鳴る1
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それは、もう深夜が近い時刻。
窓の外の暴風雨は、相変わらず激しく窓辺を叩いていた。
時折、暗黒の天空を引き裂く雷鳴と共に、遠く聞こえてくる鐘の音。
青珠の森の美しき守り手、レダ・アイリアスは、広い寝台に横になった姿勢で、紅玉を填め込んだような鮮やかな紅の瞳を僅かに細め、暗い天井をひたすら仰ぎ見ていたのだった。
何故か今夜は、なかなか寝付くことが出来ないでいる。
青珠の森の秘宝『息吹(アビ・リクォト)』を入れた絹の袋を掌に握り、その腕を青い華の紋章が刻まれた綺麗な額にあてがうと、レダは、甘い色香の漂う秀麗な顔を、どこか切な気な、しかしどこか悔しそうな、実に複雑な表情で満たし、小さくため息をついたのである。
ますます、自分がよく解らない・・・・
一体自分は、何を望んでいるというのか・・・・
このまま、恨んでいたいのか・・・・・・
それとも・・・・
先程から、やけにその脳裏を過ぎっていくのは、深き地中に眠る紫水晶のように澄んだ隻眼と、洗練された冷静な物腰を持つ、あの仇と憎んだ白銀の守護騎士たる青年の姿である。
彼は、常に落ち着き払った有能な武人あり、心根が強く、しかし、その身の内に穏やかな優しさを持つ、本当に非の打ちようのない青年だ・・・・
傲慢で冷酷で自分勝手な男であったのならば、こんな複雑な思いをしなくても済んだのにと・・・・なんだか、奇妙な悪態をつきたくなってしまう。
何なのだろう・・・この複雑な思いは・・・・・
彼が何故、彼女の父を殺めたのか、その理由はもう理解した。
だが、理由はどうあれ、彼が父を殺したがために、彼女の人生が暗転したことは、変えることの出来ない事実なのである
母は病死し、父を殺され、頼る者も帰る家も失い、奴隷として売られてしまった、まだ少女であった頃のあの忌々しい記憶・・・
売られて行った貴族の屋敷で、それこそ、色と欲望にまみれた悪趣味な連中に、昼も夜もなく、まるで動物のように弄ばれていたあの日々の記憶・・・
やっと、そのおぞましい地獄から救ってくれると思った男は、大貴族の姫と出逢うやいなや、まるでごみのように彼女を捨てた・・・・
同時に、玩具に飽きた伯爵夫妻は、別の奴隷女を何処からか見つけてきて、彼女を屋敷から追い出したのだ。
帰る家もなく頼る者もなかった彼女は、失意と絶望のうちに、まるで亡者のように町中を彷徨い歩いた・・・・
そんな折、汚れた体と重い心を引きずっていた彼女が、ふと、耳にした吟遊詩人の詩(うた)があった。
『ディレーテル山のその森に、青き湖は密やかに眠る、その水面の美しさ、魔が棲むが如く・・・・』
その時、彼女は、何故か、吟遊詩人の歌う森の湖へ行こうと、そう思ったのだ・・・・
幸い、ディレーテル山はその町のすぐ傍にある。
まるで、何かに取り憑かれたようにディレーテル山の深き森を彷徨い、やっと見つけたその湖は、青玉の如き清らかな青い水を湛えた水面を抱き、それこそ桃源郷のような佇まいで、深き森の奥に静かに優美に横たわっていたのだった・・・
緑に萌えたつ渓谷の合間に、晴れ渡る空を映す鏡の如く澄み渡り、燦然と輝く五つの湖、それが青珠の森をその水中に抱く『青の湖(アルク・アン・ラビ)であった。
その身に刻み付けられた汚れすら、全て洗い流してくれそうな程清らかに煌く、深き青の色をした美しき湖。
失意と絶望と孤独に苛まれていた彼女は、五つの湖水を見下ろす断崖から躊躇いもなく身を投げた・・・
そして、それを救ったのが、他でもない、青珠の森の守り手、青き魔豹リュ―インダイルだったのである。
彼に救われるまでの数年間、屈辱と恥辱に耐えた苦悶の日々・・・・
青珠の森の妖精王レイルから青玉の弓『水の弓(アビ・ローラン)』を託された時、彼女は、武人として強くなろうと、そう決めたのだ・・・
自分には、幼い時より父に仕込まれた弓の腕がある。
その弓術に磨きをかけて、彼女の人生を変えてしまった、あの隻眼の少年を・・・父の仇である者の首を、いつか討ち取って見せると、そう心に誓って・・・・・
それなのに・・・・・
あの青年は・・・・
色んな意味で、その強い思いを打ち砕いてしまったのである・・・・
彼女がどんな言葉を投げつけようと、どんな態度を取ろうと、ただ、あの澄んだ紫水晶の実直な瞳で、真っ直ぐにそれを受け止めていた。
彼もまた、彼女の父親によって、家族と、そして、自らの左目を奪われていたというのに、何の言い訳もせず、怒ることも無く、ただ、真っ直ぐに・・・・
寝台の上に横になったまま、レダは、紅玉を填めこんだような鮮やかな紅の瞳を、静かに閉じる。
窓を叩く激しい雨の音は、複雑に交錯する思いにざわめく彼女の心を、そのまま現しているかのようだった。
忌々しい過去の記憶に打ちひしがれていた彼女を、体ごと抱きしめてくれた暖かくて優しい大きな両腕。
そのぬくもりが、まだ、体に残っているようで、レダは、秀麗な頬を僅かばかり上気させると、藍に輝く艶やかな黒髪を揺らしながら、何かを振り払うかのように首を横に振ったのである。
青き華の紋章が刻まれた綺麗な額から、緩やかに波打つ艶やかな髪束が、さらりとその耳元に零れ落ちた。
全てを受け止めてくれる、彼のあの器量に、やはり、自分は、甘えているのだ・・・・・
恨み抜くことなど、出来るはずもない・・・・
恨み抜くことが出来るほど、彼は、酷い男ではない・・・・・
今夜、改めてそれを知ってしまった・・・・
心の隅が、何故か、締め付けられるように痛む。
それが何の痛みか、本当は、彼女自身が一番よく解っているのかもしれない。
複雑な思いのまま、レダが、ゆっくりと瞳を開いた時だった・・・
ふと、そんな彼女の鋭敏な聴覚に、この部屋の方へと、ゆっくり近づいてくる、一つの足音が飛び込んできたのである。
天空を切り裂く紫色の鋭い雷光が窓辺の影を床に描いて、一瞬にして消えていく。
レダは、いぶかしそうに蛾美な眉を寄せ、掌に『息吹』を握ったまま、寝台の上で上半身を起こしたのだった。
絹の袋に入れられたままの『息吹』が、まるで、警告を発するように緩やかに点滅し始める。
奇妙な気配がする・・・・
寝台の傍らに置いてあった『水の弓』をその手に取ると、レダは、寝ゆっくりと床へと降り立ち、藍に輝く長い黒髪の下で、紅の両眼を鋭く細めたのである。
見知らぬ奇妙な気配が、こちらへ近づいて来ている・・・
轟く雷鳴と雨音だけが響く暗い部屋に、再び、窓辺の影が一瞬だけ伸び上がった。
扉の向こうで・・・・その奇妙な足音が立ち止まる。
レダは、腰のベルトに『息吹』の入った絹の袋をくくりつけると、厳しい顔つきをして、扉に向かって『水の弓』を構えたのである。
蛍のように点滅する『息吹』の青き輝きが、そんな彼女の秀麗な頬に、鋭い光の帯を描いていた。
紅の瞳が見つめすえる先で、ゆっくりと、部屋の扉が開く・・・・
「誰だ!?そこにいるのは!?」
「・・・あっ!?」
扉を押し開いた人物が、悲鳴のような声を上げてその場に立ち止まった。
女性の声だ・・・・
レダは、薄紅色のローブを羽織るなだらかな肩をハッと揺らした。
窓辺を貫く雷光の中に、一瞬だけ浮かび上がる、象牙色の上質なドレスを纏う貴婦人の姿。
彼女は、驚いたように茶色の瞳を見開いて、弓を構えるレダの厳しい顔を、暗がりからまじまじと見やったのだった。
「も、申し訳ありません・・・・っ、安堵して寝ておられるか、それが気になって様子を見に参ったのでございます!」
流暢なフレドリック語を紡いだ声は、この屋敷の主、呉服商人たるアイヴァン・クレラモンドの実母たる、ターナ・クレラモンドのものであった。
それは、もう深夜が近い時刻。
窓の外の暴風雨は、相変わらず激しく窓辺を叩いていた。
時折、暗黒の天空を引き裂く雷鳴と共に、遠く聞こえてくる鐘の音。
青珠の森の美しき守り手、レダ・アイリアスは、広い寝台に横になった姿勢で、紅玉を填め込んだような鮮やかな紅の瞳を僅かに細め、暗い天井をひたすら仰ぎ見ていたのだった。
何故か今夜は、なかなか寝付くことが出来ないでいる。
青珠の森の秘宝『息吹(アビ・リクォト)』を入れた絹の袋を掌に握り、その腕を青い華の紋章が刻まれた綺麗な額にあてがうと、レダは、甘い色香の漂う秀麗な顔を、どこか切な気な、しかしどこか悔しそうな、実に複雑な表情で満たし、小さくため息をついたのである。
ますます、自分がよく解らない・・・・
一体自分は、何を望んでいるというのか・・・・
このまま、恨んでいたいのか・・・・・・
それとも・・・・
先程から、やけにその脳裏を過ぎっていくのは、深き地中に眠る紫水晶のように澄んだ隻眼と、洗練された冷静な物腰を持つ、あの仇と憎んだ白銀の守護騎士たる青年の姿である。
彼は、常に落ち着き払った有能な武人あり、心根が強く、しかし、その身の内に穏やかな優しさを持つ、本当に非の打ちようのない青年だ・・・・
傲慢で冷酷で自分勝手な男であったのならば、こんな複雑な思いをしなくても済んだのにと・・・・なんだか、奇妙な悪態をつきたくなってしまう。
何なのだろう・・・この複雑な思いは・・・・・
彼が何故、彼女の父を殺めたのか、その理由はもう理解した。
だが、理由はどうあれ、彼が父を殺したがために、彼女の人生が暗転したことは、変えることの出来ない事実なのである
母は病死し、父を殺され、頼る者も帰る家も失い、奴隷として売られてしまった、まだ少女であった頃のあの忌々しい記憶・・・
売られて行った貴族の屋敷で、それこそ、色と欲望にまみれた悪趣味な連中に、昼も夜もなく、まるで動物のように弄ばれていたあの日々の記憶・・・
やっと、そのおぞましい地獄から救ってくれると思った男は、大貴族の姫と出逢うやいなや、まるでごみのように彼女を捨てた・・・・
同時に、玩具に飽きた伯爵夫妻は、別の奴隷女を何処からか見つけてきて、彼女を屋敷から追い出したのだ。
帰る家もなく頼る者もなかった彼女は、失意と絶望のうちに、まるで亡者のように町中を彷徨い歩いた・・・・
そんな折、汚れた体と重い心を引きずっていた彼女が、ふと、耳にした吟遊詩人の詩(うた)があった。
『ディレーテル山のその森に、青き湖は密やかに眠る、その水面の美しさ、魔が棲むが如く・・・・』
その時、彼女は、何故か、吟遊詩人の歌う森の湖へ行こうと、そう思ったのだ・・・・
幸い、ディレーテル山はその町のすぐ傍にある。
まるで、何かに取り憑かれたようにディレーテル山の深き森を彷徨い、やっと見つけたその湖は、青玉の如き清らかな青い水を湛えた水面を抱き、それこそ桃源郷のような佇まいで、深き森の奥に静かに優美に横たわっていたのだった・・・
緑に萌えたつ渓谷の合間に、晴れ渡る空を映す鏡の如く澄み渡り、燦然と輝く五つの湖、それが青珠の森をその水中に抱く『青の湖(アルク・アン・ラビ)であった。
その身に刻み付けられた汚れすら、全て洗い流してくれそうな程清らかに煌く、深き青の色をした美しき湖。
失意と絶望と孤独に苛まれていた彼女は、五つの湖水を見下ろす断崖から躊躇いもなく身を投げた・・・
そして、それを救ったのが、他でもない、青珠の森の守り手、青き魔豹リュ―インダイルだったのである。
彼に救われるまでの数年間、屈辱と恥辱に耐えた苦悶の日々・・・・
青珠の森の妖精王レイルから青玉の弓『水の弓(アビ・ローラン)』を託された時、彼女は、武人として強くなろうと、そう決めたのだ・・・
自分には、幼い時より父に仕込まれた弓の腕がある。
その弓術に磨きをかけて、彼女の人生を変えてしまった、あの隻眼の少年を・・・父の仇である者の首を、いつか討ち取って見せると、そう心に誓って・・・・・
それなのに・・・・・
あの青年は・・・・
色んな意味で、その強い思いを打ち砕いてしまったのである・・・・
彼女がどんな言葉を投げつけようと、どんな態度を取ろうと、ただ、あの澄んだ紫水晶の実直な瞳で、真っ直ぐにそれを受け止めていた。
彼もまた、彼女の父親によって、家族と、そして、自らの左目を奪われていたというのに、何の言い訳もせず、怒ることも無く、ただ、真っ直ぐに・・・・
寝台の上に横になったまま、レダは、紅玉を填めこんだような鮮やかな紅の瞳を、静かに閉じる。
窓を叩く激しい雨の音は、複雑に交錯する思いにざわめく彼女の心を、そのまま現しているかのようだった。
忌々しい過去の記憶に打ちひしがれていた彼女を、体ごと抱きしめてくれた暖かくて優しい大きな両腕。
そのぬくもりが、まだ、体に残っているようで、レダは、秀麗な頬を僅かばかり上気させると、藍に輝く艶やかな黒髪を揺らしながら、何かを振り払うかのように首を横に振ったのである。
青き華の紋章が刻まれた綺麗な額から、緩やかに波打つ艶やかな髪束が、さらりとその耳元に零れ落ちた。
全てを受け止めてくれる、彼のあの器量に、やはり、自分は、甘えているのだ・・・・・
恨み抜くことなど、出来るはずもない・・・・
恨み抜くことが出来るほど、彼は、酷い男ではない・・・・・
今夜、改めてそれを知ってしまった・・・・
心の隅が、何故か、締め付けられるように痛む。
それが何の痛みか、本当は、彼女自身が一番よく解っているのかもしれない。
複雑な思いのまま、レダが、ゆっくりと瞳を開いた時だった・・・
ふと、そんな彼女の鋭敏な聴覚に、この部屋の方へと、ゆっくり近づいてくる、一つの足音が飛び込んできたのである。
天空を切り裂く紫色の鋭い雷光が窓辺の影を床に描いて、一瞬にして消えていく。
レダは、いぶかしそうに蛾美な眉を寄せ、掌に『息吹』を握ったまま、寝台の上で上半身を起こしたのだった。
絹の袋に入れられたままの『息吹』が、まるで、警告を発するように緩やかに点滅し始める。
奇妙な気配がする・・・・
寝台の傍らに置いてあった『水の弓』をその手に取ると、レダは、寝ゆっくりと床へと降り立ち、藍に輝く長い黒髪の下で、紅の両眼を鋭く細めたのである。
見知らぬ奇妙な気配が、こちらへ近づいて来ている・・・
轟く雷鳴と雨音だけが響く暗い部屋に、再び、窓辺の影が一瞬だけ伸び上がった。
扉の向こうで・・・・その奇妙な足音が立ち止まる。
レダは、腰のベルトに『息吹』の入った絹の袋をくくりつけると、厳しい顔つきをして、扉に向かって『水の弓』を構えたのである。
蛍のように点滅する『息吹』の青き輝きが、そんな彼女の秀麗な頬に、鋭い光の帯を描いていた。
紅の瞳が見つめすえる先で、ゆっくりと、部屋の扉が開く・・・・
「誰だ!?そこにいるのは!?」
「・・・あっ!?」
扉を押し開いた人物が、悲鳴のような声を上げてその場に立ち止まった。
女性の声だ・・・・
レダは、薄紅色のローブを羽織るなだらかな肩をハッと揺らした。
窓辺を貫く雷光の中に、一瞬だけ浮かび上がる、象牙色の上質なドレスを纏う貴婦人の姿。
彼女は、驚いたように茶色の瞳を見開いて、弓を構えるレダの厳しい顔を、暗がりからまじまじと見やったのだった。
「も、申し訳ありません・・・・っ、安堵して寝ておられるか、それが気になって様子を見に参ったのでございます!」
流暢なフレドリック語を紡いだ声は、この屋敷の主、呉服商人たるアイヴァン・クレラモンドの実母たる、ターナ・クレラモンドのものであった。
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