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第3章︰人間と吸血鬼
第26話
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「お待ちしてました。さ、どうぞ。」
「お、お世話になります…!」
大きな扉を開けてギルドの中に入ると、何度も通った階段を上り、毎回案内されていた部屋の前を通り過ぎて、さらに奥へ向かって廊下を進んだ。
「王城に比べたら…窮屈な所ですが…。」
「そんなことありませんよ!お城が広すぎるんです!」
「ふふっ。それなら…大丈夫そうですね。それよりも…お2人共同じ部屋でよろしかったんですか?」
「執事ですから。常に側にいるべきかと。」
「そうですね。その方が私も安心出来ます。」
「あの…クラーレさん。私も…他の人と同じように接して貰えませんか?確かに私はテトの婚約者…ですけど、他の人達が私に気を使いすぎてしまうの嫌なんです…。」
「ルナ様がそれでいいのでしたら…。わかりました。既にあなたの事を知っている者には、喋らないように伝えておきます。」
「ミグも、私の事ルナ様って呼んだらだめなんだからね?素で喋ってくれればいいから。」
「わ…わかった。」
「正直…形式的な喋り方は緊張…するよね。僕も未だに慣れられなくて…。」
彼は、優しい表情で恥ずかしそうに笑った。怖い人だと思っていたので、イメージと違って少し驚いた。
「そ、そうですね…!私も…苦手です。」
「僕は、ギルドのみんなの事を家族だと思っています。今日から2人も家族ですよ?」
「…はい!」
1番奥の部屋まで来ると、扉を開けて中に入った。広さは王城の私の部屋の半分程だったが、ベッドが2つとテーブルとソファー、窓際には机も備えてあり2人でも十分な大きさだった。
「2人の部屋はここです。他に何か必要だったら言ってね。」
「わかりました。」
「この間もそうだったけど…他のメンバーと話がしたいよね。紹介も兼ねて、今いる人で良ければ一緒に話に行こうか。」
「是非、お願いします!」
一旦荷物を置いて、再び廊下を歩いた。
「シェリア。はいるよ~。」
「はーい。…あら。あなたがルナさんね。随分可愛らしい子だわ~。」
中にいた女の人が、こちらにやって来ると笑顔で私の手を握った。
「は、初めまして!」
「シェリアは僕の妹なんだ。後で弟も紹介するね。」
「そちらは…ミグさんだったかしら?2人はどういった関係なの?」
「えっ…と…。」
「兄妹です。そそっかしい妹ですが…よろしくお願いします。」
「ふふふ。弟や妹って放っておけないわよね~。そそっかしいのは私の弟もそうよ。しっかりしているように見えてどこか抜けてる所があって…」
「あはは。確かにそうかもね。」
「ど、どんな人なんだろうね?」
「さぁ…。」
「でも、魔法の腕は凄いのよ?あれでも一応、特等戦闘員なのだし…」
「特等戦闘員って何ですか?」
「あぁ…説明してなかったよね。このギルドには階級制度があって、上から順番に…特等戦闘員、一等戦闘員、二等戦闘員の3つに分けられているんだ。」
「特等戦闘員は、お兄様と私、それから弟のリーガルよ。」
「あと…一等戦闘員は5人、二等戦闘員は4人かな?」
「結構沢山いるんですね。」
「そうだね。初めは僕達兄弟3人から始めた小さなギルドだったんだけど…少しづつ増えていっていつの間にかこんなに増えちゃった。」
「へ~…そうなんですね…。」
「記憶が無くて辛い事もあるでしょうけど…私も精一杯力になるわ。なんでも頼ってね?」
「あ、ありがとうございます…!」
「じゃあ、今度はリーガルの所行ってくるよ。」
「わかったわ。ルナちゃん、ミグさん、これからよろしくね~。」
「はいっ!」
部屋を出て、再び廊下を歩き始めた。
「さっき、シェリアも言ってたけど、弟のリーガルは魔法の腕はいいんだけど…ちょっと変わっててね。びっくりしないでね…?」
「一体…どんな奴なんだ…?」
ーバン!
廊下を歩いていた私達の、前方の扉が勢いよく開いた。すると、中から背の高い男の人が飛び出してきた。
「な、なんだ!?」
「この魔力は…君か!!!」
「え、な、なんですか!?」
彼がこちらに走り寄って来ると、私の肩を両腕でがっちりと掴んだ。
「こらこらリーガル…。初対面の人にそれは失礼だよ。落ち着いて。」
「す、すまない…兄さん…。」
「あなたが…リーガルさん…?」
「そうです。」
「ちょっと、座って話がしたいんだ。部屋に入るよ?」
「はい。どうぞ。」
「温度差激しいな…。」
「個性的…だね。」
部屋の中も個性的で、机の上に何冊もの本が平積みされ、テーブルやソファーの上にも大量の本が積まれ、本棚の中にもびっしりと本が陳列されている。彼の部屋は、あらゆる場所が大量の本で埋め尽くされていた。
「すごい量の本ですね…。」
「読むのが好きなんです。」
「もー…今日連れてくるから片付けてねって言っておいたのにー…。」
「大丈夫ですよ!散らかってても全然気にしないので…!」
「ごめんね~…。リーガル。今度散らかってたら、少しづつ本捨てるからね?」
「そ、それだけは勘弁してくれ…!!」
「はは…。」
本を移動させて、座れる場所を確保するとようやく話を始めた。
「確か、ルナという名前だったか?」
「は、はい!そうです。」
「歳はわからないそうだが…見た所、ウナと同じくらいだな。」
「ウナ?」
「ウナは、僕の娘だよ。今は…別の街に派遣しているんだ。」
「名前も歳も似ていると、なんだか姉妹のように思えるな。」
「ウナさん…かぁ…。」
「派遣しているメンバーとも話が出来たらいいんだけどね…。いつ戻るかは特に決めてないから、彼等の意思でここに戻るまで、話せないと思う…。」
「そうですか…。あ、あと…リーガルさんに魔法の使い方を教えてもらいたいんですけど…。」
「俺でよければ教えよう。ただ、光魔法は苦手なんだ…そっちは兄さんにお願いしてくれ…。 」
「もちろんそのつもりだよ。」
「ありがとうございます!よろしくお願いします…!」
「魔法の話は、明日からにしようか。あとは…ミグさんがどれくらい出来るのか見てみたいんだけど…。」
「そういえば…ミグが戦う所なんて見た事ないなぁ。」
「自分の身を守るくらいなら…なんとか。」
「じゃあ、ちょっと移動しようか。リーガル、明日からよろしくね。」
「あぁ。わかった。」
1階に降りて、建物の奥にある渡り廊下を進むと、部屋の3倍くらいの広い場所にやって来た。
「ここは…?」
「ここは訓練場だよ。この場所で魔法の練習をしたり、各自で訓練したりするんだ。」
「魔法の練習は明日じゃ?」
「今日は、ミグさんの実力を見せてもらうために。…ちょっと、僕を殺す気でやってくれるかな?」
「え!?」
「本当に殺してしまったら?」
「ちょっとミグ!!」
「あはは…!殺すっていうのは冗談だけど、どちらかが負けを認めるまで…って事でどうかな?」
「わかりました。」
「ルナちゃんは、離れた所で見ててね。…危ないから、手を出したらだめだよ?」
「は、はい…。」
「どうぞ。始めていいよ?」
「ちっ…!」
懐から針を取り出すと、彼の顔を目掛けて投げた。次々投げられる針を、軽々と避けていく。
「避けるだけか!?」
「言ったでしょ?君の実力を見る為だって。手を出すまでもないって事さ。」
「舐めやがって…。」
彼の挑発に、針を投げる本数とスピードが上がっていく。腕や足にかすりはするものの、避けられなかったものは手で弾かれ、1本も刺さることはなかった。
「それにしてもすごい量だね。一体、何本針を持ち歩いてるの?」
「答える義務はない。」
「確かにそうだけど…。もう少し心にゆとりを持つべきだ。それだから周りがよく見えてない。」
「見えてない?何が…」
「僕が避けずに弾いた針。僕が避けていたら、彼女に当たる可能性があるよ?」
「…!」
すると、いつの間にか彼の背後に回り込まれ、地面に落ちていた針を拾って首元にあてていた。
「そうやってすぐに隙ができる。君に足りないものは、心のゆとりと洞察力、あとは冷静さかな?近距離に詰められた時の対処も必要だね。」
「っ…。」
「ミグ…。」
「負けだな…。」
「子供を虐める大人みたいな真似をしてごめんね。」
「こっちこそ…。腕とか足とか擦れて…大丈夫ですか?」
「あれならもう治しておいたよ。」
「え!?あ、ほんとだ…無傷…。」
「治癒魔法が得意なんだ。適正な属性だったらルナちゃんにも教えてあげるね?」
「え?あ、はい…。」
「明日、ミグさんにはシェリアの指導で訓練してもらおうかな。それでいい?」
「はい。お願いします。」
「来たばかりでこんな事させちゃって、疲れたでしょ?夕飯の時間はまだ先だからそれまで部屋で休んで。」
「は、はい。」
「じゃあ、これからよろしくね。2人共。」
先程の緊迫した雰囲気はどこへ行ったのか、彼はいつの間にかいつもの優しい雰囲気へと変わっていた。
「何もしてないのに疲れた…!」
「はー…完敗。」
私達は部屋に戻ると、それぞれのベッドに倒れ込んだ。
「うーん…あれは、クラーレさんが強すぎると思うよ…。」
「な?だから言っただろ?何か、内側に秘めてるものがあるんだって。」
「殺す気で…なんて冗談で言ってたけど…。私、背筋氷っちゃったよ…。」
「明日は俺ら別行動みたいだし…。これからは…あんまりお前についていられないのかもしれないな…。」
「そうだね…。でも、私も自分の身くらい守れるようにならなきゃいけないし、いい機会かも!」
「お互い、頑張らないとな。」
「うん!」
ーコンコン
「失礼します…。」
ノックの音と共にリアーナが扉をそっと開けて、顔を覗かせた。
「あ、リアーナさん!」
「お久しぶりです。今日からこちらに来ると聞いていたので、挨拶にと思いまして。」
「俺らと話すの普通してくれっていうのは、マスターから聞いてないか?」
「そ、そうでしたね…。ごめんなさい…つい…。気をつけ…るね…!」
「今日からいきなりは難しいよね…。少しづつ仲良くなれたら嬉しいな!」
「うん。…あれ…?その…腕に付けてるのって…前はしてなかったよね?」
彼女は私が身に付けているブレスレットに気付くと、目を丸くした。
「あ、そう…だね!私が身に付けてた物らしいんだけど…。」
「これ、ルビーなのかな?綺麗な赤だね。」
「え?…あれ?紫じゃなかったっけ…。」
「変だな。確かにテトから受け取った時は、紫だったはずだけど…。」
「そう…だよね?」
少し目を離した隙に、とても紫には見えない程、ルビーを思わせる鮮やかな赤い色をしていた。
「もしかして、ムードリングってやつかな?」
「ムードリング?」
「うん!その時の気分で色が変化するブレスレット…だったかな?聞いた事があるだけなんだけどね…。」
「気分で色が変わるのか…そんなものもあるんだな。」
「不思議!リアーナさんは、なんでも知ってるんですね!」
「そんなことは…。あ、あの…ルナさん…そうやって敬語で話をされると、私までそうなっちゃいそうで…。出来れば同じように接してもえるといいな…。」
「そ、そっか…!わかった!私も努力するね!」
「ありがとう。あ…私、そろそろ報告に行かないと…。じゃあ、また後でね!」
「うん!またね。」
ーコンコン
部屋でくつろいでいると、再びノックの音の後扉が開いた。
「お邪魔します…!」
「あんたは確か、受付の…。」
「は、はい!」
「あ、久しぶり!えっと…イルムさんだっけ?」
杏色の髪を左右にまとめ、くりくりとした焦げ茶色の瞳をしている。
「そうです!私、イルム・イルマーダって言います。夕飯の準備が出来たので、呼びに来ました!」
「わざわざありがとう…!ミグ行こ~。」
「ん。」
廊下に出て、イルムは私達の前を歩き始めた。
「食堂は1階にあるんです。この階段を降…」
私達の方を向き、話に夢中になっていると、階段を踏み外し後ろに倒れかけた。咄嗟に反応したミグが、彼女の腕を掴んだ。
「っ…!だ、大丈夫か?」
「ご、ごめんなさい…!!!」
「あんたいつもこうなのか…?」
「注意してるはずなんですけど…。何故かいつも転んじゃって…あはは…。つ、着きました!ここです!」
1階の開けた空間には、大きなテーブルとそれを取り囲むように、何個もの椅子が用意されている。先程顔を合わせたメンバー達が、既に席に着いていた。
「あ、2人共!ここに座って~。」
「は、はい…!」
クラーレさんに呼ばれて席に着くと、テーブルの上に沢山の料理と飲み物が並べられていた。
すると彼はその場に立って、話を始めた。
「全員座ったかな?もう話した人がほとんどだと思うけど、改めて今日から僕達のギルドに住むことになった、ルナさんとミグさんです。みんな仲良くしてね?…それじゃあ、食べようか。」
彼が話終えて席に着くと、全員が手を合わせ目を閉じた。その姿はまるで、何かに祈りを捧げる様だった。
「ミラ様に感謝して、頂きます。」
「「頂きます。」」
「い、頂きます!」
「頂きます…。」
先程の神聖な雰囲気は一瞬にして消え、賑やかな食事が始まった。
「あ、ごめんね。驚いた?」
「いつもこれやってから食べるんですか?」
「ええ、そうよ。食べ物に、しっかりと感謝をしてから食べるの。」
「あの…ミラ様っていうのは?」
「ミラ様っていうのは、ミッド王国で信仰してる女神様の事だよ。」
「僕達の故郷では食べる前に、こうやってお祈りしてから食べるんだ。」
「ミラ様は、魔法の力で作物に必要な日光や雨をもたらすと言われている。小さい頃、両親に教えられたものだ。」
「あ!だから、魔法の詠唱の時にも、ミラの加護を受けし者~って言うんですね!」
「えっ…。」
「え?」
その言葉を聞いたクラーレさんは、口に運びかけたスープのスプーンを持ったまま、硬直してしまった。
「兄さんが教えたのか?」
「…え、いや。僕は教えてないけど…。」
「?」
「ルナちゃん。魔法の詠唱してみてくれる?なんでもいいから。」
「え、でも…ここじゃ…。」
「いいから!」
「は、はい…っ…。…“ミラの加護を受けし者。光の精霊と契を交わし、我に力を与えよ。ルミ…エール…”」
呪文を唱えると、目の前が真っ白になり、思わず目をつぶった。恐る恐る目を開くと、何かが起こった様子はなかった。
「なんだったんだ?今の…。真っ白になったけど…。」
「何も…起こってないみたい…ですけど…。」
「おかしいなぁ…。成功したと思ったのに…。」
「魔法自体はちゃんと発動してたよ…。けどこれは…。」
「魔法の事、私はさっぱりわからないけど…とにかく今はご飯食べましょ?その後、お兄様の部屋で話をすればいいわ。」
「そう…だね…。」
彼の表情がどこか悲しげで、見てはいけないものを見てしまったような、そんな顔をしていた。
夕食後、特等戦闘員であるシェリアさん、リーガルさんと共に、クラーレさんの部屋に集まった。相変わらず、彼の表情は曇ったままだった。
「クラーレさん…大丈夫ですか?」
「う、うん。」
「お兄様、何か気になる事があるの?」
「…僕がルカに、初めて教えた魔法がルミエールだったんだ。その時も…さっきみたいに、光っただけで何起きなかった。」
「ルカが…。」
「ルナは、俺の部屋に来た時、本の中身を読んだか?」
「いえ!触れてもいません…!」
「記憶を無くしているのに、どうしてルナちゃんは詠唱を知っていたのかしら?不思議だわ…。」
「ごめんなさい…。私にもよくわからないです…。」
「そう…だよね…。ごめん…取り乱したりして。」
「い、いえ…。」
「ともかく、明日は予定通り魔法の練習をしよう。朝食が終わったら、1階の訓練場で待っててくれ。」
「わかりました。」
自室に戻ると、彼がソファーに座って待っていた。
「おかえり。」
「ただいま!あ、いい匂い。紅茶を飲んでたの?」
「お前の分もあるぞ。ほら。」
「ありがとう!」
彼の隣に座ると、カップに紅茶が注がれた。
「魔法の事…何か聞かれたのか?」
「聞かれたけど…。よくわからくて…。」
「少しづつ、色々思い出してきたって事なのかもな。」
「そうかも…。」
「そろそろ寝るか。明日は訓練があるんだし。」
「うん…!おやすみミグ。」
部屋を暗くして、真新しいベッドに包まると、今日の事を思い返していた。
私の周りで起きている不思議な出来事は、謎ばかりでまだ解決には至らないものばかりだった。ただ、このギルドに関わっていたルカと、その彼が私の夢に出てくる事は、きっと何か関係があるのだと…そう思い始めていた。
「お、お世話になります…!」
大きな扉を開けてギルドの中に入ると、何度も通った階段を上り、毎回案内されていた部屋の前を通り過ぎて、さらに奥へ向かって廊下を進んだ。
「王城に比べたら…窮屈な所ですが…。」
「そんなことありませんよ!お城が広すぎるんです!」
「ふふっ。それなら…大丈夫そうですね。それよりも…お2人共同じ部屋でよろしかったんですか?」
「執事ですから。常に側にいるべきかと。」
「そうですね。その方が私も安心出来ます。」
「あの…クラーレさん。私も…他の人と同じように接して貰えませんか?確かに私はテトの婚約者…ですけど、他の人達が私に気を使いすぎてしまうの嫌なんです…。」
「ルナ様がそれでいいのでしたら…。わかりました。既にあなたの事を知っている者には、喋らないように伝えておきます。」
「ミグも、私の事ルナ様って呼んだらだめなんだからね?素で喋ってくれればいいから。」
「わ…わかった。」
「正直…形式的な喋り方は緊張…するよね。僕も未だに慣れられなくて…。」
彼は、優しい表情で恥ずかしそうに笑った。怖い人だと思っていたので、イメージと違って少し驚いた。
「そ、そうですね…!私も…苦手です。」
「僕は、ギルドのみんなの事を家族だと思っています。今日から2人も家族ですよ?」
「…はい!」
1番奥の部屋まで来ると、扉を開けて中に入った。広さは王城の私の部屋の半分程だったが、ベッドが2つとテーブルとソファー、窓際には机も備えてあり2人でも十分な大きさだった。
「2人の部屋はここです。他に何か必要だったら言ってね。」
「わかりました。」
「この間もそうだったけど…他のメンバーと話がしたいよね。紹介も兼ねて、今いる人で良ければ一緒に話に行こうか。」
「是非、お願いします!」
一旦荷物を置いて、再び廊下を歩いた。
「シェリア。はいるよ~。」
「はーい。…あら。あなたがルナさんね。随分可愛らしい子だわ~。」
中にいた女の人が、こちらにやって来ると笑顔で私の手を握った。
「は、初めまして!」
「シェリアは僕の妹なんだ。後で弟も紹介するね。」
「そちらは…ミグさんだったかしら?2人はどういった関係なの?」
「えっ…と…。」
「兄妹です。そそっかしい妹ですが…よろしくお願いします。」
「ふふふ。弟や妹って放っておけないわよね~。そそっかしいのは私の弟もそうよ。しっかりしているように見えてどこか抜けてる所があって…」
「あはは。確かにそうかもね。」
「ど、どんな人なんだろうね?」
「さぁ…。」
「でも、魔法の腕は凄いのよ?あれでも一応、特等戦闘員なのだし…」
「特等戦闘員って何ですか?」
「あぁ…説明してなかったよね。このギルドには階級制度があって、上から順番に…特等戦闘員、一等戦闘員、二等戦闘員の3つに分けられているんだ。」
「特等戦闘員は、お兄様と私、それから弟のリーガルよ。」
「あと…一等戦闘員は5人、二等戦闘員は4人かな?」
「結構沢山いるんですね。」
「そうだね。初めは僕達兄弟3人から始めた小さなギルドだったんだけど…少しづつ増えていっていつの間にかこんなに増えちゃった。」
「へ~…そうなんですね…。」
「記憶が無くて辛い事もあるでしょうけど…私も精一杯力になるわ。なんでも頼ってね?」
「あ、ありがとうございます…!」
「じゃあ、今度はリーガルの所行ってくるよ。」
「わかったわ。ルナちゃん、ミグさん、これからよろしくね~。」
「はいっ!」
部屋を出て、再び廊下を歩き始めた。
「さっき、シェリアも言ってたけど、弟のリーガルは魔法の腕はいいんだけど…ちょっと変わっててね。びっくりしないでね…?」
「一体…どんな奴なんだ…?」
ーバン!
廊下を歩いていた私達の、前方の扉が勢いよく開いた。すると、中から背の高い男の人が飛び出してきた。
「な、なんだ!?」
「この魔力は…君か!!!」
「え、な、なんですか!?」
彼がこちらに走り寄って来ると、私の肩を両腕でがっちりと掴んだ。
「こらこらリーガル…。初対面の人にそれは失礼だよ。落ち着いて。」
「す、すまない…兄さん…。」
「あなたが…リーガルさん…?」
「そうです。」
「ちょっと、座って話がしたいんだ。部屋に入るよ?」
「はい。どうぞ。」
「温度差激しいな…。」
「個性的…だね。」
部屋の中も個性的で、机の上に何冊もの本が平積みされ、テーブルやソファーの上にも大量の本が積まれ、本棚の中にもびっしりと本が陳列されている。彼の部屋は、あらゆる場所が大量の本で埋め尽くされていた。
「すごい量の本ですね…。」
「読むのが好きなんです。」
「もー…今日連れてくるから片付けてねって言っておいたのにー…。」
「大丈夫ですよ!散らかってても全然気にしないので…!」
「ごめんね~…。リーガル。今度散らかってたら、少しづつ本捨てるからね?」
「そ、それだけは勘弁してくれ…!!」
「はは…。」
本を移動させて、座れる場所を確保するとようやく話を始めた。
「確か、ルナという名前だったか?」
「は、はい!そうです。」
「歳はわからないそうだが…見た所、ウナと同じくらいだな。」
「ウナ?」
「ウナは、僕の娘だよ。今は…別の街に派遣しているんだ。」
「名前も歳も似ていると、なんだか姉妹のように思えるな。」
「ウナさん…かぁ…。」
「派遣しているメンバーとも話が出来たらいいんだけどね…。いつ戻るかは特に決めてないから、彼等の意思でここに戻るまで、話せないと思う…。」
「そうですか…。あ、あと…リーガルさんに魔法の使い方を教えてもらいたいんですけど…。」
「俺でよければ教えよう。ただ、光魔法は苦手なんだ…そっちは兄さんにお願いしてくれ…。 」
「もちろんそのつもりだよ。」
「ありがとうございます!よろしくお願いします…!」
「魔法の話は、明日からにしようか。あとは…ミグさんがどれくらい出来るのか見てみたいんだけど…。」
「そういえば…ミグが戦う所なんて見た事ないなぁ。」
「自分の身を守るくらいなら…なんとか。」
「じゃあ、ちょっと移動しようか。リーガル、明日からよろしくね。」
「あぁ。わかった。」
1階に降りて、建物の奥にある渡り廊下を進むと、部屋の3倍くらいの広い場所にやって来た。
「ここは…?」
「ここは訓練場だよ。この場所で魔法の練習をしたり、各自で訓練したりするんだ。」
「魔法の練習は明日じゃ?」
「今日は、ミグさんの実力を見せてもらうために。…ちょっと、僕を殺す気でやってくれるかな?」
「え!?」
「本当に殺してしまったら?」
「ちょっとミグ!!」
「あはは…!殺すっていうのは冗談だけど、どちらかが負けを認めるまで…って事でどうかな?」
「わかりました。」
「ルナちゃんは、離れた所で見ててね。…危ないから、手を出したらだめだよ?」
「は、はい…。」
「どうぞ。始めていいよ?」
「ちっ…!」
懐から針を取り出すと、彼の顔を目掛けて投げた。次々投げられる針を、軽々と避けていく。
「避けるだけか!?」
「言ったでしょ?君の実力を見る為だって。手を出すまでもないって事さ。」
「舐めやがって…。」
彼の挑発に、針を投げる本数とスピードが上がっていく。腕や足にかすりはするものの、避けられなかったものは手で弾かれ、1本も刺さることはなかった。
「それにしてもすごい量だね。一体、何本針を持ち歩いてるの?」
「答える義務はない。」
「確かにそうだけど…。もう少し心にゆとりを持つべきだ。それだから周りがよく見えてない。」
「見えてない?何が…」
「僕が避けずに弾いた針。僕が避けていたら、彼女に当たる可能性があるよ?」
「…!」
すると、いつの間にか彼の背後に回り込まれ、地面に落ちていた針を拾って首元にあてていた。
「そうやってすぐに隙ができる。君に足りないものは、心のゆとりと洞察力、あとは冷静さかな?近距離に詰められた時の対処も必要だね。」
「っ…。」
「ミグ…。」
「負けだな…。」
「子供を虐める大人みたいな真似をしてごめんね。」
「こっちこそ…。腕とか足とか擦れて…大丈夫ですか?」
「あれならもう治しておいたよ。」
「え!?あ、ほんとだ…無傷…。」
「治癒魔法が得意なんだ。適正な属性だったらルナちゃんにも教えてあげるね?」
「え?あ、はい…。」
「明日、ミグさんにはシェリアの指導で訓練してもらおうかな。それでいい?」
「はい。お願いします。」
「来たばかりでこんな事させちゃって、疲れたでしょ?夕飯の時間はまだ先だからそれまで部屋で休んで。」
「は、はい。」
「じゃあ、これからよろしくね。2人共。」
先程の緊迫した雰囲気はどこへ行ったのか、彼はいつの間にかいつもの優しい雰囲気へと変わっていた。
「何もしてないのに疲れた…!」
「はー…完敗。」
私達は部屋に戻ると、それぞれのベッドに倒れ込んだ。
「うーん…あれは、クラーレさんが強すぎると思うよ…。」
「な?だから言っただろ?何か、内側に秘めてるものがあるんだって。」
「殺す気で…なんて冗談で言ってたけど…。私、背筋氷っちゃったよ…。」
「明日は俺ら別行動みたいだし…。これからは…あんまりお前についていられないのかもしれないな…。」
「そうだね…。でも、私も自分の身くらい守れるようにならなきゃいけないし、いい機会かも!」
「お互い、頑張らないとな。」
「うん!」
ーコンコン
「失礼します…。」
ノックの音と共にリアーナが扉をそっと開けて、顔を覗かせた。
「あ、リアーナさん!」
「お久しぶりです。今日からこちらに来ると聞いていたので、挨拶にと思いまして。」
「俺らと話すの普通してくれっていうのは、マスターから聞いてないか?」
「そ、そうでしたね…。ごめんなさい…つい…。気をつけ…るね…!」
「今日からいきなりは難しいよね…。少しづつ仲良くなれたら嬉しいな!」
「うん。…あれ…?その…腕に付けてるのって…前はしてなかったよね?」
彼女は私が身に付けているブレスレットに気付くと、目を丸くした。
「あ、そう…だね!私が身に付けてた物らしいんだけど…。」
「これ、ルビーなのかな?綺麗な赤だね。」
「え?…あれ?紫じゃなかったっけ…。」
「変だな。確かにテトから受け取った時は、紫だったはずだけど…。」
「そう…だよね?」
少し目を離した隙に、とても紫には見えない程、ルビーを思わせる鮮やかな赤い色をしていた。
「もしかして、ムードリングってやつかな?」
「ムードリング?」
「うん!その時の気分で色が変化するブレスレット…だったかな?聞いた事があるだけなんだけどね…。」
「気分で色が変わるのか…そんなものもあるんだな。」
「不思議!リアーナさんは、なんでも知ってるんですね!」
「そんなことは…。あ、あの…ルナさん…そうやって敬語で話をされると、私までそうなっちゃいそうで…。出来れば同じように接してもえるといいな…。」
「そ、そっか…!わかった!私も努力するね!」
「ありがとう。あ…私、そろそろ報告に行かないと…。じゃあ、また後でね!」
「うん!またね。」
ーコンコン
部屋でくつろいでいると、再びノックの音の後扉が開いた。
「お邪魔します…!」
「あんたは確か、受付の…。」
「は、はい!」
「あ、久しぶり!えっと…イルムさんだっけ?」
杏色の髪を左右にまとめ、くりくりとした焦げ茶色の瞳をしている。
「そうです!私、イルム・イルマーダって言います。夕飯の準備が出来たので、呼びに来ました!」
「わざわざありがとう…!ミグ行こ~。」
「ん。」
廊下に出て、イルムは私達の前を歩き始めた。
「食堂は1階にあるんです。この階段を降…」
私達の方を向き、話に夢中になっていると、階段を踏み外し後ろに倒れかけた。咄嗟に反応したミグが、彼女の腕を掴んだ。
「っ…!だ、大丈夫か?」
「ご、ごめんなさい…!!!」
「あんたいつもこうなのか…?」
「注意してるはずなんですけど…。何故かいつも転んじゃって…あはは…。つ、着きました!ここです!」
1階の開けた空間には、大きなテーブルとそれを取り囲むように、何個もの椅子が用意されている。先程顔を合わせたメンバー達が、既に席に着いていた。
「あ、2人共!ここに座って~。」
「は、はい…!」
クラーレさんに呼ばれて席に着くと、テーブルの上に沢山の料理と飲み物が並べられていた。
すると彼はその場に立って、話を始めた。
「全員座ったかな?もう話した人がほとんどだと思うけど、改めて今日から僕達のギルドに住むことになった、ルナさんとミグさんです。みんな仲良くしてね?…それじゃあ、食べようか。」
彼が話終えて席に着くと、全員が手を合わせ目を閉じた。その姿はまるで、何かに祈りを捧げる様だった。
「ミラ様に感謝して、頂きます。」
「「頂きます。」」
「い、頂きます!」
「頂きます…。」
先程の神聖な雰囲気は一瞬にして消え、賑やかな食事が始まった。
「あ、ごめんね。驚いた?」
「いつもこれやってから食べるんですか?」
「ええ、そうよ。食べ物に、しっかりと感謝をしてから食べるの。」
「あの…ミラ様っていうのは?」
「ミラ様っていうのは、ミッド王国で信仰してる女神様の事だよ。」
「僕達の故郷では食べる前に、こうやってお祈りしてから食べるんだ。」
「ミラ様は、魔法の力で作物に必要な日光や雨をもたらすと言われている。小さい頃、両親に教えられたものだ。」
「あ!だから、魔法の詠唱の時にも、ミラの加護を受けし者~って言うんですね!」
「えっ…。」
「え?」
その言葉を聞いたクラーレさんは、口に運びかけたスープのスプーンを持ったまま、硬直してしまった。
「兄さんが教えたのか?」
「…え、いや。僕は教えてないけど…。」
「?」
「ルナちゃん。魔法の詠唱してみてくれる?なんでもいいから。」
「え、でも…ここじゃ…。」
「いいから!」
「は、はい…っ…。…“ミラの加護を受けし者。光の精霊と契を交わし、我に力を与えよ。ルミ…エール…”」
呪文を唱えると、目の前が真っ白になり、思わず目をつぶった。恐る恐る目を開くと、何かが起こった様子はなかった。
「なんだったんだ?今の…。真っ白になったけど…。」
「何も…起こってないみたい…ですけど…。」
「おかしいなぁ…。成功したと思ったのに…。」
「魔法自体はちゃんと発動してたよ…。けどこれは…。」
「魔法の事、私はさっぱりわからないけど…とにかく今はご飯食べましょ?その後、お兄様の部屋で話をすればいいわ。」
「そう…だね…。」
彼の表情がどこか悲しげで、見てはいけないものを見てしまったような、そんな顔をしていた。
夕食後、特等戦闘員であるシェリアさん、リーガルさんと共に、クラーレさんの部屋に集まった。相変わらず、彼の表情は曇ったままだった。
「クラーレさん…大丈夫ですか?」
「う、うん。」
「お兄様、何か気になる事があるの?」
「…僕がルカに、初めて教えた魔法がルミエールだったんだ。その時も…さっきみたいに、光っただけで何起きなかった。」
「ルカが…。」
「ルナは、俺の部屋に来た時、本の中身を読んだか?」
「いえ!触れてもいません…!」
「記憶を無くしているのに、どうしてルナちゃんは詠唱を知っていたのかしら?不思議だわ…。」
「ごめんなさい…。私にもよくわからないです…。」
「そう…だよね…。ごめん…取り乱したりして。」
「い、いえ…。」
「ともかく、明日は予定通り魔法の練習をしよう。朝食が終わったら、1階の訓練場で待っててくれ。」
「わかりました。」
自室に戻ると、彼がソファーに座って待っていた。
「おかえり。」
「ただいま!あ、いい匂い。紅茶を飲んでたの?」
「お前の分もあるぞ。ほら。」
「ありがとう!」
彼の隣に座ると、カップに紅茶が注がれた。
「魔法の事…何か聞かれたのか?」
「聞かれたけど…。よくわからくて…。」
「少しづつ、色々思い出してきたって事なのかもな。」
「そうかも…。」
「そろそろ寝るか。明日は訓練があるんだし。」
「うん…!おやすみミグ。」
部屋を暗くして、真新しいベッドに包まると、今日の事を思い返していた。
私の周りで起きている不思議な出来事は、謎ばかりでまだ解決には至らないものばかりだった。ただ、このギルドに関わっていたルカと、その彼が私の夢に出てくる事は、きっと何か関係があるのだと…そう思い始めていた。
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