六王記番外編『バレンタインデーの日常』

四宮

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六王記・番外編

作品紹介

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突如、三万もの兵が消えたー・・・
そのような噂が国中を駆け抜けた。

もの大軍を前にして相手は数名。
勝てるはずのない戦であると誰もが笑っていた。

しかし、大軍だったはずの兵は
三万もの兵が立っていたはずの地には
人の姿は何処にも無く、そこにあるものは
だったという。

その噂を耳にしてその地に降り立った王がいる。
土煙高く舞う戦場を吹き抜ける風は、王の凍てついた心の奥を表しているかのようだった。

戦闘の終わりを知らせる銅鑼が鳴る。その直後。
荒れ果てた大地に、歌が、響いた。

数多くの血が流れた戦場の地で桃色の髪が静かに揺れる。
血を浴びたままの女性が一人、空を仰いで歌を歌った。

「―――――・・・!」

歌う声は亡骸を静かに揺らし、キラキラと鱗粉のような光が全てを包み込み
光が弾ける瞬間に、色とりどりの花が空を鮮やかに染め上げたのである。

穏やかに歌うその声は、生きる全ての者の心を癒すように、じんわりと包み込み、
全てを花へと変えてしまうその光景は
魂だけでなく、王の心まで射止めてしまう事となる。


けして戦を仕掛けてはいけない国がある。

何も無かったはずの地に炎が現れ、無風の地に
かまいたちにも似た強風が吹き、全ての将の命を奪う。
怒号の地響きは恐怖へ変わり、全ての亡骸は花へと帰る。


摩訶不思議なその惨状を引き起こしたのは
たった五名の武将だったという―・・・。


『六王記』

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