魔法の星に召喚された宇宙最強の男の冒険譚

ゆーなま

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わかったこと

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鳥を焼いている間、消化活動をしていたら、高火力により表面が黒焦げになってしまった。
だが、表面の黒焦げを大きめに剥ぎ取ると、ホカホカの焼き鳥が姿を表す。
中心部はまだ完全に火が通っていない状態だが、贅沢は言っていられない。食べながら焼いていこう。

ソウシロウは我慢できずに、かぶりついた。鳥の油が混ざった肉汁が口角に滲む。

「うまいっ」

やはり空腹は最高のスパイスだ。野性味溢れる味わいが口中に広がり、飲み込んだ時に喉を打つ。
熟成されていないため肉質は少し硬いものの、思ったよりみずみずしい。脂の割合もまあまあだ。

部位は一番柔らかいもも肉。
筋繊維が大きい割に食べやすい。老人や子供には少し硬いが、ソウシロウは霜降り肉より赤身を好む。肉本来の旨味を感じやすいからだ。

ソウシロウは無我夢中に食べ進めあっという間に平らげた。

うまかった。今更ながら毒性がなくて良かった。まあ、大抵の毒物であれば口に含んだ瞬間に判別できるけどね。

「さてと」

腹が膨れて気持ちも落ち着いた。
次に寝床と飲み物、衣服の確保であるが、食べながらいろいろ試してみたいことも思い浮かんだ。

「さっき、火がでたよな」

その超常現象の解決が先だ。非常に興味深い。

あのときは空腹で分かりにくかったが、自分の身体の中の気、つまり内気と外気が混ざり合い、炎に変形したような感じだった。

もう一度やってみよう。

外気を自分の内気と混ぜ合わせ、暗闇にゆらゆら揺らぐ炎をイメージする。
先ほどのように感情に任せて爆発するようでなく、自分の手の中で揺らめくように。

すると、手の中に拳大程度の炎の塊が出現した。

試しに左手を近づけてみると、ちゃんと熱い。

「意外と簡単にできたな」

気の放出を抑えると炎はスッと消えた。

ソウシロウは気躁術の達人である。

通常、人間がコントロールできるのは体内の気、いわゆる内気であるが、ソウシロウは大気中に含まれる気、いわゆる外気を体内で自分の内気とミックスし、自分の力に変えることができる。

外気躁術は久坂流の真髄であるが、会得できる者は少ない。

ソウシロウの父親もまた気躁術の達人であったが、外気を完全に自分の体内に取り込むことはできなかった。
ソウシロウは類稀なる戦闘センスと、生まれてからの英才教育により10代で父を超えた。

父との修練では物足りなくなってきたため、18歳で家を出て、賞金稼ぎとなった。
その後3年の年月を経てマスタークラスまで登りつめた。さまざまな任務を遂行する過程で、実戦経験も積んだ。
気づけば惑星クーガでは最強に近い存在になっていた。

「多分だが、この星は外気がかなり濃密で、クーガとは性質も違うんだろうな。クーガにいた頃より、できることが大幅に増えそうだ。まあ、帰る方法もわからないし、おいおい試していくか」

ソウシロウは久しぶりにワクワクしていた。

父の背中を必死で追いかけた少年時代を思い出す。

あの時、父との修練は過酷を極めたが、充実していた。

10代後半で父に並ぶ頃には、久坂流を極めており、どこか達観した自分がいた。

この星にいればまだ自分は強くなれる。そう直感した。

それとは別に、科学の進んだ惑星クーガでは自給自足という言葉はない。
人口の増加とともに動植物の養殖技術が進み、天然の食材が口に入ることは稀になっていた。
食糧事情は安定しているが、山奥の道場で野生動物をハンティングしていたソウシロウには養殖モノは味の均整が取れすぎており、面白みに欠けた。

その意味でも、初めて見た見た鳥を自分で狩り、調理して食べるというのは、料理が趣味のソウシロウにとって久しぶりのことだった。

また、惑星クーガでの賞金稼ぎは要人の護衛任務も多く、その度に人間同士のイザコザが付いて回る。
更に、賞金稼ぎの地位が上に行けば行くほど周囲の目も無視できなくなり、忖度されることも増える。
コミュニケーションは苦手ではないが、単純な力比べよりは精神的に疲れるのだ。

立場から完全に解放されて、一個の生命体としてただ生きるために行動する、というのはシンプルでいい。

ソウシロウは生き生きとした表情で草原を踏み出した。
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