悪役に壁ドンされたら思い出しました

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11.無自覚こそが一番の恐怖

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 早退をしたミアについてだが、実はグウィンとエレンの偵察をしに行っていた。(マーティンはオマケらしい)

 だが、その一部始終を見て絶句する。

兵団の訓練所に行って設備点検やらなんやらを直々にしたり、街の衛生面の視察をわざわざ足を運んでするらしい。

(・・・てことは治安が悪めのとこにも行くってことだよね。)

 あの軟弱な侯爵が護衛一人なく行って大丈夫なのか?と思った。

だがマーティンが共に行くのならば問題はないのかと思い直す。

──けれど。

「どうしてこんな兵団の訓練所にいるの!?」

 女性特有の甲高い怒鳴り声にビクリと飛び上がってしまったミア。

こういう金切り声は彼女の苦手とするものだ。

「え?なに?何が起こったの・・・?」

 すちゃ、と茂みからあまり意味をなさない双眼鏡を構えて様子を伺う。

「・・・なるほど。ヒロインが兵団の視察を嫌がってるのか。」

地団駄を踏んで、指をさして癇癪を起こしていた。

グウィンが困っている・・・というよりも呆れて死んだ目をしている光景が見えた。

(ん?というかヒロインはこんなキャラだった?すごい子供っぽいし・・・しかもイベントと全然違う。)

 ミアが覚えている限りのことだが、このイベントではどうにかちょっかいをかけたいグウィンがエレンを市場調査と銘打って市場に連れ出すのだ。

 そして召使いを利用してマーティンとエレンをはぐれさせ、グウィンはその間にエレンに無理やり迫る。

嫌だと叫ぼうとした瞬間、マーティンが颯爽と助けに入るイベントだった。

「なにさ。意外と真面目に仕事してるし。」

 ミアの前では見せたことの無い大人びた表情をガン見する。

(私の前ではいつも子供っぽい仕草とか表情ばっかのくせして、私が見てない時はこんなんだったんだ。)

 なぜかイラッときて、ぶすくれた表情になってしまう。

「もう帰ろ」

プンスコしつつ矛盾してニヤけるミア。

どうやら収穫はあったらしい。

「ヒロインとグウィン様どちらもゲームとは矛盾してるね。うん、グウィン様なんて彼女に興味の欠片もないしヒロインはなぜか性格が全然違う。
・・・相性も悪いみたいだし、くっつけ作戦は本当に無理っぽいね。」





「で?わざわざ早退した理由がそれなの!?」

 次の日、学校へ登校して早々にアリアに怒られた。

当然だろう。

そんな理由で早退し、サボったのだから。

「なんなの!わざわざアナタのノート写したのにバカ!写し損じゃないのおおお!」

「ご、ごめんアリア。今日は一緒に帰れるから許して。」

 そう言った瞬間、変な動きをしながら叫んでいたアリアだったが、スローモーションで直立不動になって呟いた。

「・・・許す。」

その程度で許してくれるとはチョロいなと思ったミアだったがその言葉は飲み込む。

「にしてもミア・・・らしくないじゃないの。急にどうしたの?」

 靴を履き替えながらアリアがそう言った。

ミアも靴を履き替えようとしていたところだったが、アリアにそう言われた瞬間に固まって首を傾げてしまう。

「そこまで私変かな?」

「自覚ナシっ!いつも人に無関心なミアよ!?なのにどうしたのわざわざ領地に向かうなんて。重症よ重症!」

劇画タッチのアリアがビシィッとミアに指を向けて声高に言った。一々大袈裟なのが気になるミア。

「・・・うーん。」

 ミアは今更思い返してみると、だいぶヤバい行動だったかもしれないなと反省をした。

「はあ・・・無自覚って怖いわよ」

アリアがそう言ったため、ミアは深く頷いて同意した。

「そうね、私もすぐに気がつけて良かった。危うく犯罪者予備軍になるとこだった。ありがとう、アリア。」

「そうそ・・・え?」

「アナタは本当に私が間違えてたらハッキリ言ってくれる良い友人。いつもありがとう。」

「え?・・・え?そういう意味じゃなかったのに・・・?てかなに急に、清らかな表情をしたミアこわっ!」

(・・・・・・そこまで言う!?)

 後に、ミアはアリアの言っている本当の意味を理解し悶え苦しむことになるのだが、それはだいぶ先の話。
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