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14話
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翌朝。
未だに寝ているような頭を抱えて、俺はリビングへと向かう。
なんだかんだであの後、千明さんの部屋で一緒にゲームをして盛り上がり、深夜も2時半を回ったところでふたりして倒れるように寝たのだった。
幸い今日は土曜日で、予定は特になかったが、千明さんは何度揺すっても起きなかったので結局俺だけリビングに向かっていた。
「……はよっす……」
「あ、巡くん!おはよう~」
「Good morning!」
「……はぁ」
リビングの広さを鑑みないような小さい声で挨拶をすると、俺の低血圧テンションと正反対の明るい声で挨拶を返された。
美しい笑顔を見せる七海さんが湊とランドンさんと一緒に朝食を食べているようだ。湊は新たな男──俺の出現にとても嫌そうな顔をしたが、七海さんが「ちょうど朝ごはん作ったところだから、一緒に食べよう」と言うと、彼女に逆らう気はないらしく椅子を七海さんに近づけて座り直すだけだった。
俺が椅子に腰かけると、七海さんはコップに入った牛乳を渡してくれる。
「眠そうだけど、大丈夫?」
「あ、はい。夜更かししたたけで……」
ふぁ、とあくびをしていたら「メグル!」とまた元気な声で話しかけられる。
「あぁ、ランドンさん……」
「今日いい香りしますネ!さっそくユウワク作戦してるです?」
元気な声のままそんなことを言われ、俺は飲みかけた牛乳を吹き出しそうになった。
「誘惑作戦?なになに、面白そう」
七海さんが興味津々の顔でランドンさんと俺を見る。
「ちょっとランドンさん何言ってんすか!」
「え~?だってRoseの香りしてるから」
「どういうことなの?」
「メグルは今レンアイ真っ最中なんですヨ!」
「ちょっとランドンさんマジでやめて……!!」
これ以上噂話が大きくなるのを阻止しようとランドンさんの口を抑えるべく立ち上がったところで、リビングのドアが開いた。
「おはよう。あれ、七海さんもいるんだ」
ついさっきまで全く起きる気配のなかった千明さんが、すっかり身なりを整えてリビングに入ってくる。
「皆でなに盛り上がってるの?」
「いや!別に何も盛り上がっては……!!」
千明さんにこんなこと聞かれたらホントに恥ずかしいどころではない。何とか話題をそらしたかったが、すべてを面白がっている七海さんが、
「巡くんの恋愛話をしてるの」
と口元が笑うのを隠さずに、楽しそうに告げてしまった。
「巡の、恋愛話。へぇ~」
妙にニヤついた千明さんと目が合う。
話を広げないでくれと目で伝えるが、七海さんが「好きな人いるってことだよね?大学の子?」と話を広げまくってきて、どうしようもなくなった。
「……え~っと、まぁそんな感じ……」
「好きな人に誘惑作戦!やるね~」
「しかも、もうコイビトなんですよ!」
「あー!ランドンさんホントにやめて!」
ランドンさんにきつく口止めをしなかったことを激しく後悔しながら、俺は頭を抱える。
「誘惑作戦?」
さらに千明さんが1番食いついてほしくない単語に食いついたので、俺は頭を抱えたまましゃがみこんだ。
「Roseの香りをさせて相手をソノキにさせる作戦です」
「へぇ~そうなんだ」
ランドンさんの説明と千明さんの面白がっている声が頭上で聞こえる。
俺はなんでここに穴が無いのかなと真剣に悩んでいると、千明さんに腕を掴まれた。そのまま上に引っ張られ、俺は意思に反して立ち上がることになる。
すぐさま七海さんが顔を近づけてきたが、
「ほんとだ。巡くん甘い香り──」
「七海さん、俺もいい匂いするから。来て」
ずっと黙ってご飯を食べていた湊が、俺の話題で盛り上がり続ける七海さんに限界が来たらしく、ぐいぐい腕を引っ張って着席させてくれた。少し注目が減って助かる。
「どれどれ」
しかし千明さんはいなくならず、俺の項に鼻を近づけて楽しそうに笑った。
「ホントだ、いい香り。可愛いアプローチ方法があったもんだ。それにしても相手を誘惑なんて、巡もずいぶん積極的なんだね」
明らかに自分に向けられたその言葉に、俺は顔を一気に赤面させて、「すみません!俺ちょっとトイレ行きます!」とリビングから飛び出してしまった。
「巡くん急にどうしたんだろう、大丈夫かな?」
湊にスクランブルエッグをあーんされながらドアを見る七海を横目に、「お腹痛いんじゃないですかね」と千明は適当に返した。
「チアキ、あんまりからかうのはヨクナイですよ」
ランドンが千明にチッチッチッと指を振って近づく。
「メグルは恋愛初心者なんだから、大人が優しくしてあげないと」
説教じみたことを言いながらも、ランドンの口元は必死ににやけるのを我慢しているものだった。
「全く、どっちがからかってるんだか」
ランドンを見て肩をすくめる千明とフフフと笑いをこぼすランドンがいることを、トイレで頭を抱えている巡が知ることはなかった。
未だに寝ているような頭を抱えて、俺はリビングへと向かう。
なんだかんだであの後、千明さんの部屋で一緒にゲームをして盛り上がり、深夜も2時半を回ったところでふたりして倒れるように寝たのだった。
幸い今日は土曜日で、予定は特になかったが、千明さんは何度揺すっても起きなかったので結局俺だけリビングに向かっていた。
「……はよっす……」
「あ、巡くん!おはよう~」
「Good morning!」
「……はぁ」
リビングの広さを鑑みないような小さい声で挨拶をすると、俺の低血圧テンションと正反対の明るい声で挨拶を返された。
美しい笑顔を見せる七海さんが湊とランドンさんと一緒に朝食を食べているようだ。湊は新たな男──俺の出現にとても嫌そうな顔をしたが、七海さんが「ちょうど朝ごはん作ったところだから、一緒に食べよう」と言うと、彼女に逆らう気はないらしく椅子を七海さんに近づけて座り直すだけだった。
俺が椅子に腰かけると、七海さんはコップに入った牛乳を渡してくれる。
「眠そうだけど、大丈夫?」
「あ、はい。夜更かししたたけで……」
ふぁ、とあくびをしていたら「メグル!」とまた元気な声で話しかけられる。
「あぁ、ランドンさん……」
「今日いい香りしますネ!さっそくユウワク作戦してるです?」
元気な声のままそんなことを言われ、俺は飲みかけた牛乳を吹き出しそうになった。
「誘惑作戦?なになに、面白そう」
七海さんが興味津々の顔でランドンさんと俺を見る。
「ちょっとランドンさん何言ってんすか!」
「え~?だってRoseの香りしてるから」
「どういうことなの?」
「メグルは今レンアイ真っ最中なんですヨ!」
「ちょっとランドンさんマジでやめて……!!」
これ以上噂話が大きくなるのを阻止しようとランドンさんの口を抑えるべく立ち上がったところで、リビングのドアが開いた。
「おはよう。あれ、七海さんもいるんだ」
ついさっきまで全く起きる気配のなかった千明さんが、すっかり身なりを整えてリビングに入ってくる。
「皆でなに盛り上がってるの?」
「いや!別に何も盛り上がっては……!!」
千明さんにこんなこと聞かれたらホントに恥ずかしいどころではない。何とか話題をそらしたかったが、すべてを面白がっている七海さんが、
「巡くんの恋愛話をしてるの」
と口元が笑うのを隠さずに、楽しそうに告げてしまった。
「巡の、恋愛話。へぇ~」
妙にニヤついた千明さんと目が合う。
話を広げないでくれと目で伝えるが、七海さんが「好きな人いるってことだよね?大学の子?」と話を広げまくってきて、どうしようもなくなった。
「……え~っと、まぁそんな感じ……」
「好きな人に誘惑作戦!やるね~」
「しかも、もうコイビトなんですよ!」
「あー!ランドンさんホントにやめて!」
ランドンさんにきつく口止めをしなかったことを激しく後悔しながら、俺は頭を抱える。
「誘惑作戦?」
さらに千明さんが1番食いついてほしくない単語に食いついたので、俺は頭を抱えたまましゃがみこんだ。
「Roseの香りをさせて相手をソノキにさせる作戦です」
「へぇ~そうなんだ」
ランドンさんの説明と千明さんの面白がっている声が頭上で聞こえる。
俺はなんでここに穴が無いのかなと真剣に悩んでいると、千明さんに腕を掴まれた。そのまま上に引っ張られ、俺は意思に反して立ち上がることになる。
すぐさま七海さんが顔を近づけてきたが、
「ほんとだ。巡くん甘い香り──」
「七海さん、俺もいい匂いするから。来て」
ずっと黙ってご飯を食べていた湊が、俺の話題で盛り上がり続ける七海さんに限界が来たらしく、ぐいぐい腕を引っ張って着席させてくれた。少し注目が減って助かる。
「どれどれ」
しかし千明さんはいなくならず、俺の項に鼻を近づけて楽しそうに笑った。
「ホントだ、いい香り。可愛いアプローチ方法があったもんだ。それにしても相手を誘惑なんて、巡もずいぶん積極的なんだね」
明らかに自分に向けられたその言葉に、俺は顔を一気に赤面させて、「すみません!俺ちょっとトイレ行きます!」とリビングから飛び出してしまった。
「巡くん急にどうしたんだろう、大丈夫かな?」
湊にスクランブルエッグをあーんされながらドアを見る七海を横目に、「お腹痛いんじゃないですかね」と千明は適当に返した。
「チアキ、あんまりからかうのはヨクナイですよ」
ランドンが千明にチッチッチッと指を振って近づく。
「メグルは恋愛初心者なんだから、大人が優しくしてあげないと」
説教じみたことを言いながらも、ランドンの口元は必死ににやけるのを我慢しているものだった。
「全く、どっちがからかってるんだか」
ランドンを見て肩をすくめる千明とフフフと笑いをこぼすランドンがいることを、トイレで頭を抱えている巡が知ることはなかった。
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