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私の朝はアリサに起こされて始まった
「おはようございます。朝食の準備がもうすぐ終わりそうなので起こしに参りました。」
「ううーん、おはようアリサ」
「これから髪の毛のお手入れをさせてもらいますねこちらに来てもらってもよろしいでしょうか?」
鏡の前にある椅子を引いて私を待つ
「わかった、今いくわ」
椅子に座ると今まで見ていた姿と少し違っていた
目覚めたばかりという事で寝ぼけているのかと思い目を擦る
「あ、あれ?何で?」
鏡には幼い頃の自分の姿が映っていた
「どうかなさいましたか?スカーレット様?」
「いや、なんでもないです(10歳くらいになってるなんて、)」
なんとか自分の異変に気がつかれないように返答する事ができた
「スカーレット様は病み上がりでいらっしゃいますので、何かあればすぐに教えてください」
「今から手入れを始めるので動かないでくださいね」
そう言うとシャコシャコとクシを動かし整え始めた
「(私ってずっと眠っていたらしいけど今何歳なのかしら)」
「アリサ、私ってずっと眠っていたらしいけど今何歳になるのかしら?」
「スカーレット様が倒れてからちょうど1年となるので現在は10才になります」
(私とノエルが婚約するまでまだ時間はありそうね、どうしたら婚約しないで済むのかしら)
「スカーレット様、準備が整いましたので移動しましょう」
婚約の事を考えているといつの間にか時間が経っており手入れが終わっていた
「えぇじゃあ行きましょうか」
今私の前には前世では考えることのなかった食卓が実現されていた
母上と父上がいてそこに私もいる
何気なく過ぎていくであろう日常
王妃教育や令嬢同士の蹴落とし合いなどという殺伐とした事がないこんな日々がずっと続けばいいのにと思ってしまう。
いや、続けるためにはどうすれば良いのだろう
(考える必要も無かったですね私がなにもしなければ、無能であると周囲に理解させれば王子と婚約する事もない)
(また刃物を使って自殺なんて嫌です)
「久しぶりのご飯は美味しいかい?」
「美味しいです!けど病み上がりという事でお腹いっぱいになるまで食べられない事が少し悲しいです」
「は!は!は!後1週間もすれば好きなだけ食べられるようになるさ」
「スカーレットが食べられない分お父さんが食べちゃうぞ!」
「うふふ、スカーレット今は無理しない方が良いわ、身体がビックリしてしまうもの」
私が死ぬ前の食事よりも美味しく感じるのは間違いではないと思う
1人で食べるよりも家族と一緒に食べる方が美味しいという事を生まれて初めて知る事ができた
死んで良かったとさえ今は思ってしまえる程に
(私がこの日常を守る為には無能では駄目ですね。)
(はぁ、貴族など面倒な世界に入りたくなどないのに)
楽しい気分から憂鬱な気分に急降下するスカーレットであった
「おはようございます。朝食の準備がもうすぐ終わりそうなので起こしに参りました。」
「ううーん、おはようアリサ」
「これから髪の毛のお手入れをさせてもらいますねこちらに来てもらってもよろしいでしょうか?」
鏡の前にある椅子を引いて私を待つ
「わかった、今いくわ」
椅子に座ると今まで見ていた姿と少し違っていた
目覚めたばかりという事で寝ぼけているのかと思い目を擦る
「あ、あれ?何で?」
鏡には幼い頃の自分の姿が映っていた
「どうかなさいましたか?スカーレット様?」
「いや、なんでもないです(10歳くらいになってるなんて、)」
なんとか自分の異変に気がつかれないように返答する事ができた
「スカーレット様は病み上がりでいらっしゃいますので、何かあればすぐに教えてください」
「今から手入れを始めるので動かないでくださいね」
そう言うとシャコシャコとクシを動かし整え始めた
「(私ってずっと眠っていたらしいけど今何歳なのかしら)」
「アリサ、私ってずっと眠っていたらしいけど今何歳になるのかしら?」
「スカーレット様が倒れてからちょうど1年となるので現在は10才になります」
(私とノエルが婚約するまでまだ時間はありそうね、どうしたら婚約しないで済むのかしら)
「スカーレット様、準備が整いましたので移動しましょう」
婚約の事を考えているといつの間にか時間が経っており手入れが終わっていた
「えぇじゃあ行きましょうか」
今私の前には前世では考えることのなかった食卓が実現されていた
母上と父上がいてそこに私もいる
何気なく過ぎていくであろう日常
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いや、続けるためにはどうすれば良いのだろう
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(また刃物を使って自殺なんて嫌です)
「久しぶりのご飯は美味しいかい?」
「美味しいです!けど病み上がりという事でお腹いっぱいになるまで食べられない事が少し悲しいです」
「は!は!は!後1週間もすれば好きなだけ食べられるようになるさ」
「スカーレットが食べられない分お父さんが食べちゃうぞ!」
「うふふ、スカーレット今は無理しない方が良いわ、身体がビックリしてしまうもの」
私が死ぬ前の食事よりも美味しく感じるのは間違いではないと思う
1人で食べるよりも家族と一緒に食べる方が美味しいという事を生まれて初めて知る事ができた
死んで良かったとさえ今は思ってしまえる程に
(私がこの日常を守る為には無能では駄目ですね。)
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