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「聖女様!!大変だぁ!!」
「どうされましたか?!」
早朝、小屋のドアを叩く音と大声でミモレスとセルジュは目を覚ました。ミモレスがドアを開けると一人の信者が慌てふためいた顔をして小屋の中に飛び込んだ。
「泉前の森で、王族の方が魔物に襲われているんです!!」
「なんですって?!」
「はい…!襲われているのはレオ王子と神官です!王子は病弱で戦えませんし、反魔法を操る魔物で神官では太刀打ちできない…!あなたのお力が必要です!!どうか、助けてください…!王族が森で死んだとなれば…この地区は焼き尽くされてしまう…!!!」
「分かりました。今すぐ行きます。知らせてくれてありがとう」
「私も行こう」
ベッドの上で話を聞いていたセルジュが立ちあがりマントを羽織った。ミモレスが驚いた顔をして突っ立っているので「なんだ、早く行くぞ」と声をかける。
「あなたも来てくれるの?」
「あの森は魔物が多い。お前は痛みに弱いんだから、俺が守ってやらないとな」
「私を…守る…」
聖女は人を守る存在であり、人に守られる存在ではない。一流の騎士たちが敵わないような魔物がはびこる地に、最終手段として聖女をたった一人で放り込むことはよくあることだった。力尽きるまで魔物と戦い命を落とす聖女は数知れない。
人間からそのような扱いをされている聖女を、目の前の吸血鬼は守ると言った。彼はミモレスが痛みに弱いことを知っている。よく泣くことも、甘えん坊なところも知っている。聖女である前にミモレスという女性だということを知っている。
「当然だろう。お前が万一にも死んだら俺はどうしたらいいんだ」
「ありがとう、セルジュ」
抱き合いキスをしてから、二人は魔物が蠢く森へ走った。
(ミモレス…足が速い。魔力だけじゃなく基礎能力値も優れているのか)
吸血鬼であり元騎士であるセルジュが全力で走ってもミモレスは軽々とついてきた。あっという間に王族が襲われているところまで辿り着き、魔物と彼らの間に入った。
「聖女…来てくださったか…」
「神官様、お待たせいたしました。あとはお任せください」
「ミモレス、王子と神官を守れ。私が魔物を殲滅する」
「分かったわ。さあ王子、もう大丈夫ですよ」
ミモレスが王子の頭を撫でて優しく微笑んだ。彼女の笑顔で気が抜けたのか、ミモレスにしがみついて大きな泣き声をあげた。
「わぁぁぁん!!!怖かったよおぉぉぉ!!」
「おっ、おい!あまり大声を出すな!魔物が興奮してしまうだろう!」
魔物を次々と斬り倒していたセルジュが王子の声に驚いて慌てて注意した。ミモレスも王子をなだめようとわたわたしている。
「王子、もう大丈夫です。大丈夫ですから、泣き止んでください。ね?」
「うわぁぁぁん!!びえぇぇぇん!!」
「くそっ…!あの背格好からして15,6歳だろう!大人がみっともない声を出して泣くな!」
一向に泣き止む気配がなく、王子の声に森の奥に潜んでいた魔物まで姿をあらわした。セルジュだけでは全ての敵を殲滅することは難しい。
「っ、ミモレス!半分任せていいか」
「分かったわ!…王子、私も魔物と戦いますから、少しここで待っていてくださいね」
「いやだあああ!!ここにいてぇぇぇ!!」
「なんだあいつ…本当に王族か?気高さも誇りもない…」
神官の協力もありなんとか王子を引きはがしたミモレスは、アイテムボックスから弓と短剣を取り出した。背中と腰に武器をつけ、まずは雷魔法で反魔法を使えない魔物を一掃する。耳をつんざく雷鳴が聞こえ、10本の雷が森に落ちた。ミモレスの魔法を初めて見たセルジュは、彼女の魔力量の多さに驚き目を見開いた。
ある程度数を減らした後、ミモレスは短剣で近くにいる魔物をあっという間に殲滅した。的確に急所を狙い、一太刀でほとんどの魔物が倒れていく。続いて矢で遠くにいる魔物を狙った。一度に5本の矢を飛ばし、それぞれを魔物の急所に当てる。セルジュも神官も王子も、彼女の華麗な戦闘に目を奪われた。
「よし、終わった終わった」
ミモレスが手についた土を払ったときには数えきれないほどの魔物の死体が積みあがっていた。
「セルジュ、そちらも終わった?」
「あ、ああ…」
「分かったわ。じゃあ聖魔法で魂魄を消滅させるわね」
「この量の魂魄を…?」
「ちょっと時間はかかるけど」
杖を空に向け歌を歌う。聴いているだけで心が綺麗になりそうな清らかな歌声だった。杖から銀色の光が放たれ、それが森全体を覆った。しばらくするとその光を含んだ雨が降ってくる。雨に当った魔物たちは、ジュゥ…と音を立てて灰と化した。
「っ…」
セルジュの体にもその雨がかかる。肌が焼ける感覚がした。
「あっ!いけない!!」
ミモレスは慌ててセルジュに杖を向けた。結界魔法で彼を守る。セルジュが王子たちに気付かれないよう口の動きだけで「遅い、殺す気か」と言うと、ミモレスは片目を瞑って「ごめんなさい」と舌を出した。
「どうされましたか?!」
早朝、小屋のドアを叩く音と大声でミモレスとセルジュは目を覚ました。ミモレスがドアを開けると一人の信者が慌てふためいた顔をして小屋の中に飛び込んだ。
「泉前の森で、王族の方が魔物に襲われているんです!!」
「なんですって?!」
「はい…!襲われているのはレオ王子と神官です!王子は病弱で戦えませんし、反魔法を操る魔物で神官では太刀打ちできない…!あなたのお力が必要です!!どうか、助けてください…!王族が森で死んだとなれば…この地区は焼き尽くされてしまう…!!!」
「分かりました。今すぐ行きます。知らせてくれてありがとう」
「私も行こう」
ベッドの上で話を聞いていたセルジュが立ちあがりマントを羽織った。ミモレスが驚いた顔をして突っ立っているので「なんだ、早く行くぞ」と声をかける。
「あなたも来てくれるの?」
「あの森は魔物が多い。お前は痛みに弱いんだから、俺が守ってやらないとな」
「私を…守る…」
聖女は人を守る存在であり、人に守られる存在ではない。一流の騎士たちが敵わないような魔物がはびこる地に、最終手段として聖女をたった一人で放り込むことはよくあることだった。力尽きるまで魔物と戦い命を落とす聖女は数知れない。
人間からそのような扱いをされている聖女を、目の前の吸血鬼は守ると言った。彼はミモレスが痛みに弱いことを知っている。よく泣くことも、甘えん坊なところも知っている。聖女である前にミモレスという女性だということを知っている。
「当然だろう。お前が万一にも死んだら俺はどうしたらいいんだ」
「ありがとう、セルジュ」
抱き合いキスをしてから、二人は魔物が蠢く森へ走った。
(ミモレス…足が速い。魔力だけじゃなく基礎能力値も優れているのか)
吸血鬼であり元騎士であるセルジュが全力で走ってもミモレスは軽々とついてきた。あっという間に王族が襲われているところまで辿り着き、魔物と彼らの間に入った。
「聖女…来てくださったか…」
「神官様、お待たせいたしました。あとはお任せください」
「ミモレス、王子と神官を守れ。私が魔物を殲滅する」
「分かったわ。さあ王子、もう大丈夫ですよ」
ミモレスが王子の頭を撫でて優しく微笑んだ。彼女の笑顔で気が抜けたのか、ミモレスにしがみついて大きな泣き声をあげた。
「わぁぁぁん!!!怖かったよおぉぉぉ!!」
「おっ、おい!あまり大声を出すな!魔物が興奮してしまうだろう!」
魔物を次々と斬り倒していたセルジュが王子の声に驚いて慌てて注意した。ミモレスも王子をなだめようとわたわたしている。
「王子、もう大丈夫です。大丈夫ですから、泣き止んでください。ね?」
「うわぁぁぁん!!びえぇぇぇん!!」
「くそっ…!あの背格好からして15,6歳だろう!大人がみっともない声を出して泣くな!」
一向に泣き止む気配がなく、王子の声に森の奥に潜んでいた魔物まで姿をあらわした。セルジュだけでは全ての敵を殲滅することは難しい。
「っ、ミモレス!半分任せていいか」
「分かったわ!…王子、私も魔物と戦いますから、少しここで待っていてくださいね」
「いやだあああ!!ここにいてぇぇぇ!!」
「なんだあいつ…本当に王族か?気高さも誇りもない…」
神官の協力もありなんとか王子を引きはがしたミモレスは、アイテムボックスから弓と短剣を取り出した。背中と腰に武器をつけ、まずは雷魔法で反魔法を使えない魔物を一掃する。耳をつんざく雷鳴が聞こえ、10本の雷が森に落ちた。ミモレスの魔法を初めて見たセルジュは、彼女の魔力量の多さに驚き目を見開いた。
ある程度数を減らした後、ミモレスは短剣で近くにいる魔物をあっという間に殲滅した。的確に急所を狙い、一太刀でほとんどの魔物が倒れていく。続いて矢で遠くにいる魔物を狙った。一度に5本の矢を飛ばし、それぞれを魔物の急所に当てる。セルジュも神官も王子も、彼女の華麗な戦闘に目を奪われた。
「よし、終わった終わった」
ミモレスが手についた土を払ったときには数えきれないほどの魔物の死体が積みあがっていた。
「セルジュ、そちらも終わった?」
「あ、ああ…」
「分かったわ。じゃあ聖魔法で魂魄を消滅させるわね」
「この量の魂魄を…?」
「ちょっと時間はかかるけど」
杖を空に向け歌を歌う。聴いているだけで心が綺麗になりそうな清らかな歌声だった。杖から銀色の光が放たれ、それが森全体を覆った。しばらくするとその光を含んだ雨が降ってくる。雨に当った魔物たちは、ジュゥ…と音を立てて灰と化した。
「っ…」
セルジュの体にもその雨がかかる。肌が焼ける感覚がした。
「あっ!いけない!!」
ミモレスは慌ててセルジュに杖を向けた。結界魔法で彼を守る。セルジュが王子たちに気付かれないよう口の動きだけで「遅い、殺す気か」と言うと、ミモレスは片目を瞑って「ごめんなさい」と舌を出した。
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