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モニカは誰にでも優しい。それは充分知っていた。だが優しさだけではない感情を、彼女がウィルク王子に抱いているように見えた。追いかけ回す王子を、時折愛おしそうな目で見ている気がする。もしかしたらモニカは王子のことが好きなのかもしれない。ロイは談話室で二人(とアーサー)がじゃれているのを見て唇を噛んだ。
(モニカ…どうしてあんな愚かな王子なんかをそんな目で見るんだ?僕とか…他の男の子を見る目と全然違う。よりにもよって、なんで王子を…)
モニカに愛情に満ちた目を向けられている王子に、ロイは憎しみさえ感じるようになっていた。
(モニカ…僕だって君の特別になりたい…。僕だけのものになってほしい…。僕以外と話をしないで…)
◇◇◇
「ロイ、そろそろ仕上げに移ろうか」
「え?」
食事室でタールとじゃれていたロイにセルジュが声をかけた。ロイが牢屋から出ようとすると、タールが服をひっぱり寂しそうに唸る。セルジュに特別に許可をもらい、ソファがある部屋にタールも連れていく。膝に彼を乗せ頭を撫でながら、セルジュの話を聞いた。
「欲しい子がいるんだよ。協力してくれるかな?」
「もちろんです!誰ですか?」
「ウィルク王子、ジュリア王女、そして…アーサーとモニカだ」
「モニカ…?」
「ああ。王子は餌にするか殺すかどちらかのために」
「わあ!王子を殺してくれるんですか?!それは嬉しいなあ!ちょうど死んでほしいと思ってたんです!!」
「王女は…もう血を確かめる必要もなくなったので餌にする。アーサーとモニカは…ミモレスの記憶を呼び起こし、これからずっと一緒にいるために」
「モ…モニカもミモレスの生まれ変わりなのですか…?!」
「ああそうだ。ロイ、以前にも話したが、王族には二種類の血があるんだ。薄汚い血と、高潔な血。高潔な血とはミモレスのものなんだが…モニカには彼女の血そのものが流れている」
「そ…そうだったんですね…」
セルジュの話を聞いてロイはうつむいた。セルジュが200年求めていた人だったとしたら、ロイが手を出していいものじゃない。
「ん?どうしたんだいロイ。悲しそうな目をして」
「…いえ。なんでもありません」
「いいや。なにかあるだろう。言ってみなさい」
「なんでもありません…」
「ロイ」
「っ…」
セルジュがじっとロイを見た。話すまで帰さないという顔だ。ロイは観念して正直に話した。
「実は僕…モニカさんのことが好きなんです…」
「……」
「できることなら僕のものにしたいと思っていたのですが…お父さまの探し求めていた人だというのなら、僕はきっぱり諦めます」
セルジュはぽかんと口を開いていたが、突然大声で笑った。タールが驚いて牙をむき唸っている。
「ハハハハ!!ロイ、君は見る目がある!!ミモレスの生まれ変わりと知らないのに、モニカのことを愛したのかい?ほんとうに君って子は…!自慢の子だな!!」
「…?」
「そういうことなら、モニカは君にあげるよ。なに、私はアーサーが一番欲しかった。今までずっと彼らを観察していたんだがね、恐らくモニカがミモレスの魔法能力値を、アーサーが基礎能力値を受け継いでいる。
私が求めているのはミモレスの記憶が戻った子だ。記憶は基礎能力値に入っているはずだから、ミモレスの記憶はアーサーが持っている。もちろんアーサーもモニカも両方欲しいが、君にならモニカを譲ってもいい。私には記憶を持っているアーサーだけで充分だ」
「お父さま…!本当ですか?!」
「ああ、いいとも。…なるほど、そのために神はミモレスをふたつに分けたのかもしれないな」
「うれしい…!うれしいですお父さま…!!じゃ、じゃあ…モニカは僕のもの…?」
「ああ。君のものだよ。大切にしないとだめだからね?」
「はい!!彼女が死ぬまで、ずっとずっと大切にします!!」
「ぅぅーぁぅぅ!!」
二人の会話を聞いていたタールが、不機嫌そうに唸った。ロイはクスクス笑いながら、「君のこともずっと大事にするよ」と言った。
「む?こいつは完全な吸血鬼になったらヴァンク家に放って血を食い滅ぼさせるつもりなんだが?」
「食い滅ぼさせたあとも僕が飼っていいでしょう?こんなに僕に懐いてくれてるんだもの。捨てるなんてかわいそうです」
「ぅぁぁん!ぅぁん」
セルジュに見せつけるようにタールがロイに抱きつき、ちゅ、ちゅ、とロイと唇を軽く重ねた。犬に舐められたくらいの感覚でしかないロイは「かわいいねタール」とキスを返して抱きしめた。セルジュは舌打ちしながらタールを睨む。
「おい、お前本当に正気を失っているんだろうな?失ったふりをしてロイに甘えているのなら今すぐ殺してやる」
「ぅぅううぅぅ!!」
「だからアパンごときにヤキモチやかないでくださいお父さま!タールもお父さまにそんなことしちゃダメでしょ?!」
「ぅぁんっ」
「ちっ…こんなケダモノアパン、さっさと捨ててしまえ…」
(モニカ…どうしてあんな愚かな王子なんかをそんな目で見るんだ?僕とか…他の男の子を見る目と全然違う。よりにもよって、なんで王子を…)
モニカに愛情に満ちた目を向けられている王子に、ロイは憎しみさえ感じるようになっていた。
(モニカ…僕だって君の特別になりたい…。僕だけのものになってほしい…。僕以外と話をしないで…)
◇◇◇
「ロイ、そろそろ仕上げに移ろうか」
「え?」
食事室でタールとじゃれていたロイにセルジュが声をかけた。ロイが牢屋から出ようとすると、タールが服をひっぱり寂しそうに唸る。セルジュに特別に許可をもらい、ソファがある部屋にタールも連れていく。膝に彼を乗せ頭を撫でながら、セルジュの話を聞いた。
「欲しい子がいるんだよ。協力してくれるかな?」
「もちろんです!誰ですか?」
「ウィルク王子、ジュリア王女、そして…アーサーとモニカだ」
「モニカ…?」
「ああ。王子は餌にするか殺すかどちらかのために」
「わあ!王子を殺してくれるんですか?!それは嬉しいなあ!ちょうど死んでほしいと思ってたんです!!」
「王女は…もう血を確かめる必要もなくなったので餌にする。アーサーとモニカは…ミモレスの記憶を呼び起こし、これからずっと一緒にいるために」
「モ…モニカもミモレスの生まれ変わりなのですか…?!」
「ああそうだ。ロイ、以前にも話したが、王族には二種類の血があるんだ。薄汚い血と、高潔な血。高潔な血とはミモレスのものなんだが…モニカには彼女の血そのものが流れている」
「そ…そうだったんですね…」
セルジュの話を聞いてロイはうつむいた。セルジュが200年求めていた人だったとしたら、ロイが手を出していいものじゃない。
「ん?どうしたんだいロイ。悲しそうな目をして」
「…いえ。なんでもありません」
「いいや。なにかあるだろう。言ってみなさい」
「なんでもありません…」
「ロイ」
「っ…」
セルジュがじっとロイを見た。話すまで帰さないという顔だ。ロイは観念して正直に話した。
「実は僕…モニカさんのことが好きなんです…」
「……」
「できることなら僕のものにしたいと思っていたのですが…お父さまの探し求めていた人だというのなら、僕はきっぱり諦めます」
セルジュはぽかんと口を開いていたが、突然大声で笑った。タールが驚いて牙をむき唸っている。
「ハハハハ!!ロイ、君は見る目がある!!ミモレスの生まれ変わりと知らないのに、モニカのことを愛したのかい?ほんとうに君って子は…!自慢の子だな!!」
「…?」
「そういうことなら、モニカは君にあげるよ。なに、私はアーサーが一番欲しかった。今までずっと彼らを観察していたんだがね、恐らくモニカがミモレスの魔法能力値を、アーサーが基礎能力値を受け継いでいる。
私が求めているのはミモレスの記憶が戻った子だ。記憶は基礎能力値に入っているはずだから、ミモレスの記憶はアーサーが持っている。もちろんアーサーもモニカも両方欲しいが、君にならモニカを譲ってもいい。私には記憶を持っているアーサーだけで充分だ」
「お父さま…!本当ですか?!」
「ああ、いいとも。…なるほど、そのために神はミモレスをふたつに分けたのかもしれないな」
「うれしい…!うれしいですお父さま…!!じゃ、じゃあ…モニカは僕のもの…?」
「ああ。君のものだよ。大切にしないとだめだからね?」
「はい!!彼女が死ぬまで、ずっとずっと大切にします!!」
「ぅぅーぁぅぅ!!」
二人の会話を聞いていたタールが、不機嫌そうに唸った。ロイはクスクス笑いながら、「君のこともずっと大事にするよ」と言った。
「む?こいつは完全な吸血鬼になったらヴァンク家に放って血を食い滅ぼさせるつもりなんだが?」
「食い滅ぼさせたあとも僕が飼っていいでしょう?こんなに僕に懐いてくれてるんだもの。捨てるなんてかわいそうです」
「ぅぁぁん!ぅぁん」
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「おい、お前本当に正気を失っているんだろうな?失ったふりをしてロイに甘えているのなら今すぐ殺してやる」
「ぅぅううぅぅ!!」
「だからアパンごときにヤキモチやかないでくださいお父さま!タールもお父さまにそんなことしちゃダメでしょ?!」
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