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設定資料集

S級冒険者

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【バンスティンのSクラス冒険者】
バンスティンには5組のSクラスパーティがいる。
(カミーユパーティ、クルドパーティは3本の指に入るS級パーティといわれている)

※2021.12.6 Sクラス冒険者パーティを10組→5組に修正
※2021.12.6 カミーユ、クルドパーティを5本→3本の指に入るS級に修正

指定依頼料はパーティによって異なるが、どのS級パーティに依頼をしてもA級の依頼料と比べるとケタが違う。

ちなみにS級の中でカミーユパーティが最安値で依頼を受けてくれるし、それでも支払えない庶民に対してはこっそり格安で請け負うか、依頼を受けずに夜な夜なこっそり魔物討伐をしているらしい。
スケジュールに余裕があるときは、冒険者ギルド掲示板に貼ってある無指定依頼で難しそうなのを受けてあげることもあるそうな。(カミーユパーティが人気な理由はそこ)

S級の中で最高値で依頼を受けているのはクルドパーティ。きらびやかな見た目と疑いようのない実力は貴族間で人気。クルドパーティに指定依頼をしたというだけで貴族としてのステータスが上がるとか上がらないとか。
クルドパーティは例えつまらない指定依頼でも高値を吹っ掛けるらしい。貴族からむしり取った金は、平民が潤うように半分はその町で散財して帰るという。

【S級パーティ】
・S級パーティは4~6人で編成されている。

【S級パーティーリーダー】
・S級パーティのリーダーは、国及びギルド本部から任命されたS級冒険者。
(つまりS級冒険者の中でも最も立場の高い冒険者)
(任命されたら辞退することはできない)

・パーティリーダーはS級冒険者の役職を一生背負っていかなければならない。
・自分の都合でS級をやめることはできない。

・国やギルド本部の意思にそぐわない行動をとったS級リーダーが過去に何人かいたそうだが、指定依頼中に死亡、ある日を境に行方不明になり消息を絶ったなど、いい結末を迎えた人は誰一人いない。S級冒険者の間では、国/ギルド本部の命令により暗殺されたのではないかと噂されている。

《パーティーリーダー》
・カミーユパーティのリーダー→カミーユ
・クルドパーティのリーダー→クルド

この国では、冒険者パーティのリーダー名がそのままパーティ名になる。(特別なパーティ名をつけることはない)


【S級パーティメンバー】
・S級パーティリーダーがパーティを組む際に、A級冒険者もしくは冒険者以外の優秀な人材をスカウトする。

・リーダーにスカウトされた人は、ギルド本部の審査のをクリアしたらS級冒険者へ昇格する。
(パーティリーダーがS級になるまえにパーティを組んでいた人がスカウトされることが多い)

・S級リーダーに欠員が出た際には、S級メンバーからリーダーに昇格することもある。

・S級冒険者(メンバー)は、自分の都合でS級冒険者を辞めることが可能
(シャナはS級冒険者(メンバー)だったので、S級を辞めることができた)


【S級冒険者の仕事】
・指定依頼:魔物討伐、ダンジョン掃討がほとんど。S級冒険者は指定依頼を断ることができない
・無指定依頼:冒険者ギルド掲示板に貼ってある無指定依頼。それをするS級冒険者はほとんどいない
・ギルド本部会議:ギルド本部の会議に出席すること
など

S級冒険者は、暇なときはとても暇。
何週間も仕事が入っていないときもあり、そういったときは冒険者ギルドで安酒を飲んでいることが多い。

【S級冒険者の名誉と重責】
・S級冒険者は名誉ある役職であり、国民のあこがれの存在である。
・馬車や宿泊費用は無料もしくは格安(国内外問わず)
・国とギルド本部から莫大な給金が毎月送られる(依頼料とは別)(リーダーとメンバーで給金額は異なる)

・一方で、「指定依頼を断ることはできない」「S級リーダーはS級冒険者を辞めることはできない」などと、人生を縛る誓約を交わされる。
・それはS級冒険者、特にS級リーダーほど強く優秀な人材を野放しにしないためともいえる。国の管理下に置くことによって、謀反、反乱を阻止する予防策をとっているのではないか、とS級リーダー間では考えられている。




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【裏話:カミーユパーティについて】
※本編では語られていない、カミーユパーティの過去についての話です※
※本編以外の情報を望まない方は、ここから下は読まないことを強くお勧めします※


《カミーユ》
カミーユは25歳のときにS級冒険者(メンバー)となり、
31歳のときにS級冒険者(リーダー)に任命された。
カミーユとメンバーの出会い、スカウトは以下のとおり。

《リアーナ》
カミーユに預けられ、山から町へ降りてきたリアーナは、冒険者として生計を立てていた。
彼女の優秀な攻撃魔法と特殊魔法は冒険者間でも重宝される。
リアーナは固定パーティを作ろうとせず、
ヘルプで呼ばれたり、合同掃討依頼、単独依頼を寝る間も惜しんでこなしていた。
リアーナのA級までの昇格速度はカミーユ以上だったらしい。

サクサクとA級までクラスアップしたリアーナは、
「あたしはカミーユと一緒に冒険者やるためにがんばってきたんだ!」
と、S級パーティに入れてくれと駄々をこねる。

S級の重みを知っているカミーユは、
子どものように可愛がっているリアーナを
これ以上危険な目に遭わせたくないと思い
なかなか頷かなかったが、

リアーナに三日三晩対戦を申し込まれ、
思っていたよりもずっと強かったリアーナに
逆に「S級として俺を支えてくれ」と頭を下げた。

その時のリアーナは今までで一番うれしそうなドヤ顔をしていたという。


《カトリナ》
当時は冒険者ではなくS級アーチャーだったカトリナ。
※アーチャーは貴族や王族を護衛したり、パーティの余興に弓術をお披露目したりする華やかな仕事。
※アーチャーは冒険者よりも気高い職業と考えられている。(冒険者は銀貨5枚で誰でもなれるが、アーチャになろうとしたらある程度の地位と莫大な費用がかかる)

・カトリナの弓技に惚れていたカミーユは、
オーヴェルニュ家に足を運びスカウトをした。
一番命の危険があるといわれているS級冒険者になることを
オーヴェルニュ侯爵が許してくれるはずもなく
(そもそもカトリナもはじめは乗り気ではなかった)
何度訪れても門前払いをしていたという。

ある日カミーユはカトリナを貧困町へ連れて行った。
その町は擁壁が崩れ落ちており、魔物が暴れて町民を襲っていた。

貴族として育ち、アーチャーとしても貴族の相手しかしたことがなかったカトリナは
自分が知らない世界を見て衝撃を受ける。

冒険者はこういった町民を守るための存在なんだ、
とカミーユは言いながら、町にはびこる魔物を殲滅した。

庶民を守るための存在、それこそ貴族のあるべき姿なのでは
とカトリナは考え、オーヴェルニュ侯爵の反対を押し切り
S級アーチャーを辞め、
S級冒険者メンバーとしてカミーユパーティに参加した。

(現在では侯爵とカミーユも良好な関係)


《ジル》
少年時代、カトリナに拾われたジルは、
騎士としての才能を開花させた。
※騎士は貴族や王族を護衛することが仕事(ジルはオーヴェルニュ家の騎士だった)。
※騎士は冒険者よりも気高い職業と考えられている。(冒険者は銀貨5枚で誰でもなれるが、騎士になろうとしたらある程度の地位と莫大な費用がかかる)

カトリナには内緒だが、ジルはオーヴェルニュ侯爵から
カトリナを命に代えても守ってほしいとお願いされていた。
ジルは「言われなくてもそのつもりだけど」と冷たくあしらっていた。

そんな中、S級冒険者を名乗るゴリラがオーヴェルニュ家に現れた。
どうやらカトリナを冒険者などという野蛮な職種に勧誘しているようだ。
はらが立ったジルはカミーユの首をかき切ろうと何度も暗殺を試みる。
ゴリラのくせに動きが素早く、回復力も尋常ではないその異様なゴリラにジルは戸惑った。

それどころかジルに向かってガハガハ笑いながら「おいガキ、酒飲むか?」などと言う始末。
渡された酒に毒が入っている様子もなく、警戒しながらも一緒に酒を飲んだ。
悔しいがこのゴリラに今の自分では敵わない。
その上殺したくなくなってきている自分がいた。

貧困町から戻ってきたカトリナは、
冒険者になりたいと侯爵と口論をしていた。
どちらも折れず、何日経っても口論はおさまらない。

ジルはめんどくさそうにため息をつき、カミーユに提案した。
「そこのゴリラ。僕もS級にしてよ」
「ああ?」
「それが条件。じゃないとカトリナを冒険者になんてさせない」
「なんでお前の許可がいるんだよ」
「侯爵。僕がカトリナを守ります」
「ジル…。いやしかし」
「カトリナの幸せが侯爵の幸せでしょう。彼女は自分の本当の目的を見つけたんです」
「だが…あまりに危険だ」
「僕はオーヴェルニュ家の…、いえ、カトリナの騎士。僕が守ります。どこまでも彼女についていきます」

ジルの説得の末、侯爵はしぶしぶ頷いた。
カトリナをS級冒険者にしたいなら、ジルもS級冒険者にすることが条件とされた。

ジルの巧みな暗殺術、身軽さ、聴覚の良さ、頭の良さは、磨けばS級として申し分ないものになるだろうと判断したカミーユはその条件を受け入れる。

こうしてジルはカミーユパーティのS級冒険者メンバーとなった。
(はじめはカミーユのことをずっと"ゴリラ"と呼んでいたし、リアーナのことは苦手だったので目も合わせなかった)
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