429 / 718
合宿編:北部のS級冒険者
クルドとマデリア
しおりを挟む
自主練習をしていた生徒たちと指導していたS級冒険者はサロンへ呼び出された。カトリナ、リアーナは来客に気付くと破顔しながら彼らに駆け寄りハグをした。ジルは頭をぺこりと下げ、彼らから少し離れたソファへ腰かける。
「あらァ!あらあらァ!!」
「カトリナー!!」
「ぎゃーーーー!!!」
「ははは!リアーナは相変わらずうるさいな!」
生徒たちもソファに腰かけているクルドたちを見て歓声をあげていた。
「えええーーーーー!?」
「きゃーーーーーー!!!!」
「ク、クルドパーティですって?!どうして?!」
「クルドパーティ?」
アーサーとモニカだけが、クルドたちのことが分からずキョトンとしていた。その反応に信じられないという表情でクラリッサが大声をあげる。
「あら!あなたたちクルドパーティを知らないの?!」
「う、うん…」
「クルドパーティはS級冒険者!カミーユパーティと同じくらい有名な人たちよ?!」
「そ、そうなんだ…」
双子にとってカミーユパーティは親代わりであり身近な存在であるため、クラリッサの説明を聞いてもあまりピンとこなかった。反応の薄いアーサーとモニカにクルドは豪快に笑ってみせた。
「がははは!!俺たちのことを知らないバンスティン人がいるなんてなあ!!」
「あー…すまねえ。こいつら世間知らずなもんでな…」
「なあにかまわねえよ。じゃ、自己紹介でもすっか。俺はクルドだ。北部でS級冒険者をやってる。剣士だ。一応、パーティのリーダーをさせてもらってる。よろしくな!」
「クルドさんは俺の師匠なんだぞアーサー!」
クルドの自己紹介のあとに、ダフが自慢げにそう言った。それを聞いたアーサーは「あ!」となにかを思い出しクルドを指さした。
「ダフが寮対抗戦で言ってた、剣を教えてくれたS級冒険者?!」
「そうだ!!」
「わー!!ダフのお師匠さんだって、モニカ!!」
「きゃー!すごーい!!」
「S級よりもダフの師匠のほうがすごいのか!がはは!ダフ!お前相当強くなったんだなあ!俺は鼻が高いぜ!」
ダフの背中を叩きながらクルドはまた大声で笑った。カミーユと同じくらい背が高くムキムキで、背負っている大剣はカミーユのものより大きい。北部生まれだからか色素が薄く、透き通るようなプラチナブロンドの髪と薄緑色の瞳をしていた。スッと通った鼻と薄い唇、顔立ちは端正なのだが、頬や眉には大きな傷痕が残っていた。耳も欠けている。今まで幾度となく死線をくぐり抜けて来たことが安易に想像できた。クルドは表情が豊かで歯を見せて笑った。いつもムスっとして低い声でダルそうに話す誰かさんとはちがい、人当たりが良く話しやすそうだった。
「…おいアーサー、モニカ。いま俺のことチラって見たな?」
「え?!み、みてないよ?!」
「全然見てない!!」
「思いっきり見てたぞ。まあいい。このクルドってやつがパーティリーダーで、サブリーダーがこいつ。魔法使いのマデリアだ」
「よろしく」
マデリアと呼ばれた女性は手を小さく振って双子に挨拶をした。長いウェーブのかかった黒髪で、前髪も長く右目が隠れている。唇の左下にホクロがあり、けだるげな表情がカトリナとはまた違う色気を感じさせた。アーサーとモニカは緊張しながら頭を下げ、小さな声で「よろしくおねがいします…」と呟きちらっとリアーナに目をやった。リアーナはケタケタ笑いながらマデリアの肩をがっしり抱いた。
「アーサー、モニカ!そんな緊張すんなって!!こいつ、こんな見た目でちっと話しづらく見えるけど、酒飲んだらすっげーうるせえから!!」
「そうそう。私が美人すぎてはじめはみんなガチガチなのにね、お酒を飲んでるところを見られたら女として見られなくなるの。やんなっちゃう」
「そりゃおまえ、ビール樽そのまま飲もうとするやつ女として見れるわけねえだろ…」
カミーユはため息をつき、アーサーにこそっと耳打ちした。
「あいつ、男だったら年齢関係なくいけるクチだから気をつけろよ」
「そうなんだー!男の人と気が合うんだね!」
「そうじゃねえ…あいつは…」
続きの言葉は聞こえなかった。アーサーが不思議に思いカミーユを見ると、喉を抑えながら口をパクパクさせたあと、ため息をつきマデリアを睨んでいた。マデリアは指を振りながらチッチッチと舌を鳴らす。
「カミーユ、人の恋路を邪魔しちゃだめでしょ?それ以上の告げ口はダメ。分かった?」
カミーユは彼女に中指を立てたり親指を下に向けて抗議していたが、悪態をつくたびにカミーユの顔が苦し気に歪んでいく。最後は床に膝をつき、口からポタポタ血を流しながら両手を合わせて降伏した。マデリアが満足げに杖を振ると、カミーユの声が戻り、ありとあらゆる状態異常が回復した。
「カ、カミーユだいじょぶ?!」
「…ああ、今見た通りマデリアは状態異常魔法が得意だ…。今俺がかけられただけでも、沈黙、暗闇、毒、デバフとかその他もろもろ…。こいつはリアーナみたいに特殊な魔法は使えねえが、攻撃魔法はリアーナと同じくらいつええし、状態異常魔法はリアーナよりも優秀だ…。怪我を治すような回復魔法は苦手だが、状態異常回復だけはピカイチ。おまえら気を付けろよ…こいつにだけは逆らうな…」
カミーユはゼェゼェと肩で息をしながらかすれた声でそう言った。双子はぷるぷる震えながら小さく頷く。マデリアは何も言わずにただ微笑むだけだった。
「あらァ!あらあらァ!!」
「カトリナー!!」
「ぎゃーーーー!!!」
「ははは!リアーナは相変わらずうるさいな!」
生徒たちもソファに腰かけているクルドたちを見て歓声をあげていた。
「えええーーーーー!?」
「きゃーーーーーー!!!!」
「ク、クルドパーティですって?!どうして?!」
「クルドパーティ?」
アーサーとモニカだけが、クルドたちのことが分からずキョトンとしていた。その反応に信じられないという表情でクラリッサが大声をあげる。
「あら!あなたたちクルドパーティを知らないの?!」
「う、うん…」
「クルドパーティはS級冒険者!カミーユパーティと同じくらい有名な人たちよ?!」
「そ、そうなんだ…」
双子にとってカミーユパーティは親代わりであり身近な存在であるため、クラリッサの説明を聞いてもあまりピンとこなかった。反応の薄いアーサーとモニカにクルドは豪快に笑ってみせた。
「がははは!!俺たちのことを知らないバンスティン人がいるなんてなあ!!」
「あー…すまねえ。こいつら世間知らずなもんでな…」
「なあにかまわねえよ。じゃ、自己紹介でもすっか。俺はクルドだ。北部でS級冒険者をやってる。剣士だ。一応、パーティのリーダーをさせてもらってる。よろしくな!」
「クルドさんは俺の師匠なんだぞアーサー!」
クルドの自己紹介のあとに、ダフが自慢げにそう言った。それを聞いたアーサーは「あ!」となにかを思い出しクルドを指さした。
「ダフが寮対抗戦で言ってた、剣を教えてくれたS級冒険者?!」
「そうだ!!」
「わー!!ダフのお師匠さんだって、モニカ!!」
「きゃー!すごーい!!」
「S級よりもダフの師匠のほうがすごいのか!がはは!ダフ!お前相当強くなったんだなあ!俺は鼻が高いぜ!」
ダフの背中を叩きながらクルドはまた大声で笑った。カミーユと同じくらい背が高くムキムキで、背負っている大剣はカミーユのものより大きい。北部生まれだからか色素が薄く、透き通るようなプラチナブロンドの髪と薄緑色の瞳をしていた。スッと通った鼻と薄い唇、顔立ちは端正なのだが、頬や眉には大きな傷痕が残っていた。耳も欠けている。今まで幾度となく死線をくぐり抜けて来たことが安易に想像できた。クルドは表情が豊かで歯を見せて笑った。いつもムスっとして低い声でダルそうに話す誰かさんとはちがい、人当たりが良く話しやすそうだった。
「…おいアーサー、モニカ。いま俺のことチラって見たな?」
「え?!み、みてないよ?!」
「全然見てない!!」
「思いっきり見てたぞ。まあいい。このクルドってやつがパーティリーダーで、サブリーダーがこいつ。魔法使いのマデリアだ」
「よろしく」
マデリアと呼ばれた女性は手を小さく振って双子に挨拶をした。長いウェーブのかかった黒髪で、前髪も長く右目が隠れている。唇の左下にホクロがあり、けだるげな表情がカトリナとはまた違う色気を感じさせた。アーサーとモニカは緊張しながら頭を下げ、小さな声で「よろしくおねがいします…」と呟きちらっとリアーナに目をやった。リアーナはケタケタ笑いながらマデリアの肩をがっしり抱いた。
「アーサー、モニカ!そんな緊張すんなって!!こいつ、こんな見た目でちっと話しづらく見えるけど、酒飲んだらすっげーうるせえから!!」
「そうそう。私が美人すぎてはじめはみんなガチガチなのにね、お酒を飲んでるところを見られたら女として見られなくなるの。やんなっちゃう」
「そりゃおまえ、ビール樽そのまま飲もうとするやつ女として見れるわけねえだろ…」
カミーユはため息をつき、アーサーにこそっと耳打ちした。
「あいつ、男だったら年齢関係なくいけるクチだから気をつけろよ」
「そうなんだー!男の人と気が合うんだね!」
「そうじゃねえ…あいつは…」
続きの言葉は聞こえなかった。アーサーが不思議に思いカミーユを見ると、喉を抑えながら口をパクパクさせたあと、ため息をつきマデリアを睨んでいた。マデリアは指を振りながらチッチッチと舌を鳴らす。
「カミーユ、人の恋路を邪魔しちゃだめでしょ?それ以上の告げ口はダメ。分かった?」
カミーユは彼女に中指を立てたり親指を下に向けて抗議していたが、悪態をつくたびにカミーユの顔が苦し気に歪んでいく。最後は床に膝をつき、口からポタポタ血を流しながら両手を合わせて降伏した。マデリアが満足げに杖を振ると、カミーユの声が戻り、ありとあらゆる状態異常が回復した。
「カ、カミーユだいじょぶ?!」
「…ああ、今見た通りマデリアは状態異常魔法が得意だ…。今俺がかけられただけでも、沈黙、暗闇、毒、デバフとかその他もろもろ…。こいつはリアーナみたいに特殊な魔法は使えねえが、攻撃魔法はリアーナと同じくらいつええし、状態異常魔法はリアーナよりも優秀だ…。怪我を治すような回復魔法は苦手だが、状態異常回復だけはピカイチ。おまえら気を付けろよ…こいつにだけは逆らうな…」
カミーユはゼェゼェと肩で息をしながらかすれた声でそう言った。双子はぷるぷる震えながら小さく頷く。マデリアは何も言わずにただ微笑むだけだった。
12
あなたにおすすめの小説
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。