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合宿編:北部のS級冒険者
クルドとマデリア
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自主練習をしていた生徒たちと指導していたS級冒険者はサロンへ呼び出された。カトリナ、リアーナは来客に気付くと破顔しながら彼らに駆け寄りハグをした。ジルは頭をぺこりと下げ、彼らから少し離れたソファへ腰かける。
「あらァ!あらあらァ!!」
「カトリナー!!」
「ぎゃーーーー!!!」
「ははは!リアーナは相変わらずうるさいな!」
生徒たちもソファに腰かけているクルドたちを見て歓声をあげていた。
「えええーーーーー!?」
「きゃーーーーーー!!!!」
「ク、クルドパーティですって?!どうして?!」
「クルドパーティ?」
アーサーとモニカだけが、クルドたちのことが分からずキョトンとしていた。その反応に信じられないという表情でクラリッサが大声をあげる。
「あら!あなたたちクルドパーティを知らないの?!」
「う、うん…」
「クルドパーティはS級冒険者!カミーユパーティと同じくらい有名な人たちよ?!」
「そ、そうなんだ…」
双子にとってカミーユパーティは親代わりであり身近な存在であるため、クラリッサの説明を聞いてもあまりピンとこなかった。反応の薄いアーサーとモニカにクルドは豪快に笑ってみせた。
「がははは!!俺たちのことを知らないバンスティン人がいるなんてなあ!!」
「あー…すまねえ。こいつら世間知らずなもんでな…」
「なあにかまわねえよ。じゃ、自己紹介でもすっか。俺はクルドだ。北部でS級冒険者をやってる。剣士だ。一応、パーティのリーダーをさせてもらってる。よろしくな!」
「クルドさんは俺の師匠なんだぞアーサー!」
クルドの自己紹介のあとに、ダフが自慢げにそう言った。それを聞いたアーサーは「あ!」となにかを思い出しクルドを指さした。
「ダフが寮対抗戦で言ってた、剣を教えてくれたS級冒険者?!」
「そうだ!!」
「わー!!ダフのお師匠さんだって、モニカ!!」
「きゃー!すごーい!!」
「S級よりもダフの師匠のほうがすごいのか!がはは!ダフ!お前相当強くなったんだなあ!俺は鼻が高いぜ!」
ダフの背中を叩きながらクルドはまた大声で笑った。カミーユと同じくらい背が高くムキムキで、背負っている大剣はカミーユのものより大きい。北部生まれだからか色素が薄く、透き通るようなプラチナブロンドの髪と薄緑色の瞳をしていた。スッと通った鼻と薄い唇、顔立ちは端正なのだが、頬や眉には大きな傷痕が残っていた。耳も欠けている。今まで幾度となく死線をくぐり抜けて来たことが安易に想像できた。クルドは表情が豊かで歯を見せて笑った。いつもムスっとして低い声でダルそうに話す誰かさんとはちがい、人当たりが良く話しやすそうだった。
「…おいアーサー、モニカ。いま俺のことチラって見たな?」
「え?!み、みてないよ?!」
「全然見てない!!」
「思いっきり見てたぞ。まあいい。このクルドってやつがパーティリーダーで、サブリーダーがこいつ。魔法使いのマデリアだ」
「よろしく」
マデリアと呼ばれた女性は手を小さく振って双子に挨拶をした。長いウェーブのかかった黒髪で、前髪も長く右目が隠れている。唇の左下にホクロがあり、けだるげな表情がカトリナとはまた違う色気を感じさせた。アーサーとモニカは緊張しながら頭を下げ、小さな声で「よろしくおねがいします…」と呟きちらっとリアーナに目をやった。リアーナはケタケタ笑いながらマデリアの肩をがっしり抱いた。
「アーサー、モニカ!そんな緊張すんなって!!こいつ、こんな見た目でちっと話しづらく見えるけど、酒飲んだらすっげーうるせえから!!」
「そうそう。私が美人すぎてはじめはみんなガチガチなのにね、お酒を飲んでるところを見られたら女として見られなくなるの。やんなっちゃう」
「そりゃおまえ、ビール樽そのまま飲もうとするやつ女として見れるわけねえだろ…」
カミーユはため息をつき、アーサーにこそっと耳打ちした。
「あいつ、男だったら年齢関係なくいけるクチだから気をつけろよ」
「そうなんだー!男の人と気が合うんだね!」
「そうじゃねえ…あいつは…」
続きの言葉は聞こえなかった。アーサーが不思議に思いカミーユを見ると、喉を抑えながら口をパクパクさせたあと、ため息をつきマデリアを睨んでいた。マデリアは指を振りながらチッチッチと舌を鳴らす。
「カミーユ、人の恋路を邪魔しちゃだめでしょ?それ以上の告げ口はダメ。分かった?」
カミーユは彼女に中指を立てたり親指を下に向けて抗議していたが、悪態をつくたびにカミーユの顔が苦し気に歪んでいく。最後は床に膝をつき、口からポタポタ血を流しながら両手を合わせて降伏した。マデリアが満足げに杖を振ると、カミーユの声が戻り、ありとあらゆる状態異常が回復した。
「カ、カミーユだいじょぶ?!」
「…ああ、今見た通りマデリアは状態異常魔法が得意だ…。今俺がかけられただけでも、沈黙、暗闇、毒、デバフとかその他もろもろ…。こいつはリアーナみたいに特殊な魔法は使えねえが、攻撃魔法はリアーナと同じくらいつええし、状態異常魔法はリアーナよりも優秀だ…。怪我を治すような回復魔法は苦手だが、状態異常回復だけはピカイチ。おまえら気を付けろよ…こいつにだけは逆らうな…」
カミーユはゼェゼェと肩で息をしながらかすれた声でそう言った。双子はぷるぷる震えながら小さく頷く。マデリアは何も言わずにただ微笑むだけだった。
「あらァ!あらあらァ!!」
「カトリナー!!」
「ぎゃーーーー!!!」
「ははは!リアーナは相変わらずうるさいな!」
生徒たちもソファに腰かけているクルドたちを見て歓声をあげていた。
「えええーーーーー!?」
「きゃーーーーーー!!!!」
「ク、クルドパーティですって?!どうして?!」
「クルドパーティ?」
アーサーとモニカだけが、クルドたちのことが分からずキョトンとしていた。その反応に信じられないという表情でクラリッサが大声をあげる。
「あら!あなたたちクルドパーティを知らないの?!」
「う、うん…」
「クルドパーティはS級冒険者!カミーユパーティと同じくらい有名な人たちよ?!」
「そ、そうなんだ…」
双子にとってカミーユパーティは親代わりであり身近な存在であるため、クラリッサの説明を聞いてもあまりピンとこなかった。反応の薄いアーサーとモニカにクルドは豪快に笑ってみせた。
「がははは!!俺たちのことを知らないバンスティン人がいるなんてなあ!!」
「あー…すまねえ。こいつら世間知らずなもんでな…」
「なあにかまわねえよ。じゃ、自己紹介でもすっか。俺はクルドだ。北部でS級冒険者をやってる。剣士だ。一応、パーティのリーダーをさせてもらってる。よろしくな!」
「クルドさんは俺の師匠なんだぞアーサー!」
クルドの自己紹介のあとに、ダフが自慢げにそう言った。それを聞いたアーサーは「あ!」となにかを思い出しクルドを指さした。
「ダフが寮対抗戦で言ってた、剣を教えてくれたS級冒険者?!」
「そうだ!!」
「わー!!ダフのお師匠さんだって、モニカ!!」
「きゃー!すごーい!!」
「S級よりもダフの師匠のほうがすごいのか!がはは!ダフ!お前相当強くなったんだなあ!俺は鼻が高いぜ!」
ダフの背中を叩きながらクルドはまた大声で笑った。カミーユと同じくらい背が高くムキムキで、背負っている大剣はカミーユのものより大きい。北部生まれだからか色素が薄く、透き通るようなプラチナブロンドの髪と薄緑色の瞳をしていた。スッと通った鼻と薄い唇、顔立ちは端正なのだが、頬や眉には大きな傷痕が残っていた。耳も欠けている。今まで幾度となく死線をくぐり抜けて来たことが安易に想像できた。クルドは表情が豊かで歯を見せて笑った。いつもムスっとして低い声でダルそうに話す誰かさんとはちがい、人当たりが良く話しやすそうだった。
「…おいアーサー、モニカ。いま俺のことチラって見たな?」
「え?!み、みてないよ?!」
「全然見てない!!」
「思いっきり見てたぞ。まあいい。このクルドってやつがパーティリーダーで、サブリーダーがこいつ。魔法使いのマデリアだ」
「よろしく」
マデリアと呼ばれた女性は手を小さく振って双子に挨拶をした。長いウェーブのかかった黒髪で、前髪も長く右目が隠れている。唇の左下にホクロがあり、けだるげな表情がカトリナとはまた違う色気を感じさせた。アーサーとモニカは緊張しながら頭を下げ、小さな声で「よろしくおねがいします…」と呟きちらっとリアーナに目をやった。リアーナはケタケタ笑いながらマデリアの肩をがっしり抱いた。
「アーサー、モニカ!そんな緊張すんなって!!こいつ、こんな見た目でちっと話しづらく見えるけど、酒飲んだらすっげーうるせえから!!」
「そうそう。私が美人すぎてはじめはみんなガチガチなのにね、お酒を飲んでるところを見られたら女として見られなくなるの。やんなっちゃう」
「そりゃおまえ、ビール樽そのまま飲もうとするやつ女として見れるわけねえだろ…」
カミーユはため息をつき、アーサーにこそっと耳打ちした。
「あいつ、男だったら年齢関係なくいけるクチだから気をつけろよ」
「そうなんだー!男の人と気が合うんだね!」
「そうじゃねえ…あいつは…」
続きの言葉は聞こえなかった。アーサーが不思議に思いカミーユを見ると、喉を抑えながら口をパクパクさせたあと、ため息をつきマデリアを睨んでいた。マデリアは指を振りながらチッチッチと舌を鳴らす。
「カミーユ、人の恋路を邪魔しちゃだめでしょ?それ以上の告げ口はダメ。分かった?」
カミーユは彼女に中指を立てたり親指を下に向けて抗議していたが、悪態をつくたびにカミーユの顔が苦し気に歪んでいく。最後は床に膝をつき、口からポタポタ血を流しながら両手を合わせて降伏した。マデリアが満足げに杖を振ると、カミーユの声が戻り、ありとあらゆる状態異常が回復した。
「カ、カミーユだいじょぶ?!」
「…ああ、今見た通りマデリアは状態異常魔法が得意だ…。今俺がかけられただけでも、沈黙、暗闇、毒、デバフとかその他もろもろ…。こいつはリアーナみたいに特殊な魔法は使えねえが、攻撃魔法はリアーナと同じくらいつええし、状態異常魔法はリアーナよりも優秀だ…。怪我を治すような回復魔法は苦手だが、状態異常回復だけはピカイチ。おまえら気を付けろよ…こいつにだけは逆らうな…」
カミーユはゼェゼェと肩で息をしながらかすれた声でそう言った。双子はぷるぷる震えながら小さく頷く。マデリアは何も言わずにただ微笑むだけだった。
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