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魔女編:合同クエスト
ダンジョン
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アーサーとモニカはクエストを受けるためにギルドの掲示板を睨んでいた。
「Fクラスになったから行けるクエストが増えたね!Fクラスのクエストは…」
「巨大ケムシ退治、マナバイソン退治、キュウキ退治…。え、巨大ケムシは絶対いや」
ボソッと呟いたモニカに、アーサーが反論する。
「なんでだよ!毒持ってんだよ?!」
「毒持ってるから嫌だって言ってんの!!しかも気持ち悪いじゃない!」
掲示板の前で口論をしていると、クエスト受付嬢が双子に声をかけた。
「アーサーさん、モニカさん」
「どうしたんですか?」
「クエストを探しているんですか?」
「はい!」
「そうですか!実はお二人にお願いしたいクエストがありまして」
「?」
受付嬢が双子を呼び寄せる。
「今週末に、Fクラスの冒険者を対象に、ダンジョン掃討合同クエストの募集がかけられたんです」
「ダンジョン掃討って、カミーユたちが行ってたやつだ!」
「そうですね。カミーユパーティにはよくダンジョン掃討の依頼が入ります。でもカミーユさんたちに依頼が来るのはAランク以上のダンジョンですね」
「ダンジョンにランクがあるの?」
「はい。冒険者の死亡率を軽減するため、ダンジョンには難易度が設定されています」
受付嬢の説明によると、ダンジョンの難易度は以下のように設定されているらしい。
------------------------------------------------
Gランク:弱い魔物しか出現しないダンジョン
Fランク:ほとんどが弱い魔物のダンジョン
Eランク:中程度の魔物が出現する小中規模なダンジョン
Dランク:中程度の魔物が出現する大規模なダンジョン
Cランク:強い魔物が出現するダンジョン
Bランク:強い魔物が出現するダンジョンで、稀に最強レベルの魔物が出現する
Aランク:強い魔物が出現するダンジョンで、2割以上5割未満の割合で最強レベルの魔物が出現する
Sランク:最強レベルの魔物が5割以上の割合で出現するダンジョン
------------------------------------------------
「お二人はダンジョンに行かれたことはありますか?」
双子は首を振る。
「ダンジョンについてもあんまりよく知らない」
「ダンジョンは、古い昔に野生の魔物を減らすために作られた人為的な場所です」
「ジンイテキ……?」
「人の手が加わった場所、ということですよ」
魔物の繁殖力はすさまじく、繁殖行為だけではなく魔物の死体などから新たな魔物が発生することもある。魔物の死体を放置していたら、いつか人間を滅ぼすほどの数になるのではないかと恐れた人々は、洞窟や建物に魔物の死体を集めて管理するようになった、と受付嬢は説明した。
「魔物の死体を燃やしてもだめなの?」
アーサーの質問に、受付嬢は神妙に頷く。
「ええ。魔物の魂魄はとても濃いので。肉体を燃やしても魂魄が何かしらに憑依して魔物となるのです」
植物の魔物や岩の魔物などは、肉体を失った魔物のなれ果てなのだそうだ。しかも魔法を受けた魔物が転生後、魔力を宿していたり、受けた魔法によって進化して生まれることも稀にあるらしい。そしてそれが繁殖して、立派な魔物として増え続けている、と受付嬢は説明した。
「困ったことに、魔物の死体はとても厄介なんです」
「そうだったんだあ」
「ダンジョンは、いわば魔物の死体捨て場ですね。ただ……」
野生の魔物の間引きができる代わりに、ダンジョン内で魔物は繁殖し放題。溢れたら大惨事になるので、冒険者ギルドは定期的に冒険者にダンジョン掃討を依頼しているそうだ。
「荒稼ぎしたい冒険者さんは、素材欲しさにダンジョンに潜ったりすることもありますね」
受付嬢はハガキサイズの紙を二人に渡した。【クエスト:Gランク、Fランクのダンジョン掃討(Fクラス冒険者対象)】と記載されている。
「ポントワーブの近くにFランクのダンジョンがひとつあって、それもこのクエストの対象になっています。報酬は一人当たり金貨10枚。お願いできないかしら?」
「期間はどのくらいになりますか?」
「うーん、Fランクのダンジョン掃討だと、だいたい5日くらいかしら」
アーサーに「どうする?」と問いかけられたモニカは「行きたい!」と答えた。どうやら興味津々のようだ。
妹が乗り気なら断る理由はない。
「依頼、受けます! で、その件とは別ですがこの魔物退治クエスト受けてもいいですか?」
「ええ、いいですよ。初めてのFクラスクエスト、頑張ってくださいね」
受付嬢はクエスト募集の紙にポンっとスタンプを押し、アーサーに返した。
どのクエストにしたんだろうとモニカが紙をのぞき込む。
「…って、アーサー!なに勝手に巨大ケムシ退治のクエスト受注してんのよ!!!」
「Fクラスになったから行けるクエストが増えたね!Fクラスのクエストは…」
「巨大ケムシ退治、マナバイソン退治、キュウキ退治…。え、巨大ケムシは絶対いや」
ボソッと呟いたモニカに、アーサーが反論する。
「なんでだよ!毒持ってんだよ?!」
「毒持ってるから嫌だって言ってんの!!しかも気持ち悪いじゃない!」
掲示板の前で口論をしていると、クエスト受付嬢が双子に声をかけた。
「アーサーさん、モニカさん」
「どうしたんですか?」
「クエストを探しているんですか?」
「はい!」
「そうですか!実はお二人にお願いしたいクエストがありまして」
「?」
受付嬢が双子を呼び寄せる。
「今週末に、Fクラスの冒険者を対象に、ダンジョン掃討合同クエストの募集がかけられたんです」
「ダンジョン掃討って、カミーユたちが行ってたやつだ!」
「そうですね。カミーユパーティにはよくダンジョン掃討の依頼が入ります。でもカミーユさんたちに依頼が来るのはAランク以上のダンジョンですね」
「ダンジョンにランクがあるの?」
「はい。冒険者の死亡率を軽減するため、ダンジョンには難易度が設定されています」
受付嬢の説明によると、ダンジョンの難易度は以下のように設定されているらしい。
------------------------------------------------
Gランク:弱い魔物しか出現しないダンジョン
Fランク:ほとんどが弱い魔物のダンジョン
Eランク:中程度の魔物が出現する小中規模なダンジョン
Dランク:中程度の魔物が出現する大規模なダンジョン
Cランク:強い魔物が出現するダンジョン
Bランク:強い魔物が出現するダンジョンで、稀に最強レベルの魔物が出現する
Aランク:強い魔物が出現するダンジョンで、2割以上5割未満の割合で最強レベルの魔物が出現する
Sランク:最強レベルの魔物が5割以上の割合で出現するダンジョン
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「お二人はダンジョンに行かれたことはありますか?」
双子は首を振る。
「ダンジョンについてもあんまりよく知らない」
「ダンジョンは、古い昔に野生の魔物を減らすために作られた人為的な場所です」
「ジンイテキ……?」
「人の手が加わった場所、ということですよ」
魔物の繁殖力はすさまじく、繁殖行為だけではなく魔物の死体などから新たな魔物が発生することもある。魔物の死体を放置していたら、いつか人間を滅ぼすほどの数になるのではないかと恐れた人々は、洞窟や建物に魔物の死体を集めて管理するようになった、と受付嬢は説明した。
「魔物の死体を燃やしてもだめなの?」
アーサーの質問に、受付嬢は神妙に頷く。
「ええ。魔物の魂魄はとても濃いので。肉体を燃やしても魂魄が何かしらに憑依して魔物となるのです」
植物の魔物や岩の魔物などは、肉体を失った魔物のなれ果てなのだそうだ。しかも魔法を受けた魔物が転生後、魔力を宿していたり、受けた魔法によって進化して生まれることも稀にあるらしい。そしてそれが繁殖して、立派な魔物として増え続けている、と受付嬢は説明した。
「困ったことに、魔物の死体はとても厄介なんです」
「そうだったんだあ」
「ダンジョンは、いわば魔物の死体捨て場ですね。ただ……」
野生の魔物の間引きができる代わりに、ダンジョン内で魔物は繁殖し放題。溢れたら大惨事になるので、冒険者ギルドは定期的に冒険者にダンジョン掃討を依頼しているそうだ。
「荒稼ぎしたい冒険者さんは、素材欲しさにダンジョンに潜ったりすることもありますね」
受付嬢はハガキサイズの紙を二人に渡した。【クエスト:Gランク、Fランクのダンジョン掃討(Fクラス冒険者対象)】と記載されている。
「ポントワーブの近くにFランクのダンジョンがひとつあって、それもこのクエストの対象になっています。報酬は一人当たり金貨10枚。お願いできないかしら?」
「期間はどのくらいになりますか?」
「うーん、Fランクのダンジョン掃討だと、だいたい5日くらいかしら」
アーサーに「どうする?」と問いかけられたモニカは「行きたい!」と答えた。どうやら興味津々のようだ。
妹が乗り気なら断る理由はない。
「依頼、受けます! で、その件とは別ですがこの魔物退治クエスト受けてもいいですか?」
「ええ、いいですよ。初めてのFクラスクエスト、頑張ってくださいね」
受付嬢はクエスト募集の紙にポンっとスタンプを押し、アーサーに返した。
どのクエストにしたんだろうとモニカが紙をのぞき込む。
「…って、アーサー!なに勝手に巨大ケムシ退治のクエスト受注してんのよ!!!」
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