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3章
第30話 こむずかしいプライド
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音楽室にやって来た匡史たちに気付いた先輩二人は、大喜びで彼らを歓迎した。匡史の成績が学年二位だと聞いたときには安堵の涙を流したほどだ。
樋暮先輩が匡史の背中を勢いよく叩く。
「ほんっとに助かる!! 海茅ちゃんが赤点回避できたら学食奢るね!!」
「は、はい。頑張ります」
「海茅ちゃん良かったね~!! 頼りになる友だちがいて!」
手放しで喜ぶパーカッション部員とは対照的に、海茅は恨めし気に茜と創を睨んでいた。
匡史に勉強を見てもらえて海茅も喜ぶだろうと思っていた茜と創は、こっそり目を見合わせる。
「あれ? なんか思ってた反応と違うね?」
「なんでだ? 彼方さん嬉しくねえの?」
二人の背後から優紀がコソッと話に入った。
「海茅ちゃんはね、ああ見えてプライドが高いのよ」
首を傾げる二人に優紀は言葉を続ける。
「勉強を見てもらうってことは、勉強ができないところを見られるのと同じ。恥ずかしいところを一番見られたくない人に見られるんだから、そりゃ睨みたくもなるよね?」
「で、でも、ミッチーは匡史に成績が良くないってこと言ってたよ……?」
「でも実際どのくらい勉強ができないのか、具体的にバレちゃうのは想定外」
ささやかな反論を優紀に一蹴され、茜はしょんぼりと肩を落とした。
「恋のお手伝いしたかっただけなのになあ……」
「俺ら、余計なお世話しちまったみたいだなぁ」
後悔の色を見せる茜と創に、優紀は慌てて首を横に振る。
「でも、これは海茅ちゃんの考え! 私はナイスだと思うし、単純に助かるよ!」
「ほんと……?」
「うん。だって赤点回避できなかったらコンクールに出られないんだもん。学年二位の多田君が見てくれるなんてありがたすぎるよ」
それに、と優紀は海茅をチラッと見てから声をひそめる。
「せっかく部活休み期間なんだから、海茅ちゃんにももっと青春してほしいじゃん」
優紀の言葉に、茜と創はニマァッと口角を上げた。
「だーよーねー! 私も匡史に青春してほしいもーん!」
「土日もこのメンバーで勉強しようぜ。匡史の家か彼方さんの家で」
「それやばいねー! やろうやろうー!」
騒いでいる一年生に向かって、段原先輩が人差し指を唇に当てた。
「そこ、静かに。海茅ちゃんが勉強に集中できないでしょ?」
優紀、茜、創は慌てて口をつぐみ、海茅たちとは離れた場所に移動してテスト勉強を始めた。
樋暮先輩が匡史の背中を勢いよく叩く。
「ほんっとに助かる!! 海茅ちゃんが赤点回避できたら学食奢るね!!」
「は、はい。頑張ります」
「海茅ちゃん良かったね~!! 頼りになる友だちがいて!」
手放しで喜ぶパーカッション部員とは対照的に、海茅は恨めし気に茜と創を睨んでいた。
匡史に勉強を見てもらえて海茅も喜ぶだろうと思っていた茜と創は、こっそり目を見合わせる。
「あれ? なんか思ってた反応と違うね?」
「なんでだ? 彼方さん嬉しくねえの?」
二人の背後から優紀がコソッと話に入った。
「海茅ちゃんはね、ああ見えてプライドが高いのよ」
首を傾げる二人に優紀は言葉を続ける。
「勉強を見てもらうってことは、勉強ができないところを見られるのと同じ。恥ずかしいところを一番見られたくない人に見られるんだから、そりゃ睨みたくもなるよね?」
「で、でも、ミッチーは匡史に成績が良くないってこと言ってたよ……?」
「でも実際どのくらい勉強ができないのか、具体的にバレちゃうのは想定外」
ささやかな反論を優紀に一蹴され、茜はしょんぼりと肩を落とした。
「恋のお手伝いしたかっただけなのになあ……」
「俺ら、余計なお世話しちまったみたいだなぁ」
後悔の色を見せる茜と創に、優紀は慌てて首を横に振る。
「でも、これは海茅ちゃんの考え! 私はナイスだと思うし、単純に助かるよ!」
「ほんと……?」
「うん。だって赤点回避できなかったらコンクールに出られないんだもん。学年二位の多田君が見てくれるなんてありがたすぎるよ」
それに、と優紀は海茅をチラッと見てから声をひそめる。
「せっかく部活休み期間なんだから、海茅ちゃんにももっと青春してほしいじゃん」
優紀の言葉に、茜と創はニマァッと口角を上げた。
「だーよーねー! 私も匡史に青春してほしいもーん!」
「土日もこのメンバーで勉強しようぜ。匡史の家か彼方さんの家で」
「それやばいねー! やろうやろうー!」
騒いでいる一年生に向かって、段原先輩が人差し指を唇に当てた。
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優紀、茜、創は慌てて口をつぐみ、海茅たちとは離れた場所に移動してテスト勉強を始めた。
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